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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第二章 忠義神ピールと慈愛神シェリル
120/595

10年後。3

「実はね、エドから先程連絡を受けてね。エルフの臓器を違法売買してる現場を取り押さえたんだ。イギリスの諜報部がね。こっちでも暗躍してるみたいだね。マフィア。でさ、その中にあったんだ。エルフの目が丁度2組。ピール君、最近、あまり良く物が見えてないんじゃないのか?さっきから僕が話してるのに視点が明後日。向いてるよ。」

「ええ、確かに夕方になると殆どもやがかかった様な状態ですが、僕なら大丈夫…………」

「全然大丈夫では無かろう?やはり、ルシールの指摘通りか。目の再手術受けよ!今のままでは任務にさえ支障が出るぞ。」

「でも、待って下さい。エルフの目がって言いましたよね、先生、目を確認させて貰えませんか?」


 その声にギョッとしたのは樹先生の方だったんだ。


「最近、皇帝陛下。片目だけですが、眼帯されてるんですよね。陛下の事だ。未来を予見して予めピール君の為に目を片目だけ摘出させた。違いますか?」

「……………エド、やはり無理だって言ったでしょう。ルシール王妃様に嘘を突き通すのは。もう、嘘がバレちゃってるので言いますけどね、ピール君に提供されるのは間違いなく皇帝陛下の片目だ。但ね、王の印が入ってない方の目を陛下のたってのご希望で摘出させて頂いて、その代わりに今、持ち歩いてるだろう。イヴァン大統領のご遺体。その目を陛下は御所望なさってるんだ。生前に目の移植手術に使って良いとイヴァン大統領から承認は貰ってるんだ。ゴタゴタしてて言いそびれていたけどね。陛下のアイスコフィンで有れば目の状態は完全に保全されてるだろう。君も目を取り替えるんだ。君の父さんのたっての希望。失明の危機に瀕している息子に光を取り戻してほしい。その願いを叶える為に、僕に手術させて欲しいんだ。」

「……………父さんにはお見通しだったか。」

「当たり前であろう?病床にあったとしてもあの男は昔から1を知って10を悟る様な人だ。そなたが幾らがんばった所で様子がおかしい事は十分知っていた筈だ。じゃなければ、この様な指示書と承諾書が送られるなんてあり得ないんだ。」


 僕は急遽、レンズ塗れで重たくなってる片目だけで指示書と承諾書。見せて頂いたんだ。間違いなく父さんの筆跡で、両目の摘出に同意すると書かれてあったんだ。


「そう言う訳だから、悪いけど、数時間後に手術するから先にシャワー浴びて来てくれるか?それまでにお父さんのご遺体から目を摘出しておくから。」

「分かりました。よろしくお願いします。」


 目の手術は散々してきたから分かるんだ。しばらくお風呂はお預けで、しばらくの間、僕の世界は闇に覆われるんだ。



 僕がアイスコフィンを出して1時間後位で綺麗に父さんの目が取られてた。僕が準備してる間に予め準備してあったんだろう。代わりに皇帝陛下の目のコピーが父さんに入れられたんだ。遺体にも関わらず神界にいるとしても不自由するからと。その為に事前にご準備されていたと聞いて、死してなお、愛し合ってたから神になってから夫婦になったんだなぁと。そう思わずにはいられなかったんだ。死体なのに丁寧に神経繋ぎ直せば、ルシール王妃様がヒールウォーターで目の部分だけ直していらっしゃった。まぁ、僕の目の代わりにモハメドがいてくれたから横で教えてくれたんだ。その後、僕は手術着に着替えて完全麻酔で眠りに着いたんだ。



 僕が目を覚ましたのは翌日になってからだったんだ。心配そうに僕を見守って下さってたのは他でもない姉上様だったんだ。冷徹な皇帝陛下じゃない、僕が知ってる優しいお人柄で。ただ、違ってるのは目の部分だけ。僕が知ってるのは黄金の目だ。だけど、今の姉上様の目はオッドアイで片目には父さんの目が入ってた。ただね、多分、皇帝陛下のお力が強すぎたんだろう。父さんの目の色は失われて薄いけど、黄金色が大分侵食してたんだ。黄緑色に大分黄色が勝ってるような。そんな印象を受けた。


「気が付きましたか?ピール。私に入ったイヴァンの目はルシールの魔法を持ってしてもイヴァンの美しい目の保全は出来ませんでしたが、ピールの目はお父様の目の保全。ちゃんと出来ましたよ。これで、もう失明する事は無いでしょう。」


 そして、僕は改めて鏡を見せて頂いたんだ。父さんの目、姉上様の目の様に侵食されてなかった。

 生前の父さんの美しい青と緑が入った様な。ブルーダイヤモンドの目。そして、陛下から賜った翡翠の目が輝いてたんだ。オッドアイになったけど、僕はそんなに魔力が高くなかったから普通に入れただけで落ち着いたんだろう。


「姉上様、聞いても良いですか?何故、僕に目を与えようとお考えになられたのですか?」

「……………そうですね、ピールには話しても良いでしょう。私はイヴァンからウインディアを託されたのは何故かと思ってました。でも、イギリスに着いて預言の力がある故に籠の鳥になる事しか出来ないとエドに言い渡された時に全てを悟りました。きっと、イヴァンは自らの手で守れなくてもその預言の力がありさえすれば世界政府が守ってくれると考えたのでしょう。確かに守っては下さいました。でも同時に自由に羽ばたく翼をもぎ取られてしまったのです。最早、私は自由に羽ばたく事も見る事も自由に歩く事も許されていないのです。だからこそ、ピールに私に代わって世界を見て欲しい。そう願って今回の決断に至りました。ピール、本当にごめんなさい。全ては私の我が儘です。」

「……………大丈夫だよ、姉上様。僕の目から姉上様は全てを見るとそう考えて間違い無いんですね。」


 姉上様の首が静かに縦に振られたんだ。姉上様の背後には父さんも見えたんだ。姉上様の目を与えられた父さんの目は黄金色に変わっていたけれど、生前みたいに慈しみを讃えた目は相変わらずで


「ピール、お前、信者になってくれたんだなぁ。俺、本当に嬉しくてな。しかも、お前、回復魔法覚えられるんだってな。ルーに教えて貰ったよ。早急に専用魔法考えた方が良いよって言われてさ。俺自身が魔法使えた訳じゃ無いからなぁ。んで、相談する為に顕現したんだ。で、ウインディアに聞いたらさ、お前、日本に行くんだってな。今の日本な、自然が枯れ果てて悪臭が漂ってる死の街となってるんだ。ちょっと心配になってな。人間達は臭いに耐えきれず、地下に挙って避難してるんだ。恐らくな、与えられる任務も消えた自然を更地にして悪臭をどうにかしろって感じだろうなぁ。お前、月に行ったから覚えてるだろうが、自然が消えた地に妖精は生きられない。何で、こんな事言うかなんだが、モハメドの適性妖精魔法だろう?今の日本がそれなんだ。妖精魔法覚えても使えない。一緒に行ってもモハメド守らないとならないって事なんだ。」

「では、特殊魔法を覚えると言うのは…………」

「それは大いにありだと思うぞ。特殊魔法系は適性無くても覚えられるんだ。これは生前の爺さんの受け売りだが間違いなく使えるから、転移魔法覚えておけばいざと言う時に逃走用にもなるし、移動した事ある場所は基本何処でも瞬時に移動出来るから身の安全が保障されるんだ。」


 僕は考えたんだ。何か思いついたと言うか。ああ、こんなのあったら便利だなぁ的な何かだ。


「父さんの例の時間経過操作出来る小部屋作る魔法使ってましたよね?あれとか物を操作するのに使い方を分析する魔法とかあると便利かなって思ったんですが…………」

「ああ、あったな。俺も良く使ってたなぁ。元々は爺さんから与えられた結婚特典でな、外の時間と中の時間を調節して入れるが、俺たちの場合は何方か一方が使ってたらもう片方は使えなかったりしてたんだ。あれ。だから、離れ離れになった時は殆ど使う機会無かったんだ。ミサトが勉強で使うかなって思って。」

「あら、私も使ってないわ。イヴァンが絶対に無理して公務に勤しむの分かってたから。」

「……………ええと、お二人さん。連絡取り合ってたんですよね?」

「ああ、してたぞ。最初の内は。でも、途中からミサトにちょっと様子がおかしいから病院行けって言われ出してな。で、ビデオ通話からSNSに切り替えてた。心配かけたく無くてな。どうしてもしんどい時はミサトが確実に使わないだろう学校のある時間帯に使う様にはしてたんだ。」

「……………じゃあさ、聞くけど、姉上様は何時頃父さんの異変に気がついてたんだ。」

「離れ離れになって1年半後。でも、今になって後悔しているわ。顔を見せなくなった時点で気がつくべきだったの。行こうと思えば行けたのよ。私、転移魔法があるんだから。でも、私も先程言ったでしょう。籠の鳥であると。私がいた部屋には幾重にも魔法を無効化する魔法陣が張り巡らされていた。外に出るのも、護衛が沢山居たから自由にって訳にはいかなかったの。世界でただ一人の預言者故よ。もし、イヴァンがウインディアを私に差し出さなかったら守られたのはイヴァンの方。イヴァンが亡くなるなんて事は無かった筈なの。ごめんなさい、ピール。全ては私が…………」

「……………いや、違うね。やはり、父さんは世界政府に殺されたんだ。父さんは、無理が効かない事ぐらい世界政府には分かってた筈なんだ。父さんの心臓と肺はクローンだったからね。だけど、生きて夫婦にさせたくなかったからあいつら、父さんを見殺しにしたんだ。」

「…ピール。お前、まさか。」

「ああ、僕は決めたよ。父さん。父さんを殺した奴らに僕は復讐をするんだ。」

「いや、待つんだ。ピール。俺のは自業自得なんだ。だから、早まるな。」

「いいや、待たないよ。ただ、復讐するのは今じゃ無い。今しても、僕の代わりは幾らでもいるからね。幸いなのは、僕は姉上様の眷属だから同じ人でも姉上様と同じ時を生きられるが父さんみたいに病気にかかれば人生が終わるし、殺されればもっと早く人生終わるだろうね。だからこうすれば良いんだ。単純な話だ。僕が、AIを統括する最後の一人になってしまえば良いんだ。そうすれば誰も止められないんだ。」

「……………」

「大丈夫さ、幸いなのは世界政府は僕に依存してるんだ。幼少の折からね。父さんを殺した代価、支払って貰うんだ。僕は、憎しみの種を抱えたまま世界政府で成り上がるんだ。そうするだけで良いんだ。実に簡単だね。後進を育てなくて良いってだけだからね。」

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