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日常

「……ねぇ? お願い? やって?」


 二人きりの部屋。無防備な薄い服を着こなしベッドに横たわる人とこの状況をどうしようかと考え込む人の二人。まだまだ日の出る夕方。いやらしい事をしようとはしていない。その行為自体はいやらしい物ではない。ただやる本人の気持ち次第でそうなってしまうものではある。だからこそ手が出せない。


 ただ二人は甘い空気の漂う空間で見つめ合っているだけである。欲望深い男がこの光景を目にしたら一瞬の迷いもなく手を出したであろう。しかし彼女は依然として考え込み手を出そうとはしない。


「貴方は私のメイドさんでしょ? だからお願いしているのよ?」


「それに関しては重々承知していますが……」


 メイドと言ってもマッサージは素人同然揉めば大体良くなるだろうというレベルでしかない。


 問題はそれだけでは無い。そもそも気安くマッサージなどしていいのだろうか。主従の関係、雇われている身なので業務の事に関しては手を抜く事なくこなす。が、これを仕事としてみなすことが出来ない。あくまでも主従関係でありその境界線はしっかりしなければならないがどうも触れる事に対して何かが心の内から溢れてきてしまう。


 この問題を比率で表すならば後者の理由が八割だ。もっと詳しく分析するならば理性を保つのが難しいという事だけが問題だ。


「はやく~」


 奇麗な脚をパタパタとさせながらこちらの様子を伺う。その眼差しはあざとく私の心を刺激する。『断るわけにもいかない。あくまでも仕事』と、自分の中で結論を出してしまう。お嬢様は本当にズルい。


 負けを認めたかのような溜息を付きゆっくりとベッドの横に寄り背中に手を添える。


 やっとその気になったかと心を見透かしているように薄笑いを浮かべる。


 どのくらいの強さなのかも分からない。このまま始めてしまっても良いのだろうか。背中に触れオドオドとしているのを感じ取られたのか、急かされる。


「良いよ。早くやって?」


 ゆっくりと力を入れていく。押せばそれに呼応して気持ちよさそうな声が漏れている。この辺なのだろうかと考えながら適当に押し続ける。


「あぁ~気持ちいよ~」


 いつしか相手の気持ちよさなど考える事を忘れ綺麗な肌に触れることを楽しんでいた。押すたびに声を出すおもちゃのような面白さと可愛げを感じていた。


「あぁ……ん~、そこ~」


 声だけを聴いていると何かまずい事をしているような気がしてたまらない。それが理性を保つストッパーのねじを緩める。


「そ、その辺は少しくすぐったいかも」


「……この辺ですか?」


 わざと弱いところを軽く突くように触れるとビクッと、予想通りの体の反応をする。その様子を見ているともう一度だけと好奇心が高まる。そのまま何回か繰り返すとさすがに怒られ我に返る。


「――全くもう……今度は私がマッサージしてあげるよ」


 くすぐった事への報復でもしたいのだろうか。個人的には良いのだがこれでも業務中である事を忘れてはいけない。


 先程の理性を忘れくすぐっていた事は勘定に入れない。


「私はメイドですよ? することがあってもされることはありません」


「そう固いこと言わないでよ~良いでしょ?」


 手を引かれベッドに引き込まれる。これからお嬢様にマッサージされると思うと胸が熱くなる。しかしこの思いは仕事に持ち出してはいけない感情。公私を区別しなくてはならない。雇われている身でこのような事をお嬢様にされている等とバレてしまえばどうなるか分かり切っていることのはず。けれど抵抗が出来ない。


「じゃあやるよ?」


 軽い力で背中を押される。コリが取れるような気がしないが気持ちが良い。小さい手が肩、腰へと全身を駆け巡る。力が弱いからかくすぐったいとしか思えないが頑張っているその表情に口出しは出来ない。


「どう? 上手い?」


「もう少し力が必要ですね……」


 ムッとした表情を浮かべ立ち上がる。ベッドの後ろに周り込む。


「あの……?」


 さすがに二人分の重さが乗る時にはギシギシとベッドが音を立てる。上から見下ろされ嫌な予感がする。


 うつ伏せに横たわるメイドの腰に乗りかかりこれでもかという様な表情で背中を押す。腰にのしかかる体重、小さく柔らかい手から絶えずして刺激が伝わる。流石に全体重では刺激が強すぎて痛いのではないかと思っていたが、その嫌な予感は大きく外れた。


「どう? 今度は気持ちいいでしょ?」


「まぁ、そうですね気持ちいが良いです……」


 少しの間静かな時間が訪れた。黙々と疲れを取ってくれている様を途中で止めたくはなった。たまに気を抜きすぎて漏れ出る声を聴くたびにニヤニヤとするお嬢様の顔が離れない。


「ふぅ、じゃあそろそろ前だね」


 困惑。前とは一体どういうことか。いつになくお嬢様の表情から目が離せない。私は一体これから何をされるのだろうか。その答えはお嬢様の手を見れば分かる。


「そ、その手の動きでどこを触るつもりですか……?」


「リンパマッサージです! 怪しくありません」


 少し赤くなっている顔といつもより荒い息が怪しさを掻き立てる。そしてその視線が私の胸に向いていることから確信犯となった。


「本当にそれだけですか?」


「……すこし私的な所もありますが……」


 さすがにそれではお嬢様が変態まっしぐらなので、身をよじり起き上がる。しかしお嬢様は止まらない。脚をかき分けどんどんと迫ってくる。太もも同士が擦れ合い刺激が走っているのは私だけなのだろうか。


 実際の所は顔を見れば動揺しているのが分かった。試しに擦ってみれば一緒の感覚を共有している。

「……スリスリしないでください」


「襲おうとしてこないでください」


「……私だって自分にあれば良かったのに」


 ここに来てリンパマッサージの隠れ蓑を捨てた。確かに色々と気になるお年頃ではある。親が過保護であり性教育については最低限度の事しか教えていない。お嬢様の口からSEXなど言葉などを聞いたことがない。ましてやチンチンなども聞いたことがない。そう発言なされる姿も想像もできない。徹底されていると感じるがこの先が心配でもある。現在進行形で暴走しているためである。


 段々と近づく距離。少し手荒だがお嬢様の手を掴み牽制しようとするが効果は無い。押され始め、重心がずれる。


 ゆっくりと倒れ始め二人の勝負は決着がついた。


「私の勝ちです。失礼します」


 胸に顔をうずめられ、吐く息が服を通り越し胸を熱くする。じんわりと広がっていく熱は肌の奥まで沁み込んでいくような感覚。抵抗しなければいけない状況のはずだが、どこか力が入らずにそのまま許してしまう。せめてもの抵抗が見えるようにこの手は離さない。


「私もいつかはこのくらいに……」


「まだまだ成長期ですよ」


「身長もう止まったんだよね……」


 不貞腐れさらに顔をうずめる。この鼓動が聞こえてしまうのではないだろうか、顔が赤いのがバレてしまうのではないか。段々と胸が熱くなっている事を悟られないようにしなければならない。


「気は済みましたか?」


「……まだたりない」


「面白かった」「次は?」みたいのがあれば感想とかレビューやらブックマークしてくださると幸いです。お願いします。

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