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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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恋愛のやり直し。5

 翌朝、騒動の所為でマスコミが駆けつけて大騒ぎになった。学校も即座に対応してて昨日の件に関わった5名全員の退学処分を公表してたよ。そして当日も山に登る面々いたから申し訳ありませんがこれ以上の取材はお断りします。って言ってマスコミを帰らせたんだ。昔は少年法があったので未成年が罪を犯しても名前が公表される事は無かったが、天変地異以前に刑法が改正されたのと同時に犯罪が若年化してたのもあって少年法が撤廃されて大人同様に子供達も裁かれる事になったんだ。だから実名が公表された。そして、二年前に実名が公表されたのを苦に自殺してしまったその男の子の母親には謝って済む話ではないがこの場を借りて謝罪したい。って言って頭を下げていたんだ。それを見て、私は思ったんだ。


 ああ、AI立国日本でも解けないものが確かにあるんだなぁって。AIは確かに優秀だけど、人の手によって作られた機械で感情がある訳ではないから精査はしても感情に寄り添う事はしない。

 もし、AIが感情を持った時があるとすれば、それは人類が淘汰をされる時だ。イヴァンの出した預言にもあるその時が来るなら確かに適度に距離を置かないといけないんだろうなぁってそう思った。

 正解なんてないんだ。人にも機械にも。


 マスコミが帰って行って、授業も通常通り行われてた。パパラッチもいたそうだが、校内に侵入しようとしたら輩は予め張ったルーちゃんの魔法で結界に触れた途端に種子島に転送された。私が軽く術式を調べるとまぁ、芸が細かいというか。ここで見た事や納めた写真は一斉に消去される魔法が施されてた。そんな訳でお陰様で、普通に学生でいられたんだ。勿論、私の手には新しいIPadが支給されたんだ。イヴァンには破損の程度がちゃっかり分かってて、定期的にバックアップ取られて尚且つ、実は取り寄せていたのは3台で、もし壊されても大丈夫な様に私がしてなかったゲームの機種変更の為のライセンスコードも合わせて入ってて。お陰様で、普通にみんなと楽しむ事が出来たんだ。



 いよいよ最終日になって解散式になったんだ。私は先生達からと同学年の生徒たちからみらいノートを1冊ずつ渡された。みんな、私がまだ命を賭けて戦わないと知っているから。みんながみんな。私の無事を願ってた。電話番号も交換してイヴァンと仲間達しか無かった私のスマホがグループに分けた後に全国規模で同学年の友達達が占める事になったんだ。絶対友達作るなんて無理だと思ってた。だけど、こんな私でも沢山友達出来たんだ。そう思うと凄く嬉しかった。


 そして、事情聴取の為に種子島に渡ってた先輩。私達と一緒に解散式に参加してた。イヴァンは流石に診療所から退院させて私の自宅に移っていたよ。私の帰りをそこで大人しく待ってるんだって。二人きりの時間が待ち遠しくてワクテカが止まらないんだって。なので、その場にいたのは幸太郎さんと移動要員のルーちゃんだった。最近、離れ離れになってるからエドが凄く心配してるそうなんだが、ルーちゃん自体は元気一杯で。

 幸太郎さんは驚いたそうなんだ。絶対手離さないと思ってた古びた名刺を先輩が持ってたから。でも先輩から事情を聞いた幸太郎さんは看過出来ないと判断したみたいで、この後、ルーちゃんを伴って先輩が住んでる愛媛県松山市に一緒に行く事にしたそうだ。そこで、現在のご両親と面会して必要であれば養子縁組して引き取るつもりの様だ。正直、そんなに子供作って大丈夫かと思ったが。


「あのお人好しの父さんが、ワタシが言った所で止まる筈無いじゃない?心配しなくても誰一人として父さんの遺産、当てにしてる人いないから兄妹増えた所で何とも思わないわよ。」


 って、実子のリンちゃんが言ってた位だ。アレクサの事もあるが、まぁ、何とかなると思いたい。



 雲雀ちゃんとは戦い終わったら遊びに行くねって約束をした。精一杯手を振ってそれぞれの家に帰って行く友達達を見送った。それから、タクシーを手配してたんだろう。幸太郎さん達も空港に向かって行った。

 私は荷物を持って自宅まで歩いて帰った。


 自宅まで帰ってみると美味しそうなボルシチの匂いが外まで来てたんだ。換気扇経由で。体調本調子じゃない筈なのにご飯作って待っていてくれたんだ。昨日の事もあるから見知った人以外来ない様に結界魔法を張ってから鍵を開けてから中に入って鍵を閉めて。


「ただいま!イヴァン!」

「お帰り、ミサト。飯にするか?それとも風呂にするか?」

「…………」


 完全に立場が逆転してるのは気のせいなんかじゃない様だ。そう言えば、この人。一人暮らし長かったから家事に関しちゃ万能だったんだ。いつの間にか隅々まで掃除が行き届いてるんだし。私以上に女子力高かったんだと思い出してついつい笑いが堪え切れなくなって。だからついつい


「全部っ!」


 って返答してた。玄関先で甘いキスから始まって。冷めない内に久しぶりのイヴァンの手料理食べて。お互い綺麗な体になった。空気清浄機がぶいぶい言わせる中。


「怖かったらいつでも止めるから。無理はしなくて良い。ただ、お前の記憶無くなってしまったけど、この気持ちは変わらない。愛してるんだ、ミサト。これから先、ずっとお前だけ見て生きていたい。お前しかいらない。新しい未来を切り開いて、どんな手を使ってもお前の心と未来。守り切ってみせる!」


 それが合図だった。イヴァンの手によって丁寧に暴かれ、久しぶりの快楽の時間だ。もう、蟠りなんて何一つ無かったよ。イヴァンのガウンを脱がせば真新しい機関銃で風穴を開けられた傷と手術痕が見えて心が痛くて。機敏に悟って手を止めたけど、もうこれ以上壁を作りたくなくて私は最後まで抱いて欲しいと抱きしめながら願ったらちゃんと願いは通じたよ。久々に餓狼が顔を覗かせたら、本当に止まらなかった。慈しみを讃えた目が私を捉えて離さない。私はただ酔いしれた。イヴァンの腕の中で快楽と歓喜に狂いながら。


「俺のかけがえのない宝物がやっとこの手に返って来たんだ。もう、二度と離さない…………」


 ってイヴァンの口から紡がれて。そして奇跡が起きたんだ。魔法陣がイヴァンと私を取り囲んだ時、イヴァンは突如、激しい頭痛に襲われて頭を抱え込んだが私は一切、魔法を使った覚えが無かった。私は、慌ててフラウディアを呼べば、魔法陣の正体が明らかになったんだ。


「ウインディアが喜びの余り暴走をしているの。イヴァンの中で眠り続けるのにね。ちょっとだけ説教して来るから少し待ってて頂戴ね。」


 そう言って、魔法陣にフラウディアが干渉し始めると、直ぐに落ち着きを取り戻したが。イヴァンはそれが刺激になったのか。


「この魔法陣、見覚えがある。俺が爺さんに方法を吐き出させ、解除させた魔法陣だ。まさか…………」

「爺さんって。思い出したの?イヴァン!」

「…あ、ああ。思い出した。すまなかった、ミサト。もう大丈夫だ。」

「ウインディアも安心したようです。ミサトに残ってる魔法陣を使って結婚の契約を付加し直しただけのようです。どうも、再び夫婦としてやり直す時の為に残してあったものの様です。ただ、ウインディアですが、幾重にもあなたの中に結界を張ってしまって説得には応じませんでした。あなたに気づかれないように。完全に音と気配を消してしまって。導師ルーベルトの力を持ってしても探す事は叶わないでしょう。其れ位、今は誰の目にも触れられたく無いようです。」

「…俺も爺さんに悪い事しちまったよ。もう、会う事も叶わないのか?」

「はい。冬の精霊王ウインディアは眠れる王。あなたが魔法を使いたいと願うその日までは決して起きる事はないでしょう。ですが、会いたい一心で無理に魔法を覚える必要はありませんよ。あなたの魔法は此処ではなく遠い未来で必要とされるのは既に預言で分かっているでしょう。だから、この戦いが終わってからでも遅くはありませんよ。」

「そうか。俺が毎日の様に夢に見るのも…………」

「そう、完全に命を落としたあなたに対してウインディアが出来たのはその身に魂を定着させ続ける事しか出来なかったのです。それ故にあなたは生き返る事が出来ました。ですが、その事でウインディアは生前の記憶を全て犠牲にしなければなりませんでした。今のウインディアにはあの人はいません。次に目覚めるとしてもそこにいるのはウインディア自身の新しい人格です。ウインディアが夢で見るのは現実で起こる予知夢。それがあなたに見えてしまっているのはウインディア本来の力によるものなのです。」

「じゃあ、もう二度と…………」

「はい、もう、会う事は叶わないでしょう。ですが、イヴァンに代わって神のみ下に帰っていったあの人を誰も責める事は出来ません。もし出会う事が叶うとするならば、それは違った形で。新しい命としてあなた方の前に。生前の記憶が無い状態で普通に命の一人として生まれるでしょうね。王の子供として。魔法陣に触れるまであの人の安否は分かりませんでしたが、あの魔法陣。ウインディアの身体に残して行ったものの様です。最後のプレゼント。そんな形の様です。」

「…………」


 私達は、嘗ての身内だった人に思いを馳せた。もし、私が今度死ぬ様な事があれば、この子の人格が失われてしまうのか。そんな風に思った。祖父は約束を果たした。自殺願望ごと持って行ってしまって神のみ下に戻った。それが正しい事なのかどうなのか分からなかったが、それだけ大事に思われていた事に二人して深い悲しみの感覚を思い起こしていた。

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