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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
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保育園に子供達の歓声が戻った日。

 実はたっぷり睡眠取ってるんだけど、表向きは1時間しか寝てないと思われてる僕たち。

 僕たちが作業手伝うって事で園長先生がね。わざわざ作業着。用意してくれてたんだ。いつも着ている服はアラブ出身の僕たちから言えば正装でありスーツと扱い一緒だって園長先生。存じ上げてたんだ。ただね、僕たちには尻尾ついてるからツナギ風の作業着だけどね。このままだと着られない。って訳で、尻尾を出す穴。わざわざ開けて、手持ちのバイヤス付けてミシンで縫ってくれたんだ。本当に人から与えられる親切が身に染みるんだ。シャツは今日は作業するんで変更してないけど、折角なので袖を通して見たんだ。


 二人共辛子色のツナギでね。モハメドは体を隠す為に全身に纏ったけどね。ツナギ。良く似合ってた。僕はどうにも暑いのが耐えられない。なので、袖の部分をウエストで縛ってノースリブのシャツは出したまま。黒光りする鱗が熱を吸収するんで本当に暑いんだ。ツナギすらまともに着ていられないんだ。長い髪は上の方で括って貰ってポニーテールにして貰った。園長先生達が持ち寄ったご飯を美味しく頂いた後に、軍手とタオル片手に鱗の下の火傷を治しつつ作業始める事にしたんだ。


 まず、僕たちがしたのは水に浸かった家具を園庭に出して、別のボランティアが乗り付けた軽トラックに積み込む作業だったんだ。女性ばかりの保育園じゃ、確かに難しい作業だったんだ。指示に従って運び出すんだけど、モハメドが見るに見かねて長袖の薄手のTシャツ出してくれたんだ。白色のね。


「さっきから鱗の下火傷してるでしょ。汗滴るだけでじゅうじゅう言うって余程だよ。これ着てよ。幾分マシになるから。」

「ありがとう。モハメド。僕、鉄板になった気分だったんだ。」


 僕はさっと長袖の薄手のTシャツ着てその後は問題なく作業を終わらせたんだ。水に浸かったのは事務所と職員室と給食室だったから本当に重労働だったんだ。それだけで1日。かかってた。がらんとなった1Fが未だに浸水の爪痕を残してたんだ。1F天井すれすれまで浸かってたから掃除大変そうなんだ。


 二日目から室内の掃除だったけどさ。困る事態となったんだ。水が無いんだ。氾濫の影響出てライフライン全て止まってる京都市内。山から流れて来た腐った木々が雨水を汚染しててね。しかも土が不毛の地故に水を吸わない。負の連鎖って言うのかどうかは定かじゃ無いが、飲み水でさえ輸入で賄ってる状態で。しかも物流止まってると言う異常事態。各所で土砂崩れとか起きてるからなんだけど。なので、僕が取った方法はウォーターを詠唱して大量のバケツにそろりそろりと入れてバケツを壊さないようにする事位だったんだ。だけどね、その僕の魔法でさえ保育園の先生方は大助かりだったみたいでね。保育園で子供を毎年遊ばせる為に出すプールを出してくれたんだ。空気で膨らむタイプのものだけどね。僕が暑いの苦手って言うのは昨日の時点でバレてるのもあって、運動会で使う様なテントを小学校からも借りてくれて。しかもあそこの保育園。黒竜様が水を出してるぞと口コミがあっという間に広がってね。


 僕は終日水源と化してたんだ。飲み水にさえ事欠いてた民には正に恵みの水だった様で。


「あの、ちゃんと飲み水として利用出来るかどうかも検証して無いんですけど…………」

「……………ちゃんと美味しいよ。ピール。まぁ、僕妖精魔法封じられてるからピールにしかお水生成出来ないからね。僕は保育園の先生方と一緒に泥を撤去して外に出す作業してるね。」

「分かったよ。ごめん。モハメド。僕、手伝えなくて。」

「大丈夫だよ。ほら、人々が命の水を求めて並んでるよ。園長先生が順番に並ぶ様に呼びかけてる。暑い中待ってるから頑張って。」


 本当に、どこまでも続いてる長蛇の列でね。僕はひたすらウォーターを詠唱し続けたんだ。容器の中に入る様に加減しつつね。この状態に警察は出動するし、メディアが取材しに来るし。市役所の職員までが給水車乗り付けてお願いしに来る状態でね。ただ、夜通しだけは頼むから辞めて頂いたんだ。眠らないと魔力上限にペナルティーかかるしご飯食べないと魔力回復しないからね。日本国軍、何やってるんだろう。とか思ってると容器を突き破るんだ。プラスチックの20リットル入る缶をね。元々攻撃魔法だから。水を叩きつけてダメージ与える魔法だからね。プラスチック缶だけ時間巻き戻して水入れて。すいませんって謝ったのも何度か。いつの間にかプールには机出されてて、掃除用の水は柄杓で汲むように何本か用意されててね。プールの水が少なくなればそこにも水を注ぎ足して。昼間になればモハメドが菓子パン2個手に。


「園長先生がお昼これ食べてって。チョコパンとクリームパンどっちにする?」

「ん〜どっちも欲しいな。半分こじゃダメかい?」

「幼少の頃からいつもそれだよね。ピール。お陰で幼少の頃は毒味の手間が省けたけどね。」

「そうなんだけどね。でもちょっと遅れて食べれば問題無いんだしさ。同じ楽しむなら違う味楽しんだ方がお得感増すからそっちが良いな。」

「んじゃ、責めて食べさせてあげるよ。無詠唱になるとコントロールしづらくなるから壊さない様にだけ気をつけてね。ピール。」

「うん、僕、頑張るよ〜♪」


 で、幸せオーラで嬉しくなってさ。二人して美味しく菓子パンご馳走になってね。僕は引き続き水を民に与え続けて、モハメドは掃除作業に勤しんだんだ。そして、この清掃作業。鉄筋の建物だったから洗えばすぐだと思うだろう?下の方はどうにかなっても手の届かない上の方はどうにもならなかったんだ。僕がやらない限りはね。なので、給水作業が終わってからライトの魔法詠唱してから出力調整した水で洗い流さないといけなくて。この作業に実質4日。かかったんだ。他の家々が家具の搬出に四苦八苦してる中でこれでも異例の早さだったんだ。


 部屋の中は綺麗になってもまだ電気入れられなかったんだ。確認して配線の状態をチェックしてからでないと途中で断線してたりしたら発火する恐れがあるんだ。なので、部屋内の水分飛ばすのに翌日からウインド使って乾かそうと思ったんだけどね。水を求める長蛇の列。減る様子ないんだ。なんでね。モハメドも同じ宗教なんでコントロールの方で配線の中にある水分取り始めたんだ。それと同時にやっと世界政府が支援に乗り出したと言う一報が届いて、エージェント達が調査の為に送り込まれたんだ。日本国軍が物流復旧を優先していて民衆の所まで手が回らなかった事情も。日本政府の支援、届き出してね。やっと僕は水源のお役目から解放されたけどね。僕も私財を投入して園長先生に寄付してそれで相談の上で工事業者を母国から手配してね。環境整えたんだ。


 配線等の工事も真新しい調理道具も職員室も事務所も新たに作った応接室も整って、屋上に新たに水源と電気関連施設付けて災害が再び起きても大丈夫な様にしたんだ。僕が大量にウォーターを濃縮した魔石とライトニングを濃縮した魔石をセットするだけでタンク内は水で満たされた。電気は変電されて使える電圧に調整されて保育園内を明るく照らしたんだ。


 夜になると真っ暗闇の京都に保育園の電気が煌々と照らされたんだ。まぁ、避難所と化してる場所は辛うじてついてるけどね。それでも、真っ先にここの保育園が再開されるとあれば保育園に子供を預けてらっしゃる親御さん。自分の家の片付けに専念出来る様になるんだ。


 そして僕たちはこの保育園をお暇する事にしたんだ。まだ、復旧には程遠い状況。助けを求める人々の声がモハメドには聞こえるんだって。保育園先生方は子供達を受け入れる準備とかあるしね。園長先生には責めて子供達に会ってから行かれてはと言われたんだけどね。だけど、まだ暫く京都に滞在するし、僕たちも気になってる事があるのでと言って固辞してね。


 余り治安の宜しくない闇世の中旅立ったんだ。まぁ、何かあっても自分達で撃退する術あるから出来るってのと。モハメドには話してたんだ。竜族になってからの僕。鱗に熱が溜まるせいで少々熱っぽい気がするって。闇夜に混ざる分には格好良いし、自分の姿は気に入ってるんだけどね。正直言ってこれは盲点だったんだ。鱗が太陽の熱吸収するせいで熱が篭って皮膚焼けるって。それもあって、移動は夜にしたんだよ。さて、どこにしようかと考えた時に、真っ先に僕たちが思い浮かべたのは襲われてた老夫婦のお宅だったんだ。だけど訪ねて行ったけど生憎お留守だったんだ。そんで目的地を変更して京都府警に行けば老夫婦の消息、教えて頂けた。あの老夫婦、県外から危急を聞いた息子さんが駆けつけてくれて老夫婦だけ置いとくのは危険と判断して他県へと連れて帰って行ったそうだ。お爺さんの怪我。思った以上に重かったみたいでね。お婆さん一人ではどうにもならないって息子さん判断したって。

 その代わりと言ってはなんだけどと愛媛県警の原田さんは僕たちに住所と地図書いたメモを渡してくれてね。


「この人、お前達知り合いだろう?大学夏休みとかで福井方面から沢山人来てるんだ。ボランティアとしてな。何でもお前たちの活動に触発されたって言われてた。お前たちがこの人と知り合いじゃ無かったら未だに京都は陸の孤島だったかもしれないんだ。」


 僕たち、そのメモを渡されて思わず目を見開いたんだ。この人なら覇権争いに興じて京都の現状を見ようとすらしない世界政府に異議を唱える事が出来る人だったから。旧皇族の竹田家は11年前の戦争時に御父上が殉職されて武勲を残していたからこそ皇族が排斥されて以降も世界政府に物申せる立場にいたんだ。竹田憲仁福井大学工学部教授。表向きはそんな顔で飄々と過ごしつつ、日本政府にもパイプをお持ちで。色んな所に干渉出来る立場の一人だったんだ。

 僕たちは指定されたホテルに向かうと原田さん。事前に連絡してくれていた様で教授、出迎えてはくれたんだけどね。ただ……………


 行って僕たち驚いたよ。何が悲しくて旧皇族と言うやんごとなきお方がラブホを拠点にしてんだか。聞いたらホテルも軒並み被災してるんで急に手配しても取れなかったんだそうな。


 翌朝、子供達が保育園に帰って来たニュースを見て僕たち安心したんだ。園長先生がインタビューに答えてて僕たちの名前を挙げて感謝を伝えてくれたんだ。僕たちのボランティアはまだまだ続くけど、元気。貰えた気がしたんだ。

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