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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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王の資質。1

 僕たちが戻って来たのは絶対安静って言われた丁度2週間が来た所で、アーク達が式挙げて3日後って感じだったんだ。魔法で宮殿に飛んでみたらそこは廃墟になってたよ。慌ててイヴァン博士に連絡を取ってみたら世界政府が借り上げたホテルに滞在中って言ってたから僕たちはそこに飛び直したんだ。

 ニュースでは知ってた。僕たちが呑気に買い物してる最中にこんな事態になってるって思ってすらいなかったんだ。ただ、店の人には言われたな。直接待ち合わせのホテルに飛んでください。って。どうも僕たちを守る為に僕たちを中に招き入れて直ぐにシャッターが閉まる音とかしてて。何となくだけど、とんでもない事態になってるんじゃないかって気はしてた。暴徒に襲われる危険の事を考えた時に、本当に良くして下さったなぁ。って、右手に付けたティファニーブルーの腕輪を眺めながらそう思ったんだ。送って下さったのも本社からだったしね。


 エドなんかは買い物してても常に情報収集していた。イギリスから精鋭部隊を派兵してる関係上もあったかな。結局、あの後要請が無かったので僕たちは天女を抱いたアークと精鋭部隊と一緒にイギリスに帰国した。何も要請が無いのに動けばそれは内政干渉になってしまうからだ。だけど、指定されたホテルに着いて、憔悴してるイヴァン博士に事情を聞けば、これ早く何とかしないとまずいなって思ったんだ。陛下の心のケアだけでなく、飛空挺のエンジン再開発しながら子供達の心のケアなんて。アメリアさん達の事。幸太郎さんの事って重くのしかかっててね。確かに、僕たちのリーダーは間違いなく彼だ。だけどまず思ったのはやる事多すぎてイヴァン博士が何も考えられなくなる位にオーバーワークに陥ってるって事だった。


 そこで助け舟を出したのは他でも無いエドだった。


「あの子達にはまず、どうしてこうなったかを知って貰う必要がある様に思えるんだ。だから、僕に暫くピールとモハメドを預けて貰えないであろうか。ただ、世界政府が管理してる書類を閲覧するには僕では限界があってね。ミサト様のケアの担当をリンちゃんからルーに変えて欲しいんだ。」

「それは構わないが、移動とかどうするんだ?」

「それに関しては心配には及ばない。歩きたければ歩いた方が良いし、僕も車の免許位ならある。軍人には必須だからね。少し外の世界へ連れ出した方が良いし、いざとなれば、リンちゃんが護衛してくれるであろう。ルーも案じているであろうがもう、暴動も鎮圧された後だ。ただ、緊急事態に備えてはおきたい。ルー。悪いが魔法石で割ればそなたの元へ複数人数飛べる様になるアイテムを何個か用意して貰えないであろうか。」

「うん、分かったよ。エド。ついでにシールドの魔法の石も何個か用意するよ。連れて歩くのは元王族になるからね。ピール君達の顔は国民中知れ渡ってる。憎しみの対象が現れたら予測なんてエドだったら容易に想像出来るんじゃないかな?」

「…そうだな。自分の身にも起こった事であったな。宜しく頼む。」


 僕は、何個かの魔法石を取り出したんだ。元々、僕の魔力が上限来た時に、いざという時の為に大小様々な圧縮した魔法石を作る様にベットに付加して出来上がった代物で、勿論、僕の魔法を付加出来るんだ。分かりやすい様に大きさを変えた。小さい物にはシールドを。そこそこ大きい物には転移魔法を施した。起点は僕自身だ。そこから魔法で袋を2個生成して、封をしてからエドに手渡した。


「用意できたよ。エド。エドが願えば、勝手に割れて発動する様にしておいたよ。ポケットの中に忍ばせておくと良い。」

「ありがとう。そなたに心から感謝を…………」


 で、僕は抱き寄せられて息が止まりそうな程に長いキスしたよ。イヴァン博士の目の前で。全身真っ赤になりそうな勢いだ。本当なら離れたくないってエドの本音が漏れて聞こえそうな勢いだ。だから僕も一緒だよって伝えたくてエドの頭に腕を回してさ。延々とやってたら。


「あのなぁ、お前ら。見せつけるのも大概にしとけよ。特にルー、お前色っぽ過ぎんだよ!お前、自覚が無いから言っておくが、お前の美貌で落ちない男なんて存在しないからな!忠告はしたぞ!俺は!」


 もうね、今まで散々見せつけていた人が何を言ってるんだと可笑しくなってしまって。ついつい笑っちゃったよ。それはエドも同様だった様だけどね。


「それでは失礼する。」


 そう言って、エドは部屋を退出して行ったんだ。で、僕はいきなりで悪いとは思ったけど、イヴァン博士を連れて僕の自宅に戻ったんだ。イヴァン博士も呆然としてた。僕の家はエドと一緒に潜伏してた時に特殊部隊に踏み込まれた時のままでね。凄い粗探しされた形跡残ってて。風呂の水が完全に腐ってて臭いが充満してる様な有様だったよ。


「悪いね、イヴァン博士。ちょっとみんなに聞かれたく無い話しようと思ったから来て頂いたんだ。まさか、ここまで酷い惨状だとは思っても見なくてね。すぐ掃除するから待ってて。」

「あ、ああ。」


 僕は、以前の綺麗な自宅を思い描いたんだ。寿命を消費するって言われる時間を指定した場所や物のみ巻き戻す魔法だ。イヴァン博士もこの魔法の正体分かったみたいでね。


「時間逆行魔法…………」

「ご明察。だけど、僕もイヴァン博士も恩恵を賜った身。だから、寿命は固定されてて対価無しで詠唱できたりするんだ。みんなと出会う前までだったからそんな何年もって事は無いからね。さて、お茶入れるから、座って。」

「ああ。」


 僕は、お湯を沸かしてコーヒーを準備したんだ。流石にお茶菓子の類は無いし、時間巻き戻したから腐る様な物はすっからかんな状態にしてたからね。角砂糖と粉末状のクリームを添えて、お出しした。


「悪いな。遠慮なく頂く。」

「いえ、どうぞ遠慮なく。インスタントで申し訳無いですが。」

「いや、とんでもない。貴重な物をありがとな。んで、話ってなんだ?」

「……………結婚してから随分経った筈だよね。そろそろ、マンネリ化してきてない?」

「何だよ、いきなり藪から棒みたいな話だよな。って正直言いたかったなぁ。たださ、正直どうしようかと思ってたんだ。ミサトの母親が亡くなってから、完全に引きこもってるんだ。今も、この中にいるんだ。」


 イヴァン博士が利き手の左手から妖精を出した。夫婦専用の小部屋にいるってのは分かったよ。


「母親が亡くなってから10日程経ったが、初めてなんだ。夫婦生活すら拒否られるっての。多分、原因はこれだ。こんな事なった事無くて。飲まず食わずなんだ。もう、心配で心配で。正直、俺もどうして良いか分からないんだ。」


 そう言って、取り出したのは手紙だったと思われる用紙だった。僕はさっと復元すると、とんでもない事が書かれていたんだ。


「悪いけど、ショーンも証人として一緒に聞いて欲しいんだ。ウインディア。いや、敢えてジーク様と呼ばせて頂くよ。ちょっと確認したい事があるから出てきてよ!」


 僕も少々頭に来てたから口調が乱暴になってたが、イヴァン博士も分かってた様でウインディアを引きずり出してたよ。自分からね。


「ジーク様、お伺いしたい事があります。この手紙の内容。事実なんですか!伊織様が実の姉で、成人になったのを機に代理母に仕立てたって。しかも、ジーク様と綾女様の本当だったら次女だったなんて!こんな事知ってショック受けないとでも思ってたんですか!」


 僕は思わず机を叩いたんだ。手紙ごとね。手紙は、陛下の母親であり実の姉に当たる伊織様の遺書だ。多分、真実を隠したまま死ぬなんて出来なかったんだろうね。ちゃんと経緯が書かれていたよ。しかも、ジーク様の最後のお子は神になると約束された子供だったからどんな手段を使ってでも守らねばならなかったって。本当なら、もっと早くに生まれてた筈だったけど、そこで綾女様に妊娠が継続不可能な事態に陥って、子宮を全摘出しないといけなくなったそうで、まだそんなに大きくなって無かったから未成人だった伊織様に移植して、成人するまでお腹の中で成長を止めていたんだそうだ。15年って途方も無い時間だ。体裁の為に成人後直ぐに結婚させられて。子供は順調に成長して。処女の状態で出産に至ったって書かれていたよ。陛下の立場で言うとね、きっと知りたくもなかったんじゃないかって気がしてならないんだ。ジーク様も観念した様で。


「……………事実じゃ。」

「…………」


 イヴァン博士も原因が分かって。微かに怒気みたいなの孕んでいたよ。だけど、僕は。


「ありがとう。もう、帰って良いよ。」

「……………良いのか?」

「良いも何も。今の陛下の御心境をご理解下さいますか?僕が同じ立場なら、顔も見たく無いってそう思います。少し、時間が必要ですから、引っ込んでてください!謝罪の機会ならちゃんと設けて差し上げますから。」

「…本当に済まない事をした。ミサトの事を宜しくお願いする。」


 そう言って、ウインディアは引っ込んだ。僕は。


「10日も飲まず食わずの状態。普通なら死にますからね。恐らく、イヴァン博士が避けられたのもイヴァン博士の中にあるジーク様に対する嫌悪が元で、イヴァン博士のせいじゃない。僕も一緒に中に入ります。陛下出したら、直ぐに救急車手配して入院して頂きましょう。」

「分かった。本当に済まない。」

「何を仰いますか。僕たち、仲間でしょ?」


 そう言って、イヴァン博士の頭を小突いた。僕は、イヴァン博士が出した妖精の中に二人して入って。飲まず食わずが原因で魔力枯渇起こして昏睡してる陛下を回収してその後、陛下を救急車を呼んで運んでもらった。潤沢な魔力を保持してるだけあって命に別状は無かったが、僕はこの夫婦の行く末が心配でならなかった。

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