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シャル!  作者: 鳳仙花
7/22

シャルと夏の日その1!朝の授業!

その後、ホームルームが始まっては通常通りに授業が行われて、いつものように授業時間を過ごしていた。

春さんは真面目に授業を受けて、香奈恵はノートにロボットについて書いていて、あずみは寝ていて、シャルは………うん。


「ちょっとシャル、何してるのよ…!」


私とシャルは隣同士の席だ。

だから少し目線を横に移せば、シャルの行動が分かる。

私は小声で話しかけては叱りつけるようにして、シャルの行動を指摘した。


「くぅん、なんだか朝でご主人様に抱きついたの思い出したら興奮してきたんですぅ…」


「はっ!?それただの発情じゃない…!しかも思い出しで欲求とかやめてよね。授業中で騒がれたら面倒なだけなのよ?そういう問題じゃない気もするけど」


シャルがやたらと尻尾を振るっていると思えば、発情し始めていた。

授業中に発情するなんて初めてだ。

心なしかシャルの顔が赤いところを見る限り、言葉の通りなんだろう。


「すみません、ちょっとトイレ行きますね」


「私に言わないで先生に言いなさいよ、ったく……」


私が少し呆れる中、シャルは下半身をもじもじとさせながら手を上げる。

それに気づいた先生は不思議そうな顔をしてはシャルを指摘した。


「どうしたシャル。飾りの耳と尻尾の調子でも悪くなったのか?」


「くぅう~ん、これは飾りじゃないですぅ。これはちゃんとした先天性の耳と尻尾なんですよ!じゃなくて…、先生。トイレ行ってもいいですか?」


「なんだトイレか。あぁ、すぐに戻って来いよ」


「えへへ、ありがとうございます!わんわんわん!」


シャルは先生から許可をもらうと満面の笑みを浮かべては一礼をして、そそくさと教室から出て行く。

……ものすごく尻尾をふりながら。

というより、なぜトイレに行ったのか私には分からない。

興奮のあまり催してしまったのだろうか。

うーん、何にしろあまり深く考えるようなことではないか。

私はそう思って普通に授業を受けることにする。

ちなみに私の授業態度は普通だ。

何がどう普通って訊かれると、真面目に受けるわけでもなく、不真面目に受けるわけでもないと言った所だ。

たまにぼんやりとしてはたまに熱心に受けて、たまにウトウトとしながら受けている。

強いて特徴を言うなら発言は積極的にしないで、騒がないくらいだ。

代わりに騒ぐのはシャルの役目だから。


そんなこんなで授業を受けていると約五分後に、シャルは教室に戻ってきた。

とても良い笑顔で、何だか満足したようなやりきった顔になっている。

尻尾の振りは収まっているし不思議な子だ。


「ただいま戻りました!盲導犬もこなせるシャルちゃんですよ~!」


「おう、別に報告しないで静かに席に着いていいんだぞ」


シャルが教室に戻ってくるなり、明るく叫んだから先生は冷静に受け答えした。

そしてクスクスとクラスメイト何人か面白おかしそうに笑い出す。

そんな笑いをシャルは心地よく思いながら、自分の席へと戻っては座り込んだ。


「ご主人様、お騒がせしました~」


「ん、よくわかならないけど治まったならいいわ。今から雑念にとらわれずに、真面目に授業受けることね」


「はい!私はいつも真面目に授業受けていますけどね!」


シャルは自信満々に言い切った。

が、五分後には疲れたように眠っている。

シャルの口から大量のヨダレが垂れて、ノートが汚れていた。

寝顔は可愛いのかもしれないが、なかなかに汚い。

そもそも一限目に寝るというのはどういうことなのか。

あずみは明朝から公園にいたことを考えると朝早いのはわかるけど、シャルは私と一緒に家から出たはずだ。

だからそこまで特別朝が早いわけでは……、と思ったけどシャルは私を起こしたのだった。

もしかしたら私が知らないだけで、相当早く起きているのかもしれない。

それか単に小動物みたいなものだから、小まめに寝るだけか。

そして授業の終業ベルが鳴ると同時にシャルとあずみは目を開けて、元気よく活動を再開しだすのだった。


「いやぁ、なかなか興味深い授業でしたね!ご主人様!」


シャルの起きての第一声がそれだった。

本気で言っているのかと思わず突っ込みたくなる。


「そうね。なら授業内容覚えてるわよね?」


「もっちろんですよ!この名犬シャルは一度聞いたことは何でもすぐ覚えるんですから!確か猫用の缶詰と犬用の缶詰、どっちの方が美味しいかですよね?そして猫缶の方がおいしいという内容でした!」


「…そうね。猫缶の方が塩分多めだから味濃いからおいしいものね。うん、でもそれは言うまでもなく授業でやってないわよ?」


「ワン!?そんな…気もします。あはは、もしかして夢……でしたかねぇ?」


「呆れたわ。授業中は寝ないのが当たり前だというのに…」


私がそう言うとシャルは突然神妙な顔つきをしては、まるで聖職者みたいに囁きに近い優しい声で言ってきた。


「いいですか、ご主人様。当たり前という言葉は相手に使うものではないんですよ。して貰って当たり前とか、できて当たり前とか、言ってはいけないんです。逆に、自分がしてあげて当たり前と思わないといけないんです。でなければ、その当たり前という自己の勝手な了見が、相手を傷つけてしまいますから」


「…は?急になによ?まさか、また朝の名言うんぬんのやつ?唐突すぎる上に、やっぱり意味が分からないわよ」


「くぅ~ん、そうですか…。これも駄目ってことですか。なら次はもう少し傑作の名言を出しますから!」


シャルは元気よく宣言して、尻尾と耳を動かした。

本当、それだけ元気にできる体力あるのなら授業中に寝ないで、真面目に受ければいいのにと思わざる得なかった。

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