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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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何かと不真面目な方々。

 いざと言う時の乗り物確保の為にリヴァイアサンを釣りに行ったナスターシャさんを除く全員は救援活動を開始すべく被災地に乗り込んだ。ハリケーンの威力は凄まじかったらしく、通過した所とそうでない場所の差が激しかった。翼を持った住民達が協力し合って瓦礫を取り除こうとするが、そこの所はやはり女性。


「確かにここの人たちだけでの救援が困難なのはわかったわ。ここは一致団結して一人でも多くの命を救いましょう。」

「「「「おおっ!」」」」


 みんな気合十分だ。今日は、みんな汚れても大丈夫な様に全員作業着だ。エドはイギリス空軍で支給されたもの。ルーベルトさんはオーストラリア空軍で支給されたもの。リンちゃんは世界政府が支給した作業着と言った様に。イヴァンが作った人命探査センサーは2台。動物も死体も判別つく優れものだ。壊れた飛行機から必要なパーツだけを取り外して作っているとは思えない。イヴァンの頭脳は一体どんな作りをしてるんだろうか。もう、発明王で良いんじゃないかと私は思った。街の中央から北はリンちゃんの班で受け持つ。人力班なんで人数は多い。リンちゃん、バイソンさん、アークさん、エド、アメリアさんだ。街の中央から南はイヴァンの班だ。私が瓦礫を操作出来ると言う事でイヴァンと私、回復役はルーベルトさんだ。私の精霊達もルーベルトさんの精霊達もやる気満々だ。


「人命救助は72時間がタイムリミットだ。災害発生時から。んじゃ、よろしくな!」


 イヴァンの一言の後、電源を入れて捜索を開始した。人命探査センサーは瓦礫からの反応を頼りに街の中央から南の。壊れた瓦礫から埋まってであろう人々を探し出すのだ。ピコンピコンとなればそこにどの様な状態の人が埋まってるかタブレットに表示されるのだ。瓦礫を取り除くのは私だ。精霊王の加護を付けた無の精霊と風の精霊に瓦礫を浮かせる様にお願いしてから水の精霊にお願いして魔法ヒールウォーターを唱える。後はルーベルトが助け出して、必要ならイヴァンも加わると言った感じだ。だけど、さっきから掘り出しているのは翼を持った女性のご遺体がほとんどだ。飛行機に乗ってた時に多分、ここだったんだろうな。瓦礫が当たって大騒ぎになったのって思い返した。家はどちらかと言えば岩で作られてある感じだった。だから生き埋めになったら一たまりもない。


「ミサト!ここの人、生きてるぞ!」


 その声を確認して私は瓦礫を取り除いた。小さな子供たち2人だ。教えて貰った通りに回復魔法をかけてから蘇生魔法をかけた。子供達は岩と岩の隙間で埋まってて、ルーベルトさんが引っ張り出した。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん。助けてくれてありがとう!」

「街の中央に係のお姉ちゃんがいるから、そこに行けるかい?」

「…お兄ちゃんとだったら行く。」

「……………んじゃあ、僕と一緒に行こうね。」


 ルーベルトはすいませんって断りを入れてから私達の元を離れて街の中央まで戻って行った。やはりエルフのルーベルトさんにモテ期到来か?と人命救助にあるまじき不謹慎な事を考えてたらもっと不謹慎な人いたよ。いきなり唇奪われちゃったよ。他ならぬイヴァンはしてやったりの顔をして。


「お前、一瞬ルーベルトの奴に気を取られただろう?」

「違うわよ!そんなんじゃなくて、エルフってモテるんだなぁってルーベルトさん見て思っただけなんだから!」

「そっかぁ。俺の苦労を分かってくれるかぁ。お前、自覚ないだけで実は結構狙われてるのやっと理解出来たかぁ。」

「えっ!それ、あり得なくない?私、人妻だよ?イヴァンしか見てないから分からないんだけど!」


 それ聞いたイヴァンは凄く嬉しそうに唇を重ねた。


「お陰さんでその言葉聞いたら俺、ぶっ通しで作業出来そうだ。さて、作業に戻るか。今みたいに生きてる人見つける事出来るかもしれないからな!」


 そう言って嬉しそうに作業に戻ったイヴァンを追いかけた。人命救助がここまで不真面目で良いのかとも思ったが、気が滅入りそうな作業がこの後も続くと思ったから多少は目を瞑って頂く事にした。普通なら怒られますからね。良い子は絶対真似しない様にね!お姉ちゃんとの約束だ。



 僕を中央にして今は素敵なレディ2人を絶賛エスコート中なんだ。勿論、今まで回収した御遺体も魔法で浮かせて運びつつ。決して少なくない量で無の精霊の負担がかなり大きい。魔力を分け与えつつ頑張って貰ってはいるが、一気に運ぼうなんて無謀な事をしなければ良かったと絶賛後悔中なんだ。街の中央に行けば目が見えないアメリアさんが街の中央にある壊れた噴水の所で腰掛けていた。アメリアさんは理由は分からないが盲目と聞いていた。なので気配を察知したんだろう。明後日の方向を向きながら。


「どなたですか?」

「僕です。ルーベルトです。」

「確認させていただいても大丈夫でしょう?」

「…はい。隣に座らせて頂きますね。」


 子供たちは不思議そうに見つめていたが、僕は大人しく確認される事にした。アメリアさんの美しくか細い手が震えながら僕の顔をなぞった。僕であると確認出来たみたいで、僕に向けて少し頬を染めながら嬉しそうに。


「確認出来ましたわ!ですが、少しお疲れのご様子ですね。そちらの方々は?」

「はい、先程見つけた生存者の子供たちです。後は、20人程見つける事が出来ましたが、いずれも…………」

「…3人こちらに戻って来れそうです。」


 アメリアさんはつかつかと御遺体の前に歩み寄り、魔法を詠唱した。


「エリアヒール2!3倍リザレクション2!」


 するとどうだろう。流石に専門職と言った所だろうか。並べられた御遺体の中から3人がむくりと起き上がり、その内の一人が多分、知り合いだったんだろう。


「「先生っ!」」


 って叫んで歩み寄って無事を喜び合っていた。アメリアさんはその小さな華奢な手を僕に添えて続け様に魔法を唱えた。


「神聖魔法譲渡魔法ギフト。神聖魔法共有魔法リンク!」


 僕は立ち所に魔力が全回復して。魔力が枯渇した状態で出るあの気怠さがお陰様で取れた。それだけではない。なんだかこの人と繋がっている気がした。目を丸くして彼女を見ると。


「専門職で無い方が魔力を行使し続けるのには限界がございます。私の魔力を遠慮なくお使いになって。北側から御遺体が来てないという事は恐らく救助するだけで手一杯なのでしょう。御負担をおかけしますが、御遺体を運んで頂けないでしょうか?」

「…分かりました。僕が運んで来ます。魔力提供ありがとうございます。」


 そう言って、僕は華奢なアメリアさんの手を両手で包み込む様に握ってからアメリアさんの手をそっと離して作業に戻る事にした。アメリアさんは僕に握られた手を頬に当て、顔を真っ赤に染めていらっしゃったが僕は何故この人僕の前でだけ頬染めるのか。理解に苦しんでいた。



 馬鹿力のあるアークがいるお陰様でまだどうにかなってはいるが、人力班の作業は絶賛難航中だ。生きてる人を優先して掘り起こしたいので、センサーで反応があった箇所を先にリンちゃんが探し出し、塗料のついたスプレーで丸かバツかをつけていって丸の所の瓦礫を取り除いて救出すると言った按配だ。時間との勝負になるのでどうにかして早く助け出してやりたいが岩だらけの瓦礫の山にみんなしてひいひい言っていた。飛行機の整備機材から使えそうな物は一人で雨の中物色して取り出してたから僕は


「大丈夫か!すぐ助けるから頑張るんだ!」


 そう声をかけて岩と岩との間にジャッキを挟み込み、キコキコと油圧をかけて隙間を大きく広げていく。小柄なドワーフのバイソンさんが入れたらどうにか救出出来るのだ。それでもすんなりいかない場合があるのだ。今回もどうやら隙間が空いたが、引き出すには至らない。そうなると、アークさんの馬鹿力で上から順番に取るしか無いという状態なのだ。正直言って災害派遣を依頼するレベルの作業をたまたま居合わせたこの少人数でやれと言うのが無茶振りも良いところで世界政府に問い合わせたが、イギリス本国は世界政府からの要請で既に部隊が出動しているらしく、昼にはここで作業開始の段取りだと言うので少しは気楽にはなっただろうか。天変地異後も空軍を保持し続けたのは我がイギリスと日本のみだ。じゃあ、日本はどうなのかと問えば、空を飛んだら確実に間に合わないとの事でジークさんが住居を構えている岡山県で部隊を編成後、魔法で転送されるそうだ。首都東京であればジークさんさえいらっしゃればもっと早くに送れたが、現在奥様が病気療養中で転居先を告げずに東京を離れた為、ジークさんを探すのに手間取ったそうだ。

 そんな中。


「おお〜い!そっちは大丈夫ですか?大佐!」


 とまぁ、名前で呼べと言ったにも関わらず未だ軍属の階級で呼ぶこの男が元気良く走って来た。


「大丈夫では無い。一応、先に生存者を救出したいが難儀していた所だ。ミサトの所は良いのか?」

「あっ、はい!陛下の方は大丈夫です。アメリアさんから此方側が難航してる様なので手伝う様言われました。魔力供与を受けたので僕も参戦しますね!」

「魔力供与じゃと!?」


 目の色を変えたのは他ならぬ異世界からの生き残りであるバイソンさんだ。何事かと思い面白半分。げふんげふん興味半分で話を聞く事にした。


「ルーベルトよ、よく聞くが良い。魔力供与なんて魔法はな?この人になら添い遂げても良いって思われない限り発動すらあり得ない魔法じゃ。良かったなぁ、ルーベルト。叶わぬ恋に身を焦がす必要無くなったぞ?w」

「え?ええええっ!いや、僕。そんな好意を寄せて戴くことなんて…………」

「してるな。」

「「「うんうん。」」」

「誰の目から見てもアメリア姫はルーベルトに想いを寄せておられるのは明白であろうな。まぁ、ミサトはイヴァン博士が離さないだろうから大人しく乗り換えるが良い。」

「ちょっと大佐!人を乗り物かなんかと間違えてませんか!?」

「機種変したって罰は当たらないであろう?そなたの想い人は既に人妻なんだから。」


 作業を中断してルーベルトを揶揄うのがどんどん面白くなって来たのだが、そこはと言うか。流石というか。恋愛話に一番に食いつきそうなお方が。


「ちょっとエド!みんな作業休んで一体何してるのよ!今、人命救助中なんだから口動かす暇があったら手を動かしなさい!」


 もうちょっとルーベルトにちょっかい出したかったが致し方ない。僕たちは作業に戻る事にした。昼からイギリス本国と日本から救助隊が駆けつけるから何とか多くの人が助かると良いなと僕は思った。


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