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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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幸せの花咲き誇る。

 俺たちは7日間の喪が明けるのを待って結婚する事にした。ここまで出来たのはエドが時間を割いて色々尽くしてくれたからだ。まず、二人して学問の類に全くと言って良い程縁遠く。そうなると、書類を1つ書くだけでも用意した見本と睨めっこしながら書かないといけなかった。恥ずかしいが、名前でさえもだ。

 まずは移民申請が無事受理されてさ、戸籍作ってさ、住む家なんかはもう用意されてたさ。以前、ミサトちゃん達がサイバーテロの時に逃げ込んだ家だ。当時は家の中まで草が侵食してる様な家だったらしいが、あれから政府が買い取って俺たちの為に用意してくれたんだって。ただ、この後、周辺の土地を購入して屋敷に生まれ変わる予定なんだそうだ。理由はミラの額に七色に輝く賢者の石だ。蘇生する過程で強大過ぎる魔力が注がれた結果、生まれた新人類。その賢者の石の力は計り知れず、俺たちの子供はみんな賢者の石持ちで国家が守らないと安息は得られないって言われたんだそうだ。神様にな。ルーの方もお陰様ですっかり元気になったよ。昼間ならルーに魔法を教えてもらう事もあるんだ。今、滞在してるのはウインザー城の客室でな。エドの仕事中に二人で魔法を教えて貰うのが日課だ。勿論、朝晩、鍛錬は欠かしていないさ。ただ、相手には恵まれない。エドでも勝負にすらならない。多分、イヴァンとどっこいどっこいって気がする。

 ルーに魔法を教えてもらう時は何故か寝室だった。何でも、医者の許可が下りない限りここから一切動くな。なんかあったら呼べって言われてたらしいが、それも昨日で晴れて解除になったみたいで。


「どうもね、陛下に祝福与えられて魔力消費が極端に少なくなったからだろうね。思った以上に早く回復したんだよね。魔法石も潤沢だし、旅の支度もお陰様で整ったよ。アークはこの後、どうするんだ?」

「ああ、入籍してそのまま連れて行く事にしたんだ。この賢者の石がある限り狙われるんであれば、一人にはして置けないしな。」

「それが良いかもだね。ミラさんが乗ったらあの船、動くんじゃないか?」

「飛空挺か。まぁ動くかもしれないけどさぁ。」

「あの個室ゼロの飛空挺に専用の個室出来るって事なんだけどなぁ。」

「それだったら大歓迎だな!」

「……………アンタ、やっぱり馬鹿だわ。」


 そう言ってみんなで笑うんだ。なんて穏やかな時間なんだろうな。数十日前の自分には想像すらしてなかったさ。ミラが生還した時に結婚申し込んだ。名実共に夫婦になったらって言い聞かせているからまだ手はつけてない。みんなビックリさ。てか、みんな見た目で判断し過ぎなんだよ!初見じゃみんながみんな遊び人って思うんだそうだ。中身が真面目って知るとギャップが酷過ぎるって。知るか!


 イギリスに戻れば1着も服なくて、結局あれこれ買い足した。必要なものは全てだ。んで、二人だけで式挙げられる場所探したんだ。喪明けで結婚式申し込んだ。んで、それが今日って訳で。

 白いタキシードなんて着慣れなくて。首が窮屈でさ。まぁ、自分が大男だから妥協したってのはあるが。だけど、凄くそわそわしてさ。長い水色のストレートな髪はまるで清流なんだ。目は水色と赤色のオッドアイ。顔は生前のミラそのもので、生前の記憶がしっかりあってさ。でも、生まれ変わったから過去はもう忘れろって言い聞かせてる。マフィアにいた頃のミラはあの時の死亡者リストに載ってるからマフィアに追われるなんて事は無いからな。今日からは真っさらなミラを俺色に染めるんだ。今からワクワクしてる。式挙げる前から欲情する俺も俺だが、この日の為に我慢したからなぁ。まぁ、もうちょっとだけ辛抱って自分に言い聞かせた。


 今日は付き添いでルーが来てくれてた。しかし凄いよなぁ。此処でのルーの人気っぷりは。みんながみんな『導師様!』『ルーベルト様!』って声かけてさ。照れ臭そうに手を振ればみんな心を奪われるんだ。勿論今日は花嫁の介添え役だから男子に化けてるんだけどさ。それでも、エドのご寵愛を一心に受けてる事もあって輝くばかりの美しさで。これね、エドが一目惚れする筈だって妙に納得しちまった。


 時間が来てさ。俺は神父様の前でミラが来るのを待ってた。扉が開けられて、ルーに付き添われたミラが入ってきたらその美しさに目を奪われた。花の冠を模した純白の飾りが良い味出してた。賢者の石を隠せるタイプにして正解だったな。まるで花の妖精なんだぜ。アルビノのルーのせいで目立たないかと思ったらとんでもない。思わず見惚れたな。ルーから引き継いだらさ。はにかんだ様な笑顔見せてさ。思わず可愛いなぁって思ったさ。ただな。喜んでばかりもいられないんだ。アルジャジーラじゃ、ミサトちゃんの母親とピールのご両親が亡くなったそうだ。だから俺たちが楽しそうにするのは暫くはお預けかなぁって思ってるんだ。


 式は順調に進んでさ。二人して愛を誓い合って、キスして。結婚誓約書に二人でサインして。外に出たんだ。見ず知らずの方々からライスシャワーで祝福されてさ。ああ、人並みの幸せってこんな感じなんだなって思った。これからの行軍じゃ何があるか分からないから、もし、まかり間違って死ぬ事があってもああしとけば良かった。こうしとけば良かったって後悔しない様にだけはしたかったから結婚急いだが。俺たちは見ず知らずの方々に感謝の意を伝えた。今日の事はきっと忘れない。他のメンバーの気分を害したく無かったから写真すら残さなかったが、これで良いんだって思ったさ。



 夜になって、真っさらなミラを初めて抱いたんだ。柄にもなく嬉しくてさ。痛くないか心配したけど大丈夫って聞いて安心したんだ。俺も気持ち良くてさ。天にも昇る心地だったよ。みんなの所に戻れば暫く抱く事も叶わないから色んな事試したさ。俺の魔力をミラに循環させた時が凄かった。まるで転生前の娼婦に戻ったかの様に狂った様に求めるんだ。楽しくてさ。俺より遥かに小柄だから俺の上に寝そべっても羽根の様に軽くてな。将来の事話したんだ。色々な。子供も欲しいねって。今作ればエドの所と同い年の子供が出来るんだって話したらさ。素敵だねって。子供同士で遊ばせる日が楽しみだねって語り合いながらお互いを慈しんでさ。時間なんて忘れてた。幸せの花が俺の上で咲き誇るんだ。俺は軒並み大地の役目っぽいが。今日も明日も、この先ずっと咲かせ続けるんだ。俺だけの大切な宝物。死ぬまでずっとな。


 俺、預言聞いた時に絶対そんないい加減な事するか!ってずっと思ってたんだ。今なら言えるな。預言ってより良い未来を築く為の指針みたいなもので、嫌だと思えば変えられるんだ。自分の力でさ。だから、俺は思うんだ。ひょっとしたらさ。誰も死ぬ事も傷つく事のない未来。掴めるかもしれないって。勿論、行くのは戦場だから甘くないのは承知の上だ。それでも、みんなと笑っていたいって願うのはしてもいいんじゃないかって俺はそう思うんだ。



 あの馬鹿。こっちの事は気にしなくても良かったのに。今日、唯一参列したルーに聞いたんだけども。結婚写真、残さなかったんだってな。俺たちの記憶の中に残ってれば良いんだって聞かなかったそうだ。ミラさんも多分、言い出せなかったんだろうな。俺はイヴァンと相談してな。事情話してさ。あいつの為じゃなくてあいつの嫁になってくれたミラさんの為にどうにかして記念を残してやりたいから、今日の剣聖の結婚式の写真撮ってる方いませんか?って募集かけたんだ。するとな、真っ先に投稿したのはルーの奴だった。教会の中に唯一入れたルーだからこそ撮れた動画な。身長差が50cm近くあるからか。随分遣り難そうに誓いのキスしようとしてどうすりゃ良いかとあたふたしててさ。動画だったから一部始終がバレバレで。真夜中にイヴァンと二人で大受けでな。結局、膝ついてキスしてたけどな。素敵だなぁって思った。このキスシーンは候補だなって思ったら素人カメラマンさん方はもっと沢山幸せのお裾分けって言わんばかりに沢山撮ってくれていた。ものの5分で募集を締め切ったが、それでもみんな良い写真ばかりなんだ。嘗てのジークの式を思い出した。物が無かったからデータでしか残せなかった。でも、それをイヴァンが焼き起こしてくれてな。自慢の息子が出来たんだって言って笑ってた逝去前のあいつを思い出したさ。


「どれも良い写真じゃあねぇか。なぁ、幸太郎。」

「ああ。本当に迷うぞ。これ。あいつ、いつもしかめっ面しかしないからさ、こんな顔して笑うんだって俺は初めて知ったぞ。」

「そうなんですね。俺は、何時も側にいたからたまに見せる位ですね。こんな顔。でも、あいつらに子供が出来るとしたらさ。きっと両親の晴れ姿、見たいって子供心に思うんじゃないですかね?あいつ馬鹿だからそこまで気が回って無いですが。」

「…まぁ、そこまで馬鹿って言ってやるなよ。俺は、あいつを危うく不幸に仕掛けたんだからさ。」

「確かにそうかも知れないけど、結果的にアークに関しては俺はこれで良かったって思ってるんだ。幸太郎。だけど失ったものは大きいさ。ピールなんて両親だけじゃなくて祖国まで失ったんだ。モハメドも同様にな。ミサトも母親亡くしてる。今でも思い出しちゃ、泣きながら眠ってるんだ。俺も何とかしてやりたいけどただ抱きしめる事しか出来なくてな。残された手紙もすっかり読めなくなってな。涙の雫でさ。少しでも元気になれば良いんだがなぁ。俺に出来るのは悲しみに寄り添う事しか出来ないんだ。ピール達も寄り添って泣き続けてる。あっちもアメリア様が随分気にしててな。介添えはアレクサが頑張ってくれているが、完全に拒絶してんだよ。あんたらのせいで、両親死んだってな。このままだと空中分解しそうでな。どうしたもんかと絶賛悩み中だ。リンちゃんが稽古しようって誘うと応じるらしいからそっちからアプローチ試みているんだが。」

「…そうなんだな。難しいもんだなぁ。あいつら戻って来たらびっくりするだろうなぁ。余りに空気が一変しちまってるからなぁ。」


 本当に途方に暮れながらの作業。エド達とも相談しないとまずいだろうなぁってそう考えていた。

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