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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
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エンジニア集団。再び。2

「それが本当なら非常にまずい。だが、僕も実家がこんな事になってるなんて。ライフラインも皆無。情報が寸断されて久々の地元のニュースが黒竜が泥棒追っかけ回して大捕物繰り広げるとか何処のファンタジーかよ!って突っ込み入れたくなる様な内容で、その次は保育園が1箇所復旧したってニュースでしょ。近所だから僕はこの一帯が復旧したとばかり思ってて話を聞けば聞く程、AIが消失した途端これかって。部下たちに無理言って来て貰った甲斐あったよ。東京の上司に相談してみるよ。」


 そう言って楢原さんは東京の上司に連絡入れ出して詳細を報告し始めたんだけど、僕がいるからか。みんなバケツやらペットボトルやら色んな物を持ってね。


「黒竜様、水を分けて下さいませんか?」


 って言い出して僕を囲むんだ。仕方ないので。


「あの、ちゃんと水をご用意しますから。責めて、一列に並んで頂けませんか?」


 そう言ってモハメドが手際良く整列させてね。僕は魔法を詠唱して用意してさ。みんな口々に御礼を言って帰って頂いてたんだけどね。楢原さん。怖い顔してね。


「もしかして、京都の被災地全域に命の水が行き渡っていたのって。君一人の無辜の善意を利用して賄われていたのか?日本国軍だっているのに。政府だっているのに。」

「全域かどうかは知りませんけどね。僕たち以前復旧した保育園に寝泊まりさせて頂いたんですがその時にも結構僕の作る水を求めて給水車で訪ねて来られて何度も給水車を満タンにした事はありますけど。僕はひょっとしてまずい事してたとかじゃ無いですよね。」

「いや、君には感謝してるんだ。多分、家々の片付けが進んでいるのはピール君が出してくれた水のお蔭みたいだし。ただ、普通なら災害派遣しててもおかしくないレベルで何一つ救援の手が届いてない。京都府は一体何をしてたんだって事になるね。その辺、はっきりさせておかないとね。みんな来てくれ。案の定、仕事になったから。僕以外ね。部長の指示伝えるよ。京都府庁、及び京都市役所に赴いて一斉に家宅捜査する様指示来てる。必要と判断した場合は指揮権取り上げて構わないって事だ。内閣総理大臣から特別に権限与えられたから関係書類と証拠物件全て押さえて大阪で解析して東京に現状報告せよ。田辺はA班率いて京都県庁。野村はB班率いて京都市役所。各リーダーのタブレットに捜査令状送付されてる。確認の後に任務に当たって欲しい。」

「了解。」


 そう言って、さっきまで大勢いた部下らしき人は蜘蛛の子を散った様にいなくなったんだ。余りの手際の良さに僕たちはただ見惚れてたんだけどね。当然、竹田教授は身分を問いただしたんだ。


「随分、お偉いさんなんだな。お前、一体何者なんだ?」

「いやはや。僕はお父上に顔も性格も瓜二つの竹田宮憲仁親王殿下程有名人では無いのでご安心を。僕はこう言う者です。関係省庁との調節に手間取りまして実家に帰るの遅くなっちゃいましてね。ご近所様に大変なご迷惑をお掛けした次第でして…………」


 と、偉い低姿勢で名刺。配られたんだ。竹田教授。目が点になってた。名刺には。


『内閣府 内閣総理大臣直属特命調査課 捜査二課長 楢原 征一郎』


 って書かれてた。正にAIの使い走りの代名詞みたいな。でも、不測の事態があったとAIが判断するには余りにも初動遅いんだよね。なんで。


「楢原さん。ちょっと質問良いですか?何で被災直後に京都が陸の孤島になったとお考えですか?」

「そうだね。普通、各所に置かれてるAIは普通、災害の情報を警告と言う形で知らせていくものなんだがそれすら間に合わない形でAIが沈黙した。ゲリラ豪雨がもたらされ、その規模の大雨が1ヵ月近く続いて更に水捌けもほぼしないとあって軒並み交通手段も流されるか土砂崩れで物流が途絶え、ライフラインが途絶えて用意してた筈の非常用品が枯渇した。どう言う状況に陥っていたのかは部下たちがしっかり調べて来るだろうけどね。不運に不運が重なったとしか言いようが無いんだ。ただ、最初の死者こそ少ないけど確実に増えてるのは災害関連死だね。復興がやっと入り出したのもつい最近の話みたいだし。今年の梅雨時期の京都市内の衛星写真だよ。他の地方も軒並み多かったんだけどね。いずれも地下都市で雨を吸わないから地下の入り口を閉鎖してしまえば防げる被害だったけど、京都は古都だから自然が無くなった後真っ先に保全が図られたお陰で地上に都市が残る数少ない場所でね。それ故に被災地になったんだよ。今回。だけどね、もし自然が残ってたとしても果たしてこの雨水の量に耐えられたのかどうかは疑問だね。」


 僕は楢原さんから梅雨時期の京都市内の総雨量を見せて貰ったんだ。総雨量が4桁いくって相当な雨量で。しかも桂川のライブ映像を早送りしても全然水が減ってないんだ。


「とりあえず。僕も今日、明日と休み貰えたけど、それ以降は調査次第では切り上げて欲しいってお達しなんで。とりあえず、掃除用の水頂戴。」

「…………」


 僕たちはお時間まで作業してね。その日は連絡先交換したんだ。流石に竹田教授も名刺お持ちだったからね。だけどね、帰る直前になって調査した結果簡単に聞かされた楢原さんは頭を抱えてね。


「AI無しで不眠不休で対策して京都府庁も京都市役所も軒並みギブアップだそうだ。梅雨が明けない限り各県には援助は無理って断られたそうだ。現地の日本国軍も軒並み救援活動しているが他の部隊の増援は無理で支援物資はムーンフロンティアからの空輸で食い繫いでた状態だってさ。ムーンフロンティアはピール君、モハメド君の母国。君たちが巻き込まれたからこそ辛うじて命繋いでたってだけみたいだよ。君たちが一時期ローグフェルグにいた頃もイヴァン教の信者達の善意の手で京都の人々は飢えとは無縁の生活してたそうだ。今も週に一度支援の手が届いている事に感謝の言葉しかない。僕たち以上にきめ細かいそうでね。何が必要かを書いた紙を提出するだけで翌週には届いてるそうだ。通りで何一つ言って来ない筈だ。日本と言う国よりもイヴァン教のピール大司教の説く教えの方が何倍も京都の人を助けてるんだ。」


 僕はその事を初めて知ったんだ。父さんの説く教えが僕が国に居なくても広まっている事に嬉しさの余り、感謝の言葉しか出なかったんだ。僕は祈りを捧げたんだ。ムーンフロンティアの民達に僕の感謝の気持ちが伝わります様に。みんなの愛が世界に広がります様にって。


 そして、翌日で休みを切り上げる羽目になった楢原さんは無茶振りで済みませんがと言ってエンジニア集団に助けを求めたんだ。結局、2Fにあった家財道具の残りは東京の方で貸し倉庫をレンタルして仕舞い込んで1Fの物は全て廃棄して、必要書類すら揃いそうにないと分かったのか。


「ピール君、解体しちゃって。此処、思い出深い実家だったけどね。殆ど思い出も流されたし、僕には政府の仕事あるから時間かけてる猶予。もう無いんだ。」

「そんな事して大丈夫なんですか?楢原さん。」

「勿論。父さんには昨日の内に電話で相談したんだ。測量士さん手配してくれてね。土地関係は揉めるから登記簿見て位置をロープで囲ってからすると良いって言われたんだ。なんで、それまで引っ越し業者等は手配したから片付けと使用不能の家電の搬出作業等お願いしたい。」

「分かりました。おい、お前ら。作業開始するぞ。」


 竹田教授の陣頭指揮の元、黙々と作業が始まったんだ。測量士さんも来て、土地の範囲を確定してから帰られたんだ。引っ越し業者も来て、積み込み作業終わらせて東京までお願いしてた。モハメドに敷地の範囲全域に結界魔法をお願いして、僕は結界の中に入ってアイテムバックを新たに作ってからコントロールを詠唱して建物だったものを毒素を抜いてから砂に変えていったんだ。思い出が消えていく感覚。思い出したら切なくなったんだ。楢原さんはどんな気持ちで見てたのか。気持ちが全く読めなかった。砂を詰めて終わってこれはどうするか聞いたら。


「そうだね、絵具で色をつけて砂絵でも作るかな。子供達と一緒に。まぁ、今度休みが取れると良いんだけどね。」


 って、そんな事を仰ってて。パウダーの様な粒子の細かい砂をアイテムバックごと引き取られた。AIが進化して技術が進んでね。仕事の量が減り、仕事の種類も減ってる中で趣味を充実させてる人は実に多かったから、素敵な趣味をお持ちだな。って僕はそう思ったんだ。



 翌朝からボランティア活動。中止を余儀なくされたんだ。理由は、日本政府からの依頼。京都大学にも依頼してみたが、案の定、被災してて夏休み中に作業してみるが新学期までに全ての施設が使える様になるかがまだ分からないとの事だった。勿論、部活の類いも全て中止になり現役の学生もOB達も復旧活動しているけどそこまで手が回らないって正式に断られてね。他に大学あっても何処も軒並み被害出してて難しい。

 その為、ボランティア活動してる僕たち全員にお声がかかったんだ。1日も早く罹災証明書出して救わないといけないけど、古都京都は軒並み木造が多く、1ヵ月近く多くの家々が水に沈んでて腐食が進んでて。時間無いのにAIは全滅。優先的に市内全域が浸水してる京都市役所と各地の支所を調査して生き残ってるAIがいるかどうか探す所から始めないといけなくて。班分けして、地図片手にみんな散らばって行ったんだ。

 僕はその間、何をしてたかと言うと、新たにAIを組む事になったんだ。竹田教授と一緒に。使うのは月で生命維持活動してたエロ。僕が強制停止プログラムを入力してそのままにしてたんだけど、エロが生まれたのが11年前。なんで、互換性が有れば復旧の起点に使えるかもしれない。ってそう考えたんだ。まず、犬型ロボットを解体して胴体の部分からAIを取り出してパソコンに接続したんだ。専用ツールは竹田教授の私物。パソコンは僕の私物。担当は本部になる京都市役所。そんな訳で、僕たちは暫く警戒の為に転移魔法で月に行って、そこで寝泊まりする事にしたんだ。僕たちだけ宿無しだったからね。おまけに、僕たちの魔法。余り知られるのはまずいと警戒心の方が勝ったんだ。

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