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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
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僕たち、休養を命じられる。

 ピールはなかなか目を覚まさなかったんだ。僕たち無一文だから病院の類は。って言ったんだけどね。そしたら、日本国軍経由で日本政府に通報されてね。ピールの入院費。全額持つのでって言われてね。流石に断ろうとしたんだけど。


「ピール大司教様が竜になってまで助けて頂いたお陰で死者は出てるが被害が最小限で済みました。本当にありがとうございました。熱が引くまで暫く其方で滞在して下さい。お金の事も食料の方も気にしないで下さい。ムーンフロンティアからも京都が水没した災害を受けて食糧支援が届いております故。」

「此方こそご迷惑をお掛けして本当にすみませんでした。」


 僕は災害を受けた筈の京都府知事さんにこんな表敬訪問受ける羽目になったんだ。

 生まれた時から無理をすれば直ぐ熱出してたピールなんだけど、大人になってからはこう言うの初めてだったと記憶してるんだ。


 本当に早く目覚めてくれないかな。父さん、助けて。って祈ると父さん出てきたんだ。


「どうしたんだ、モハメド。……………ピール、無茶し過ぎたな。」

「分かりますか?」

「ああ、知ってるよ。あいつ頭痛出た時点で引き下がってればこんな重篤化する事も無かったんだけどなぁ。だけど、無理をしたのは何もピールだけじゃねぇな。モハメド。お前も例外じゃないぞ。豪雨の中、何時間もいたからお前も熱出てるぞ。二人して仲良く風邪引くとはな。ただお前が倒れないのはな、ピールを守りたいって一念だけで持ってるだろう。二人とも疲れてるんだから暫く眠ると良いだろう。」

「えっ。」


 父さんとの会話を最後に僕。とうとう意識手放しちゃったんだ。



 気が付いたら、僕の腕には点滴。されてたんだ。そして、僕の隣で重篤化してるピールが眠ってたんだ。僕は人の気配がして。思わずそっち向いたんだ。そして、目が覚める様なイケメンエルフが僕に付き添ってくれてたんだ。


「大丈夫か?モハメド。随分と大変な思いしてたんだな。アーリアも心配してるぞ。」

「シューマッハ父さん?」

「滅多に日本から災害派遣要請される事無いんだがな。ローグフェルグに。だけど、今回の災害。お前達が巻き込まれた事を皇帝陛下は既にご存知だ。今、現場で僕の代わりに陣頭指揮をなさっておいでだ。皇帝陛下は意識を無くして以降、一向にお目覚めにならぬ弟君に御心痛を訴えてらっしゃる。病院名は教えたから、もうそろそろお出ましなさるだろうな。」

「あの、僕は?」

「お前は肺炎一歩手前で済んでる。問題は隣で眠られてるピール様だ。福井から録に休養取ること無く京都に強行しただろう?疲弊の度合いが半端じゃ無くてね。初めての竜化で無理までしているからね。急性肺炎だそうだ。あんまりにも熱続く様なら危ないって言われたんだ。」

「そんな…………」

「まぁ、心配しなくても陛下が来られればお目覚めになられるだろう。案ずるな。ちゃんとピール君は帰ってくるよ。」

「…………」


 この後、1時間後に陛下が来られて、僕と少し話をして事情を聞いた後にピールの眠ってるベッドに回復力上昇の効果をつけてピールの手を取って祈ったんだ。そしたらシューマッハ父さんの言った通り、ピールは目覚めたんだ。



「……………姉上様?」


 僕は、重たい目を開けた。声がかすれた。隣にモハメドがこっち向いて心配の余り泣きそうだったのが分かったんだ。僕はモハメドに。


「僕、何日位寝てたんだ?」

「2日。心配したよ。ピール。」

「……………姉上様、申し訳ありません。御心痛をおかけしました。」

「構わぬ。日本政府からも随分とお褒めを頂いた。だが、少々無理をし過ぎだ。人々を助けに行って、自分が倒れてしまっては本末転倒であろう?人間、誰にでも引き際があるのだ。ちゃんと自分の体調を見極めて、無理だと思ったら自分で抱え込まず、ちゃんとパートナーを頼るのです。それに、約束したでしょう?私にも相談しなさいと。此処では日本政府にも迷惑をかける故、一旦、そなた達をローグフェルグに移送する事にした。既に日本政府との交渉を終わらせている。ファルメリア宮殿に急ごしらえでカプセルを2台用意した故、そこで休養を取れ。これは命令です。準備は良いですか?シューマッハ。」

「御意。」


 僕は、複数のエルフに囲まれた。一人は器具の電源落として心音測る機械を取り外してた。そして、大きめの僕を楽々抱えたんだ。姉上様は点滴を持ったまま呪詛を唱えるとあっという間にファルメリア宮殿の中だったんだ。


「エド、エドはいますか。」

「はっ、此方に。」


 僕たちほぼ2ヵ月振りにエドに再会したんだ。すっかり此処での生活。板についてるんだ。イギリスから去って1ヵ月。自らを罰する形で最愛の国と決別してね。あれからイギリスはルシール王妃様の事を完全に黙認した与党に非難が集中してね。国を二分する様な論争に発展してる。成り変わってたエドの言いなりにならないと生命の危険がと言う与党に「腰抜けめ!」と非難轟々の野党と言う図式だ。僕の印象からすると自分達も命の危険があったら野党の皆さん逃げない自信あるのか。って突っ込みたい心境だけどね。


「ピール達を引き取って参りました。直ぐに案内しなさい。」

「此方になります。」


 エドの先導を受けて僕は一歩も歩かない状態でね。僕たち美しい中庭が一望出来る大きな主塔の一番大きい部屋に案内されたんだ。ファルメリア宮殿にこんな施設あったかなぁと考えたが。父さんの銅像があって、エルフの神様の銅像があって、竜神様の銅像があって。どう考えてもこれは僕たち水牢の中に閉じ込められる!と思って暴れようにもね。身体が言う事聞かないんだ。後ろ振り返ったらモハメドもいないんだ。えええっと思って、混乱したんだけど。


「ちょっと、殺意剥き出しにするのやめて欲しいんだ。ピール君。今回、君のダメージ凄く深刻なんだ。初めての竜化ってね、いきなり1日とかするものじゃ無いそうだよ。竜神様が仰るには。なのに、初めての竜化で酷使した君は反動で目が覚めなかったって訳だ。まだ肺炎の方が治りが早い位だって。肺炎の処置と合わせて竜神様が直々にお出ましになって人体の修復と効率的な魔力管理の方法教え無いと命が幾つあっても足りないから暫く、そこで大人しくしていて欲しいんだ。やれ。」


 えええっって思ったさ!運んできたエルフの人。いきなり僕を落とすんだ。酷くない?って思ったさ。落とされたから痛いの覚悟していたんだけど、ドボン!と言う音と共に僕は点滴毎水の中に入れられたんだ。僕を受け取ってくれたのはモハメドのお母さんでね。僕を見て一言。


「あなたは確かにモハメドに無茶させない為に竜化した様ですね。ですが、人の身で竜の力を得る事の重大さをまだ理解しているとは言いがたい。よって、私に暫くお付き合いなさい。そうでなければ、私の可愛い娘が悲しむからです。何か文句はありまして?」

「……………ありません。」


 僕はこうして暫く水牢の中で静養となったんだけど、途中からいなくなってるモハメドの事が案じられてならなかったんだ。



 そしてね、僕。モハメドがどうなったかと言うと、その一つ手前の階の部屋に僕は入れられたんだ。ピールを見送る間も無くだ。僕は既に陛下がいらっしゃらないって事に気がついてた。警戒はしてたんだ。自分の父に当たる人だけど。父さんはただ一言。


「モハメド、悪く思うなよ。陛下の弟君が命の危険に晒されたのにはお前にも責任があると陛下は仰せだ。まぁ、止める間も無くいきなり変化してるから僕はモハメドに罪は無いと言ったんだけどね。でも、倒れたピール君をどうやって助ければ良いか。迷ったよね。君なら父さん呼び出せた筈なんだ。」

「あっ…………」


 そうだ。僕。肝心な事忘れてた。わざわざ見ず知らずの人に迷惑をかける前に出来る事あったんだ。もっと早くに相談すれば各方面に迷惑かけずに済んだんだ。


「そんな訳で、イヴァン様がお前に直々にお願いしたい事があるそうなんだ。イヴァン様にとってもピール君はかけがえのない宝物の一つだからね。だから、ゆっくり話しておいで。僕とアーリアは君が元気になって戻ってくるの。待ってるから。」

「……………はい。行って参ります。」


 僕はシューマッハ父さんが離す前に自ら飛び込んだんだ。中はね、案の定水牢になってたよ。ドボン!と言う音と共に両手広げて迎え入れてくれたのは他でも無いイヴァン父さんだったんだ。僕は、父さんの腕の中にすっぽり収まったんだ。父さん、生前の精悍な頃のお姿でね。元気な頃の。僕は腕の中に包まれただけで落ち着けたんだ。父さんは、慈愛がこもった様な優しい目で。


「お前には本当に息子が苦労かけるなぁ。大変だっただろう?」

「いえ、悪いのは僕で。あの、僕がピールを化け物にしちゃったから。そっ、それで…………」

「それはピール自身で選んでピール自身が受け入れたんだろう?それでお前を責める様な事した事あるのか?」

「そんな事、一度もありません。僕は、モハメドとお揃いが良いって。ただそれを言い張ってます。奇異の目で見られても僕を慮ってくれるんです。自分よりもまず僕の事を考えてくれるんです。今回だって…ピールじゃ無くて最初から竜族だった僕が行けば避けられる事態です。本当にすみませんでした。僕がしっかりしてないばかりに…僕は…僕はピールを危険に晒してしまったんです…………」

「…………」


 イヴァン父さんはただ僕の話をうんうんって聞いてくれたんだ。父さんね、おもむろにね。


「モハメド、お前に足りないもの。何か分かるか?それはな、一歩踏み出す勇気だ。あいつはこれから色んなものを守る為に先陣切って闘うだろう。あの子には確固たる信念あるから。だけど、それは今回みたいに身体を限界まで酷使してな。身体がバラバラになりそうな痛み抱えてまでする事じゃ無いと俺はそう思うんだ。ちゃんと様子を見て、ダメな事はダメってはっきり言うって勇気いるけど、今のモハメドには凄く必要な事なんだ。側で震えてるだけじゃ何も変えられないぞ。お前たち、パートナーなんだろう?お前は確かにピールには後ろめたいものを感じてると俺は思うんだ。だけど、自分を責めた所で何かが変わったのか?」

「……………いいえ。」

「そうだ。何も変わらないよなぁ。だったら旦那信じて一歩踏み出してみれば良いんじゃ無いかな?」

「…ピールを信じる。僕、幼少からお側にお仕えしてるのに信用してないなんて有り得ない!」

「でも、そりゃあ主従関係で信じてるだけだろう?俺は、夫婦として信じろって言ってるんだが。」

「夫婦として……………か。」

「んで、お互いを支え合うんだ。ピールばっかりに判断任せるんじゃ無くて。出来そうか?」


 僕は首を縦に振ったんだ。僕はこの後直ぐ風邪完治して水牢から出されたんだけど、最上階で死んだ様にねむるピールの事が心配でならず、僕は最上階から動かず。飲まず食わずで祈り続けるものだから周囲の。僕を心配する目が途切れる事は無かったんだ。

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