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第2話 力への第一歩

それから、かなりの時が流れた。

トゥロは父と共に、剣術、弓術、森での小動物狩りを学びながら、日々修行を重ねた。

時には町の外に出て、商人たちを悩ませるゴブリンの小規模な群れを討伐することもあった。


戦うたびに、トゥロの脳裏にはあの日の記憶がよみがえった。

無力だった、あの日のことを。


木剣を握り締め、彼はもはや恐れることなく敵に向かっていった。

初めてゴブリンを倒した瞬間、トゥロは一瞬動きを止めた。


(こんな取るに足らない存在に、あのとき怯えていたのか……?)


かつて恐怖の対象だったゴブリンたちは、今やただの哀れな生き物に過ぎなかった。

今の自分なら、彼らを打ち倒すことができる。


戦いを見守っていた父アランは、満足そうにうなずいた。


「よく戦ったな、トゥロ。強くなった。」


「ありがとう、父さん。」

汗をぬぐいながら、トゥロは少し照れたように笑った。


二人は夕暮れの空の下、草に覆われた小道を歩いて家へと向かった。

トゥロの胸には、初めて本物の誇りが灯っていた。



それから一年が経った。

トゥロは十歳になった。


誕生日の朝、父から一つの小さなペンダントを贈られた。

それは彼らの家系の紋章が刻まれた、守護の印だった。


「今日から、本当のお前の道が始まるんだ。」

父はそう言い、トゥロの肩に優しく手を置いた。


そして、トゥロはリレンの街にある魔法騎士学院への入学を許された。


馬車に揺られながら、トゥロは隣に座る父に尋ねた。


「父さん、どうして僕は八歳や九歳の時に入学しなかったの?

みんな、もっと早く行くんじゃないの?」


父アランは穏やかに微笑んだ。


「普通は、そう思うだろうな。だが、意味がないんだ。

本格的に魔力が目覚めるのは十歳からなんだよ。

それより前に学んでも、無駄になることが多い。」


そう言うと、アランはまっすぐトゥロを見た。


「お前は、今なら十分だ。心も体も、鍛えられた。

学院で、お前自身の力を目覚めさせるがいい。

お前の元素が、そこで現れるだろう。」


トゥロは拳を握り締め、胸にあてた。


(僕の元素……僕だけの魔法……。ようやく、自分が何者か知ることができるんだ。)


遠くに、学院の高い塔が朝日に照らされて浮かび上がっていた。

そこから、トゥロの新たな物語が始まろうとしていた。


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「ネトコン13」
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Just wow
WOW impresionante historia, quiero seguir leyendola
Getting better and better
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