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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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狙われたイヴァン。

 寝る間も惜しんでイヴァンは慈しんでくれたよ。流石に刺激が強過ぎた様で。

 いやさ、ああ言う衣装にせざるを得ない状況下なんだよね。羽大きいし、踊ると下手なものだと返って足を取られたりするからね。でも、略式にしようにも何分人数が多すぎてダメだったんだよね。

 それで鈴付けたまま抱かれてたら世話はない。朝になっても解放される気配は無く。使わないワイシャツを羽織ってイヴァンの懐で絶賛餌付けをされている最中だ。イヴァンにしてみれば楽しくてしょうがないらしい。今も種無し葡萄を一粒ひょいって取って口の中に入れたと思ったら濃厚なキスして来てさ。口移しでも渡して来るんだよ。お陰様で葡萄とイヴァンに酔いしれそうだ。完全に確信犯だ。イヴァンはニヤリと笑った。私は敗北感満載でひたすら受け入れ続けた。

 でも、せっかくの機会だからとお出かけを提案したらイヴァンはあっさりリクエストを受け付けてくれた。

 たまにはのんびり観光も悪くないなって事らしい。


 イヴァンがデートにチョイスしてくれたのはラフなジーンズにロング丈のカーティガンに動きやすいタンクトップだ。背中が開いているのはいざという時の逃走用に多分、肩甲骨部分が開いてないと羽が出せないと踏んだからだろう。足元はちょいお高めのスニーカーだ。イヴァンも夏物の薄手のスーツをラフに着崩し、スニーカーと襟なしシャツを第2ボタンまで開け、サングラスをかけた。大人の色香漂うその姿を見るに、


「あのぉ、他の女の人に目を付けられそうな位にイケメン過ぎて困るんですけど。」


 って抗議したら。


「そんなに不安だったら今すぐベットに戻っても良いぞ?俺、手放せなくなる自信はあるから。」

「…………ぇぇぇ。やっぱ出かける。」

「まぁ、俺からしてみてもミサトからますます目が離せないから、悪い虫追っ払うの大変そうなんだけどな。」


 そう言って屈託のない笑顔を見せた。



 カフェテラスでアイスを食べながら歓談し、恋人繋ぎで手を結んで、色んな観光地を回った。観光客達はみんな一様に「なんか見たことある」的な視線を送って来るが、当然の事ながら無視だ。グリニッジ天文台に行けば宇宙工学を専攻するイヴァンの目が輝いた。ロンドン市街を一望して歴史の趣きを感じる佇まいに二人して感動した。ロンドンアイにも乗り、アビーロードをのんびり歩いていた。見逃している観光施設もありそうだが、何か違和感を感じて路地裏に隠れようとしていきなり発砲を受けた。二人して避けたが、煙が銃口から上がっているのを見て驚いた。私達は警ら中のロボットに攻撃を受けたのだ。勘が鋭いイヴァンは私を抱き寄せ、


「国直轄の警らロボットに俺たちが攻撃される謂れはない。恐らく、これは月からのサイバーテロだ。話しは後だ。とりあえず、一緒に逃げるぞ!」

「はい!」


 私達はいつ終わるかわからない逃走を開始した。ただ、こうやって何事も一緒に解決しようともがいてくれていることが私には大きな励みになった。



 まずい。非常にまずいわ。みんながみんなして空気を読んだせいで、ミサトちゃんとイヴァン博士の居場所を誰一人として把握していないと言う稀に見る珍事が起きているのよ。現在、月から絶賛サイバーテロを受けていると言うのに、あの二人は一体何処に……………

 もちろん、現地のハッカー部隊が対応に追われてはいるわ。でも、この状態だとここのシステムを完全掌握されるのも時間の問題だわ。地球政府にも連絡を取ろうとしてるけどね、実にいやらしい。現在、イギリス全土対象にしてスマホを初めとしたインターネット関連は既に先手を打たれて掌握されており下手にメールすら打てない。PC 立ち上げたら直ぐにウイルスにかかって使用不能に陥る。勿論、情報も盗まれるとあっては何一つ出来ないわ。打つ手なしの状態に頭を抱えてる。勿論、狙われているのは他でもないイヴァン博士よ。ワタシとした事が抜かったわ。この様な事、まず、日本ではあり得ない。というのも、世界の中心地、日本はAI が管理している。理由は地上、地下に渡り人口が多いからよ。人は汚職するからって理由で機械に支配される事を選択した日本。だけど、その代わりと言っては何だけど、こういうサイバーテロには滅法強い。世界政府が出来てからも日本にサイバーテロが起こった事はないわ。AI が1台でもあれば、直ぐにミサトちゃんとイヴァン博士を探しに行くのに。だが、直ぐに動けないのが何とももどかしい。


「リンちゃん、探しに行くが良い。日本から強力な援軍来たから。」

「えっ!日本から何かお取り寄せしたんですか?」

「そっ。イヴァン博士と一時一緒にいたAI 君。何でも、イヴァン博士はこれを練習台に陛下を口説く練習していたって言う曰く付きの代物だから、今からめくるめく笑いの予感に耐えながらの作業はなかなかに楽し……………げふんげふん。厳しいものあるけどね!」


 殿下とルーベルト少尉が実に邪悪な表情をして請け負ってくれた。元を正せば、スペースシャトルの操作マニュアルを文章化する為にわざわざ指定して取り寄せた代物だった。現物を取り寄せた事からも情報漏洩の恐れを考慮したと考えられるわ。流石と言うか。すっかりイヴァン博士に毒されて自分自身も弛んでいたと気付かされた。


「此処からの指揮は僕が担当するよ。リンちゃん。ああ、外に出る前にバイソン氏達に事の子細を伝えて此処に来る様伝えては貰えないだろうか?少尉の腕を信用してない訳では無いけど、今は時間が惜しい。アークさん達にはこのサイバーテロを起こす人物に心当たりがあるか聞きたいと伝えてくれ。一応、戒厳令出して市民と観光客の保護を最優先するつもりだけど、此処からの防災無線がどこまで通用するか分からないとだけ言っておくよ。必ずイヴァン博士達を保護してくれ。宜しく頼む。」

「畏まりました。」


 そう言って一礼して退出させて貰った。途中、バイソンさんにも事の詳細を伝えたところ。


「ワシらも迂闊じゃったわい。大の大人じゃから聞くのも野暮かと思ったが、余りにも行動が自由過ぎてこのメンバーの中で一番に命を狙われている立場というのをつい忘れておった。」


 アークさん達に聞いても


「イヴァンを管理するにゃ、女当てがっとけ。ってのが軍部の常識とまで言われてたしなぁ。まぁ、それでもあいつは監禁されてるはずなのに脱走するの上手くてさ。みんなあいつを探すの苦労したものさ。ひょっとして、またいつもの悪い癖出たのか?」

「…………」

「あいつはアーロン達とウォッカを飲みに行きたいものだから女をちゃっちゃとヤってから仕掛けられた発信機を全部無力化してさ。わざわざつけたまま出歩くんだよ。見つかっても女にお咎め無い様に考慮してやってるところがまた。イヴァンに壊されてるって知ってるから軍部も分解されにくいのを次々仕掛けるけどそれを難なく壊すもんだから最終的にイヴァンに発信機仕掛けるの諦めたと聞いた事があるぞ。」

「…………」

「でさ、誰かと接触したらさ、アーロン達みたいに人質になるって言うんで俺たちは通行人を装ってイヴァンと接触してたよ。ただ、「俺の事なら心配すんな。」って俺たちが分かるように英語で呟くだけなんだよ。あいつの職業博士じゃなくてスパイじゃね?って言う位の用心深さだ。きっとな、軟禁中に色々やらかした経験あるから、今回の事でもあいつ、ケロリとした顔で戻ってくるんじゃね?」

「「「うんうん」」」

「……………(怒)」


 もうね、開いた口が塞がらない程困ったちゃんだってのはこのリンちゃんよおおおく分かりましたから、後で説教を楽しみにしていなさい!イヴァン博士!



 二人での逃走は続いている。最初、機械だから雷だよね。って思って魔法を打とうとしたら。


「雷はマズイ。街全部が過電圧受けた日には復旧に時間を取られるぞ!水魔法を使え!それか構わず斬り倒せ!」


 と、的確なイヴァンの指示の元、ロボットを壊しつつ逃走していた。

 街には防災無線がサイバーテロ発生の影響で機械類が暴走し戒厳令を発令中。市民の皆さんは至急建物内に避難する様呼びかけられていた。イヴァンはオフロードバイクをいじってサクッと動作チェックして問題無いのを確認した。メモ用紙に英語で走り書きしていた。と、思ったら。いつの間にか釘を持っててアイテムバックからハンマー出して打ち付けて。取れないのを確認してから私の鈴のついたブレスレットをシャランとかけた。アイテムをささっとしまい込み。


「鍵つけたままだからこれ使えるぞ!乗れ!ミサト!」

「はい!」


 エンジンをかけ、私が乗ったのを確認してオフロードバイクを走らせた。街の中を疾走してると、次々とロボットが現れて一斉射撃してきた。私は、


「ウォーターボール!」


 と詠唱して纏めて破壊する。空からドローンが現れて攻撃を加えてくれば


「ファイアニードル!」


 と詠唱して撃ち落とす。イヴァンは運転に専念している。風が心地良いが残念な事にデートではなく追いかけられてる最中だ。前方にロボットが現れて一斉射撃してきたんで急ハンドル切って回避した。後ろから追いかけてきたのを


「ウォーターウォール!」


 と纏めて倒した。出鱈目に逃げ惑う。だが、スピードが出過ぎて曲がりきれない!


「こなクソッ!」


 っと叫びながら身体ごと傾けて辛うじてカーブを切った。


「怖かっただろう。大丈夫か?ミサト!」

「うん、でも…………」

「マズイな、行き止まりだ。万事休す…か。」


 目の前には大勢のロボットに囲まれて逃げ場を失った。

 バイクから降りてイヴァンは前に出た。私も降りたが、イヴァンは私を庇う様に前に立ちはだかり


「何があっても、お前だけは守るから。」


 そう言って、屈託のない笑顔を見せた。

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