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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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氷解。1

 まず、真田将軍の言い分はこうだった。罪人となってるピールとモハメドは東京拘置所に移送する。そこだと問題なくイスラム教のハラールに対応して貰えるのだそうだ。但し、罪人では無い私を移送なんて到底出来ないからどうかお出まし下さい。そう言う事だったよ。当然、そんな提案乗れる筈が無い。

 この子達の心を今救わねば、もう、二度と信用して貰えないかもしれないのだ。折角の提案であったが、私の答えは最初から一つしかない。


「お断りします!今、この子達の心を取り戻さねば誰一人として心を開かないではありませんか。そもそも、この子達に協力を依頼したのは他でもない私たちですよ。なのに、心が壊れて罪を犯せば途端に貴方方はゴミ箱にでも捨てるかの様にポイ捨てしてしまうのですか?人の心は尊いものです。それすら分からない痴れ者にこの子達を裁く権利はありません。追放すると言うのならどうぞお構いなく。こちらからこの様な国は見捨てさせて頂きます!」


 そう言って私は範囲を指定して彼等と一緒に姿を消したんだ。無詠唱で転移魔法行使したんだ。確かに牢屋の中では詠唱できなかったんだけどね。柵の外に手を出しておけば簡単に出来たよ。そして、私は伝言を残した。


「私たちは彼等が本来行きたいと願ったローグフェルグにおります。逃げも隠れも致しません。そこならば彼等はハラールの仕来りも信仰も守られ安穏と暮らしていけるでしょう。彼等も落ち着いてくれば戻る事もありましょう。ですが、今はその時ではない。お陰様で私も晴れて罪人となりました。もう、日本の地を踏む事も無いでしょうが、私の要求が通らねば、イギリスの二の舞であるとそう覚えておくのです。」



 とんでもない事になった。真田将軍閣下でが目の前でみるみる青ざめた。ルーも


「完全に陛下にしてやられた!」


 って言ってた位だ。恐らく、前日にアイテムバックに魔法で封印をしてるって記録にあったんだ。その時に柵から手を出してさえいれば詠唱が可能で魔法も問題なく使える事を把握していたんだと思う。


「兎に角、政府にはこの事を報告せねばなるまい。イギリスの二の舞ってどう言う意味だかそなた達には覚えがあろう。ピール君達を裁くなら国と民を人質に取っても構わないって事だ。」

「…………」

「こんな事、到底容認できる筈が無かろう。ローグフェルグと陛下は仰せだ。そなた達はローグフェルグに赴いて陛下達を探すのだ。儂は日本政府と交渉してくる。結果が出次第連絡を入れるからそれまでに陛下を絶対に見つけ出せ!」

「「はっ!!」」


 確かにね、ローグフェルグとは言ったよ。でもね、陛下達ならこうするんじゃないかと僕は思ったんだ。

 真田将軍と別れてからね。


「一旦、メルツに飛んでくれるか?ルー。あそこならイスラム圏だから普通に買う食材でもハラール認証店だから寄り道してる可能性大だ。」

「分かったよ。任せて。」


 そう言って、メルツに行ったんだ。でもねそこは流石に彼等の地元。現地の食材店で聞き取りしたけれど既に購入済みだったよ。食材の費用とかは現地のエルフ大使館が既にお支払いを済ませてて、定期的に必要な食材等を購入出来るように既に手配済みだったんだ。だから、ルーが陛下のいる位置に直接飛ぼうとしたが。


「おかしいなぁ。何かに阻害されてる感覚がある。ごめん、エド。今回後手に回ってばかりだ。」

「いや、構わぬ。とりあえず、今は無人のファルメリア宮殿へ直行して欲しい。ミサト様なら他の住民に迷惑をかけぬ様にいらっしゃる様に思うんだ。」

「うん、分かったよ。なぁ、エド。」

「何だい?」

「あの子達の心。氷解しそうなのに、この提案したのであれば責任は僕にあるね。」

「…でも、ミサト様もそなたが忠臣だと言うのは重々承知なされているであろう?先日倒れられた件だってある。今朝、ご飯をお召し上がりにならなかったって聞いて居ても立っても居られなかったのであろう?そんなに落ち込まなくても良い。ちゃんと心を込めて話せばご理解下さるよ。ただ、みんなには陛下がご立腹なされた事は話しておいた方が良い。連絡を取ってくれるか?」

「そうだね。此処はアメリアさんが住居として構えていたんだ。彼女なら何か分かるかもしれないね。」


 そう言って、ルーがリンちゃんに連絡を取って事情を説明すれば。


「まぁ、本当に世界政府のお膝元で喧嘩売るとはミサトちゃんも良い度胸だわ。でも、ルーちゃんが配慮に欠けたってのは否定できないわね。悪いけど、みんなには報告して手伝ってもらった方が早く見つかるでしょう?持つべきものは友達よ。だから、申し訳ないけど一旦、種子島まで迎えに来て頂戴。」

「…ありがとう、リンちゃん。」


 そう言って、半泣き状態で電話切ってたよ。僕たちが種子島に戻れば危急を聞いたみんないて、イヴァン博士までちゃっかり参加してるのがまた。ローグフェルグのファルメリア宮殿に到着したらみんな思い思いに探し始めたんだ。そして、ものの10分もかかってなかったであろうか。異変に気がついた元住民のアメリアさんがキッチンに呼んだんだ。僕たちがみんな集まって来たのを確認すると。


「この水瓶。ヒールウォーターの水で作られてます。陛下は此処におわします。」


 呪詛を唱えると、水の中の様子が見えたんだ。3人仲良く昼寝してたんだ。ルーもやっとホッとした様で。


「良かった、陛下達。ご無事だ…………」


 そう言って、泣き出してしまったんだ。僕も真田将軍に陛下を発見した事は報告したんだ。日本政府も現在、ニュースにはなってないものの日本がイギリスみたいになっては困るとAI達が対応を協議してる最中なんだそうだ。そして、僕たちはこの水瓶を刺激する事なく此処で生活しつつ見守る事にしたんだ。但し、イヴァン博士には樹先生と一緒にお帰り頂いた。安心したって言ってたよ。



 昨晩寝てなかったのもあって、ヒールウォーターの水で水牢作ったんだ。水を飲めば酸素取り込めるから。って言えば素直に従ったんだ。彼等は。その中で少しだけ疲れたから一緒に寝ようって誘ったら普通に昼寝、出来たんだ。お祈りしてからスリーブ範囲でかけて寝たから、外でルーちゃんが安心して泣いてたなんて知る由もなかった。いつの間にかあったかくなったから多分、ルーちゃんが炎の精霊と水の精霊にお願いして温度調節してくれたんだろう。買ってあった食材も結局、ルーちゃんとリンちゃんが精査して。使って良い調味料とかもいつのまにか買い足して料理してくれて。結局、私達が安心して過ごせるようにみんなが配慮してくれたんだ。ちなみにコートの類はちゃんとみんなの手元に戻ったそうなんだ。


 子供達の警戒が続いているから、外の様子を見せてみんなが来てくれてるだけで、怪しい人いないよって言い含めてからじゃないと出ようとすらしなかったんだ。これだけでも窺い知れるのだ。丸々1日ずっと一緒だったけど、彼等がどれだけ殻に閉じこもって来たかが。私は自分の事で手一杯で彼等の事を気にしている余裕も時間も無かったけれど、こんな小さな世界で肩を寄せ合ってないと彼等は押しつぶされそうだった。ご飯を受けとる為に水牢から一時出れば彼等は抱き合って震えていたんだ。顔にはっきりと書かれてあるんだ。これ以上、何か無くしてしまったら僕たちは生きていけない。今まで、室内で様子を伺い知ることすら出来なかった面々は。


「この不安の正体にもっと早くに気がついてあげるべきだったのね。そうすれば、取り返しのつかない罪を犯す事も無かったのにね。」

「幾ら幼いとは言え、ハイジャックはなぁ、許されたケースなんて無いぞ。今まで。ミサトちゃんはあの子達をかばい続けてはいるがある、ミサトちゃんが力を行使できる立場じゃ無かったら今頃、ミサトちゃんも逃亡幇助適用される位の事してるんだ。自覚はあるんだよな?」

「はい。それはもう。でもね、関わった以上はこの子達が安心して生きていけるようにしなければならないんです。その責任を放棄してまで幸せになどなれると本気でお思いですか?幸太郎さん。」

「…参ったなぁ、15歳の娘にまで諭される様になってしまったか。でもまあ、俺はそんなしっかりした娘さんを育てた亡き友に尊敬の念さえ感じるよ。そうだよなぁ。何時迄も手をこまねいてるだけじゃ何一つ変わりゃしねぇ。俺もこの子達に受け入れて貰える様に頑張ってみるよ。」

「そうね。幸いなのはこの水牢だからこそ、中の様子も見られるし、外の会話が聞こえる様にしてくれたからこの会話もピール君達の事に届くと。後、医官で軍部所属の私にできる事がこれくらいかな?」

「…減刑嘆願書?」

「そう、お母さん役を買って出てくれた女王陛下に真っ先に書いて欲しかった所だけど、実はこれを考えたの。他ならぬイヴァン博士なんだよね。本当なら、陛下のお側に居たい筈なのに約束があるからか。今の俺にはこれ位しか出来ないけど悪いが、今回徴兵された奴等に回覧して裁判始まる前に提出する算段を整えて置いて欲しいって。託されたの。それとね、アーリア空軍大尉。あの子達が人質に取った女性兵士だけどね。今朝、意識を取り戻したんだ。アーリア空軍大尉もこの子達の事心配していてね。経緯を掻い摘んで説明するとね、大笑いしだしてね。何て言ったと思う?AIが支配してる日本において、AIに楯突ける人本当にいたんだってね。嘗てのジーク様にもAI達は従わざるを得なかった。そして、その力が女王陛下に引き継がれている事が何よりも嬉しいって。私も是非とも陛下の御前でお仕えしたいから交渉宜しく!って言われてるの。どう、返答しときましょう?陛下。」

「うーん、お申し出は嬉しいんだけども、そもそも私に仕えても給料とかどうすれば…………」

「ジーク様の代の時には世界政府から年間多額の運営資金が拠出されていた筈よ。ミサトちゃんも銀行口座持ってた筈よね。ジーク様には予め名義を変える様に聞いていたから手続き既に済んでいるの。なので、ネットバンクには多額の費用がプールされてるのよ。見てみる?」

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