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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
122/595

10年後。5

 特に何も解決策が得られないままに僕はお暇する事にしたんだ。王様達と一緒にロンドンのウインザー城に戻ってきたんだ。執事の方に案内されてついて行くとね。皇帝陛下とイヴァンお父さんが待っててくれてたんだ。


「お帰り、モハメド。珍しいなぁ。一人で出かけるなんてな。」

「ただいま、皇帝陛下。イヴァンお父さん。どうしたの、そんな所で。」

「…エドも一緒って事は、聞いたんだな。ピールが言ってた事。」

「はい。すみません。お父さん。僕、立ち聞きするつもりは…………」

「勿論、お前の性格は俺も知ってるからさ。そんなつもりじゃないのは知ってるんだ。だけど、俺が病気になってしまったばかりにお前には苦労かけたと思ってな。本当に済まなかった。勿論、お前たちの事も知ってはいたんだが、俺はピールの介護のお陰でここまでやって来れたってのもあってな。とうとう最後まで言えず仕舞いだったんだ。モハメドはピールとどうありたいんだ?」

「僕は今の関係。死ぬまで続けるつもりです。ピールにはもう、僕しか心を開ける人いなくなってしまったから。同情とかではないんだ。ただ、今の心が荒んだ状態のピールを放ったらかしなんて。僕出来ないんだ。父さん、僕はどうしたら良いんだろう。僕はピールと殺し合いなんてしたくないんだ。」

「…そうか、あれ見たんだな。多分、エドも言ったんじゃないかと思うが、相談出来る人間。お前にも必要だぞ。一人で思い詰めても何も解決策出て来なかったんじゃないか?俺の事思ってくれてるのは嬉しいけどなぁ。憎しみからは何も生まれないんだ。その事をピールに悟らせないと。だから、しばらくはピールが人と向き合える様に、AI関係の仕事。外した方が良いと思うんだ。敢えてな。理由は何とでも言えるだろう。そこの所はエドが上手くやってくれるだろう。」

「そうだな、正直な所ピール君の力を得られないのは此方としても手痛いが、ピール君が誰にも心を開かなくなってしまったのは此方にも責任があるんだ。もっと早い内から常に相談出来る環境にしていれば…………」

「後悔した所で、何一つ変わりゃしねぇよ。俺たちが再建を頑張ってる影でお前達が何をしてたか知らないとでも思ったら大間違いだ!散々、ミサトを政治の道具にしやがって。そんなに欲しかったか?世界の王の座が。心配してたってのも嘘だな。はっきりといえばどうなんだ?俺たちの事は最初から捨て置くつもりだったと。」

「待ってくれ、僕は!」

「悪いが、事の詳細は全部ミサトから聞いてるんだ。今後、一切お前達の手には触れさせん!今後は俺の神の力でミサト守る事にする。ルー、お前の忠義ってエドに利用されても気が付かない位軽いものだったのか?何が心から敬愛するだ。ミサトの心が深く閉ざされてても気が付かない程に盲目だったのか?」

「…………」

「今までお世話になりありがとうございました。これからは何時迄もイヴァンと共に。ルシールの魔法でも届かぬ所に参ります。この魔法も、もう、不要です!」


 皇帝陛下が右手にある宝玉に呪詛を唱えると、宝玉と指輪がパリン!って言う音と共に割れたんだ。導師様の顔が慌てたものに変わったんだ。僕はイヴァンお父さんの言ってる事を信じた。考えてみれば、イヴァンお父さんの身体が無理が利かないのは全員知ってたんだ。イヴァンお父さんの身体の事を知ってる樹先生を月に残す選択肢をしなかった時点で、殺す気満々だった事が伺えたんだ。


「モハメド。貴方にはこれを。雪月風花の四精霊王の一柱、春の精霊王フラウディアです。この子が持つのは最強の力。その力は、アークの持つ夏の精霊王ネイサン、ルシールの持つ秋の精霊王ショーンを遥かに凌駕するのです。この子がいれば、あなた方はルシールの脅威からも守られましょう。」


 それは本当に見目麗しい女性の精霊王でね、僕は思わず見惚れる位。お美しい精霊だったんだ。若い女性で、花の冠をして花弁をドレスにした様な服着てたんだ。フラウディアは僕に挨拶してくれた。


「初めまして、モハメド。私は春の精霊王フラウディアです。これからは二人で一緒に仲良くやっていきましょうね。冬の精霊王ウインディアと生前夫婦だった関係でウインディアが見る夢を貴方も見るから迷惑かけるかもしれないけど、宜しくお願いしますね。」

「宜しくね、フラウディア。そしてね、エドワード国王陛下、ルシール王妃様。短い間でしたが、本当に御世話になりました。もう、僕たちは生涯、関わらない方が良いでしょう。考えてみれば、月に樹先生残さなかった時点でどうするつもりだったのか。僕は分かってしまったんだ。危うく、僕は詭弁に乗せられてしまう所でした。とは言え、僕は預言を成就させるつもりはない。あなた方の力を借りなくても僕はピールを止めて見せます!」

「良く言った!モハメド。流石に俺が自慢する息子達だ。ピールは既に俺が匿った。お前もそこで魔法を学んでから旅に出ると良いだろうな。それじゃあ、俺たちそろそろお暇するぜ。二人仲良く達者にな!」


 そしてね、狼狽る二人を置いて僕たちは消えたんだ。狼狽る様子は見えたんだ。どうしてだか分かるかい?何故なら、父さんが僕たちを連れて行ったのは地球ではなくてね。神界だったんだ。きっと、人間達は皇帝陛下を利用しかしない。決して大事にはしないと分かったんだろう。父さんは此処で皇帝陛下を大事に慈しんで愛を育みたいみたいでね。もうね、ラブラブっぷりは生前と全く変わらないんだよ。いつの間にか横にいたピールもね。


「来て早々、当てられるとはな。まぁ、生前もこれが通常運転だったから仕方ないよな。モハメド。」

「そうですね、ピール。これで魔法の勉強が出来るかどうかが全く謎なんですけどね。」

「来て早々悪いが、これから大人の時間なんだよ。悪いが寝落ちしておいてくれな!」

「「はああっ!?」」


 そしたらね、僕たちはあっと言う間に父さんに強制的に眠らされたんだ。そしたらさ、まさかの睡眠学習だったんだ。僕もピールもね、頭の中に魔法の使い方や、簡略化。そしてね、それぞれの適性にあった魔法を教わったんだ。特殊魔法も全部。教わる過程を踏む内にね。魔力が高まっていくのが手に取る様に分かるんだ。神様って凄いよね。ここまで傍若無尽な事出来るんだと僕は感心しちゃったよ。でね、ウインディアの効果を使うと魔力消費を抑えて尚且つ威力が3倍で本当に強かったんだ。彼女は。普通なら妖精魔法使うのに宝石を使った契約が必要だけど精霊王持ちは最初から全ての精霊が従うから契約の必要が無いんだ。それとか、魔力供与は自分が思ってる意中の人じゃないと出来なかったりするんだ。だから僕たち、お互いの魔力を融通し合えたりするんだ。勉強が終わったら実践しないとなって事で、夢の中で実際にピールと手を繋いで魔力を流す練習したんだ。その時、僕たちは話し合う事が出来たんだ。


「なぁ、モハメド。預言、聞いたか?」

「はい。聞きました。僕たち殺し合うって。僕、ピールとそんな事したくないんだ。」

「僕もだよ。僕だってモハメドと離れ離れになって殺し合うなんて嫌だ。でもね、聞いて欲しいんだ。モハメド。僕は父さんは殺されたと思ってるんだ。それに関してのモハメドの認識は。正直に話して。」

「それに関しては僕も同じ意見だよ。みんな、お父さんの身体の事知ってたのに樹先生月に置いて行かなかったよね。その時点で父さんを故意に殺す気があったと思うんだ。だけどね、ピール。僕もピールもイヴァンって名前入れたじゃないか。だからね、復讐なんて考えちゃダメなんだ。父さんの名前に傷つけちゃうからね。あいつらならピールが手を下すまでもなく、勝手に自滅して貰えば良いんじゃないかな?」

「…成る程な。僕が今まで散々悪意あるAIを除去してきたけど、僕が協力しない。そんな簡単な事で勝手に終わってくれるなら僕たちは普通に堂々と生きていけば良いのか。」

「ただね、そうなると資金封鎖されるかもしれないよね。」

「それなら父さんが面白い魔法を開発してくれたから大丈夫だよ。賢神信仰特殊魔法は全部で3つあって、その内の一つがコントロールって魔法なんだ。流石に悪用される恐れあるから最上位魔法なんだけど、詠唱する時に物を指定すればキャッシュレスカードなら僕が思った通りに決済出来たりするし、物を持ち上げたり、日本の悪臭の元あるだろう?僕がコントロール唱えれば消そうと思えば一瞬で消す事が可能なんだ。」

「父さん、一体何考えてるんだよ。それは。余りに強力過ぎないか。」

「だからね、物だけに限定したんだって。人に指定出来る様にしたらそれこそ悪用する人出るだろうからって。」

「物の時点で既に悪用出来る魔法だよね。それは。」

「まぁ、でも罪人じゃないからさ。何とかなるんじゃ…………」

「罪なら一度犯してるよね。ハイジャック。」

「…10年前の自分を殴りたい気分だよ。確かにそれはあったなぁ。」

「でもね、これからは父さんの信者なんだし、ピールは賢神様の魔法を全て覚えて晴れて大司教様になったんだから、父さんの教えを広める旅をすると思えば良いんじゃないかと僕は思うんだ。世界政府に縛られる生き方よりもその方が余程、有意義だよ。」

「そうだね。モハメド。僕たちだけで始めよう。何者にも縛られない。自由な旅を。そして父さんの名前に恥じない生き方をちゃんとやり遂げてから父さんの元に堂々と帰るんだ。」


 僕たちはやはりこんな生き方が性に合っているんだなって思ったんだ。嘗ての父さんも自由すぎる人で周りの人が散々手を焼いたそうなんだ。空気読み過ぎてみんな父さんの居場所知らない状態になって大慌てで探しに行った逸話まで残ってる位なんだ。僕たちはその後、目が覚めたら父さんが久しぶりに料理を振る舞ってくれてね。懐かしかったんだ。元気な頃に良く作ってくれていたからね。家族の団欒を楽しんで、宗教としての教えを乞いそれを学んで、礼拝の仕方とかどうすれば良いか相談してから少し早めに母国ムーンフロンティアまで戻ったんだ。その足でピールが父さんの祝福を得て大司教になった事と、今までの資産全額を信徒の為に寄付するとピールの口から発表されたんだ。それと同時に、イギリスのウインザー城にはピールの退職届と共に今まで受け取っていた給与全額を届けたんだ。母国での日々は凄いドタバタしてたけど、ピールは信徒の為にアプリ開発したりして。充実した日々を過ごす事が出来たんだ。


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