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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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決戦前夜 2

 僕は、エドの怒りに触れてしまった様で、お医者様の許可が下りるまで何があってもそこから動くなと言い渡されてしまった。エドの逆鱗は正直留まるところを知らない。悪いのは完全に僕の方だ。エドは再三に渡って僕が守ると公言していた。気持ちは凄く嬉しいけど僕だってエドを失う訳にはいかないから僕が散々はぐらかしてた。現実に起こるかどうか分からない不吉な預言だってあるんだ。車椅子の賢帝だって。冗談じゃない。僕だって、エドを守るんだって意気込んでいたのに。昨日3度目の魔力枯渇を引き起こして倒れたのが原因で流石のエドも看過出来なくなった様で、僕は手痛いしっぺ返しを食らう事になってしまった。


 昨晩のあれは口に出すのも憚られる。だけど、口ではおもちゃだ何だと言ってるけど何だかんだ言って大事に。まるで宝物を愛でる様な目で慈しんで下さるので僕としてはただただ愛して頂けるだけで天にも昇る心地になるんだ。そもそも身分からして釣り合ってないんだしね。


 あっちは皇太子殿下。僕はあくまで一般市民で、一兵卒に過ぎないんだ。一連の騒動で皇太子殿下への打診を断り切れずに即位した。生きる寿命だって違う。だから、エドが幸せになるんだったら身を引いても構わないとさえ思っている。ただ、エドの今までの人生を思うと貴族とお見合いなんて死んでもやらなさそうだ。何よりも僕をご所望なのだ。


 僕、そんなに気にいる様な事をしている覚えはない。ただ、アルビノで生まれた所為で人より目立ちやすいのが仇になったと言うか。そして何よりも皇太子殿下の好みがまんま僕で、事の重大さをちゃんと理解出来るってのが決め手になってしまった様だ。僕の目は全てを見通す。オーストラリア軍が最後まで僕の参加を渋った理由がそれだ。結局、陛下達が雪山で遭難したのがきっかけでそのままなし崩しで参加したけども。きっと上層部は頭を抱えている筈だ。貴重な才能をイギリスに奪われそうだと。


 僕は隣で寝てる愛しい人の寝顔を見ながら思案に暮れた。僕みたいな一般市民には余りにも尊すぎるお方だ。僕はこの後、何処に向かっていくのだろうか。


 僕は彼の求めを一切断らなかった。エドはそんな僕を常に手元に置きたがるからイギリスでは誰もが僕がエドのご寵愛の寵妃であるって認識だ。婚約すらしてないのにみんなはルーベルト様。或いは導師様と呼ぶ。性別不詳のへんてこな僕だけど、此処での僕は完全に姫君だ。何でも遠慮なくおっしゃって下さいって言っては下さるが、何もかも他人の手で世話をされる事に慣れてない僕にはかなりの抵抗感があった。秘密を公表してもなお、僕はエド以外の人に触れられるのが嫌だった。多分、エドには分かっているんだろう。僕の世話は全てエドが全部してくれた。絶対にした事は無いだろう。おしもの世話だってしてくれていた。だからって訳でも無いけど、僕はどんな形であってもエドが喜んでくれるのならどんな事でも受け入れるし、して差し上げようって思ったんだ。僕はただお側に置いて頂けるだけでも幸せだったから。


「……………おはよう。ルー。さっきからどうしたのだ。そんなに顔を曇らせて。」

「おはよう、エド。ううん、なんでもない。」

「なんでもないなんて事は無いであろう?そなたの事だ。身分違いで畏れ多いとか、先々に対する不安とか、色々な思いに胸が張り裂けそうになったのであろう?違うか?」

「……………違わない。」

「案ずるでない。最早、そなたの居ない世界などあり得ぬ。もし、僕の手から飛び立って行ったとしてもどんな手段を使ってでも取り戻す。そなたは僕にとって全てを引き換えにしてでも失いたく無い宝物だ。そなたが僕の側から離れるのだけは絶対に許さぬ。そなたが此処にいても良いのだと分かるまで自重をする気はないから覚悟するが良い!」

「…………」


 昨晩の余韻が冷めてない内からエドは僕を求めてくれた。嬉しさの余り、僕の目から一筋の涙が溢れ、エドが与える快楽にただただ酔いしれた。二つあるものを平等に慈しんで下さるので僕は早々に壊れた。何度も乱高下を繰り返している内にさっきまで考えていた事があっという間に意識と共に飛ばされて砕けた。さっきエドは僕のいない世界はあり得ぬと言ってくれた。もし、僕に発言権があったら僕は声を大にして言いたい。僕こそエドがいない世界は耐えられないと。だけど、僕から漏れ出るのは狂った様にエドを求める嬌声ばかりで。僕のこの姿をただただかわいいと呟きながら僕の事を愛でてくれた。



 流石に起き上がる気力が無い状態で。僕はぼーっとしてた。放心状態のまんまバスルームに連れて行かれた。だけど電気はつけないままだ。真っ暗の中で、お湯が張られる音がする中、僕はその場に座らされた。羽を出せば僕から淡い光が出て僕の白すぎる体を光らせた。エドはこの状態で愛でるのを特に好んだ。離す気なんて毛頭なく、僕は後ろから抱きしめられた。鏡越しに僕たちの姿が映ってた。


「僕は生まれてからずっと何の為に生きてきたのか。何の為に国に尽くし、何の為に民に尽くしているのかとよく考える事があった。最近になって答えが分かったよ。それはきっとそなたと言う至宝に巡り会う為だったんだと僕は思うようになったんだ。そなたの優しさ、気高さは他に類が無い程だ。僕はこの美しく咲き誇る白い薔薇こそ僕が求めて止まない人で、僕は心からお慕い申し上げ、将来の伴侶に相応しいお方こそそなたなんだよ。ルー。この貴重な美しい妖精に僕は生涯の愛を捧げる。だから、僕の為に常に側にいて僕だけの為に生きてくれないか?」


 僕は涙が止まらなかった。何でこの人は僕が欲しいと思った言葉が分かったんだろうか?言葉が出ないから僕は首を何度も縦に振った。僕は目を閉じてエドに全てを委ねた。お湯が溢れている床に寝かされ僕はひたすら流された。先程まで身を引く覚悟さえ決めていた筈なのに、そんな思いさえ吹き飛ばしてしまう程の勢いで抱かれて僕たちの情事は昼過ぎまで続くことになった。



 隅々まで身を清められて僕はエドにお姫様抱っこされてベットまで戻ってガウンを羽織ったまま座らされて髪を乾かしてもらっていた。短髪だった筈の僕の髪はエドのリクエストで魔法で腰の長さまで伸ばした。これには訳があった。


「今回の闇オークション。不本意ながらルーも参加だ。僕のパートナーとしてな?分かっていると思うが、ドレスコードもあるから当然、淑女になって頂くぞ!」

「…ええっ、無理!絶対無理っ!僕なんかがそんな…………」

「本当に奥ゆかしいな、そう言う所は。だが、これも敵を惹きつける為だ。アメリア姫を土壇場まで隠し通す為のな。その隠れ蓑役だ。嫌とは言わせぬぞ。帰りにちょっと買い物にも行きたいから。初デートって所であろうか。まず、結婚指輪は買わねばならぬ。婚約指輪もな。後は何だろうか…………」

「そんな篦棒に高い品、僕受け取りませんからね!常識の範囲内でお願いします。」

「常識の範囲と言うが指輪ってどの位が相場なのであろうか?」

「一応、一般的には給料3ヶ月分とは言いますけど、エドは王族だから普通に高給取りでしょうから1週間頑張って働いた分でお願いします。」

「そなたも面倒なことを言う。週給で働く王族など聞いた事が無いぞ。」

「でも、そうでもしないと僕の心臓が持ちません!」

「分かったよ。そこまで言うなら僕もそなたの気持ちを尊重するとしよう。」



 一連の作戦が終了して、イレギュラーもあったけど。僕たちは念願の初デートと洒落込んだ。街のみんなは僕に釘付けだ。勿論、僕たちにはSPが常に側にいて僕たちを守っていた。何処に行くのかと思ってついて行ったら目にも鮮やかなティファニーのお馴染みの色が見えて。ああ、僕を連れて行きたかったのは此処だったんだなって本能的にそう思った。僕が着てたのはティファニーブルーのイブニングドレスに白色の長い手袋をして。ウエストに白色のリボンが巻かれててリボンが結ばれてまるで僕自身がティファニーの外箱になった気分だ。僕の方が気持ち背が高いから同じ色のローヒールで。本来の姿を晒す事自体慣れていないから正直戸惑ったが、エドが直接ティファニーと交渉して僕の服を作ってくれる様依頼したみたいで。僕の白い肌に合わせるんだったら絶対にこれだと思ってたそうだ。僕が着る服はこれだよって言われて、ティファニーブルーの箱を持って来られた時点でテンパった。宝飾品の類も既にティファニーで揃えててネックレスもピアスも多分、天文学的数字なのは明らかだ。夜会巻きと言われる髪型をして薄く化粧を施した。白く長いストールを羽織っていた。私の姿にタキシードを着たエドは殊の外ご満悦だ。


 既に連絡がしてあったのだろう。店員さんが一斉に出迎えてくれた。既にカメラマンさんもいて、僕は写真を撮られた。勿論、見せつける様にエドもキスしてくるからちゃんと笑えているのかさえ分からなかった。誰もが僕に見惚れる中、案内を受けた。店内を回って色々宝飾品を見て回った。本当にピンからキリだ。僕はエドの意見も参考にしながら婚約指輪と結婚指輪を買い揃えた。ただ、今は行軍中って事もあって誓約の腕輪と隷属の腕輪になりそうな物は無いかと言われたので宝石が付いてる物が必須って事で物色してた。だけどそうなると限られてくる訳で、18kホワイトゴールドにダイアモンドをセットしたヒンジバングルって物しかなくて同じ物をサクッと2つお買い上げになった。1本軽く80万近くする代物だ。だけど魔法を込めるとなるとダイヤモンドが小さくてこれでも魔法の付加が難しいって話をすると追加でペンダントヘッドみたいな物を付けましょうって事になった。どれ位の大きさの宝石が必要か分からないのでまず、宝石の見本を見せて頂いた。見せて頂いたのはダイヤモンドだけれど、僕が示したのは1カラットの大きさのもので。当然ながら篦棒に高いので。


「この大きさ以上であればどの宝石でも大丈夫なんですが、流石にダイヤモンドは高価すぎるので他に何か無いでしょうか?」


 で、困った所に出て来たのはデザイナーさんで。結局、買ったヒンジバングルをアレンジした物を作ってくれる事になった。僕の左手薬指には2カラットもあるハートの形をした婚約指輪が光っていた。

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