第8話 森へ向かう時
朝はいつもと違っていた。
重たい静けさが空気を包み込み、まるで世界が何かを予感しているかのようだった。
風は囁き、光は控えめに、鳥たちさえ口を閉ざしていた。
それは、嵐の前の静けさだった。
アカデミーの一室。
少年たちは無言で装備を整え、目の奥には不安と覚悟が入り混じっていた。
今日は、試練の日。
まだ子供である彼らが、初めて「戦う」という現実に向き合う日だった。
そして、すべてが始まる。
朝はいつもと違って静かだった。風さえも、今日が特別な日だと感じているかのように、葉を優しく揺らしていた。鳥たちは普段のようにさえずらず、太陽も窓から控えめに光を差し込んでいた。すべてが嵐の前の静けさを思わせた。
トゥロのチームが暮らす部屋では、誰も余計なことを話さなかった。各自が集中していた。ベルトを締め、アミュレットを確認し、ポーションを小さなポーチに収めていた。
「…準備はいいか?」とカインが静かに仲間たちに尋ねた。
「うん、全部二度確認したよ」とメイラが頷いた。
「僕もだよ」とノランが肘当てを直しながら答えた。「でも…なんだか胸の中に石があるみたいだ。」
「怖いよ」とリナが少し目を伏せて言った。「でも…逃げたくない。」
トゥロは黙って最後のベルトを締め、立ち上がった。彼の目には不安と、それでも決意が映っていた。
「僕たちは一緒だ。それが大事だよ」と彼は言った。
中央広場では、すでに彼らを待っていた。生徒たちは隊列を組んで立っていた。多くは顔色が悪く、拳を握りしめていたり、唇を震わせていたりした。それでも、全員が来ていた。誰も逃げなかった。
壇上には厳格だが穏やかな校長が立っていた。彼の声は自信に満ち、明瞭だった。
「今日から君たちはただの未熟な生徒ではなくなる。初めての本当の試練が待っている。怖いだろう。それは正常なことだ。恐怖は生きている証だ。しかし、恐怖にもかかわらずどう行動するかが、君たちが何者であるかを決定する。君たちは一人ではない。私たちが見守っている。もしすべてがあまりにも危険になれば、私たちが介入する。しかし、それまでは—これは君たちの戦いだ。」
森への道は静かだった。彼らには上級生と、顔を隠した黒いマントの人物が同行していた。彼は少し後ろを歩き、まるで影のようだった。
誰も話さなかった。聞こえるのは足音と呼吸だけだった。
しかし、トゥロは感じていた:チームの誰もが、張り詰めた弦のように緊張していた。
森は彼らを冷気と鈍いざわめきで迎えた。光はほとんど濃い葉の間を通らなかった。空気は重く、まるで森自身が彼らの一歩一歩を見守っているかのようだった。
「ここからは—完全な集中だ」とカインが言った。「敵はどこにでもいるかもしれない。」
最初の戦闘はすぐに起こった:石の棘を持つイノシシが茂みから飛び出してきたが、チームの連携した行動で倒された。
「よし」とノランが息を吐いた。「なんとかなるかも。」
トゥロはカインの腕の軽い傷を癒すことができた。初めて—意識して。それは彼に少し自信を与えた。
しかし、その後、森の最も深い場所で、現実が彼らに襲いかかった。
霧の中から獣が現れた。巨大で、ほぼ三メートル。暗褐色の毛皮に奇妙な赤い斑点があった。彼の呼吸は蒸気を伴い、目は赤く野性的な光を放っていた。
あの熊だ。
「…あいつだ…」とメイラがささやいた。
「配置につけ!」とカインが命じた。「パニックになるな!」
しかし、遅すぎた。
熊は前方に突進した。迷いなく。ためらいなく。まるで彼を導く目的が一つ—すべてを破壊すること。
ノランが最初に反応した—彼の手から強力な火球が放たれ、獣の胸に直撃した。火は燃え上がり…すぐに消え、痕跡さえ残さなかった。
「なに…?!」とノランが息を吐いた。
その瞬間、熊の前足が彼の脇腹を打った。
鈍い音とともにノランの体は横に吹き飛ばされ、木の幹にぶつかり、地面に倒れた。彼は動かなかった。
「ノラン!!」とリナが叫んだ。
メイラは魔法のバリアで獣を止めようとした(彼女は魔力を強く圧縮し、それはバリアのようなものを作り出したが、それほど強くはなかった)、しかし熊はそれを突き破り、速度を落とすことさえなかった。
カインは前方に突進した。彼は拳を火の手袋で包み、獣に向かって突進し、速度を上げて音速に達したが、横に吹き飛ばされた。熊もまた、カインに反応するのに十分な速さを持っていた。
トゥロは草原の中央に一人で立っていた。
彼は動けなかった。まるで体全体が縛られているようだった。彼は熊が自分に向かって突進してくるのを見ていたが、足の感覚がなかった。
「トゥロ、逃げろ!!」と皆が一斉に叫んだ。「動け!!」
しかし、彼はできなかった。叫ぶことも、瞬きすることもできなかった。心臓は太鼓のように鳴っていた。そしてその時…
まるで何かが彼の中で解き放たれたようだった。
彼は誰かが「今死んだら残念だ」と言ったのを聞いた。
温かさ。光。そしてただの魔法ではなく—オーラ。太陽のように輝く黄金のオーラがトゥロから放たれた。
すべてが輝いた。
熊は急に立ち止まり、情けない、怯えたような咆哮を上げた。彼の目は見開かれた。彼は一歩、また一歩と後退した。そして、パニックに陥り、恐怖の叫び声を上げながら森へと逃げ去った。道中、木々をなぎ倒しながら。
オーラは消えた。トゥロは膝をつき、そして—意識を失った。
その後の出来事を、チームははっきりとは覚えていなかった。
影の教授たちが介入した。子供たちは集められ、アカデミーへと連れ戻された。森のモンスターの約80%は生徒たちによって倒された。残りは大人たちが仕留めた。
トゥロが目を覚ましたのは、翌朝だった。
彼は医療棟に横たわっていた。上には光。静けさ。そして、内側に何か新しいものがあった。
嵐の前の静けさは終わった。今、真の物語が始まろうとしていた。
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