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神獣転生  作者: アスタ
7/7

狭間と加護

感想を新たに二件も頂きました!ありがとうごさいます!

それと、平日は殆ど更新する暇が無いことに気がつきました

 先日、私はこの空間の狭間に住み着いた訳だが、ここには少々問題がある。

 この空間には360度全域に暗黒が広がっている。そう、何も無さすぎるのだ。私は実質不老不死であり、空気が無くとも食事を取らずとも生存できるのだが、何しないまま百年を過ごすのも些か味気ない。故に、ここに居を構えるにあたり、なにか建物を建築しようと思う。建築と言っても魔力で生み出すだけなのだが。

 私がこれをしようと思った理由は二つあり、一つは先程も言ったように只の退屈しのぎなのだが、もう一つは、移動手段である。

 今の私がこの空間の狭間から移動するには、入ってきた時の様に力業で空間に穴を開けるしかないのだ。このようなことを続けていたら、空間が不安定になり、いつ世界が崩壊を始めるかわからないのだ。なので、空間に一ヶ所のみ常に穴を開けた状態にしようと思う。外の世界の遥か上空に穴を開け、そこと空間の狭間を繋げれば私以外入ってもこれないだろう。

 私はいつもの様に魔力を操ると、空間に私一人が通れる程度の穴を開ける。そしてその穴に、針状にした魔力を刺して固定する。簡易的なものだが、これで恐らく五百年は保ってくれるだろう。

 試験的に私はその穴に入ると、周囲には闇が広がっていた。失敗かとも考えたがどうやらそうではなく、ここは宇宙のようだ。自らの真下に先程まで私がいた星が存在している。外見は、青が多い地球のようだ。

 全知で調べた所、ここは地上から高さ約170km地点であるらしい。ふむ、ここからなら地上に直接瞬間移動も可能だし、他者がここを見つける可能性は限りなく0に近い。それに、仮に見つけたとしても入るのは困難だ。つまりベストである。

 私は満足して狭間へと戻り、そのまま眠りについた。

 どうでもいい話だが、私が本来不必要な睡眠をしている理由は、単なる退屈しのぎである。


......


 私が世界中を観察していると、私が元々住んでいたあの島(アリシア)で妙な事をしている人間たちを見つけた。大男たちが数tはあるであろう大岩を運んでいる。そしてそれを少々拓けた場所まで持ってくると、今度は岩を切り出し始めた。成る程、オブジェか何かを作るのだろう。

 それからしばらく観ていると、見覚えのある形が作られている事がわかった。あれは恐らく祠だ。何故日本の文化である筈の祠がここでも使われているのかはわからないが、今重要なのはあれが何を祀る祠かということだ。場所があの島という事は、十中八九私なのだろうが。だが実際、私は祀られるような事をした覚えはない。ただ島に加護を掛けて、三人の人間の望みを叶えただけだ。

 いや、まだ私ではない神の為に作られている可能性もあるのだ。少々不躾ではあるが、会話でも聞いてみようかと思う。


 「しっかし、なんで神獣様は居なくなっちまったかねぇ」


 「凄い戦いの時に現れるー、なんて言ってたらしいし、やっぱ闘争を求めてるんじゃねーの?」


 「まるで戦の神様みてーだなー。あーあ、俺毎日通ってたのに。一回見てみたかったな」


 「えっなにお前毎日来てたのかこんな魔境に。ドMかよ」


 「ちげーよ!魔物は強いし死んでも生き返るしで良い修業になるんだよ!...っと、そろそろ完成だ」


 「...まあ確かにお前は強くなったよ、ここの神獣様の祠を作りたいってのも納得できるくらいにはな。お前は───」


 ......ふむ、ここらで止めておこう。あれが私の祠であることがわかったのだ。これ以上聞く理由も無い。

 あの大男は確か十年程来続けていた者だった筈だ。合計で二千回以上は死んでいるだろうに、よく精神が壊れないものだ。...


 私は、その完成した祠に向かって魔力を注ぎ込んだ。その魔力に反応し、素材の石が淡く発光する。そして、その光をねじ曲げ、男たちの前に一瞬だけ私の姿を投影する。そしてその姿は弾け、祠へと降り注いだ。

 私が祠へ与えた加護は、自らに対して強く祈った者にそれを成就しやすくするものだ。だが、あくまでも補助であり、自らが努力しないとそれは実らない。努力することのない私が努力を進めるなど中々の皮肉である。

※オチはないです

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