表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
82/595

怒れる聖女の裁きの鉄槌 2

 いやはや、面白い展開になってきたねってルーちゃんと極悪な笑みを浮かべて笑いが止まらない素振りを見せた。まさか、自分達の部下が蜘蛛の子を散る様に無様に逃げおおせると思わなかったんだろう。

 本当にそこを死守する者達が居なくなってるのか、ものの数分もかからない内に。


「陛下にご報告です。アメリア姫、無事保護致しました事をご報告申し上げます。」


 報告はどうやらSNSで報告が来た様で、リンちゃんが恭しく一礼した。


「…皆にご苦労様でしたと伝えて下さい。」

「御意!」

「さて、このオークションに参加する必要がなくなりました。イヴァン、エドワード。王命を変更します。直ちにこの場を制圧しなさい。」

「「御意!」」


 私とルーちゃんは着座したままだ。エドは精鋭部隊に突入を指示した。銃撃戦が始まったのをキッカケに場内が騒然となった。イヴァンは殺傷能力を上げたレーザーライフル銃を取り出して、何名かを射殺した後。


「全員そこを動くな!世界政府の命である!人身売買の証拠は既に抑えた。大人しく我々の指示に従え!!さもなくば射殺止む無しの命を賜った!死にたい奴だけかかってくるが良い!!!」


 手筈通りリンちゃん達は3箇所あるドアを一斉に封鎖し、イヴァンとエドがステージにまで駆け上がって応戦しつつ制圧していった。観客達は一斉にその場に座り込み、封印魔法のお陰で援軍が来れない事もあって、マフィア全員倒してしまえばそれだけで良かった。背後からイヴァン達が狙われても今度はルーちゃんが


「ショック!」


 と雷系の攻撃魔法を詠唱すれば全方向の敵が瞬く間に倒れた。イヴァンも装備を二刀流に変更して倒していく。エドが持ってるのはサーベルだ。どうやらフェンシングを嗜んでいる様で、的確に相手の急所を突いて倒していた。今まで単純にパイロットとしてしか見ていなかったが、流石に現役の軍人だけあってエドも戦闘に関しては問題にならないレベルだった。二人 共返り血を浴びながら、ステージ裏まで制圧しきったのだ。


「女王陛下、制圧完了しました!」

「宜しい。二人はそのまま手勢を指揮し、この者達を全員捕らえなさい。ルーベルト、無理はしていませんか?」

「はい、エドの指示で魔法石も持参しております故に。」

「そうであったか。でも、無理はよくありません。そなたは病床にあるのです。最後の詰めは私の手で行おう。3人は何処にいるのか?」

「それでしたらこちらに。アレクサにはセラピー的なものも必要かと思い、皆さん此方に移って頂きました。」


 そう言って差し出されたのは3輪が美しく咲き誇る小さな花束だった。


「此方は朧月夜で斬れば魔法が解かれて3人が現れ、陛下の助けとなりましょう。導師と言う立場にありながら、この様に迷惑を…………」

「もう、何も言わなくても良い。そなたの真心は私が一番良く知っている。そなたを我が眷属に迎え入れ、その生涯を我の為に全て捧げよ。これは命令である。」


 私が羽を広げて立ち上がり、ルーちゃんの肩に朧月夜の刃先を置いて叙任し、祝福を与えた。効果が分かってあああ、預言が為されるのはそう言う理由かと妙に納得してしまった。


「そなたには以下の効果がついた。そなたが転生の儀を取り仕切る場合、転生する相手は前世の記憶を保持したまま産まれるであろう。しかも、大きさまでそなたの任意で変えられるのだ。そなたは優しすぎる故に誰であろうと手を差し伸べようとするであろう。だが、命の摂理はそなたのおもちゃではない。相手の諫言には忠実に従い、安易に儀式をせぬ様命じる。後は、魔法の消費量が格段に落ちた。そなたに限っては高等魔法をどれだけ使っても永遠に魔力枯渇を起こさないであろう。10分の1にまで落ちている。それと、そなた。魔王の同時5詠唱が羨ましく思っていたのだな。その願い。エルフの神は聞き届けてしまったぞ。以上を持ってそなた以上の魔法使いはこの世界には誰一人として居なくなった。それ故にそなたを魔力で縛れるものは居なくなってしまった。その代わり、そなたを縛るのは真実の愛であり、遥かなる未来も愛がそなたの全てになろう。美しく咲き誇るが良い。そして、幸せになるのだ。ルーベルト。いや、最早ルシールと呼ぶべきかな?」

「…いえ、今は従軍の最中。混乱を避ける為にもまだ男子として扱って頂きたく存じます。」

「…とは言え、実はここだけの話。そなたの美しさ。同性の私でさえも羨ましいのだ。生まれつき故に嘆いても仕方がないが、どうしたらその様に美しくなれるのか秘訣を聞いても構わないであろうか?」

「何を仰います。陛下も常日頃から磨かれておいででしょう。まぁ、この続きは旅の途中にでも。ちょっと夜の生活にマンネリを感じだしたら改めて。僕の場合は事態が差し迫ってたのでエドには色々教えましたが、精霊王達の成長にも関わる様なので、精霊王持ちはご検討くださいって事で構わないでしょうか?」


 そう言って、私に花束を差し出した。私は刀を鞘に納めてからそれを受け取って。


「あい分かった。全てはこれが終わってからだな。では、行って参る。」

「ご武運をお祈りします。女王陛下。」


 ルーちゃんは私を対象にシールドとリフレクトをかけてくれた。私は正面玄関まで飛んだ。



 いざ、正面玄関に飛んでみると、マフィアのボスが、手勢を連れて逃げて来ていた。大量の札束を振りまきつつ。本当に無様だ。銃を乱射しても封印魔法で穴すら開けられない。建物には入れるが、何処からも出られない。精鋭部隊に数を減らされながら逃げ惑ったんだろうが、精鋭部隊は既にフロント部分のロビー以外の建物も制圧済みで、買われた直後に早速捕食していたであろう同胞達もルーちゃんの千里眼の元、的確に暴かれみんな保護されてます。ってルーちゃんが念話で教えてくれた。私の姿を見て下品な笑いを見せた。小娘一人。攫って売ってしまえば良いと皮算用を立てているのが手に取るように分かる程だ。


「そなた達、いい加減に諦めよ。我の結界の前から誰一人として逃さぬ!」

「何を!こいつを殺せ!」


 その号令を受けてマフィア共は飛びかかろうとした。私は花束を上空に投げ、再び視点に花束を捉えた時、居合い抜きで花束を切り裂いた。魔法陣がパリンと割れて出て来たのは私から右にフットワーク軽くグローブを嵌めてシャドーボクシングをしてる幸太郎さん。左側は機関銃を構えるアレクサ。そして、神々しく中央に降臨したのは頭に宝冠を戴き、大きな美しい翼を広げて豪勢な杖をついて私を庇う様に立ちはだかったアメリアさんだった。アメリアさんは口を開いた。


「…身の毛もよだつ様な歓迎。我が髪を切り刻んだ所業。我が兄アレクサを地獄へと招いた数々の罪許しがたい!我は目が見えずとも我が呼び出すは神そのものだ。八百万の神々は常に我らを見守り慈悲を与える。だが、そなた達に与えるは地獄への招待状だと心得るが良い!」


 そうして、アメリアさんは数多の神々を召喚した。私が敬愛してやまないエルフの神からドワーフの神、キリストやイスラムの神から日本に多くある神々まで全てを召喚したのだ。その圧倒的な光景に皆尻餅をついて後ずさった。


「対象、アルジャジーラ大陸、メルツ大陸全域。今、ここに全ての悪を裁く!喰らうが良い!神聖魔法最終奥義。『ホーリーランス!!!』」


 急激な魔力の高まりは全て聖なる槍に変わった。上空に舞い上がった数多の槍は一斉に地上に降り注がれ、全ての罪人の胸元を等しく貫いた。此方に向かって来た1本の槍に気が付き、幸太郎さんがアレクサを突き飛ばして急所ではないものの槍に貫かれて。その場に倒れ込んだ。私は思わず、


「いやああああああっ!」


 って悲鳴を上げた。私の悲鳴に我に返ったアレクサも。機関銃を捨てて、慌てて駆け寄った。ぐったりした幸太郎さんをアレクサが抱きしめた。目に涙さえ浮かべて。


「裁かれるのはぼくだったのに何で庇ったんだ!幸太郎っ!ぼくは、ボスが言われるがままに悪に手を染めたんだ!悪いのはぼくなんだ。幸太郎が庇う事なんて無かったんだ!幸太郎っ、幸太郎っ!」


 そこに異変に気がついたイヴァンが飛ばされて来た。実子のリンちゃん、指示によってイギリスに飛ばされていた筈のアーク達はセットで。危急を聞いて駆けつけたみたいだ。幸太郎さんは息一つしていない。アークさんが。


「嘘だろう…………」


 って呟いた後、神にでも喧嘩を売るかの様に抗議を始めたのだ。


「幸太郎が一体、何をしたが故に裁かれなければならなかったんだ!おかしいだろうが!こいつは、他人の為に真剣になれる男なんだよ!俺が生涯に渡って憧れたヒーローなんだよ!裁くんなら俺にしろよ!殺人鬼の俺をだ!何とか言ったらどうなんだよ!あぁ?」

「…………」


 みんな余りの事に固まっている中、和服を着た一番偉そうな神様が言いにくそうに話し出した。


『我は天照じゃ。剣聖殿、まず、落ち着いて聞いてくれないだろうか?今、我々は幸太郎殿に説得を試みておる。じゃが、この裁きの槍を抜いてしまえばアレクサを貫くのが分かっているから拒んでいるのだ。アレクサを救えなかった自分に非があると言い張っておってな。この者には罪はない。強いて言うならナイトメアという忌み嫌われる存在を作ってしまった異世界の邪神にこそ罪があるとそこにいるエルフの神々も言っておる。この者以外、我の後を継ぐ者が居ない故にどうにかしたいが、このままだと本当に人として死んでしまうのだ。どうか頼む。この者から槍を抜いては貰えないだろうか?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ