セレネティア改善計画。
お陰様で、3日後には幸太郎さん。すっかり回復したんだ。正直なところ、理由はさっぱりだったんだけど、モハメドに聞いたらいたんだって。僕の真後ろに父さん達が。危急を聞いて駆けつけてくれて、神様パワーで瀕死の重態が立ち所に回復しちゃったって訳なんだ。
本当ならね、祠が必要だったんだけど、神様いたんで大丈夫だったみたい。本当に大司教になって良かったよ。
「しかし。お前達もなかなかやるなぁ。ピールの全財産みんな総本山に寄付してAIに管理させたら不正しようが無いし、差押え食らっても痛くないしな!」
「……………」
まぁ、みんなもいるから安心出来るし、モハメドが新たに結界魔法追加で張ったからあいつらも来れなくなってるそうなんだ。だけどね、それでもまだ油断がならないんだって。宇宙の上に人類が飛ばした人工衛星あるからね。総数多すぎて、壊れてるのかそうじゃないのか分からないのがみそだけどね。まぁ、雲海に常に包まれてる様な場所だからね。
「だけどね、僕、無一文になった事無いんだ。」
「そりゃあ、アルバイトでも何でもすりゃ良いんじゃ無いか?」
「あの、簡単に言いますが、僕たち一応お尋ね者みたいなんですが。」
「お尋ね者かぁ。ごめんなさいって言うだけなら襲撃する必要ねぇもんなぁ。」
「そうなんだよなぁ。ああ。此処なら生活費いらねぇぞ。物々交換が主だからな。」
「物々交換!?」
こんな所で貨幣要らない場所があるなんて。無一文の僕たちには非常に魅力的だなぁ。
「でも、人数増えれば困る事も出てくるなぁ。イヴァンが急ごしらえで作った発電機。そろそろガタ来てるんだ。それに作った当初はアーニャさんだけだったってのもあるんだ。家が増えればその分消費量も増える。1台だけではちょっと厳しくなってるんだ。」
「んじゃ、僕たちで発電所作ろうか。モハメド。」
「簡単に言うけど、材料は?鉄を溶かす炉は?前は、バイソンさんいたけど今回はいないんだよ!」
「材料はこれ。父さんね、どう言う理由か分からないけどガラクタ大量にアイテムバックに入れっぱなしなんだよ。流石にこれ、母国で展示って訳にはいかないからこれだけ持ち出したんだ。んでね、炉なんだけど、悪いね。モハメド。フラウディア出して炎の精霊に鉄が溶ける程度の温度をお願いして貰っても良い?」
「……………あんな美しい精霊に雑用させるの!」
「使えるモノは精霊王でも使うんだよ。この際、贅沢言ってられないんだ。働かざる者食うべからず。僕たち無一文なんだから働かないとね。」
「…分かったよ。全く。フラウディア、ちょっと良い?」
モハメドがフラウディアを召喚して何かお願いしてくれたんだ。そしたらね、
「良いよ、モハメドのご飯の為なんだよね?私、頑張る〜♪」
って快い返事を頂いたんだ。本当に良い子で良かったよ。
作業始めて3日が経ったよ。本当に父さん。尊敬したね。こんな繊細な作業だったなんて。誤差ミリ単位で納めないと組み立てすら難しいんだ。参ったよ。それを2、3日とか1日とかで終わらすとか。本当に手先器用だし、バイソンさんも凄かったんだなぁって思ったんだ。僕、大学卒業して5年経つけど、そう言えば、介護に明け暮れててエンジニアらしい事何一つしてない事に気がついて愕然としたんだ。
完全に安請け合いしちゃったよ。参ったね。全然思った通りに出来ないんだ。するとね。痺れ切らせたみたいでね。とうとう出て来ちゃったよ。父さん。
「おいおい、随分苦戦してるんだなぁ。お前ら、設計図ちゃんと引いたのか?」
「いや…それは…………」
「ちゃんと最初からやらないと思い込みだけで上手くいく訳ないだろ?プラモデルじゃねぇんだからさ!ピール、お前もエンジニアの端くれなんだしさ。ちょっと基礎からやり直そうか。」
「うん、ごめん。父さん。教えて。」
まるまる1日かけて復習しながらどうやって作ってたか聞いたんだ。本当に父さんの凄さを改めて感じたんだ。色々物を作れたのも戦争の武器から色々作ったからだったんだ。父さんの性格上、有り得ないと思ったんだけど父さんは軍部に強要されて作ったんだよ。って、辛かった過去を包み隠さず話してくれたんだ。
その晩、僕は久しぶりにモハメドを抱いて寝たんだ。モハメドは何があったかなんて一切聞かないんだ。ただただ、僕の心に寄り添うだけなんだ。
成人になるに連れて男性なのは間違いないんだけど髭すらなくて凄く綺麗な女性の様な顔のまま大人になったんだ。乳母だった人にそっくりなんだ。髪は僕同様に伸ばしてるけど、僕と違ってストレートで珍しい髪の色してるんだ。異世界から来た血統なのは分かるんだ。緑色の髪の色は地球人にはまずいない。子供の頃に抱いてた時には無かったけれど、大人になって抱く様になると最初モハメドの方が躊躇したけど、頭に生えてる角はターバンでは隠せない程度に大きくなったし、耳も鱗も女性が持ってたそれでね。長い尻尾も快楽に溺れる時には嬉しそうに振られるんだ。可愛くてね。モハメドは異世界から来た竜族の生き残りから生まれたんだ。だから、小さい時に僕に出来なかった危ない仕事もモハメドだったら出来たんだ。
モハメドの母は凄い抜きん出た美しい人でね。他家で生まれてるけど、父親がその美しさの余り侍女ですらないその人を襲って孕ませ生まれたのがモハメドなんだそうだ。僕とほぼ同時期に生まれたのもあって僕はモハメドと一緒に育ったけれど、モハメドと一緒にいるとさ、モハメドでさえも知りたくない話が王宮で実しやかに囁かれる事も多々あって。モハメドの母、僕の母上様が亡くなってたのもあって乳母みたいな扱いだったけど、必要なくなった途端、捨てられてるんだ。竜族って珍しさもあって単なる欲望の捌け口にされただけの可哀想な人でね、その人の追跡調査をモハメドには内緒でやったけど、僕はその経緯を知るに連れて大人に対する怒りさえ芽生えたんだ。
だから、僕は決めたんだ。僕は女性は抱かないって。不幸にする位なら最初からモハメドだけで構わない。
幸いなのは僕もモハメドも真剣だったんだ。大人になってモハメドの変化も難なく受け入れられる程だったんだ。この腕の中ので、両手足の鱗が光るんだ。髪と同じエメラルドグリーンの美しい成竜でね。背中も首の後ろも鱗に覆われているんだ。快楽に溺れる目は爬虫類の特長的な瞳してるけど嬉しそうに目を細めるとたまらなく色っぽいんだ。ルビーを彷彿とさせるんだ。その女性的な顔立ちもあって僕は子供の頃以上に彼に溺れてるんだ。
僕はアラブ系の人間だから普通に髭蓄えてるけどね。普段から二人してカンドゥーラ着てるからね。白色のね。頭に被るクゥトラは赤系で普段からフォーマル仕様で肩にかかる様に垂らしてアカールと呼ばれる紐を頭の上に載せてるんだ。モハメドは角生えてるからカジュアルにクゥトラをターバンみたいに巻くんだ。小さい頃には服装の都合で隠し通せた角と尻尾も大人になれば隠せなくなった。耳も特徴的な耳してて一見しただけで人じゃないのが分かるんだ。高校の時にはそれで随分苦労したって。髪を伸ばした経緯も出来る事なら隠したいと。鱗もね、虐めにあったせいで生えちゃった副産物らしくてね。背中をバットで殴られれば背中に鱗が生えて逆にバットの方が折れた。手にコンパスを突き立てられたら直ぐに鱗が生えて針の部分が折れて刺した相手の目に刺さり。って感じでね。変わった風貌故に目をつけられたんだけど、本人が全然意図としない所で全部返り討ちにするものだから流石にこれはって事で学校ではモハメドには手を出さないって約束が生徒全員でなされて。しかも、何か有れば呼び出されるのは車椅子の賢君だったから国としてもまずいって事でモハメドは学校に通ってるにも関わらずマンツーマンの授業となってね。成績もトップだったんだって。
快楽に溺れてる間につい話し込んでしまったね。モハメドの事好きすぎて、語り尽くせないんだ。まぁ、男同士なんでその辺は勘弁してね。って言う事で。
翌朝からは父さんの教えてくれた通りにやってみたんだ。設計図引くのは学校の時以来でね。本当に苦戦したんだ。父さん、見守ってくれたんだ。出来上がれば父さんがちゃんと動くかチェックしてくれたんだ。モハメドはね、僕の知らない所で畑の収穫を手伝いに行ってたんだ。で、その時にね、畑の持ち主であるエルフの男性にこんな指摘受けたんだって。
「君、竜族だよね。ひょっとして、見た目は大人になったのに空飛んだ事無いのか?うちの女王陛下と一緒だ。空飛べないとこの先苦労するから畑手伝ってくれたお礼も兼ねて翼の出し方からレクチャーするよ!」
って言ってもらえたそうなんだ。僕たちは父さん達と相談してね。僕は引き続き、エンジニアとして設計図の引き直し。モハメドは飛行の練習って事になったんだ。もう、流石と言うかね。設計図見ただけで不備見つけるんだ。本当に天才って父さんの事を指すんだよって僕はそう思ったんだ。勿論、モハメドには陛下が付き添うから翌日になるとみんな女王陛下のお出ましに驚いたそうなんだけど、モハメドの手伝いって言ったら納得したんだ。竜族、翼出して飛べるだけじゃ無くて竜に姿を変えれば人も乗せる事が出来るんだ。異世界時代から希少種だった竜族。でも、その希少価値は新しい世界ではまだ認識されていない。僕の手元に配下として来てたけれど、僕は再びこの腕にモハメドの温もりを得た2年前からずっと考えて来た事を伝えようと思ったんだ。当時は死ぬまで一緒にいたいけど上司と部下ってのだけは嫌だなぁって考えてたよ。だけど、父さんの興した宗教はきっと僕たちの事を考慮に入れてくれたんだろう。同性婚認められたんだ。
なんで、僕は二人きりになって、モハメドを快楽に引き摺り込んで二人して楽しんでからね。僕から切り出したんだ。
「僕たち、結婚しようよ。父さんの喪が明けた来年に。僕たちは姉上様の慈悲を賜って姉上様と同じ時を生きる様に定められたけどね。同じ時を生きるならモハメドと一緒が良いなってずっと前から考えてたんだ。」
「僕で良いの…?」
「モハメドじゃなきゃ、僕の伴侶は務まらないんだ。神様になってもずっと一緒にいたいのはそなただけなんだ。僕の望みを叶えてくれるね?」
「……………はいっ!」
僕たちはこの後も愛し合ったんだけど、翌日以降も父さんのダメ出し続いてね。僕が設計図完成させるよりも前にモハメドの方が先に何とかなったから暫くモハメドに交代するね。




