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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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新たなる精霊王達 1

 なんだか腹立たしい。あたしがリヴァイアサン釣れないかなぁと格闘してる間に何だか面白いものを見逃している気がする。正確には昨晩、何かが明らかに起こっているが、生憎あたしは魔王。ヴァルキリーの住まう地域に近寄る事は出来ないの。聖なる力は私の力を封じるからだ。

 何故、リヴァイアサンなんて化け物捕まえようなんて発想になったのはルーベルトと言うとっても素敵なエルフがこんな事を囁いたからよ。


「今回の件で、いざと言う時の移動の手段を複数持っておいた方が良い事に気がついたのでナスターシャさん。どうせ聖域に入れないんですし、戦闘にも使えそうなリヴァイアサン。捕まえて見る気はありませんか?」


 って言われて、見惚れてついつい承諾しちゃったのよね。あの青年、タイプなんだけど残念ながらちょっかい禁止対象なのよ。だから、自分の作った水牢に確保している祝福を失ったハイエルフ達を調教しないとやってられないわよ。全く。引きこもっている間も彼らのお陰で退屈とは無縁だったけどね。まぁ、リヴァイアサンなんて早々現われる訳はないから地道にするしかないんだけどね。ちなみに、ミサトさんとの一件で魔族で生き残ったのは不死族が十数人ってとこだったの。他の魔族には悪い事をしたと思うけどね。もう、二度とあの下卑た連中に人間を融通しろと言われずに済んでる件に関しては逆にミサトさんに感謝している位だわ。魔族領も先日、広大な土地を必要としないから世界政府に返還したわ。早速、月から帰還する方の為に色々工事を始めてると聞いてる。もちろん、旧魔族領だった場所が故郷だった人々は早々に帰還してるみたいなのよ。但し、戦争終了後に月に入れ替わりであたし達が入植する予定なの。生き残った連中はみんな私と一緒なのよね。窮屈だけど、水牢で眠って戴いてるの。


 ああ、とても面白い事が起きていると言うのにお祭りに参加出来ないなんて。仕方ないから今日もたっぷり人形遊びに興じてからリヴァイアサンを狙いましょうか……………



 翌朝、救援活動の為にみんなで現地入りしたんだけれど。来て早々、エドとルーベルトさんにとっ捕まってコソコソと事情聴取を受けた。


「おはよう。ミサト。朝早くに悪いがちょっと聞きたい事があるんだ。昨晩、一人でこちらに来なかったか?」

「?何の事?私、昨晩、外出した覚えは無いわよ?ねぇ、イヴァン?」

「ん?何だ?ミサト。」

「昨晩も私達一緒だったよね?」

「えっ?お前覚えてないのか?昨晩は5分程だが突然シーツ片手に消えていなくなってるぞ?」

「…………」


 ひそひそ話しで、困惑ばかりが広がってた。考えても埒があかない。そう踏んだんだろう。


「お前ら、一体何があったんだ?」


 イヴァンのその言葉に真っ先に反応したのは他でもないルーベルトさんだった。イヴァンに耳を貸す様言ってから、実は〜って一部始終を話してるみたいで。それを聞いたイヴァンは


「本当か?」


 と尋ねれば、二人とも首を縦に振った。その上、ルーベルトの能力が私に夜中に会って以降、ちょっとおかしいんだと話したのを受けて。


「うーん、誰か鑑定持ってたら調べられるが、今の段階では何とも言えないなぁ。ただ、分かっているのはいなくなった時の状態から見て間違いなく二人が会ったのはミサトでほぼ確定ってだけで。」

「以前からあの様な姿で出歩く事などあったのだろうか?」

「いや、無いな。今回が初めてだ。」

「鑑定持ちならリンちゃんに聞いてみた方が良くないかな?」


 まぁ、最初は意味が分からなかったが、心配してってのは分かるよ。うん。3人の話だと、纏っていたのはシーツだけって言うし。ひょっとしてあの二人に裸見られていたのか?と思うと段々と恥ずかしさがこみ上げた。個人的には嘘であって欲しい。その内、事情を聞いたリンちゃんまで呼び出された。本人は置いてけぼりのまま話は進んでいく。


「鑑定持ち?それならばワタシで大丈夫よ?ただ、ミサトちゃんに関する異変って事ならジーク様にご相談した方が良くないかしら?ワタシ、ちょっと連絡をしてみるわ。」


 リンちゃんはスマホ片手に連絡をを取ったが。


「うーん、ダメね。電源自体を切ってるみたい。ミサトちゃん。ジーク様は普段こんな事をなさる様なお方ではないの。何か心当たりはない?」

「……………もしかして、お祖母様の具合が悪いのでは…………」

「…………」

「ミサトちゃん!ひょっとして転移魔法を無意識の内に使ってるんじゃないの?術式は覚えているの?」

「はい。覚えています。お祖父様の命で、まだ使えなくても術式は覚えておく様にいわれてましたので。」

「ならば、ミサトちゃん。あなた一人でまず東京のエルフ大使館に出向いて頂戴!ワタシはアメリア様を探して事情を説明するから。誰かアメリア様の居場所分かる人いる?」

「それならば僕が案内します!」


 ルーベルトさんが案内を買って出てた。何か只ならぬ事が起こっている。出来るかどうかは分からないが、術式を唱えたら魔法陣が現れ、イヴァン達の目の前であっさり成功してしまい、目の前には見慣れた風景が広がった。東京のエルフ大使館前だ。つい、先日まで住んでいた場所だ。感慨に浸っている場合では無い。私は足を踏み入れた。衛兵達が私に気が付き慌てて中に招き入れた。つかつかと一番奥の執務室に行きノックをした。どうぞって声がかかったので中に入った。職員はみんな一様に驚いていた。代表して声をかけたのは今、此処で筆頭大使を務めているアルベルトさん。名前が何となく似てるから誰の身内かは明らかだ。ルーベルトさんのお父上で、長年祖父の側近を務めていた人だ。


「お帰りなさいませ。ミサト様。ミサト様のお帰りを歓迎できる様な状況じゃなくて申し訳ないのですが…………」

「いいえ、大丈夫よ。それよりも、お祖父様とお祖母様に何があったのかを教えて欲しいの。」

「……………お気を確かにして聞いてください。未明に、綾女様がお亡くなりになられました。御自宅で安らかに息を引き取られたそうです。死因は全身ガンによる呼吸不全です。ですが、問題はそこからです。綾女様のご遺体をお持ちになったまま、ジーク様が消息をお断ちになられました。」

「……………何ですって!」

「今、我々は各方面に問い合わせておりますが行方は依然として掴めていません。ただ、手掛かりならこちらに。綾女様がお使いになられていた介護用ベットにこれが残されてました。」


 アルベルトさんが取り出したのはいつも個人宛に啓示を書き記す魔法の紙だ。多分、預言が成就されたのだろう。私の前で魔法の紙は開かれた。だが、そこに書かれているのは啓示ではなく伝言だった。


「光の中に消えた故郷で待つ。」


 そう書かれていただけだ。二人してこれを見てもしやと考えた。


「ミサト様、先日あなたとイヴァン博士を逃す時にスペースシャトルを再生した事を覚えてらっしゃいますか?」

「ええ、お祖父様のお陰様で私達は無事セレネティアを脱出できたけど、まさか、あの魔法を使ったとなると…………」

「ミサト様のご推察通りです。時間逆行魔法は禁忌魔法です。何故ならば、消費されるのはMPじゃなくて、その人の命の時間そのものを消費するからです。もし、セレネティア大陸を復元なされたとあっては幾らジーク様でも死は免れない!」

「…………」

「みんな!悪いが捜索活動は中止だ!ジーク様の消息が分かるまでは一切の箝口令を敷く。取材があっても一切受け付けるな!で、僕の今日から1週間の予定全てキャンセルしてくれ!僕はミサト様と共に説得に当たってくるから。僕が連絡するまで待っててくれ。」

「了解です!大使。」

「すみません。ミサト様。緊急事態なんで僕も一緒に連れて行って貰えませんか?」

「勿論よ。では、参りますね。」

「留守は頼む!」


 そう言って、私は術式を唱えてさっきの場所に戻った。アルベルトさんを伴って。場所は思い描いた。ローグフェルグにいるイヴァンの所って。すると、景色がエルフ大使館からみんなが集まってる場所に戻って。私は心配そうなイヴァンに抱きしめられた。


「お帰り。心配してた。無事行って来れたのか?」

「うん!練習してた甲斐あったみたい!出来たよ。転移魔法。でも………」

「父さん!どうしてこんな所に!?」

「ルーベルトか!久しぶりだなぁ。ミサト様にお願いして急遽ローグフェルグにお邪魔したんだ。実はな…………」

「…………」


 非常に重苦しい空気に包まれた。イヴァンも


「嘘だろう…………」


 お世話になってばかりで碌に恩返しも出来ぬまま。だけど、今は悔やむ時間すら惜しい。イヴァンは私達にこう宣言した。


「こんな事になるなら、もっと頑張って修理しとくんだったのに!ミサト、セレネティア大陸あった場所行けるか?」

「場所は覚えているけど、そこに大陸が復元されていればもう、お祖父様は…………」

「…………」

「それでも行かなくては。行ってお祖父様に会わなければ。」

「ミサト様、僕もお供致します。長年、友人として付き合って来ましたがもし止められるものなら何としても止めなければ。」

「よう、久しぶりだなぁ。アル!」

「幸太郎か!合流したって本当だったっだな。こんな事になってなければ、こんなに嬉しい事は無いのに。」

「本当にそうだな。だが、飛べる種族じゃ無い奴どうするんだ?」

「それならば、わたくしが魔法で浮かせますわ!」

「すいません、ありがとうございます。アメリアさん!」


 こんなドタバタな再会で。喜ぶ暇も無く。私達は失われた筈のセレネティア大陸跡地に向かった。

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