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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
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ただいま。

 水牢に入って3日目位から水牢の外から僕の身を案じて祈り続けるモハメドの気配。分かってたんだ。閉じられた眼帯の目からも確認出来てたんだ。姉上様から賜った目の効力。半端ないんだ。僕も、水牢の中で人体の修復と同時に修行課せられてた。自分で自分の体を修復する方法って言うのかな。ヒール唱えれば直ぐじゃんって思ったが、これを覚えていたら肉弾戦してても回復しながら戦える様になるから竜化するにも人である時にも覚えておいて損は無いそうなんだ。魔力を全身に駆け巡らせながら傷ついた場所をピンポイントで直す作業なんだが、集中してないと直ぐに見逃してしまう。其れ位、僕の魔力が全身を駆け巡るのが早いって事でね。まず、魔力の流れを極端に遅くする。んで、直す。速度を徐々に上げて直す。この繰り返し。


 だけどね、見えない無数の傷があったなんて誰が思う?見えてない鱗の部分はズタズタなんだそうでね。


 ヒールをかけてしまいたい衝動に駆られつつ。僕は眠り続けたんだ。



 そこから更に1週間が過ぎた頃から外が騒がしいんだ。何をしてるんだと思ったら、モハメドの奴、フラウディアの力で結界張り巡らしてしまって完全に封じ込めてしまってた。外からは心配したと思われる人の声。ルーベルトさんも強行して入ろうとするも、既に精霊王を子供達に譲った後とあってフラウディアの力の前に手も足も出ないんだ。アークさんも駆けつけてる様で。


「どけ!」


 の一喝の後に斬ったけど、扉に傷一つ付かない有様で。ネイサン呼び出して魔法解除を指示してもヒビすら入らず。


「どうやって封印施してるんだ?あいつは。」

「フラウディアの力に竜族の力が加わってる。もし、開けられるとしたら皇帝陛下にお願いするしかないのか?」

「そんな悠長な事言ってる場合?皇帝陛下でも飲まず食わずで眠れない状態で持って10日程よ?幾ら竜族でも限度ってあるのよ!開けなさい!モハメドっ!あなたがそんな事してもピール君は喜ばない!」


 ……………アーリアさんの言う通りだよ。って僕は思ったんだけど、一向に辞める気配無いんだ。ずっと呪詛を唱えながら僕が少しでも元気になる様にと願って魔力送り続けてるんだ。僕はいたたまれなくなって少しだけでも僕の魔力を分け与えようとしたら。


「修行に集中しなさい!ピール!」


 ってお叱り受けちゃったんだ。モハメドのお母さん。あなた自分の娘が無茶してるのに娘が可愛く無いのか。って突っ込みそうになったが怖いので辞めて置いた。



 そこから更に1週間が過ぎると流石に姉上様の出番になった。みんな仕事があるから色んな人が心配して見に来るんだが、その姉上様を持ってしても結界解けないんだ。見るに見かねて姉上様は父さん呼んで助けを求めたんだ。そこにエルフの神が加わってようやっと封印が破られ、中に何名か入ってようやっとモハメドの様子が分かったんだ。


 モハメド、完全に意識を失ってた。みんなが言うには、魔法を破った反動で失神しちゃったんだろう。ただ、服装を聞いて僕は驚いたんだ。アラブの女性が着るアバヤでね。全身僕が購入した服でさ。きっと、それ着てたら僕がそれ見たさに出てくるかもしれない。って思ったのかどうだったか。意識ないから分からないけどね。下には黄色系のドレス。上は黒色に見事な刺繍が施されてるアバヤ。目以外はスカーフ状の物で隠してるって聞いて僕に動揺が走ったんだ。猛烈に恋焦がれた。僕、静止を振り切ってモハメドに会おうとしたけど既に運び出された後だったんだ。でも、正直言ってほっとしたと言うか。会えなかったのは残念だけど、もう20日以上飲まず食わずで眠らず。って普通の人なら死ぬので真似しちゃいけないレベルでね。でも、この頃になると、僕も早い速度で傷口を素早く治せる様になってたんだ。モハメドのお母さんも良く頑張ってるって初めて褒めてくれたんだ。ただ、モハメドへの想いは募る一方だったんだ。本当に切なくてさ。心配で心配で胸が張り裂けそうだったんだ。



 幸いな事に、2日後、外からの話し声でモハメドが無事って分かったんだ。気持ちは凄く分かるけど、中の旦那を困らせるのは良くないと思うよって。本当にそれな。誰か分からないけどモハメドに説教してくれてありがとうございます。って僕は思ったんだけど、モハメド来るのは心配の余りで。だから、もし来たら引き込んで良い?って聞いたら


「無理に引き込む必要はないでしょう?自らの足で会いに行きなさい。もう、身体の方も大丈夫。だけど、ここで竜化試してからね。」


 って言われたんだ。僕は一旦服脱いで竜化してみたんだけど、今度は傷だらけになってなかったんだ。何故、最初に竜化した時に傷だらけになったのか。僕は考えてみたんだけど、きっと、どのくらいの大きさになるのか全然把握してなかったから人の身体に負荷かけちゃったのか。って。僕はそう感じたんだ。ちょっと小さめで変化したので丁度良いみたいでね。8m位から徐々に大きく変化出来る様にすると良いって教えて頂いたんだ。実際には身長で最大の大きさ。分かる様なんだ。成竜になると大きさも力も固定されるけどね。実際、僕が最初に変化した時はモハメドよりも大きかったそうなんだ。


「良く頑張りましたね。ピール。これでもう大丈夫。これからモハメドからも力の譲渡。あると思うのよ。あの子ね、竜族なのに雄々しい所は全く無くて寡黙で大人しくて物凄く気弱なの。今回、その事をイヴァン様にも注意を受けていたけれどね。だけどね、これは子種の人格に問題あったとしか思えない位なの。あなたもずっと見てきたから分かると思うのよ。あの子が幼少の時にスーパーマンでいられた訳。余りにも臆病だったから遠隔でこっそり力を貸してました。学校に行ってる時は大丈夫だけど、あなたが調査を命じた時。危険な橋を渡る時はいつも心を強く持てる様に私が誘導してました。『全てはピール様のおん為。』と。」

「モハメド、それで。通りで僕が出来ない事も平気で出来てた謎が解けた気がします。考えてみればそうだ。一人で行かせると凄く恥ずかしがる子がマフィアの調査なんて良く行けたよなぁって感心してた位です。ですけど、僕はそんな従順で控え目な所に僕には無いものを感じて惹かれた位なんです。僕、思うんです。僕はこれからもモハメドを守って支えたいとそう思ってます。ですけど、大人しく僕に守らせてくれるでしょうか?」

「それは、あなたのお父様のイヴァン様にも分からない問いね。今回、イヴァン様にも注意を受けてたのもピールに任せっきりにせずに夫婦で助け合いなさいって事よ。でもね、以前にも同じ様な注意を受けてるの。ルーベルトさんに。『ただ盲目的に従うだけが愛情じゃないよ。』って。ピールもモハメドの口から聞いて覚えてるでしょう?」

「はい。」

「あの子は昔も今も自分が強くあるのにあなたが必要な子。その事を踏まえた上で意見を聞くと良いでしょうね。ただ、今回の様な緊急時だと聞いてる暇は無かったわね。時間が経てば経つほどに身体の痛みも頭痛も起きて来てたのにモハメドに一言も訴えなかったのは何故?」

「うーん。とにかく必死だったとしか。目の前の命が失われていくのが我慢がならなかったから。それとモハメドの本当の姿を見せたく無かったから……………って。あれ?」

「……………ふふふ。本当に私の愛娘を心から愛して下さったが故なのね。本当に親としてこんなに嬉しい事はないわ。これからもモハメドの事宜しくお願いするわ。さぁ、お行きなさい。ピール。お迎え。ちゃんと来ているわよ。」

「……………」


 僕は、初めて両目を開けて目を覚ましたんだ。水牢越しに愛しい人の顔。見れたんだ。アバヤを着用して頭にスカーフを巻いて化粧してて。真紅の紅が白い肌に映えるんだ。水越しに見るからか、キラキラしてるんだ。モハメドの目から大粒の涙が溢れたんだ。僕が手を伸ばせば、結界がパリン!と言う音がして割れてね。僕は水の中から出されて、濡れるのも構わずにモハメドの腕の中にいるんだ。モハメドの涙ってね。まるで綺麗にカットされた雫の形した宝石みたいになってさ。ポロポロ落ちるんだ。声上げて泣き続ける人に。僕は手を伸ばしてさ。ただ。


「ただいま。」


 って。それだけしか言えなかったさ。色々言いたい事あった筈なのにね。僕の為に泣いてるんだと思うとね。モハメドは竜だから決して小さい心臓じゃない筈なのにさ。僕がなかなか起きて来ないから心配の余り助けようとして結界張って命振り絞って無茶してさ。どんなに心を痛めていたのかと思うとね。文句を言うどころか、僕の中でモハメドの存在が宝物感が増したと言うかね。どうしようもない位愛おしくて。アバヤ。本当に良く似合ってるんだ。外出る時には男装せなならないのが残念な位。物凄く神秘的で美しい姫君だ。モハメドはフラウディアに結界張らせて寒くない様に温風出してね。僕を抱き枕にして眠り始めたんだ。やっと安心したのかな。って思ったんだ。僕に出来るのはただ気持ち良さそうに安心しきって眠るモハメドの頭を撫でで慈しむ事しか出来なかったんだ。


 翌日、二人で日本のボランティア活動再開する為に京都まで戻る事にしたんだ。仲間達はもっと長く休んで行けって言われたんだけどね。でもね。この腕の中の愛しい人は被災して日にち経ったけどきっと困ってらっしゃる方々が沢山いらっしゃるんじゃないか。って。言っててね。僕が倒れた時に世話になった場所にお伺いしてお礼したいらしくてね。直ぐに食べられるレトルト系統とか、食料品を大量に持参した上でお伺いする事にしたんだ。

 アイテムバックを受け取って、僕たち転移魔法で京都市内に入ったけど、僕たちに待ってたのは梅雨が空けて腐臭漂う様になってしまった京都市内で、未だに再開目処が立たない保育園から活動再開する事にしたんだ。

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