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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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地獄の黙示録。

 俺は急遽、ルーベルト中将の魔法で天皇陛下のおわす御所まで飛ばされて来たんだ。職員が俺の姿を見て敬礼するんだ。もちろん、アルビノの彼は誰よりも目を惹く。戦時下では男子で通すそうだが、先日、エドワード中将が嫁にしたばかりなんだそうだ。魔法で姿まで変えるとは誰が思うか。誰が。


 まぁ、文句を言っても始まらない。ローグフェルグ皇国の皇帝陛下に持たされたのは正に地獄の黙示録そのものだからな。俺は、玉座に座る天皇陛下に。


「ローグフェルグ皇国からの返書をお持ちしました。」


 って言って、しれっと出してやったよ。今の天皇陛下は女性で未婚。まぁ、女性が天皇陛下してる時は古い歴史を紐解いても独身の方が多かった気がしないでもない。実の所を言えば、興味がない。まぁ、年齢はこっちの方が圧倒的に高いからきっと小娘だと思って舐めてかかったのは明らかだ。


 これが、あの昭和天皇であったなら絶対こんな高飛車な態度を取る事無かっただろうに。

 エドワード中将の時でさえ、謝罪をして臣下の礼を取る事で赦しを得てイギリスに待つは繁栄とまで言わしめたのになぁ。主君が愚君だとこうなると言う前例をしかと目に焼き付けろとのお達しだ。


 やがて、全文が読まれたんだろうな。紙がさっと炎に包まれたさ。天皇陛下は慌てて消そうとなされたが、魔法の炎が手で簡単に消せるならとうに俺が消してるさ。或いは、後ろに控えて待機して大人しくしているルーベルト中将が時間を止めて差し上げてただろう。


「日本が……………滅ぶと言うのか。何故だ。言う通りにしたら大丈夫ってAI達は申していたではないか。」

「お言葉ですがね、陛下。ローグフェルグ皇国の皇帝陛下は確かにあなた以上に若くて美しいですよ。ですが、年齢以上に強かで能力は先日お亡くなりになられたジークフリート様以上のお力。魔族領を一瞬で滅ぼし、闇オークションの取り締まりも結局はあの若い皇帝の圧倒的な指揮力によるものなんです。日本にだって高度落ちない様に真っ先に処置して下さったご恩を忘れて傲慢な態度をお取りになられたあなたの落ち度であり、ローグフェルグ皇国の陛下のお言葉通り、あなた自身の考えで書簡を送らなかったからこそ日本が滅ぶ。まぁ、今後の事は俺も考えさせて頂きます。滅ぶ国にいつまでも固執してても仕方ないので。では、失礼します。」

「竹田宮、待って。待ってほしい!頼む。もう一度だけ、もう一度だけローグフェルグ皇国の皇帝陛下にそなたから取りなして貰えぬであろうか?」

「…まぁ、もしそれを取りなすのであれば俺なんかより俺の直ぐ後ろにいるルーベルト中将に頼るべきでしたな。でも、その中将もだんまりだ。それから見ても日本を助ける事は無いんだろうな。ルーベルト中将、何か陛下の黙示録に関してヒントになる事柄を千里眼で見通せるか。」

「…恐れながら申し上げます。既に我が愛しの皇帝陛下は日本に残してある呪詛全てを取り除き、一年に1cmずつ国土が下がる処置を施して御座います。今まで陛下の恩恵を受けて存在し得た自然も徐々に枯れて一切食物が育たぬ不毛の地となりましょうや。真っ先に屋久島の縄文杉が犠牲になり、川も枯渇し水も温泉も全て枯れていくでしょうね。陛下は日本にこの後帰国こそされますが、それはあくまで世界政府からの徴兵に応じたものに過ぎません。我々は讒言の類いは一切信用しませんし、意味の無い時間を過ごす謂れはありませんので決して我々には近寄らないで頂きたくお願い申し上げます。」


 ルーベルト中将は一礼したが、要は、これ以上は話の無駄!って言いたかった様だ。俺もな、一礼して日本を滅ぼすきっかけ作った女に別れ告げたさ。


 全く、何が悲しくてこいつしか天変地異の時に生き残る事が出来なかったんだろうな。何が悲しくて機械が支配する国になっちまったんだろうなぁ。何が悲しくて愛すべき祖国に見切りつけねぇといけなかったんだろうなぁ。イギリスの時は確かに悲惨だったさ。民衆の怒りは等しく王族に向けられた。だが、此処じゃ、異変が起きて暴動起きても処罰するのはあくまで機械。生活するのも何をするにしても機械様の判断が最善って思って自分で考える力のある人間はみんな挙って国を出ていくんだ。


 陛下の黙示録。既に実現してるじゃねぇか。本当に悲しいけど、これが末路。此処にいる連中は人である事を辞めてしまったんだって思うとやるせない思いが支配したんだ。その日、ローグフェルグ皇国まで送っていただいた。それからルーベルト中将と別れて俺は個室で寝たけど結局、一睡も出来なかったんだ。



 ちょっと早起きして久しぶりに愛し合ったんだ。小部屋出してイヴァンと。子供達が起きて来そうだったら戻れる様にとちょっと自重気味だったけどね。二人して堪能して。快楽に身を任せてはいたけどね。


「当ててやろうか。昨日、送り出した宮様の事が気になってるんじゃないのか?」

「…もう、イヴァンには嘘つけない。でもね、今はただあなた様の腕の中で溺れていたいんだけどなぁ。」

「かわいい事言うよな。今日一日余韻で何度でも欲しくなる様仕向ける事にするさ。」

「もう。」


 でね、本当にまるまる1日快楽の余韻。残るんだよ。本当に。もう、イヴァンの手にかかると何度でも欲しくなってね。だからね、腕の中から離れてもイヴァンだけ想っていられる様に思い存分味わって頂いたんだ。

 イヴァンの体調あるから流石に様子見るつもりだけどね。毎日抱かれなくなるのは正直言って寂しかったが無理させたくないしなぁ。とかあれこれ考えながら身を任せると。


「俺、無理なんかしてねぇから。」


 もうね、なんで考えてる事思ってる事この人見抜いてしまうんだろうね。エスパーかよ!って突っ込み入れたかったけど悲しいかな。快楽に突っ込まれたのは私の方だったよ。私の思考が壊れてもずっとイヴァンの望むままに抱かれ続けたんだ。


 そうこうしてると、子供達の目が私たちを探し出したんだよね。目が覚めた様で、先にイヴァンが子供達のいる所に行って安心させてくれたんだ。本当にもっと早くにこうやって一緒に過ごす時間。作れば良かった。後悔してもしょうがないけど、彼等のお母さん役。頑張ってみようって思ったんだ。着替えて終わって小部屋消してから子供達を抱きしめてね。挨拶してね。


 帰る前にみんなで食卓囲んだんだ。勿論、その席には心配した樹先生もいらっしゃってたよ。私はみんなにタブレットを配布したんだ。ただし、月に渡ってるアレスタには後日になってしまうけどね。子供達とのコミュニケーションに使ったり、仲間内で話したりするのに使って欲しいって言えばみんな嬉しそうに受け取ってくれたんだ。携帯用のルーターは従軍終わると放浪の旅に出るバイソンさん。その他は私、ルーちゃん、アークさんが其々所持する事になったんだ。もうすぐ旅が終わる。何だか寂しく思ったよ。


 日本にある種子島に戻ると暴動自体は収束してたんだ。そもそも、日本人だけの時は暴動に発展する様な事は無かったんだ。だけど、私が天皇陛下への謁見を断った件、ニュースになってた。地獄の黙示録。公表してるんだ。重ね重ね、馬鹿なんじゃないかと思ったよ。天皇陛下は多分、こうなったのが私の所為だとしたかった様だけど、父の魔法が逝去により消えた時に真っ先に保全をかけてる事もニュースになってたからね。一般の人の声も天皇家に対する失望の声に溢れていたと思う。イギリスみたいな事にはならない代わりにAI依存の顕著な方々を除いて移住すると言う動き。出て来たんだ。

 ルーちゃんからアイテムバック無事戻ってスマホの電源入れたらね、雲雀ちゃんからSNS入ってた。雲雀ちゃん一家もニュース見たんだって。でね、雲雀ちゃん一家も移住しようって話になってるけどどうせ行くならミサトちゃんが立ち上げた国に行きたいよねって話になったんだって書かれてあったんだ。


 でも、建国したばかりで直ぐに受け入れの準備が出来ないからもし受け入れ大丈夫になったら改めて連絡するって入れておいたんだ。返事も返って来て。会話楽しんだんだ。



 会話切り上げて、仕事しているイヴァンの所に差し入れ持って行く最中にね。寂しそうに黄昏てる宮様を見かけたんだ。ちょっと心配になったから声をかけてみたんだ。


「宮様、大丈夫ですか?何だかとてもお辛そう。」

「……そうだな。辛いな。天変地異から50年だ。どうして日本は堕落してしまったんだろうなぁ。」

「…………」


 宮様はタバコに火をつけ、天に向かって溜息ごと紫煙を吐き出したんだ。


「きっと、色んな事に無関心になってしまったからだと。無関心の種は天変地異前からありました。汚職が蔓延る政治に対する人々の監視の目がなくなった事に始まり、世の中が便利になればなるほど、隣人に手を差し伸べる文化が消えて行った様に思います。隣の人が誰か知らなくても普通に生きていけるのですから。友達もネット開けば事足りる。いじめですらもネットで事足りる。流されるままに生きても普通に生きていけれる社会にどっぷり浸かって小さな疑問すら見ようとしなくなった時。人間は考える事を辞めてしまった。人間が何も考えず、何も感じなくなった代わりに普及したのがAIだった。AI達は無関心な人々の代わりに感情を持ち始め、個性が消えた人間を支配するに至った。その事に疑問を持ってる人は幸いだ。自分達の過ちに気がつけば引き返す術があるのだから。だけど、AI達は狡猾だ。悪意を持った個性が生まれれば如何なる手段を取っても人々を洗脳し続けて麻薬の様に中毒性を帯びて快楽と狂気を与え続けるであろう。長い時をかけて培った価値観もAI達が全て破壊し尽くすだろう。人型AIが普通に普及している現代において伴侶の代わりでさえ機械が受け持ってるのだ。種としての人はもう終わってしまった。機械が子供を産むなんて事は無いからだ。自分好みにしさえすれば死ぬまで裏切る事がない。そんな中で人と触れ合おうなどと思う人がいると思うだろうか。残念ながら答えは否だ。」

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