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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
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親子の対話 3

 僕たちはその後、エロのアップグレード終わらせて再起動したんだ。僕が組み上げたプログラムで動く新しいAIだ。まぁ、11年前の最新機種で今のAIに比べたら確かに性能は落ちるんだけどね。だけど、被災したAI達が作成されたのはそれよりも遥か前の天変地異以前。なので、互換性だけで言うなら現時点での最新機種よりも遥かに可能性あったんだ。コードもこの年以降に新しい物になっていったのもあってね。


 水没したメモリが復旧出来るかどうかは全てこのエロにかかってた。ただね、名前には難があると思うんだ。一体、誰が付けたのさ。この『エロ』って名前さ。まるでさ、自分が助平なんですって言って回る様なヘンテコな名前さぁ。エロって声かける度に耳が赤くなるのがね。ただね、不本意なのは僕だけじゃなくてね。


「しくしくしく。なんで生まれ変わってもぼくの名前はエロなんだよ!うわぁああああん!」


 ……………AIに慰めの声がかけられない僕に代わってモハメドがね。


「それね、文句があるなら初期設定した人に言うべきだと思うよ?」

「初期設定したのはピールだよね?」

「僕のは再起動だからさ!初期設定って言うんなら11年前エロを初めて稼働した時にしか付けられないんだ。誰だか分かる?」

「ルーベルトのばかぁあああっ!」

「「…………」」


 もう、何も言うまい。エロの命名の経緯の件は結構有名な笑い話だ。当時、若干15歳の姉上様に完全に一目惚れした父さんは最初、年齢差が30歳も離れているから保護者でいるつもりだったのに、出会った直後に事件が起きるんだ。父さんが隠し持ってたウォッカを何も知らない姉上様は口に含んでしまい、それが元で父さんは姉上様への想いが止まらなくなってその想いをスペースシャトルの起動補助に世界政府が貸した筈のAIに吹聴した。姉上様の脱衣癖もそれが元で発覚してね。お酒厳禁になったんだけどね。名前つける前に世界政府の要請でスペースシャトルと一緒に提出されてね。後日、スペースシャトルのパイロットとして合流したエドとルーベルトさんの手に渡ったのが運の尽きで、ルーベルトさんはロシア語が堪能だった為に父さんの呟いたロシア語がエロス的な何がだったと分かったせいで『エロ』って命名されたそうなんだ。当然、この命名の酷さに父さんは名前の変更をと求めたが、世界政府の規約時間外で命名変更出来なくてそのままエロってなってるんだ。まぁ、この辺は僕にもどうにもしてあげられないので、僕がもし命名する機会があるならまともな名前を付けてあげようと思うんだ。悪いね、エロ。僕にもその辺はどうにもしてあげられないんだ。恨むならロシア語で愛と欲望を存分に語った父さんと完全な悪ふざけで命名したルーベルトさんに文句を言ってくれ。


 但し、父さんは神様。ルーベルトさんは既に下界と一切関わりないローグフェルグにいるから苦情を訴える機会。永遠に失われているんだけどね。


 一連の作業が終わって、解散ってなったんだけどね。エロをカバンに仕舞ってから僕たちは。


「お先に失礼します!」


 って言って帰ろうとしたらさ。竹田教授がまたしても僕たちの首根っこ捕まえてさ。僕たちは竜族なのに扱いは正に猫そのもので、僕たち途端に抵抗出来なくなるの教授は既にご存知なんだ。


「おい、お前ら。一体、この後どこに行くって言うんだ?」

「まぁ、無一文でも僕たち夫婦ですんで、その辺は教授はご心配なさらなくても大丈夫ですので。」

「そうなんだなって言うと思うか?ピールもモハメドも日本にとったらムーンフロンティアから来た賓客みたいなもんだ。そんな奴らの宿がどこか分からないってそんな話が通用すると思うか?」

「賓客なんて勘弁して下さい!僕たちそんなんじゃないんですって!」

「まぁ、今まで何とかなってるんで!んじゃ!」

「ああっ!待て!お前ら!」


 僕たち、教授が部屋の外から呼び出しされて完全に隙だらけになったの見て一斉に逃げ出したんだ。開かれた扉から人押しのけて、廊下から最短距離で飛び降りて、翼広げてまんまと逃げて

 人気の少ない場所まで行って転移魔法で月まで逃げたんだ。父さんが過ごした家で一息ついて。


「危なかったね。」

「全くだ。僕たちそんな心配される様な子供じゃないのにな。でも、困ったな。僕たち、縛られるのは勘弁して欲しいんだけど。良い事しながら考えようか。」

「それ、完全にピールが現実から逃げたいだけだよね。」

「まぁ、そうなんだけどさ。でもそれ以上にモハメドの魅力に嵌っているから助けてよ。」


 そう言って、相変わらず外の時間翌朝。中の時間無制限って凄いアバウトな時間設定してモハメド招き入れるんだけどね。そこでの濃密な時間が楽しいんだからその辺は楽しむ事にしたんだ。何日も。飽きもせず。快楽に溺れてね。勿論、相談の時間も必要。対策はしないとね。


「さて、なんで教授宿泊先を気にし始めたかね。今までお疲れ様でした。で済んでたのに。」

「問い合わせがあったんじゃない?」

「でもそれ教授よりも先に楢原さんに言うよなぁ。但し、教授は旧皇族だからなぁ。幾ら教授が金持ちでもさ。既にホテル借り切って膨大な経費支払ってるのに僕たちの分までって言ってたらとんでもないと僕は思うんだ。」

「確かにね。でも、教授横暴な所ちょっとあるでしょ。今日出してたイヴァンお父さん人形が目当てかもしれないよ?」

「これ?」


 僕はカバンから出してみたんだ。父さんの作った人形を箱ごとね。んで、勿論、腰巻巻いて服を着てさ。想像したのは旅館だから応接間に広げてみたんだ。出会った当時の僕の身長を再現してたから140cm。当時の僕はモハメドよりも実は身長低かったんだ。気持ち2、3cm程度だけどね。オーストラリアにいる頃までは身長は同じ位だったのに、再会してみたら僕は178cm。モハメドは175cm。まぁ、どんぐりの背比べ的な何かだけど、最晩年の父さんと似たような細さだったモハメドは大統領府で姿形変形魔法で父さんの振りをしてた。そんな父さんが作った忘れられてた遺産を前に。僕たちは改めて、父さんを呼び出したんだ。父さんが僕に何を託したかったのか。それを聞く為だ。僕たちの呼び出しに答えて僕の魔法の世界に干渉してその姿を顕現したんだ。そのお姿は姉上様と幸せを享受してた頃そのもので、艶のあるくせっ毛の銀髪が懐かしくさえ感じたんだ。


「よっ!相変わらず苦労してるな。お前たち。あの御仁に絡まれてどうしましょう的な何かか?」

「否定しないよ。父さん。今まで何も言って来なかった教授が突然心配しだすんだ。僕たち教授に何か心配される様な事をした覚え無いんだけど…………」

「まぁ、宮様の為人を知ってる俺としてはな、こう思うんだ。竹田教授の真意としちゃエンジニアとして色々酒交えて飲み明かして自分の考えを語り明かしたいんだろうな。俺も正直言ってお前達が羨ましいとさえ思うんだ。あの人こそ、本来あるべきエンジニアの姿だと。俺はそう思わずにはいられないんだ。但し、その教授の思いとは別にお前たちを囲ってしまおうって動きが出始めてる。他ならぬ日本政府がな。恐らく竹田教授がお前たちの居場所を知りたがったのもこうだ。竹田教授的にはお前たちのプライバシーに立ち入る気なんてこれっぽっちもない。ここはお前たちの魔法の管理内だから敢えて先日と言うが、お前達の首根っこ捕まえてたのに敢えて手を離してただろう?あれも日本政府からお前たちを守る為だ。もし、教授が今でも宮様の称号をお持ちなら日本政府を上から押さえつけて不干渉を命じてただろうな。だけど今の竹田教授はただの民間人だ。だから日本政府に従わざるを得ないんだ。そして、楢原さんから言われてる。『お前たちの居場所を特定せよ。』ってな。世界政府も手放した人材が世界最強の魔導師だった事実に気がついてお前達の行方を追ってる。日本政府もお前たちの動向は災害ボランティアでいる以上は場所が特定出来ると踏んでたがそうじゃないと分かって慌ててるんだ。」

「イヴァン父さん、でも、世界政府が僕たちの行方を追う事態っておかしくないですか?」

「それがおかしくない事態に発展してるから。まず、ミサトは俺が怒りに任せて神界に保護してる。今でも世界政府からは返還してくださいってお願いされちゃいるが、俺は最愛の人を信用おけない連中に預けるのだけは断固拒否する。って突っぱねてるんだ。ミサトには不憫な思いをさせてる自覚はあるが、ミサトは俺と離れ離れになってた期間、政治の道具にされてるとあって本人も下界に降りるのは余程じゃない限り降りたくないと言ってる。降りてる理由。何か分かるか?」

「姉上様が下界に干渉されるのは全て自分の愛する人の為にだけ。ルーベルトさんの為だったり僕だったり。それで間違いないですよね。」

「間違いない。だから、世界政府の要請に応えることが無い。そして、ルーベルトもだが、成り済まされたエドに加えられた仕打ちが想像を絶するもので、下界に降りれば人々の奇異の目に晒される。ルーベルトも心の傷が癒えてないって理由で本物のエドが世界政府の要請を拒んでるんだ。まぁ、気がついたと思うが、実質、遠距離の災害派遣を行える人間がいないんだ。世界政府が京都に人材を派遣出来ない理由は正にそれだ。そこに、月まで自力で飛べる人材がムーンフロンティアで見つかった。他でも無いお前たちだ。」

「…………」

「じゃあ、僕たちの居場所をはっきりさせたい理由は世界政府の要請に応えられる魔導師を確保したいが為。僕たちは自由でい続ける為には彼らに捕まらない様にしないといけないんですね。イヴァン父さん。」

「ああ。俺たちの尻拭いだな。完全に。だけど、お前たちは魔導師として確実に力を付けてる。モハメドがかけた結界魔法も人力ではまず破られない。破れる人材がいるとするならそれは俺たち神か同族かのいずれかだ。そして、ピールの魔法も散々使ってるから魔力もその力も日に日に強大さを増してる。今使ってるシェアハウスも元はお前の魔力そのものだ。何故、中の時間が無限大なんてアバウトな時間設定が出来るのか。それは、モハメドからの潤沢過ぎる力が反映された結果に他ならない。お前たちが無茶苦茶な設定を謳歌した結果がこの事態。って訳なんだ。」

「じゃあ、此処で過ごせば過ごす程、僕はモハメドから力を分け与えて貰って強くなってると。そうなると、此処の様な逃走先は今後も必要だね。教えてくれてありがとう。ありがとう。父さん。」

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