召集令状。1
イヴァンと暮らし始めて3日。お陰様ですっかりイヴァンは元気になった。ただ、元通りにならなかったものもあった。喘息は流石に治らないそうだ。朝晩定期的に吸入しようにも心臓に負担がかかる。って事で、朝晩小さな貼り薬と飲み薬で様子を見ているんだが、場所を変えて張り替えても痒いと仰せで。色が白い方だったけど、どうやら皮膚。弱かった様なんだよね。これには勅使河原先生、頭を痛めてたよ。コントロールすれば日常生活を送るのになんの支障もない喘息という病気。だけど、イヴァンの場合はクローン技術で再生した心臓がどの程度の強度なのか分からない。精密検査しないとならないけど、居心地よすぎて私と一緒じゃないと東京には絶対に行かないからな!とまぁ、大の大人の筈なのに。駄々こねてさ。ただ、これには勅使河原先生も一計を案じた様で、
「試運転と言い含めて隅々まで調べて最的確見つけてやるよ。」
と息巻いてらっしゃる。おお、怖い怖い。
でも、このままじゃ体力が落ちるばかりだよなってイヴァン言ってて、山登り。夫婦で始める事にしたんだ。イヴァンのペースに合わせて。休み休みだけどね。通りかかった人が応援してくれるから頑張れるみたいで。すっかり山の魅力に取り憑かれたんだ。やっぱりイヴァンは笑った顔が良く似合ってるよ。
アウトドアの用品は鹿児島市で一斉に買い込んで。雨に降られるのは大変だけどね。二人して楽しいんだ。今ある幸せを謳歌しまくっているんだ。みんなには悪いと思ったけど、今はイヴァンの回復が最優先だからと応援してくれていた。大人の時間はすっかり元通りだ。風呂の中でもベッドでも一切離す気は無さげだ。ただ、一緒に眠る時、私はイヴァンと同じ夢を一緒に見る様になって。私は今後の為に記録を取り始めた。イヴァンは夢を見せたがらなかったが、私も死ぬまでイヴァンと居たいから喜びも苦しみも分けてと願えば断る様な事は一切しなかったのだ。
身辺でも変化があった。例の先輩。弁護士との話し合いの結果、幸太郎さんが引き取る事に結局なっちゃったみたい。結果、3歳年上の兄が出来ちゃったんだよね。名前がネットでバレた事もあって、養子縁組した時に幸太郎さんが新しい名前を与えたんだ。望月 良太郎って名前で。今後はバイトも辞めて鹿児島市から学校に通う事にしたそうなんだけどバイトしてた店が鹿児島市にもあったので結局、バイト先を移籍してそのまま大学受験するって言ってたそうだ。学業はそのまま続け、写真学科のある大学探すって言ってた。
本当はアレクサも養子にしたがってるが、流石に犯罪歴のあるアレクサに関しては受理できません。って言い渡された様だ。まぁ、アレクサは気にしてはいない。至極当然だろうな。って思ってるんだって。アレクサは単身、月に渡ってた。今、月の民の民衆でイヴァンを旗印に反旗を翻そうとしてるんだって。その支援の為に世界政府のエージェントとして渡ってて、相手側に勘付かれない様に気をつけつつ情報収集してて、その報告が毎日必ず上がっているそうだ。スキル使って真っ暗な状態を利用しつつ最終目的地のペンタゴンの見取り図を送ってきた時には
「ナイトメアって偵察させたら最強だったんだな。今まで見てくれで判断してて損してたかもしれないなぁ。」
って世界政府のお墨付きが貰えて今後はナイトメアも保護対象になる事が決まったんだ。
エドとルーちゃんはきっとアーク夫妻に触発されたんだろうな。ルーちゃんこき使ってる間にちゃっかりオーストラリアで性別変更の手続き終わらせて正式に婚約飛び越えて入籍したんだ。何も聞かされてなかったルーちゃんは正直呆然としていたが、エドが。
「この先、戦場に立てば僕が死なないなんて保証は無いんだ。僕はこのお方の子供を心から望んでいるからもし僕に何かあってもルーの子供が国の王として立てる様にだけはしておきたい。少々下品な話だが、子種を残した人はこのお方以外あり得ない。生き残ったら結婚するつもりだから正式な日程はまたその時に改めて発表させて貰うよ。なので、記録として残したかったし、書類でも残したかったから先に籍だけ入れた事だけは報告させて頂くよ。」
要は、自分が死んでもルーちゃんだけは困る様な事はしたくなくて入籍強行したらしかった。僕だけのルシールって言われてすっかり感極まったルーちゃんは抗議するどころか認めちゃったんだよね。これは僕が望んだんですって。翌日のニュースはこのハッピーなニュースと記者会見で溢れてた。ニュースを見てたイヴァンも
「これぐらい強引にいかないとルシール姫さまは遠慮して萎縮しちゃって辞退するかもしれないって踏んだんだろうな。エド。」
「…………」
ルーちゃん、完全に性格をエドに掌握されちゃってるんだなって思った。幸せになると良いなと願いを込めた。
夫婦関係で忘れちゃいけないのが最近入籍したばかりのアーク夫妻だ。現在、ミラさんと幸せな日々を過ごしつつ、ピール君とモハメド君に稽古をつけているんだって。両親、親族郎等月の工作員に殺されてたと調査の結果正式に断定されて。こんな小さな子供なのに親の仇を討つ為に復讐に燃えてるんだ。そんな状態に心を痛めたのがリンちゃんと剣を作ったバイソンさんだ。二人で精神的ケアも受け持ってはいるんだが。
「ミサトちゃんが復帰せん限り、あの子供達の心の傷に寄り添う事は出来ないかもしれんのう。」
「そうね。でも、ミサトちゃんも今はイヴァン博士との拗れた関係を修復しないといけないから、しばらく難しいわね。いっそ、勅使河原先生にご相談してみましょうか。」
「そうじゃのう。カウンセラーって柄では無さげだが、流石の幸太郎さんもあの子達の憎しみの前に完全に沈黙仕切っておる。まるで、嘗てのイヴァンみたいで。良心の呵責で押しつぶされておるわい。」
って状態だそうだ。人ごとの様に話してはいるが、私も姉を亡くしているのだ。帰れば、話し合いが必須かなと考えているんだ。
アメリアさん、とうとう目の移植手術受ける事にしたんだ。専門外だけど、執刀したんだ。勅使河原先生。目の移植手術は寿命によってどの種族のを使うのか決まるんだって。ナイトメアのアレクサは200年だったから長命種のエルフの目を入れたけど、ヴァルキリーのアメリアさんは100年だから人族の目で事足りた。アメリアさんの組織に近い目が取り寄せられて手術は30分程で終わったんだ。初めて目が見える様になって。勅使河原先生の顔が見えた時凄く感動したんだって。勅使河原先生から往診の時に話し聞いてね。でも。
「お願いされて目を移植したのは良いんだがなぁ。あの子、誰かの身代わりだって言うじゃないか。神様も酷な事するよなぁ。何故、平等に生を謳歌出来る様にしなかったんだろうなぁ。あの子にだって、人生を楽しむ権利。あるはずなのになぁ。」
「…………」
勅使河原先生、何も知らなかったんだろうけど連れて行く決断したの私とイヴァンなんだよね。夢で事の結末を見たくてもイヴァンがそれに関しては閲覧を許してはくれないんだ。私は自分が殺される事を勅使河原先生から聞いているにも関わらずだ。
忘れちゃいけないのは魔王様だ。ルーちゃん、東京に着いた時に一時支配を解除したんだ。理由は、イヴァンが復讐したいからだそうだ。ルーちゃんの千里眼で秘密を丸裸にされたナスターシャさんは、最初にイギリスに着いた時に夫婦生活中の状態のエドにご招待を受けたんだそうだ。まぁ、腐女子の魔王様だ。イケメン2人のきゃっきゃうふふ状態を生で拝見できると思ってお誘いを受けたら待っていたのは魔王様の一番苦手とする蛇で。お気に入りのルーちゃんを美味しくいただけるというお誘いを受けて近寄った途端、ルーちゃんの魔法で作られた蛇が大量にいる穴に落とされて恐怖のあまり支配を受け入れてしまったそうで。正直、これ聞いた時は引いたわ。マジで。こんなん、女子全員アウトじゃん!って思ったが、イヴァンは東京で仕掛けてもらってたんだ。父が亡くなった時にね。
ナスターシャさんは女子としても凄く魅力的な風貌なんだ。妖艶で、艶っぽくてスタイル良かった。だから街のみんなはみんなナスターシャさんが通れば振り返ったんだ。だけど、封印を引き継いだルーちゃんはイヴァンの指示でとある文言を付け加えたんだ。しかも世界の箱舟東京に着けば自動的に発動する様になってた。なんと振り返った無関係な人間がみんなナスターシャさんには大嫌いな蛇と蜘蛛に見えて襲って来ると言うもの。丁度、イヴァンも私も入院中に発動させて恐怖のあまり暴れそうになって大慌てで支配をし直したそうだが。お陰様で、種子島着いても完全に引きこもってるんだ。飛空挺のエンジンルームに。勿論、種子島ではルーちゃん忙しすぎて支配どころじゃないから解除して遠慮なく引きこもって頂いてるが、いくらなんでも可哀想だと思った。だけどイヴァンも気が晴れたし、誰もうちらのメンバー。魔王様の心配してないってのが。こっちもカウンセリング必要かもしれない。一言言おう。やり過ぎだ!




