第4話:魔法
第3話の種族説明に竜人を追加しました。
私は3歳になった。やっと外へ出られる。私が 牢の中で何をしていたかというと、修行だ。もちろん、体を鍛えたわけではない。そんなことをしたら体がもたない。では何をしていたかというと、魔力の操作だ。
自分の体に意識を向けると違和感を感じることがあるので、そこへさらに意識を向けて、動かすイメージをしてみると、本当に動いた。本能で、これが魔力だと分かった。下手に魔法を使おうとすると、暴走するかもしれないので、3年間ずっと魔力の放出の練習をしていた。MPが0になるまで続けていたので、3年間は食っちゃね生活といってもいい。だが赤ん坊なので、そんなに違和感はなかっただろう。そんなわけで今のステータスはこんな感じだ。
名前:なし
種族:ダークエルフ
年齢:3
状態:良好
Lv1
HP:5/5
MP:80/80
SP:5/5
筋力:2
俊敏:3
防御:2
精神:150
通常スキル
格闘術Lv5 超五感Lv4 気配感知Lv5 隠密Lv5 魔力操作Lv4
希少スキル
武術の才能 魔法の才能|(炎・雷・氷・闇) 精霊眼 魔眼 千里眼 未来視 鑑定眼 感情感知
称号:なし
MPと精神が異常に上がっているのがわかるだろう。ステータスはLvUPだけではなく、体の成長や筋トレでも上がる。言わずもがなMPが上がったのは、0になって気絶して、起きてまた気絶を繰り返した結果だ。精神はおそらく、魔力を動かすイメージでのイメトレや、脳の成長によるものだろう。
だが3歳になって、ようやく外に出られるし、体だって鍛えられる。
ガチャ
「おい、外に出るぞ。ついて来い」
「はい」
よし、久しぶりの外だ。ああ、ちなみに、この3年で言葉も覚えた。
では、レッツ外。うわ、まぶしっ。
「早くしろ、これから魔法を教える」
えっ、魔法。やった~。ついに魔法が使えるぞ~。
ー広場ー
「さて、まず魔法が何たるかを教えてやる。魔法とは、魔力を消費して炎・水・風・土・雷・氷・光・闇・無の九属性の現象を起こすことだ」
「無とは何ですか?」
「無は純粋な魔力だけで身体能力を上げたり、ものを持ち上げたりする魔法の事だ」
なるほど。分かりやすく言うと、体外に放出した魔力を操り、周りに影響を及ぼすことか。魔力を、手の形にしたりして。
「よし、まずは初級からだ、『ファイアーボール』」
瞬間、Aの手元に火の玉が現れる。
「魔法はイメージが大切だ。さあ、やってみろ」
「はい。『ファイアーボール』」
私は、火が空気中の酸素を吸収して大きくなるのを想像する。
ボォッ
Aの球は野球ボールほどの大きさだったが、私のはバスケットボールほどの大きさがあった。ちなみに今使ったMPは5だ。すごいな。やはり酸素を吸収したのがよかったのだろう。
想像はしていたが、やはりこの世界の科学は発展していないようだ。
まあ、魔法でできるのだから、わざわざ火はなぜできるのかなんて考える必要なんてないのだろう。
この時、Aは混乱していた。
(なんだと!初めてで魔法を成功させた!しかも、咏唱もなしにあんな大きなサイズを!)
Aは教えていないが、初心者の魔法使いはイメージを高めるためにそれぞれ個人にあった詠唱をする。それなりに上達すれば、魔法名すら唱えなくてもいいのだが・・・
(初めてでこれは異常すぎる!これが邪悪なダークエルフの力だとでもいうのか!)
一方、紅音はAの不気味なものを見るような視線に対して……
(う~ん、強すぎたかな?でも、今更弱くしても不自然だし、あっ!魔力を全部放出して気絶すればすべてのMPをファイアーボールに使って大きくなったってことになるかな?よし!さっそく実行)
バタン
魔力をすべて放出して紅音は気絶した。だが……
(なんだ!今の魔力は!もしかして、こいつが!ありえん!まだ3歳だというのに、これは……長老に相談せねば!)
紅音の目論見ははずれ、むしろ悪いほうに加速していった……。