神々が消えた日本の大地を征く。2
今回、日本に派遣されたのは北海道知事が愛媛県知事に粘土の一件で僕に会いたいって話しが父さんの耳に届いたからなんだ。愛媛県松山市の地下都市に出向くのは僕とモハメドのみ。後の人はみんなイギリスにいる沢山のエルフ救出の為に動いてるんだ。まぁ、それは良いんだ。僕たち最初から二人で布教活動しようって事にしてたから。行き方分からないから、行った事のある福井県に飛んでから道中歩いて向かったんだ。
無人の地でね。見える範囲内だけでもって思って、国道を南下したんだ。掃除しながらね。山から漂う悪臭があるからスルーの魔法が欠かせない。国道を通ってたら10年前にお子様ランチをご馳走になった店あったから覗いてみたんだ。看板出てた。命令により、地下に移りました。って。住所控えたからあの大将に会いたいねって話しになって寄り道する事にしたんだ。福井市の地下都市に店舗移転していたんだ。
1月で、雪の中を掻き分けながら進んだんだ。長めのダウンのコート着てても雪が染みて、冷たくて寒い。地上を放棄してるから雪かきなんて物はなく、降り積もってるんだ。やがて、街の跡地の様な。ビルの森が見えたんだ。当然、何処も鍵閉まってたんだ。外が暗くなり、JRの駅前っぽい場所にたどり着いたけど、雪が深すぎて街の入り口。完全に雪に埋れてしまってるんだ。二人して震えが止まらないんだ。
「まずいね。全身濡れてしまって。震えが……………クシュン!」
「大丈夫じゃないね。僕は体温高いからって。頼むからいきなり寝ようとしないで。ピール!」
「寒い…………」
残念ながら、僕の意識。此処で途切れてるんだ。気がついた時には、僕は福井市の地下都市にある大きな病院に保護されてたんだ。多分、モハメドが事情を話して連絡してくれたんだろう。懐かしい顔が一人いたんだ。モハメドと一緒にさ。
「気がついたみたいだな。前回来た時も突然だったが、今回も突然だったなぁ。大変だっただろう?外。誰一人として地上に住んでないから困ったモハメドが俺に連絡くれてな。モハメド声変わりしてないから直ぐに気がついたんだ。勇者パーティーにお子様二人いた事をな。俺は福井市役所に通報して保護して貰ったが、お前達、こっちに来たの。ボランティアの為だろう?北海道が悪臭しなくなってさ。今年から地上に戻ってるってニュースでお前達のボランティア活動の事知ったんだ。」
「ご無沙汰してます。大将。迷惑かけてごめんなさい。」
「いいや、気にするな。今回、此処を綺麗にして行ってくれるのか?」
「本州大きいからここだけ綺麗にしても他が出来てないと厳しいです。悪臭ひどいから。僕が父さんに命じられたのは、愛媛県知事に会いに行けって言われたんだけど、行った事の無い場所だったから…………」
「んで、ここ飛んだら雪が深くてニッチも察知も…………」
「国道を南下してたらお店あって。懐かしくて大将に会いたくなって。」
「そうかそうか。俺に会いたくなったか。よく来たなぁ。二人とも。俺はそれ聞いて本当にうれしいんだ。あの日の事は俺、今でも忘れられない。でも、同時に悲しいとも思ったんだ。今の現状はニュースになってるから知ってるんだ。手を取り合ってた筈のローグフェルグとイギリスに緊張が高まってるだろう?イギリスじゃエルフ狩りの真っ最中でイギリスに非難決議が出る事態だ。あの好青年だったエドワード王が人が変わった様になって。嘗ての仲間と敵味方に分かれて戦おうとしてるんだ。俺も正直、信じたく無い。でも、自分の子供に暴力を振るってるエドワード王の画像は全世界に流れてしまってる。一度崩れたイメージを取り戻すのは難しいからなぁ。だからと言ってあれじゃあなぁ。俺からしても狂気の沙汰としか。」
「……………そうなんですよね。完全に自暴自棄と言いますか。」
「国の王がする事では無いのは確かですけど、僕たちが与えられたのはあくまで日本へのボランティア活動ですから。父さんは、人の心を動かしたいと願うならまず真心で接するんだって。そう仰せです。僕は大司教の身ですから、元気になったらここから綺麗にしていきたいです。」
「うれしい事言ってくれるじゃねぇか。ここから行くの大変だな。元気になって、動ける様になったら暫く俺の所に居ると良いだろうな。残念ながら俺の店は自然が消えた影響で新鮮な食べ物が手に入らなくなって閉店せざるを得なかったが、もし、北海道みたいにお前の慈悲で自然が完全に元に戻らなくても、新鮮な食料が手に入る様になるなら俺も再び店開けられるかもしれないんだ。そんな訳で俺も仲間集めておいたんだ。暫くご一緒させて貰うから宜しくな!」
「此方こそ宜しくお願いします。」
そしてね、翌日の朝早い内からお見えになったんだ。福井県知事さんが。保護されたばかりの僕たちに藁をもすがる様な形で恐縮しながらね。福井県としても腐っていく自然に対して何も手を打ってない訳では無かったんだけどAIがどうにかする訳でもなく。肝心の人材も。ってなって。色々相談したいとの事だったんで、腐った自然の投棄方法によってシステム構築してからじゃ無いと難しいって伝えたら既に北海道から父さんが書き起こした設計図のコピー。取り寄せてたんだ。知事さん。北海道に希望を見出しててね。再び子供達が何不自由なく地上で遊べる社会目指してたんだ。熱意を感じてね。
「僕なんかで良ければ是非お手伝いさせて下さい!」
って言っちゃってたんだ。大将も苦笑いだ。あれはな、もうすぐ県知事選あるから媚び売りに来ただけだって言われてえええってなったけどね。
「まぁ、イヴァン大統領の息子達ならやむを得ない返答だな!まぁ、取り寄せただけで工事はまだ。直ぐに着手出来ないんだし、設計図にもあっただろう?あれには大量の魔法石が必要って。北海道は結局、お前の慈悲で妖精魔法が復活したから代用でいけたが、此処はそうもいかない。日本の中で一番標高が低いのは此処、本州だからなぁ。どっちにしても雪解け待たない限り、外での作業は実質不可能だ。お前に待ってるのは魔法石錬成作業からだな!」
「あー。休んでても働けって言うんですね。分かります。」
「設計図のコピーは後日福井県に要請して取りに行くとしよう。大学に行けばエンジニア達も居るだろうから室内で出来る作業からやってしまうに限るんだ。」
「それもそうですね。僕も寝てる場合じゃ無いな。」
「ピールのは寝てる場合です。心配したんですからね。僕は!」
そう言って笑ったんだ。みんなで。モハメドの機転のお陰様で翌日には退院出来たんだ。僕たちは大将が住んでるアパートに招かれたんだ。残念ながら資金繰りの影響もあるんだろうね。1LDKの狭い部屋にお住まいだったけどね。でも、大将が作った料理。涙が出る程美味しくてね。この人の手に生き甲斐。取り戻してあげたいね。ってモハメドと相談しあったんだ。部屋に関してはシェアハウス唱えて壁から出入りしたから気にはならなかったんだ。音も漏れない仕様で鍵かかるからモハメドに沢山ご褒美あげたんだ。
翌朝、朝からイギリスに関するニュースで溢れ返ってたんだ。エルフ狩り。人族側に多数の死者出して終わってた。イギリスに住んでたエルフ達。無事、脱出出来たみたいなんだ。それもそうか。剣聖がお弟子さん率いて助けに行ってるからね。イギリス側の記者会見でも非難轟々で、収束つかないって思ったのか。暫くエドワード王はご静養なさるって公式発表されたんだ。まぁ、その方が良いかもしれない。振り返るのも大事なんだ。きっと。
みんなが絶対に羨ましがる事請け合いの朝食食べたらね。大将の所有するキャンピングカーで福井大学まで出向いたんだ。勿論、先に福井県庁に行って設計図のコピーを頂戴したんだけどね。ご好意で福井大学に祠を建てさせて貰ったんだ。小さいけどね。学問の神様だから是非にと言われたんだ。有り難かったんだ。これで魔法。使える様になったからね。
僕たちを待って下さってたのは工学科のエンジニアの卵達と工学科の教授の方々だったんだ。そしてね。設計図見て教授の方々が感嘆の息を漏らしたんだ。北海道で採取した砂も提示したんだ。それを元にフィルターの再開発とシステム改良する事になったんだ。今のままだと水が大量に必要になるからね。僕はモハメドの魔力供与を受けてウォーターの魔法石を大量に作る事から始めたんだ。大きさの指定があるから少々小さめの石をコロコロと生成するんだ。大量にね。プログラミングの事を聞かれたら教えたんだ。間違ってないか精査して違う箇所を見つければ、組んだ生徒さんに教えたんだ。逆に、機械の事は僕からどんどん質問したら色々生徒さんから教授からも教えて頂けたんだ。大将はさ、方々歩き回って資金提供お願いしてたんだ。大将の常連さんだった方々を中心に資金が見る見る集まってさ。僕はこう思ったんだ。
自然が腐って消えたせいで日本の神々も消えてしまったけどね。人間まで腐ってた訳じゃ無かったんだ。って。
時間が過ぎるのもあっという間で、気がつけば、父さんの喪が明ける3月になってたんだ。幸い、まだ緊張こそしてたけどイギリス側の方に非があると言う事もあって少し様子見機運になったのと、ムーンフロンティアから1周忌法要どうしましょうか?ってお伺いがあってね。イスラム教じゃ無かった概念だけど、信者さんの為に一度帰国なさってはって言われたのもあってね。久々に母国に帰る事にしたんだ。作業の方は設置だけですんで大丈夫ですよ。って、教授に言われたのもあってね。2泊3日の予定で帰る事にしたんだ。法要終わればいよいよ肉体労働が始まるんだ。福井県が綺麗にするんだって。大将の生き甲斐。取り戻すんだって僕たちはそう誓ったんだ。




