#9『901旅団』
アンタレス戦線から引き上げてより十四日目。地球標準時間で二週間がたつ。原因は足止めだ。銀河外通商船団が足止めされ、ワープゲートの管制が大混乱になっているのだ。この通商船団が、どこか利用可能なワープゲートを探し回ったことで、銀河内外の、ゲートを利用した高速道路を利用できなくなったのだ。
──まったく、なんてこった!
アンタレス戦線から移動した第九〇一旅団は、太陽系へ急ぐ必要がある。緊急の増援要請だ。情報は混乱しているが、少なくともシリウス戦線からも兵力が抽出されたらしい。
急がねば。
訪艦交換をうける。
先泊の艦に、後から来た艦が挨拶を送る儀式だ。珍しいことにその日、訪れたのは異星の艦からであった。
訪艦にきたのは、ザラ任務軍司令。訪艦交換には下級士官を使うのが通例だが、種族の差異もあった。ザラ任務軍司令、星樹評議会の昆虫人間であり、【ヴィンソン88】任務軍をを指揮していた。
──星樹評議会!
大半の人間にとってそれは、歴史の教科書で知っていても使うことはまずない単語だ。
感情フィルターを外して話たがる程度の珍しさだ。ただ、【ヴィンソン88】は強大な任務軍だ。星樹評議会の、調停派遣と信じられるほどの装備だ。重武装、最強と思えるほどの部隊だ。
【ヴィンソン88】に抱いたのは、恐怖心と安息という相反する二つの感情。
どこの誰にむける為の力なのか。
【ヴィンソン88】の構成員は一人の例外なく、独特の目をしていることに気がつく。
指命への冷たく燃える目。
罪に染みる目。
見ているものを見ない目。
確信は一つだけ。
【ヴィンソン88】の到達点は、天の川銀河だ。




