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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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AIの名前は『エロ』

 話し終えてふと見ると、リンちゃん。懐からハンカチ出して泣いてたよ。

 ええと、中身はミサト以上に女の子ちゃんのリンちゃんなんだが、外見はさ。筋骨隆々の大男なもんで違和感が半端ないというか。俺、これ一体どうすれば良いんだ?なぁ、幸太郎。どこで教育方針を間違えたらこんなゲテモノ…いやいや。素敵な人になるんだか。


「だ…大丈夫か?リンちゃん。」


 俺、こう言うタイプ初めてだから正直言って対処に困ってるんだが。誰でも良いからちょっと助けて!と思って懐で眠ってるミサトを見るが、やはりと言うか何というか。こりゃ、自分でどうにかしろって事かと思って諦めようとしたら。


「ええ、大丈夫よ。気にしないで。いつも家には寄り付かない父の意外な素顔に接する事が出来たから。あの放浪癖。良いところあるじゃない…………」

「…………」

「所でさ、試験。受けたんでしょう?結果どうなったの?」

「ああ、それなんだが、俺率いるロシア組は受かってアーク率いるアメリカ組は全員落ちたんだ。あの後、俺はそれぞれロシア語と英語で解説したんだが、ショーンとネイサンは興味を惹かれて食いつき気味で質問攻めだったのに対してアーク、ドナルド、リュウの3人はふーん。って感じでな。その差が試験に現れてしまったんだ。幸太郎も俺の合格は想定してても後2人も合格するとは思ってもみなかった様で、その後、学費稼ぎの為に展示会は全世界回る事になって。書籍まで発行して権利を俺たちに委譲する手続き取ってくれてさ。ま、それでも限界あるから俺もスキップして少しでも早く働く事にしたんだ。小学校で2年、中学校で1年、高校で1年かなぁ。俺自身は特待生で無償で学費を提供してもらえたからどうにかなったが後の二人がなぁ。20歳でどうにか大学卒業したから軍の徴兵受けてな。5年従軍してそれから大学に就職して助教授になってな。どうにか二人とも養い切ったんだ。」

「イヴァン博士って本当に凄かったのね。んじゃ、残りの3人は?」

「勿論、養子縁組でそれぞれ大丈夫だって所に貰われていったよ。だから、俺的には安心してた。だけど大きくなってから再会したらさ。反乱軍のリーダーに収まってるって聞いた時は心臓が止まりそうだったけど。何とかしようにも俺は既に軟禁中で、ショーンとネイサンはそれぞれ家庭を築いてたけど俺の軟禁直後に二人共離婚してタイミングよく合わせるように軍に志願したから軍も最初は疑ってかかったんだ。どうも経歴を見て利用価値を見いだした様で、俺の護衛って形で一緒に軟禁されたんだ。ま、それでも息が詰まるんで毎晩外に脱走しちゃ飲み歩いてたけどな!」


 そう言って俺は笑った。だけど、もうあいつらは居ない。俺の意思で地球に危急を報せるってのに乗って。そのまま逝っちまったよ。幼少の頃からずっと一緒だったあいつら。今頃、天国でウォッカ呑んで酒盛りでもしているんだろうな。俺は、レトルトパウチに入ったウォッカをくいっと煽った。


「長々と昔話に付き合わせて悪かったな。リンちゃん。」

「いえいえ、ワタシも任務に入る前に予めその人の事をリサーチしてから入る事にしてるんだけどね。だけど、イヴァン博士が多くの人に慕われた理由が分かったような気がしたわ。報告書だけでは分からない事ってあるものね。こちらこそありがとうございますって言いたい位よ。」

「そうか?」

「そんなものよ?」


 そう言ってリンちゃんと二人して笑った。ちょっと疑問に思ってこんな事を聞いてみた。


「そう言えば、幸太郎赤ん坊連れて帰ってたよな?その後、元気にしてるのか?」

「ええ、お陰様で元気にしてるわよ?私の姉としてだけどね。すごく綺麗でね。ワタシのオシャレの師匠さんなのよ〜」


 幸太郎さん、本当に申し訳ありません。ご子息の人生劇的ビフォーアフターしちゃったの。どうやら俺が原因になったみたいです。と心の中で幸太郎に詫びた。



 長々と話しをしていたらいつの間にか早朝4時を回る頃だった。

 空が少し明るい気がする。


「悪い、少しだけ寝とく。」

「そうしときなさい。おやすみなさい。イヴァン博士。」

「ええ。おやすみ。リンちゃん。」


 リンちゃんが部屋から出たのを確認してから俺は目を閉じた。今日は何だか気分が良くて。ふわふわした心地良さを覚えていた。もし、このまま眠ったら俺は懐かしい人達に会う事が出来るだろうか。そんな思いで眠りについた。



 昼過ぎ。俺たちは改めて目を覚ました。ミサトも一旦起きたんだけど。俺、朝方までちびちび飲んでいた所為でキスした途端に酔っ払ってしまって可愛い小悪魔になってしまったからちょっと後が大変でな。俺的には大満足だが他の者には傍迷惑以外の何者でもなく。寝てるミサトは先に連れて帰って貰って、俺は病院に直行と相成ったのだが。


「素人判断でやったんでしょうけど、これヒビ入ってますからね!しばらく必要以上に右腕動かさないで下さいね!」


 って大層医者には怒られた。因みに、完全に裂傷になってるから傷の治りも普通より遅いので化膿止め出します。後、酒も禁酒と相成った。どうも縫えない程度に患部をぐちゃぐちゃにした様でテープで固定してからガーゼして包帯巻いて。と。大袈裟すぎる程巻かれて三角巾で右腕固定と相成った。トイレ不便だなぁと。腕1本でこれだから、しばらくは不便するなぁとか思いながらリンちゃんの護衛で宮殿へと戻って来た。応接間に通されると、ミサト以外の面々がニヤニヤしながら俺を出迎えてさ。


「あのぉ、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした!」


 そう言ってもみんなはニヤニヤが止まらない。ルーベルトは徐ろに犬型ロボットをテーブルに置いた。アークの奴はわざわざ傷口の上に手を置きやがった!他の奴らも邪悪な表情でさ。


「アダッ!ちょっとアーク!?今、そこ痛いからって!アーク!マジ痛いって!!!おいコラ!グリグリすんな!おいってば!!!」

「よぉ〜、イヴァン。お前が人並みにスケベだって分かって俺たちゃマジで安心したぜ!オラよっ!」

「痛い!何すんだよ!」


 アークは尚も傷口をグリグリっと。まるで傷口に塩と呪いを込めてるんじゃないかと思う位激痛が走った。次に口火を切ったのはミサトの同族、ルーベルトだ。


「詳細はこのAI から全部聞かせていただきましたよ。」

「AI ?ま、まさか…………」

「そっ。そのまさか。イヴァン博士。あなたも随分隅に置けないですねぇ。元々、このAI はたった一人でスペースシャトルを操縦しないといけなくなった博士の為に特別に供与された筈ですよね?」

「ぉ、ぉぅ。」


 やばい。俺がミサトに言えないのをいい事にミサトへの想いを全部そいつにぶちまけてたから、あーんな事とかこーんな事とか言ってたからそれ全部聞かれてるとなると俺、恥ずかしさの余り気が触れそうなんだが。顔が自然と赤く染まる。多分、耳まで真っ赤だ。何なんだよ!帰って早々に始まったこの羞恥プレイはっ!


「まぁ、元を正せば全て陛下の落ち度ですけどね。それでも余りにも目に余るので、僕が勝手にこの子に名前をつけて差し上げました。」


 すると、感情豊かに目の前の犬っころが話し出すから驚きだ。


「うわあああああん!イヴァン博士のバカッ!バカッ!バカッ!あんまりじゃないか!僕はただ代わりに聞いていただけなのに!イヴァン博士が話してる内容教えたらルーベルトが僕の名前を『エロ』って登録しちゃったんだ!」

「何故そこで話したんだよ!お前は毎度毎度空気を読まないからそうなるんだろうが!」

「AIであるこの僕に空気読めって事自体が無理難題なんだってば!うわあああああん!」

「おい、ルーベルト?」

「何でしょうか?イヴァン博士。」

「あのぉ、エロの名前変えるの。今からでも大丈夫か?」

「ああ、それならギリギリアウトですね。AI の登録は到着後24時間以内という決まりがありますので。今回、サイバーテロって言う非常事態だったんで本来ならイヴァン博士に組み立てて貰う筈だったんですが、イヴァン博士を待ってたら市内の混乱が収まらないとの殿下の判断で僕が組み立てたので。」

「…………」


 ルーベルトの奴、完全に故意でやりやがったな。邪悪な顔がそれを物語っていた。もし、朝に帰れたらと考えて。たられば論だと諦めた。元を正せば俺が暴走したからそうなったんだし。


「で、殿下?」

「僕は既に妻子がある身でね。面白可笑しく聞かせて頂いたよ。いやはや。何でもお出来になるイヴァン博士もやはり人だったんですね。」


 って実に爽やかな笑顔だ。内にあるのはルーベルト同様に邪悪そのものだけどさ。続いて、ドナルドとリュウにも助けを求めたが二人揃って。


「「お前にふさわしい言葉がある。このリア充爆ぜろ!」」


 とうとう後が無くなってバイソンさんに助けを求めたが。


「イヴァンよ。日本の諺でな。こう言うのは「身から出た錆」って言うんじゃ。まぁ、これに懲りたら今度からは誰かに一言言ってから出かけるんじゃな!」

「…………」


 耳元でアークが悪びれもせず。グリグリしながら。ええ加減にしろ!


「なぁなぁ。お前、ミサトちゃん抱いたんだろ?どんな感じなんだ?教えろよ。」

「ふざけんな!誰がお前なんかに教えるか!ミサトの良さは俺だけが知ってればいいんだ!断固証言を拒否する!」


 そんな感じでまるで幼少の頃に戻った様なある意味微笑ましい優しい時間が過ぎていった。ただ、アークが散々右肩をグリグリしたお陰で気が付けば傷口が裂け、ヒビが広範囲に広がって骨折レベルになり。当然だが病院に逆戻りして一晩緊急入院する羽目になり、流石にアークやり過ぎだってドナルドに怒られてた。ザマァって思ったのは言うまでもなかった。

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