3.異能特殊部隊局。
前回で区切ろうと思ったけど、もちっと続くんじゃ。
人々に与えられた【スキル】の種類は、大きく二つに区分される。
簡単な話で【戦闘スキル】か【非戦闘スキル】か、だ。俺のは考えるまでもなく、後者。初めて能力検査に向かった先でも、検査員のオジサンに苦笑いをされた程だった。
だというのに、なぜ俺はいま――。
「ねぇ、有栖さん。……ここどこですか?」
「『異能特殊部隊局』――通称『異局』です。犯罪に直結しかねない【戦闘スキル】保持者を登録、管理した上で、国のために役立てようという日本の公的機関。この土地から本部はさすがに遠いため、今回は支部ですが」
「は、はぁ……」
そのような小難しい場所へ、連れてこられているのか。
しかも、思い切り手錠をされながら。目隠しされたと思えば、車に乗せられ、いつの間にやらまったく知らない建物の前に立っていた。どうやらここは、公的機関とはいうものの極秘の場所らしい。
俺の前を歩く少女――有栖レイラは慣れた様子で、どんどん先に行ってしまう。
だが、あまりに重苦しい空気に俺は吐き気さえ覚えていた。
「緊張しますか?」
「え……ま、まぁ、それなりに」
「その様子を見る限り、どうやら意図的に管理外に逃げていたわけではなさそうですから。さすがの支部長も『殺処分』は検討しないと思います。安心してください」
「………………」
おいおいおい、なんだよ『殺処分』て。
こちらに人権のあるようには、とても思えなかった。
どうやら、今から会う人物はただ者ではない。それだけは分かった。
「到着しました。……支部長、有栖です」
「どうぞ。入ってください」
そう考えているうちに、件の支部長がいる部屋についたらしい。
有栖が部屋のドアをノックすると、中から声が聞こえた。
「失礼いたします」
「し、失礼します……!」
促されるまま入室し、折り目正しく礼をする。
そして、面を上げるとそこには――。
「う、わあああ……!?」
――まさかまさか、絶世の美女が立っていた。
腰まで伸びた美しい黒い髪に、メガネをかけた穏やかな黒の瞳。端正な顔立ちをしており、口元には艶めかしいホクロ。そして何よりも、ピシッとしたスーツでは覆い隠せないほどのグラマラス。あまりにも仕事のできる女、といった印象だが、それ以上に大人の色気を余すところなく伝えてくる美貌にやられてしまった。誤解を恐れなければ、踏まれたいと思う。
「安土冬也さん、ですね? 初めまして。わたくし、獅童乱菊と申します」
「は、はははは、初めまして! よろしくお願いいたします!!」
「ふふ、緊張なさらないで。とりあえず、座ってください」
「……はい!」
俺は獅童支部長に促されるまま、ソファーに腰かけた。
それを確認すると支部長が着席し、続いて有栖が俺の隣に座る。そして、単刀直入にこんな話題を振られるのだった。
「安土さん、貴方はどうやら面白い力をお持ちのようですね?」
「え、面白い……ですか?」
それはもちろん、俺の持つ力――【転職】について。
獅童支部長は資料を確認しながら何度か頷いて、興味深そうにこう続けた。
「たしかに、一見すれば【転職】というのは【非戦闘】のそれです。ただ貴方は先ほど、偶然があったにしても水属性の魔法を使用しました」
「それは、そうですね」
「魔法の使用方法については色々あるのですが、いまは割愛しましょう。時間も限られていますし、結論から述べますね」
「……は、はい」
くすっと、小悪魔的な笑みを浮かべて。
彼女は俺に向かって、こう告げるのだった。
「貴方にはぜひ、わたくしたち『異能特殊部隊局』の一員になっていただきたいのです。もちろん給与は支払われますし、衣食住のすべてが提供されますから」――と。
それを聞いて、俺は思わず身を乗り出す。
そして、こう訊ねた。
「それって、もしかして『就職』ということですか!?」
すると獅童支部長は、にこやかに答えるのだ。
「えぇ、そう考えていただいて相違ありません」
「いよっしゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
答えを受け取って、力の限りガッツポーズ。
給与が支払われる上に衣食住まで。しかも、国の公的機関ときた。
「もちろん、やります……!! よろしくお願いいたします!!」
俺はすぐさま了承し、深々と頭を下げる。
何やら隣からは呆れたようなため息が聞こえたが、気にはならなかった。
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