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盲目少女の転生記~聖女へと至る道~  作者: 海・海
第1章:エルフの村
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第7話:友達

今日は、特に何もすることがない。めったにない訓練が休みの日だ。自由にしていいとAに言われたので、村を見て回ることにする。

よく見るのは初めてだが、とてもいい村だ。花が咲き誇り、空気がんでいて、少し遠くに行けばきれいな湖もある。日本には排気ガスのせいでこんな澄んだ空気はなかった。しばらく歩いていると、エルフが見えてきた。A以外のエルフと接触するのは初めてだが・・・


「あれが件のダークエルフ」

「なぜあんなものが村を歩けるのか」


コイツ等……小声で言ってるけど聞こえてるぞ。

そんな会話は無視して、もっと奥のほうに行く。そして出てきたのは、私と同い年くらいの子供だった。


「あっダークエルフだ~」

「なんでこんなところにいんだよ」

「早く出てけ~」


そんなことを言いながら石を投げてくる。もちろん素直に当たってやることなく、キャッチして別の場所に投げる。


「なんで当たらね~んだよっ!」

「魔法でも使うか!」

「おれは弓にする」


あれ?と、疑問に思った。この子供たちはダークエルフの私をいじめうのになぜそんな武器を使うのかと。

そこでようやく、自分が勘違いをしていることに気付いた。コイツ等は私をいじめたいんじゃない、多分、自分の魔法や弓の実験台にしたいのだ。その結果死んだってどうでもいいのだ。なぜなら、ダークエルフなのだから。ここで私が死んだら、むしろ大人たちはコイツ等をほめるだろう。ダークエルフというだけで……それだけで。

実験?そんな理由で殺されてしまうのか?そしてそれが許される?そんなことがあってたまるか!お前らが私を殺すなら……私がお前らを殺してやる!


「ダメ~~!!」


私が魔法を発動する前に、静止の声がかかる。


「そんなことをしたら、その子死んじゃうでしょ!」

「早く弓をしまえ!」


突如現れた二人は、私を攻撃しようとした三人のほうに詰め寄っていく。


(一瞬私に声をかけたのかと思った~。ビックリした~)


「お前ら、こいつはダークエルフだぞ!」

「だから何よ、ただ種族が違うだけじゃない!」

「その子自身があなたたちに危害を加えてわけでもないでしょう」

「くっそ、行くぞお前ら」

「「お、おい」」


そういって三人は去っていった。


「ねえあなた、大丈夫?」

「ケガとかありませんか?」

「……大丈夫」


まだエルフに対して不信感が残っているのか、思わずぶっきらぼうな声で返事をしてしまう。

よく見たらこの二人も、私と同い年くらいだ。ああ、この村にもこんな考え方をする子がいたんだな。その事実に、少し嬉しくなった。


「あたしミレイってゆうの」


そういってって水色の髪の女の子は名乗った。


「私はレイラといいます」


黄緑色の髪の女の子も名乗る。


こういう場合は私も名乗るべきなんだろうけど……


「ごめん、私まだ名前無いの」


そう、紅音というのはあくまで呼び名であって、正式な名前ではないのだ。呼び名を名乗ってもよかったのかもしれないが、どうせあと三年でこの村も追放される。そこから一生会えないだろうし、下手に名乗らないほうがいいだろう。


「だったらあたしたちがつけてあげよっか~?」

「いい、別に不便なことはない」


ミレイの気づかいは嬉しいが、悲しいかな、本当に不便はないのだ。


「でもまあ、こうして名乗ったわけだし、あたしたち友達だね」

「えっ、いいの?」


ミレイの言葉は嬉しいが、そんなことをしてあとで問題にならないだろうか?


「いいよ~」

「別に構いません」


言い切った。それがさも当然であるかのように。だったら、その言葉には真剣に向き合わなければいけないだろう。


「だったら、これからよろしく!」

「うん。」

「よろしくお願いします。ああ、友達なら敬語はいらないね。よろしく。あなたは髪が紅いから、紅って呼ぶね」


私、ミレイ、レイラの順で確認していく。というか……


「その口調、素じゃなかったんだ!後、紅いって……」


私は腰の長さはあるであろう髪を触って、色を確認する。


(本当に紅かった。ていうか髪の色確認してないなんて、案外抜けてるな~私)


「じゃあ、あたしたちそろそろ行くね」

「また会おうね、紅」


ミレイ、レイラがあいさつをする、それに対し、今度はぶっきらぼうなものではなく、ちゃんとした返事を返す。


「うん」


こうして三人は別れた。


ー夜ー


私は小屋で、今日の出来事を振り返っていた。


(あの時、私はあの三人を、本気で殺そうとした。二人が止めなかったら、確実にそうなっていた。多分、記憶を持っていても脳は子供のままだから、感情が抑えにくくなっているんだろう。そんなことをしても立場が悪くなるってわかってるのに。感情のままに殺しても冷静になってそれを後悔するだろうし、罪悪感にさいなまれて、その日は眠れないだろう。気を付けないと。)


それから紅音は、いつも以上に精神修行に身を入れるのであった。






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