二人だけの休日。
二日酔いの頭で目が覚めてみれば、僕の身体は所々変化出てたんだ。酔っ払っていたから痛みに鈍かったってのもあったかもしれない。可愛い顔して寝てるモハメドを起こさない様に抜け出して洗面台まで行くとね。すっかりモハメドとお揃いになっちゃってるんだ。黒い鱗が電気の光に照らされると淡く光ってね。まぁ、色黒だから黒で良かったって思ったんだ。ただ、そうなると服は全部買い替えでしかも背中開けた特注品にしないといけなくなった訳で。普段から下着付けないから腰巻き巻いてるんだけどね。
「それにしても、服。どうしようか。父さんみたいに裁縫出来ればなぁ。背中の部分だけ開けて貰うんだけどなぁ。モハメドの服は二回り位小さいし。どうしたものか。」
そう言いながら水飲んでたんだ。そしたらさ、バスローブ姿でモハメドが入って来たんだけど、僕の姿見て酷く落ち込んだ様子でね。
「おはよう、ピール。」
「おはよう、モハメド。また気にしてるのか。これ。」
「うん。僕がピールを化け物に…………」
「もう、それ以上は言うな。僕はもう現実を受け入れているから。おいで。」
初夜の時もさ。この姿になってしまった事に心を痛めて泣いてたんだ。僕は本当に何とも思ってないんだが、僕は腕の中に抱きしめてキスしてから。
「僕はお揃いが良いから。」
って、ただそれだけを言ったんだ。僕は、竹田教授に電話して、昨日のお礼を言った後に今日の予定聞いたら。
「他のメンバーも軒並みダウンしてるから今日一日休みだ。ちょっとゆっくりしてから戻って来たので構わないぞ。」
「ありがとうございます。」
そう言って電話、切ってから。
「買い物して帰るか。」
「はいっ!ピール。」
僕たちはせっかく大都市東京に来たので洋服物色する事にしたんだ。モハメドも擬態して服を着替えてね。職員さんにお礼を言ってから街に繰り出したんだ。
でも、僕たち二人には奇異の目が注がれた。居心地の悪さを感じて僕たちは早々に切り上げたんだ。
モハメドが済まなそうに。申し訳なさげにクシュンと見る見る落ち込んでいくのがね。ただ、服はちゃんと購入したんだ。探したんだ。カンドゥーラ売ってるお店。モハメドのサイズも購入してね。大量に購入するから何事かと聞かれたけど、僕たちの事情を話したらご主人が良い人でね。
「お前たち、大変なんだなぁ。隣の人も男装こそしてるが本当は女性なんだろう?黙っといてやるから、女性物のドレスも買ってやりなよ。」
「商売上手だね。ご主人。」
「まぁ、そう言いなさんな。儂も出身はメルツだからザイード殿には随分とご贔屓にして戴いたんだ。ザイード殿から子供達が大きくなったら必要になるだろうからってこんな物も託されてたんだ。今も思うが本当にご縁があるんだなぁってな。」
そして、僕たちが見たのはカンドゥーラを少々改良した代物だったんだ。表は普通にカンドゥーラなんだけどね。後ろが翼が出せれる様に裾までマント状に長い布があってね。長い布広げたら背中の部分だけくり抜かれててね。僕たちは驚いたんだ。ひょっとして、父上様もどうなるのか。分かってたのかと思ったんだ。
「まぁ、親の愛が成せる業なんだろうなぁ。ピール様。ピール様がモハメド様、第三夫人様、ザイード様以外に心を開かない事はみんな知ってたんです。モハメド様がピール様のお手つきなのは公然の秘密でしたからね。アルジャジーラじゃ。だから、こんな物用意させて日本に渡る様に命じられたのかもしれません。」
「……………」
本当に僕は何から何まで恵まれていたんだなって思ったんだ。下着の類も背中の空いたタイプが欲しいと言えば、それもデザインが残されていてね。既に見本が1着だけあった状態でね。竜に変化しちゃったら破けるって分かってたから結局オーダーメイドで全部揃える事にしてさ。僕と、擬態したモハメドと両方採寸して貰ってね。女性で外を歩く機会無いけど、念の為にアバヤとジャラビーヤを数着とヒジャブも何枚か購入してね。
「何の為に購入したんだよ。ピール。」
「そりゃあ、僕が愉しむ為に決まってるじゃん。二人っきりになったらこれな。」
って、耳元で囁いてさ。これは普通にサイズがあったから持ち帰る事にしてね。オーダーメイドした商品が出来上がったら僕のスマホに連絡貰う様に手配したんだ。それぞれ10着ずつ新規に購入したし、上質の布にしたからお値段も結構良かったけど、メルツで購入するよりかは安く済みそうなんだ。生地が現地の日本製だったからね。結局、あーだこうだとやってたらあっという間に2時間過ぎててさ。僕たちはお暇する事にしたんだ。店に直接飛ぶ事をお許し頂いたんだ。僕だけなら自業自得だけど、モハメドは生まれてからずっとこんな扱いだったのかと思うとね。いたたまれなかったってのはあったんだ。
僕たちは店を出てね。僕は狭い路地にモハメド連れ込んでキスで塞いだまま僕はとある場所に飛んでみたんだ。僕が念じたのは月にある父さんの自宅。ここの施設、父さんが最後に家を出る時に細工してた場所でね。
「此処な、思い出の場所だから不死族の奴等に使われたく無いんだ。だから、アーク。悪いんだけど、封印してこの地に誰も近寄らせない様に出来るか?」
「ああ、そう言う事なら任せろ。ネイサン、結界魔法!」
そんな訳で、ここだけ実はエロの管理から外されたんだ。此処は父さんが独自に組んだAIが管理してるから空調から全て地球に近い与圧されててね。もう、この事実知ってるの。僕たちだけになったんだ。直接室内に入れば懐かしい風景と窓から地球が見えたんだ。
「さぁ、僕たちに残された最後の楽園になったね。ここ。」
「肝心の食料とかどうするの。ピール。」
「…………」
「全く、詰めが甘いよね。10年前の食料なんて食べられる筈無いでしょう。思いつきで行動するのは悪い癖だよ。ピール。」
「確かにそれは否定しないよ。モハメド。でもね、思いつきのお陰で僕は色々なものに恵まれたから僕は悪いとはこれっぽっちも思ってないんだ。此処だと誰にも見咎められる事もない。誰も空気の無い筈の月に僕たちがいるとは思わない。此処でシェアハウス使って時間伸ばして仕舞えば僕はずっと君に溺れていられるんだ。さぁ、僕をもっと愉しませてよ。僕の可愛い奥さん。僕の世界の中だけで思い存分溺れてくれよ。その罪悪感無くなるなで僕は一切手を緩めないから。」
僕はシェアハウスを詠唱して外1時間に対して中は無制限って無茶苦茶な設定したらすんなり通ってね。モハメド連れ込んで事に及んだんだ。僕にしかイニシアチブを持たさないのを知ってるからモハメド対象に魔法解除したらすんなり擬態解けたんだ。もうそこからはね。僕は止まらなくなったんだ。色々なもので魔力が無尽蔵にあったから賢者の石が共鳴すればモハメドが色情に狂うのに拍車がかかり、僕もそれに溺れまくったんだ。アナログの時計を持ち込んでた。日付付きの奴ね。どれだけ過ごしたか見当付かないからね。結局、飛びながらやってたから魔力が尽きかけたタイミングで僕たちも燃え尽きてね。結局、翼出したまんま折り重なる様に寝ててさ。魔力が完全に復旧した段階で目が覚めて快楽の余韻で嬌声上げてるモハメドを抱き上げてシェアハウス解除したら外の時間1時間に対して中で3日位過ぎてたんだ。その時計もね。電波受けて直ぐに時間戻っちゃったけどね。父さんの使ってたベットにモハメド寝かせてね。ふと机を見たら電話のランプが点滅してたんだ。これはね、ムーンフロンティアとの直通回線でね。僕は電話に出る事にしたんだ。
「はい。もしもし。」
「そのお声はピール様ですね?世界政府から問い合わせがあったんですよ。月にいない筈の生命体の反応あるって。本当に人騒がせな。一体、何故にその様な場所に居られたのですか?」
「それがね、昨日挙式したのは知ってるでしょう?日本政府がわざわざ迎賓館貸して下さって。その翌日って事で僕たち買い物に出たんだけどね。僕もモハメドも奇異の目で見られて居心地悪くてね。んで、モハメドの気持ち癒したくてこっちに飛んだんだ。魔法でね。まさか世界政府から問い合わせあると思わなくて。お忙しいのに本当にすみませんでした。大統領閣下。」
「いや、それなら大丈夫ですぞ。意中のお方を迎えられた事。喜びに堪えません。これは早速、祝宴を準備せねば。ピール様。モハメド様を連れて本国へお戻りください。これは実にめでたい!」
「いや、僕たち明日からさ…………」
「おい、明日から3日間。急遽だが祝宴を開くと内外に出せ!ピール様はアルジャジーラの旧王族であらせられるからメルツに宴の方法問い合わせるんだ!大至急な!」
「あ、あのぉ…………」
「準備が出来次第、ご連絡を差し上げますのでそれまでは一歩も動かないで下さいよ!あなた方はイヴァン大統領とつるんで失踪するプロでしたからね!抜け駆けは無しですからね!」
「分かったけど、取り敢えずお腹空いたから何かデリバリー頼めますか?そっちで。」
「じゃあ、一旦、大統領府にお戻りください。それまでにピザとコーラで良ければ手配しておきますよ。テリヤキチキンピザ手配してお待ちしてますので。」
「良く分かってるじゃん。流石大統領閣下。」
「煽てても無駄ですよ。一体、あなた方とどれだけ長い付き合いでどれだけ振り回された事か。ピール様の胃袋を掴んだ時点でお陰様でイヴァン大統領時代には楽をさせて頂きました。そう言う事でしたら直ぐに戻ってお休みください。」
「分かったよ。」
そう言って、僕は電話を切ったんだけどね。モハメド、いつの間にか起きてて。話の一部始終全部聞いてて。戦々恐々、事の一部始終報告したらね。
「またぁ〜っ!」
って、モハメドの雷が落ちたのは言うまでも無く。ハラールフード準拠のピザ屋さんのテリヤキチキンに釣られて本当に子供だの何だのとお小言を頂戴する羽目になったんだ。そしてね。母国に戻った僕たちに待ってたのはアルジャジーラで嘗て見かけたのと全くと言って良い程遜色の無い宴でね。僕たち、そこで3日3晩。急遽作られた玉座に侍りながら接待すると言うね。客人として招かれたエド達も。
「世界が君たちを手放すのは一体いつの話になるのであろうな?」
そう言って大笑いするんだ。僕たちは結果的にこれが原因で福井での作業が遅れ、僕は二日酔いの頭で魔法を行使する事になったんだ。




