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異世界日本記  作者: はくあんせいぼ
第一章 賢神イヴァン
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それぞれの休日。2

 僕は生まれ落ちてからずっとピール様の従者なんだ。ピール様の為に趣向を把握するだけじゃなくて小さい頃からどんな要求にも答えられる様に父上や母上に躾けられてるんだ。もちろん、夜伽とかの類も全部だよ。内偵調査なんて僕にはなんて事ないんだ。どんな危険な事でも全て


「僕が心から愛してやまない皇太子殿下がお喜びになる。」


 って思えば何でも出来たんだ。そして、そんな僕をピール様は大事にしてくれるんだ。僕はピール様のお気に入りだったから何処に行くのにもついて行くのが義務だったよ。ピール様のご学友はみんな年上だったから何処に行ってもマスコットして微笑んで、執事してればそれだけで偉いねって褒めて頂けた。


 そんな生き方があっさり崩れ落ちたんだ。僕たちは故郷を追われたんだ。ピール様も僕も最愛の両親を亡くして。二人して泣いたんだ。大人たちが見てない所で。僕はピール様を慰められるんであればどんな後ろ指指される様な事をしても平気だったんだ。だから、ホテルの部屋の鍵閉めきって僕たちは大人達がやってる事してたよ。ずっとね。流石にピール様も僕も他の人の前で平常心でいられる自信なかったんだ。悲しみが深すぎて。湧き上がる怒りが抑えきれなくて。大人達が心配して見に来れば、ピール様が全て追い返してくれた。無理矢理開けようとしてもピール様が


「帰れよ!人殺し!お前達のせいで父上様も母上様も死んだんだ!」


 って言えば途端に辞めるんだ。それから、僕はピール様が望まれる様にするんだ。生前の僕たちの父親同士がやってた様にね。僕たちは信用できない大人達が引き離そうとしても決して離れないって誓ったんだ。


 そんな状態の僕たちに今日、眼鏡をかけて白衣を着た飄々としたお人が僕たちのは部屋を訪ねて来られたんだ。日本に来てから仲間に加わったスーパードクターで、勅使河原 樹さん。専門は脳神経外科の筈で。

 僕たち二人で同じ部屋を割り当てられてたんだ。ピール様が主張通して下さったんだ。なので、鍛錬終わったからこれから良い事しようかって言ってた矢先でね。僕、少々服乱れてたんだ。整え直そうとしたけど。


「モハメド君、悪いけどそのままでいてくれるかい?医者として聞くよ。いつからなんだ。大人の関係になったのは。」

「…突然来ていきなり何?僕とモハメドが何してても大人のあなた方とは関係無い筈だよね?」

「いや、関係無いなんて事無いんだ。ピール君。落ち着いて聞いてくれるかい?君達は…………」

「ぱっと入ったばかりの人にあれこれ言われる筋合いは無い!僕とモハメドは生まれてからずっと仲間であり家族でありかけがえのない宝物なんだ!モハメドは僕の事を裏切ったり見捨てる様な事した事ないんだ。僕はそんなモハメド守って生きると決めたんだ。だから、あんたなんか必要ない!帰ってくれ!」


 そう言って、心配したであろう樹先生を追い返したんだ。そして、ピール様はとんでもない事を言い出したんだ。


「僕たち、もう、大人なんて必要ないからちょっかい出される位なら誰の目にも触れない場所に二人で逃げよう。」

「逃げるって、一体何処にですか?ピール。」

「この世界中でたった1箇所だけ情報隔絶された場所があるんだ。有翼人達の楽園、ローグフェルグ。ただ、僕たちが逃げたと分かれば銀行封鎖されるのが目に見えてるんだ。だから、多少の現金は持ち歩かないとまずいだろうね。完全にキャッシュレスが主流なのに、現金持ち歩くのは多分、僕たち位だよ。まぁ、それでも使えない可能性高いけど、お陰さんで僕が投資家として投資してる会社全て業績が伸びててね。国にお金納めなくて済んでるからお金だけ順調に増えててね。見事に逃げ果せれば、一生遊んで暮らせるだけの蓄財あるし、封鎖しても解除するのは容易い。その代わり、場所を割り出される危険も伴うから慎重にしないといけないけどね。んじゃ、行くよ。モハメド。」

「はいっ!ピール。何処までもお伴します!」


 僕たちは早速、行動に移す事にしたんだ。だけど、ローグフェルグは世界政府でさえも秘匿してる場所だから辿り着く可能性が低かったんだ。それで相談してオーストラリアに行って、その足で移民申請出そうって事になったんだ。でも、この後、僕たち散々煮え湯を飲まされる羽目になるなんて。この時の僕たちは想像すらしてなかったんだ。



 僕たちは翌日、戦闘機の後部座席に潜入する事に成功してたんだ。発進前で、コクピット開きっぱなしだったから人がいない隙を突けば問題無かったんだ。そして、パイロットが乗ってコクピットが閉まった時点で暗器を首元に突きつけたんだ。パイロットは女性だったんだけど兵士だからね。ヘルメット被る前だから耳元で。


「オーストラリアに向かえ。」

「…その様子だと勇者パーティーのお子様2人組だよね。自分達が何してるか分かっててやってるの?」

「間違いなく犯罪犯してるのは分かってるさ。でもね、もう信用できない大人と一緒にいるのウンザリなんだよ。」

「…要は大人舐めてるって事だよね。あんたらが何を思ってそう言う頑なな態度取ってるか知らないけど、あんたらが思ってる程世間は甘くないよ。まぁ、引き返すんなら今の内だよ。今なら、お子様方が戦闘機の内部見たかったから見せてあげたで済ませてあげられる。でも、一度空の上に上がれば大人は君達の相手を誰もしない。現実は厳しいんだ。冷静になって。ピール君。モハメド君。ここの大人達はみんな君達の事は心を痛めてるし、力になりたいって思ってるし、幸せに…………」

「もういい。幸せって言う位なら誰の目にも留まらない場所でひっそりと生きるから。」

「……………交渉決裂か。残念だ。君程の聡い子が盲目になってしまう程、心の傷が深い事を誰一人として見ようとしなかった大人達の責任だ。地獄へ行きたいと言うなら連れてってあげるよ。ピール君。そして、こうすれば晴れて敵認定なんだよね。なので、撃墜されても文句言わないでよね。これは君自身が選択した未来なんだから。」


 こう言って、緊急ボタンを押してから女性兵士は通信を始めたんだ。


「こちらアーリア。先程、戦闘飛行機をハイジャックされた。要求により離陸を敢行する。大至急、滑走路を開けられたし!犯人はお子様2人組と言えば誰だか見当つくはずだ。繰り返す!大至急、滑走路を開けられたし!」


 要求に応じて滑走路が開かれて僕たちは一路、オーストラリアに向かう事にしたんだ。その後、ハイジャックを受けて通信が開かれたんだ。だけど、誰が来ても懐柔に応じる気は無かったんだ。



 そしてね、そのお子様達の暴走で休暇を返上させられたのは紛れもなく僕たちだったよ。勿論、彼等がハイジャックをしたのは伏せられてたんだ。大人が全員。彼らの事壁作っている事を良い事に触らぬ何とかになってたのは紛れも無い事実だったし、イヴァン博士生死の境彷徨ってたから優先度的に彼らの事まで気を回す余裕無かったんだ。快楽に浸ってたルーが気怠げに電話を取れば、オーストラリア空軍からの入電で。あっという間に正気に戻ったルーはスピーカーにして僕にも話の内容を聞かせてくれたんだ。


 話を聞いて、僕たちは後悔したね。慌てて最後に会った樹先生に連絡取れば、大人が積極的に関わらなかった事を良い事に恐らくだが、大人の関係に発展しちゃってるよ。昨日は寸前でどうも止まったみたいだけど話何一つさせて貰えないまま、追い返されたそうなんだ。


 そして、僕たちには指令が来たよ。案の定ね。撃墜指令だ。目的地はここオーストラリアって分かってた。オーストラリア空軍にしてみれば僕たちが此処で休暇を楽しんでいた事自体が想定外だった様で、僕もいると分かるとお願いされてしまったよ。出来る事なら食べ頃になった果実を食したかったが致し方ない。僕は諦めて支度しようとしたらルーが魔法で世界の時間を止めてしまって。


「残念すぎるって顔に書いてあるよ。エド。」

「…………」


 そんな訳で、ちゃんと名残を惜しんで、暖かいヒールウォーターの水でさっぱりしてから支度して。僕たちは日本軍から引き渡されたカプセルに閉じ込めた自分達の愛機を忘れてないか確認してから出たんだよ。勿論、ルーは男に化けてたけどね。ルーの転移魔法を行使すれば、通勤時間なんて必要ないんだ。


 みんな僕たちの到着が分かると一斉に敬礼したんだ。僕たちも返礼を返した。僕たち揃いも揃って中将だから本来なら戦闘機に乗る機会ないんだが、今回の相手が悪いんだ。アーリア・シャロン空軍大尉。日本空軍のエースパイロットでイタリア系移民なんだ。前回のドックファイトで最後に一人落ちたのは他でもない彼女で、期せずして空軍で実力を誇る3トップが激突する羽目に陥ったんだ。


 カプセルから機体が出されて最中チェックを受けたんだ。ルーの機体にはオーストラリア国旗に白い薔薇があしらわれたデザインで、僕の機体にはイギリス国旗に鷲が描かれてる。僕たちは戦闘機に乗り込んで指示を待つ。石油が枯渇して電動式になってはいたけど今回の戦闘。負ける気毛頭無かったんだ。僕たち二人はオーストラリア空軍基地を飛び立った。逆賊を撃墜する為に。お子様二人を生かして保護出来るかどうか。アーリアも保護出来るかは正直言って分からなかった。

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