表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハンゲツ王国ものがたり  作者: 立菓
25/40

勅命の件……

 オズワルドがヒノキ村に戻れたのは、王宮を訪れた四日後だった。


 太陽が南中してから少し過ぎた時、オズワルドはヒノキ村にある馬車の停留所に着いた。

 ヒノキ村の集落を通り過ぎて、エヴァの診療所の前まで行くと、ちょうどトーコが診療所のドアから出てくるのが見えた。


「……よ」


 そう言って、オズワルドは軽く片手を上げると、トーコはオズワルドの方を見た。


「オズワルドさん、やっと帰って来れたんだね。本当にお疲れ様っ!」


「こんな時間に珍しいな……。昼食は、もしかして、これからか?」


 普段、今の時間に仕事があれば、トーコは家で昼食を食べているので、オズワルドは気になったのだ。


「それか、数日前の超キツイ日程で、体調を崩したのか?」


「それは、何とか大丈夫〜。心配してくれて、ありがとうね。

 ……あっ、リズちゃんが気遣ってくれて、王宮絡みで続いた用事のいやしに、ここ数日ね、エヴァ先生も混ざって、一緒にお昼食べていたんだ」


 用事云々よりも、ちょっとの間でもオズワルドに会えなかったことが、一番モヤモヤしてた原因だが――

 不器用で、どうしても恥ずかしさが抜けないトーコは、本心を伝えることはできなかった。


「そうか、安心した……。一緒に帰っていーか?」


 トーコが「うん」と返事をすると、二人は山岳警団の詰所の方向へ歩き始めた。


「……とっ。そーいえば、オスカー様から、何か頼まれていたみたいだったけど、何だったの?」


「ああ。収穫祭の期間に、国王陛下専任の護衛を依頼された」


「えっ!? スゴイじゃんっ!」


 トーコは感嘆したが、オズワルドの口調は相変わらず淡々としていた。しかも、なぜか彼は暗い顔になっていた。


「前職で、多少の経験があるってゆー理由らしいが、ソレよりも最近は人手不足が深刻らしい。

 ……あ〜、オスカー様から、アイザック様が、かなりの面倒臭がり屋だから、話し合いもせず、採用を独断で決めてしまうから、繰り返しめた、って聞いたしな……。適任者が、なかなか見つからなかった、とも言ってた」


 補足をすれば、アイザックはノリが軽過ぎる、……まあ正直に言えば、あまりヒトの見る目が無いのかもしれない、ということだ。


 オズワルドもトーコも、上記のような事情を知っている。トーコは苦笑いをした。


「はは……。アイザック様らしいね」


「そうだな。オスカー様も、いろいろと苦労していらっしゃる」




 そうして話しながら、歩き続けていくと、あっと言う間にトーコの家の前に着いた。


 すると、オズワルドは腰を曲げて、正面からトーコを強く抱き締めた。彼女の首筋に片手で触れた後、自分の顔を彼女の片頬かたほほにやさしく当てた。


「事前の打ち合わせもあるから、しばらく顔見れねーかもしれない。収穫祭の時、王宮で見たら絶対声をかけるから、な……」


 そう言った後、ゆっくりトーコから離れると、オズワルドは山岳警団の詰所に帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ