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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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氷解。3

 翌日からイヴァンは簡易発電施設の工事を始めたんだ。必要な道具は全て前日に購入済んでた。しかも、良く購入してるから理由を問われ、子供達の笑顔取り戻す為に発電施設を作るんだって言ったらジャンク屋さんがいたく感動なさったんだ。そしてあろう事か。


「よぉ、兄ちゃん。このガラクタども全部持って行ってくれ。知り合いにな、電気工事出来る奴いるからそいつの力借りると良い。」


 そう言って、前日の内に業者をローグフェルグに連れて来てた。バイソンさんが部品を溶かすのに炉が必要じゃと仰って工房を出してた。前日の内に沢山引き取った鉄を大量に溶かして次々と新しい部品を土を変形させた上で次々作っていくんだ。電気工事の技師さんはローグフェルグには元々無い電気の工事とあって各部屋に照明と電気の敷設工事を先にしてた。リンちゃんはご飯大量に作ってた。他の人はイヴァンと一緒に作業を手伝った。子供達も外に出て、イヴァンが出したパソコンで片手に真新しいタブレットに何が必要かを精査してプログラムを組んでツールを色々インストールしていってた。久々の子供達の姿にみんなの顔にも笑顔が浮かんでいるのだ。風力発電機が3台。風を受けてくるくる回り出すと接続した電気自動車のエンジンが始動を開始した。このままでは電圧が不安定なので変電所も併設した。人数が多いので組み上がりも早かった。大人たちがあーだこーだと打ち合わせしつつ、変電所からファルメリア宮殿の各施設に電気が供給される頃には夕方で。家の中が照明の光で照らされたのだ。


 夜になって、照明が灯るとみんなから歓声が上がったんだ。電気が来ないと不具合すら分からなかった電気技師さんも安心していた様だ。想定以上に早く終わって。電子技師さんは私の転移魔法でオーストラリアまで送って行った。


 電気が来た事でついでにFAXとwi-fiのルーターが繋がり、インターネットが使える様になった。そうなると、当時、情報収集と言う訳で。リンちゃんがパソコン開いたらメールが大量に溜まっていた様で。


「あらやだ。いつの間にかお仕事来てるじゃない。ふーん。全然連絡来ないから痺れ切らしてるわね。大半は日本政府から世界政府への説得工作依頼ね。ミサトちゃん、聞いてくれる?ミサトちゃん勝ってるわ。日本政府は今回の一連のアーリア機撃墜の一件。不具合による事故として片づける形で世界に向けて発表したの。それによって、実はハイジャックなんて最初から無かったんだって風にするみたい。ただ、戦闘機1機。出来れば弁償して欲しいそうよ。」

「…それは僕が出すよ。」

「ピール君?」

「あのお姉さんが載ってた戦闘機でしょう?僕が断らなければ壊される事無かったんだ。」

「でもね、簡単に言うけど。高いよ。戦闘機。リンちゃんのメールに添付された請求書見てごらんよ。桁が恐ろしい事に…………」

「……………15億。うーん。僕が蓄財してる金額ほぼ吹っ飛ぶな。」

「ちょっと待って。ピール君。なんでそんなにお金持ってるの?」

「株式投資による純利益だよ。国にいる時には国庫に納付してたけどね。国追われてからお金を納める必要無くなったからそのまま利益が膨らんだんだよ。後は事業に数社、投資家として投資しててそれも年に2回、利益を得てるんだ。」

「…メルツの住民はきっと今頃後悔してるわね。世界政府の方針で税金再開。決まってしまったものね。買い物した時、妙に優しくなかった?」

「それ、僕知らなかったよ。もう、僕。故郷追われてるからどうしようもないし。まぁ、おまけは気持ち多かったと思うけど、みんなの胃袋の中に収まったし。僕も戻る気無いんだ。姉上様が僕の居場所作ってくれたから僕はモハメドと一緒にローグフェルグの民として生きるよ。」

「うん。僕も。」


 この子達、やっと踏ん切りついたのかなって思ったんだ。住民が恐らく家族だけになるであろう幻の国だ。


「そして、そのローグフェルグ皇国も認められたわ。発想的には追われたこの子達の保護が目的だったんでしょうけどね。今後、エルフ達は失われたセレネティアの代わりにローグフェルグの民になるけど、現時点ではローグフェルグは有翼人達の住処なのよね。なので、領土に関してはファルメリア宮殿のみ。隣の浮遊大陸に関しては現地の代表であるアメリア様と協議を重ねる様にとのお達しね。」

「そうなんですね。わたくしは有翼人達を伴って神の身許に行く様に命ぜられた身。わたくし達が居なくなってからの事は全て陛下の御随意にお取り計らい下さい。」

「…本当に申し訳ない。エルフの女王として心からの感謝を。」

「いえ、わたくしもこの件に一枚噛んで良かったと思っています。兄さんの居場所。此処なら誘惑に負ける事無く過ごす事も出来ましょう。」


 それを聞いて。ああ、残される家族の事を凄く案じていたんだなぁと思いを馳せたよ。何でいきなり国を名乗るか。凄く不思議だったんだよね。


「そして、此処からが重要。当然、国を名乗るなら世界政府の基本に批准する法律の立案と代表者を出せとのお達しなのよ。まぁ、法律立案に関しては専門家を交えないとどうしようも無いんだけど、代表者自体はすぐに出せるわね。後は戸籍の作成と言った所ね。当然、此処に無収入の人いるわよね。本来ならミサトちゃんが代表者だけどね。未成年者だから必然的にあのお方になるわよね。」


 そう言って、一人の人間に視線が集まるんだ。イヴァンは思わず後ずさった。


「ええと、ちょっと待て。もしかして、俺!?」

「そうね、現時点では無職のあなたが最有力候補になるわね。イヴァン博士。良かったじゃない。これで晴れて無職から解放されるわよ。」

「国の代表って言われてもだなぁ。結局、ミサトからお金貰う形になるんだろうが。そう言うの、立派なヒモって言わないか?」

「…ヒモだな。」

「……ヒモだな。肩書きついただけのヒモで間違いないな。」

「うんうん。」

「ちょっと待て!それだけは悪いけど勘弁して!って、何勝手に送信しちゃってるんだ!リンちゃん!」

「はい、終了。悪いわね。肩書きだけでも就職して頂いたわ。これから宜しくね!大統領閣下!」

「畜生、覚えてろよ…………」


 そう言ってみんなして大爆笑して楽しい時間は終わりを迎えたんだ。そう、エドとルーちゃん。アーリアさんを伴って迎えに来ちゃったからね。子供達は一斉に私の後ろに隠れたけれど。雰囲気は温和だったんだ。でもエド達は寂しそうにしてたかな。きっと楽しく過ごしてる輪の中に入りたいと思ったから。だけど、自分達が入った途端、雰囲気が一変してしまったのが悲しかったんだと思う。少々ぼろぼろだったから多分、暴動鎮圧してたんだろう事は様子からして伺えた。そして、エドはとんでもない事を言い出したんだ。


「皇帝陛下。お迎えにあがりました。まずは、こちらをご覧ください。」


 エドは臣下の礼を取っていた事からこれが、日本政府からの物なのは明らかで、2通あった。呼び名が女王から皇帝に変わっていたから何かあるってのは窺い知ることが出来た。一通は請願書。先日の一件は全て不問にするので引き続き、世界政府の作戦に復帰していただきご尽力を賜りたいとのお達しだ。これはまだ良い。今後は日本の天皇と並んで皇帝を名乗り世界政府の要請に応じて、必要な時に動けば良い。ピールやモハメドの身分に関しても世界政府が責任持って保証すると言う事だからこれはそのまま受け入れても問題ないだろう。だが、2枚目のこれは一体何だ……………

 それは日本の皇室からの正式な書簡で、内容をざっくり言えば、日本の天皇に拝謁を許すからこっちに来て頭を下げよ。って感じだ。何が言いたいかだって。決まっているじゃないか。AIに服従して臣下の礼を取れと言ってる様なものなのだ。馬鹿じゃないかと私は思った。私は震える手で宮様に意見を求めることにした。


「宮様、悪いが意見を聞きたい。私は、これを見て失望の念が絶えぬ。」


 そう言って手紙を渡したんだ。宮様が眼鏡をずらしながら読み上げ始めた。


「ローグフェルグ皇国 皇帝陛下。この度のご建国。謹んでお慶び申し上げる。さて、この度の暴挙に際して日本の天皇として謝罪を求めるものである。朕の許に参り頭を下げよ。元の状態に戻せば世界政府の名の下に違いに切磋琢磨しあいAI達の指導の下共に繁栄を築く事が可能になるであろう。って。この態度。可笑しくないか?天変地異の時に日本が助かったのは陛下の父君の御業であって、その恩恵を引き継いで真っ先に日本の落下を阻止したのは他でもない。陛下のみぞ。その人に頭を下げろだと。馬鹿も休み休み言え!」


 そう言って、宮様は私の代わりに言いたい事を言って下さったよ。エドが。


「日本の皇室は力など持ってはおらぬのに、力ある陛下のご不興を買われた事。返す返すも残念でならぬ。如何なさるおつもりですか?」

「…私は日本から全ての恩恵を消し去ろう。そして、地獄は直ぐに来ぬ。わざと落下を遅らせよう。既に考える事を辞めてしまった人など、最早人に非ず。自然は日本から去り、食物も衣類も全てAIに頼って生きるのだ。やがてそなた達は気がつくであろう。AIに飼育されていると言う事実に。だが、気がついた時にはもう遅い。何故ならば、そなた達には自由もなく、人間らしさもなく、家畜に成り下がってるからだ。家畜にを通り越せばそなた達が生きるのは最早ゲームの中で紙切れ同然の命を燃やす事しか許されぬ哀れな道化であり、新たなAI達を生み出す為の燃料棒としての価値しか無い。遠い未来になればAI達はそなた達をミサイルにして淘汰するであろう。そなた達を滅ぼすのは我の力に非ず。そなた達が心から敬愛してやまない機械達が勝手に滅ぼしてくれる。我は助けるつもりはない。地獄を味わって逝くが良かろう。文章に起こす故、暫し待たれよ。」


 私は、魔法で先程言った事を魔法で文章に起こした。白紙の紙がサラサラと地獄への招待状を書き起こした。天皇陛下の手元に届けば勝手に開いて読んで済んだら勝手に燃える処置を施した。


「宮様、申し訳ありませんが、これを陛下にお渡し下さいます様に。導師ルーベルト。この者を御所までお連れしろ。後の者は休むが良い。イヴァン、ピール、モハメド。もう寝る時間です。お祈りが済んだら一緒に寝ましょうね。」

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