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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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決戦前夜 4

「ああ、あの麗しい導師様か。確かに、あのお方存在だけで注目を集めそうだよね。」

「そうだね、エルフでもアルビノなのは私が知るだけではルーちゃんだけかな?本人に自覚が全く無いって言うのがあれだけど、エドでさえ一目惚れする程の美貌なんだよね。ルーちゃん。」

「なんだ、羨ましいのか?ミサト。お前だって負けてないだろう?」

「そうですよ!姉上様。姉上様もお美しいです!」

「…ありがとう、二人共。でも、アレクサは無事なんだろうか。」

「僕、思うんですが。足抜けバレてたら命があるかどうかさえ。下に落とせば遺体すら残らないから救出するなら急いだ方が良いかも知れません。」

「そうは言ってもだ。場所が分からない。さっきの襲撃も多分、足止めだな。調べてる時間がない。万事休すだ。」

「そう思って僕調べておきました。モハメド、報告を頼む。」

「はっ!」


 私、モハメド君話すの初めて見るよ。寡黙すぎるから話せないとばかり思ってた。多分、命令じゃ無かったらずっとだんまりだったのか。この子は。あくまでも主人を立てる役に徹してるんだ。モハメド君は浮遊大陸メルツの広大な地図に印をつけた物を出してくれた。


「浮遊大陸メルツ最大のマフィア、昇竜会は元々中華系マフィアです。本部があるのは香港ですが、此方の方が稼げるとあって25年前にカジノを開いたのをきっかけに勢力拡大して現在に至っています。ありとあらゆる悪事の大元に彼らがいます。スラムから子供達をさらって売春させてたりなんて事はザラで、警察を買収してる事もあって悪事をなかなか世に出せないのが現状です。お恥ずかしい限りですが。現在のボスは張 至恩と言う男です。男色家として知られ、特に美しい幼児を好む傾向にあります。アレクサが目をつけられたのもそう言った理由からです。潜伏先は5箇所。先程の騒動で此処のホテルの潜伏先を潰す事に成功してますので残すのは4箇所になります。まず、此方の倉庫群は香港から密輸入された各種覚醒剤があり、此処にアメリア様がいらっしゃるのは確認が取れています。ただ、内密者がリークする危険が排除出来ない為接触はしておりません。」


 ただ、私達は知っている。これがアメリアさんに変装した魔王だと言う事を。申し訳ない。しばらくは黙秘しないとだ。


「倉庫は西側にあるので、残すは3箇所です。南側がスラムになってますが、そこで子供達を物色している事が判明しています。まず、此処でアレクサを襲う様な事は起こらないから残るは北側と東側になります。東側にはマフィアの事務所があり、北側には贅を極めた張の自宅があります。もし、拉致されているとしたらこのどちらかと言う事になります。報告は以上です。」

「…報告ありがとう。凄いな、二人共。」

「いえ、僕は。本当に凄いのは僕に誠心誠意仕えてくれているモハメドだと僕は思ってるんだ。」

「…全てはピール様の御意志のままに。お褒めに預かり光栄です。」

「でだ。お子様二人はどうするんだ?」

「僕はこの後一旦戻って手勢を連れて東側のマフィアの事務所を強襲するつもりです。僕の手勢を連れて行って情報が漏れるのだけは阻止したいのでリンちゃん達をお借りしてもよろしいでしょうか?警察でさえ買収されてる以上、彼等も敵です。」

「…順当だな。少々心配だが、リンちゃんに事情を話して手伝って貰うと良いだろう。」

「はい!ありがとうございます。婿殿!」

「なら、残る北側が俺たちの担当だな。と言う事は、強制的にあのお方が出てくるか。」

「あのお方って、誰?」

「ああ、アレクサの唯一の心の拠り所だった幸太郎だ。アレクサの件じゃ相当頭に来てるからなぁ。連れて行かないと逆に怒られるんだ。」

「えっ、あの人ジャーナリストじゃ無いの?」

「間違いなくジャーナリストだよ。ただ、普通のジャーナリストとは違うんだ。当時、自衛手段が必要な月への行軍が認められる程の腕前がある。但し、俺もそれが何かはわからないんだ。俺だって戦う姿見たこと無いんだよ。俺、幸太郎に懐柔されちゃったから戦う事すら無かったんだ。」


 そんな訳で、イヴァンは幸太郎さんに連絡を取り出した。幸太郎さんは連絡を待ってた様で直ぐに出てくれた。


「よぉ〜、相変わらずやる事が派手だな。もう、速報でニュースになってるぞ。で、デートの誘いか?」

「良く分かってるじゃん、幸太郎。そ。俺たちは自宅にカチコミだ。お祭りに参加したいんだろ?」

「流石イヴァンだ。自宅だな。場所なら知ってるから先に待ってるぜ。」


 そう言って、スマホの通話が切れた。ピール殿下もリンちゃんに連絡を取ったみたいで。


「此方も連絡とりました。世界政府のエージェントが事態を受けて集結してるそうです。僕たちも現地集合です。イギリスの兵士達もバイソンさんも参加するって言ってるので、僕たちも頑張ります!」

「気をつけてね、二人共。」

「御心配ありがとうございます。姉上様。それと、僕も呼び捨てで大丈夫です。血は繋がってませんが、僕たちは家族ですから。」

「ありがとう、ピール。二人共無事を祈ります。」


 そう言って、私は彼等に祝福を与えた。キラキラとした光が彼等を包んだ後に消えた。


「それじゃ、行こう、モハメド。」

「御意!」


 二人は手を振りながら別室を出た。私達も此処に滞在する理由がないから闇夜に乗じて移動を開始する事にした。



 排気量の大きめのスクーターに乗って北上を続けた。当然、中古を購入したものだ。戦闘服に身を包んでた。頭には真新しいヘルメットだ。イヴァンはメンソールのタバコを吸いながら終始ご満悦で運転をしてた。吸い口を噛みつつ、決戦の場に向かう。2時間後、ちょっと迷子になった関係で到着が遅れてしまったが幸太郎さんは既に待ち構えてた。悪戯が成功した様な顔をして。


「せっかくのデートなんだからもう少しゆっくりすりゃあ良いだろうに。」


 そう言って、笑ってたよ。以前にも一人で乗り込んでた位だ。腕には自信がおありなんだろう。


「遅れて申し訳ない、幸太郎。」

「いや、謝るこたぁねぇよ!お前ら此処来たの初めてなんだろ?」

「まぁ、それはそうなんですが…………」


 まさか、時間を止めてさっきの続きをしてましたなんて口が裂けても言えないイヴァンは流石に口を濁したが、誤魔化す様に。


「幸太郎、幸太郎は一体、どんな手段があるか聞いておきたいんだが。」

「ああ、そう言えばお前は知らなかったなぁ。俺のネタならこれになるな。」


 そう言って見せて貰ったのは極真会館と書かれた黒帯。まさかとは思うんだけども……………


「ミサトちゃんには分かった様だな。俺の武器は徒手空拳の空手だ。実戦型の奴で大学卒業まで道場に所属してたんだ。一張羅のスーツぼろぼろだからなぁ、まぁ捨てても惜しく無いからさ!替えの奴だけ買って来た。」

「…ちゃんと言ってくれれば俺がスーツ位プレゼントするのに。」

「ありがとな!孝行息子を持って俺ぁ、果報者だぜ。まぁ、戦争終わったらリンちゃんに家族旅行誘われてるんでその時にでも頼む。ああ、お前らも強制参加だからなぁ?」

「ええと、俺たちもお邪魔して良いのか?幸太郎。」

「当たり前だろ?グレタが喜ぶ。」


 その辺は二人には分かる方なんだろうなと。さらっと流した。


「んで、どう強襲するよ?どうも前回の経験踏まえて人員がかなり増えてる様だがな。」

「んだな、ざっと300人程って所か。てか、幸太郎。前回、一人で此処に殴りこんだんだろう?良く生きてたな。」

「当たり前だろ。これでも俺は元5段だからなぁ。まぁ、今でも体力維持の為に基本の練習は欠かした事無いからまぁ、疲れるたぁ思うが10人組手の延長って思えば何とかなるんでねぇか?」

「何で元なんだよ。そもそも。」

「最初に迎えに行く時に返上したんだよ。道場巻き込む訳にはいかなかったからな。大山先生の教えに反する形になると思ったからなぁ。まぁ、それでもあいつを置いて帰って。ずっと後悔引きずる羽目になったけどなぁ。」

「…………」

「そんなシケた顔すんな!今度はお前らもいるんだ。前回の様な脅しにゃ二度と屈しないってアレクサにも約束したんだ。何人居ようが俺の敵じゃあねぇよ。俺の拳はあくまで弱きを助ける為にある。だから、普段は滅多な事では殴らないんだが、頭にカチンと来ると未だに鉄拳が出るのがなぁ。」


 そう言って苦笑いだ。先日の平手打ちでルーちゃん右頬腫れたんだよね。そりゃあ、手加減してても有段者が殴ればそうなるか。


「イヴァン、作戦を立てる。家を囲う様に放火出来るか?ミサトちゃん。」

「はい、火をつけるのは問題無く。要は、正面玄関だけを燃えない様に残せば良いんですよね?」

「流石ジークの孫娘だな。説明が早くて助かる。玄関から出てきた相手だけ倒せば良いって寸法さ。イヴァン、お前、ライフルあるんだろ?」

「ああ、あるぜ。バイソンさん謹製月仕様を限りなく再現したレーザーライフルってのが。」

「んじゃ、狙撃手の始末と俺たちの後ろは任せるぜ。イヴァン。」

「…よっしゃ。任された。もし、処理追い付かなかったらその時はミサト、結界張って俺たちを護ってくれるか?」

「そうだね、機関銃もあるから用心しないとね。」


 私は朧月夜、イヴァンはレーザーライフルを装備した。まず、先に私が正面に構えている門を斬り捨てて破壊した。そして。


「みんな、行くよ!ファイアウォール!ウォーターウォール!」


 お馴染みの面々を呼び出して、無詠唱で魔法を繰り出した。家の玄関以外を囲い込む様にファイアウォールで放火した。豪勢な住宅が勢いよく燃え出した。続いてウォーターウォールの勢いある水が玄関のある面を勢いよく流れた。そこから狙おうにも水の勢いが強すぎて狙えない状態にしてみた。イヴァンはウインディアを呼び出して、アレクサの奪還と悪事に関わる全ての書類の押収を指示して突撃を命じていた。まぁ、普通の人には見えない。イヴァンも保険をかけたんだろう。元々は祖父だから上手くやってくれるだろう。

 煙に巻かれた人々が出てくる中、幸太郎さんが。


「よぉ〜、久しいな!性懲りも無くアレクサを引き取りに来たぜ。生憎だが、俺も身が軽くなったんで家族に対する脅迫ならもう、通用しねぇ。よくもアレクサをヤク中になんぞしてくれたな!もう、我慢がならねぇ。死にたい奴からかかって来いや!」


 これが合図だった。フラフラになりながら向かってくる相手を見惚れる様な鋭い正拳突きが相手の顔面を正確に捉えて気絶させた。鳩尾に肘鉄を食らわせ、回し蹴りが綺麗に決まった。私も1対多数を頭に入れた剣術を習ってきたのだ。これに追随した。朧月夜を反転させて正確に相手を叩き伏せた。イヴァンも加減してか殺傷能力を落としてから敷地外から狙うスナイパーを仕留めたのち、二刀流に切り替えて。敷地外から来る敵を峰打ちで仕留めていた。火の勢いが強く、延焼の危険があると判断して敷地内に結界魔法を張り巡らせた。1人頭100人のノルマって結構きつい。戦闘開始して1時間程だ。疲労が出れば正確さも落ちるものだが、幸太郎さんは違った。イヴァンは結構ゼーゼー言ってるのに対して息一つ乱れる素振りも見せていない。

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