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黙秘

秋山教授の告別式には大井教授と篠崎と一緒だった

帰り際

「秋山君とは大学時代ゼミと一緒でね

 彼は皆の中心に居るタイプで僕は真逆のタイプで人見知りだった

 でもなぜか馬が合ってね 彼とはいろんなところに遊びにいったもんだよ

 楽しかったなあ」



大井教授は大学時代を懐かしむように言った

しばらく目を閉じていたが僕の方を向いて言った


「それがこんな事になるなんてね 其の女学生はどうしてるの?」


「早坂さんですか 取り調べには黙秘を貫いてます」


「彼が不倫をするなんて信じられないよ 彼は誠実な男だったのに」


早坂さんの合鍵からは微量の血痕が検出された 情勢はかなり不利と言えた

そして不倫も



「悪いな 今日はバイトなんだ」


篠崎は式が終わるとそそくさと帰っていった 其の後ろ姿をみながら


「篠崎君みたいな友人は貴重だよ 僕は友人を失ってしまったがね

君たちは若い 大切な時期だからね」


大井教授は涙ぐみながら言った

僕は黙って教授の言う事に耳を傾けていた






捜査は早坂さんの犯行の方向性で決まりつつ合った。



数日後僕はまた警察署を訪れていた

調書を取るために



「まー後は凶器の購入ルート位かな 彼女には動機も有る」


「動機とは」


「別れ話だよ 彼女と教授が一緒に居るところを誰も最近は見ていない

教授は早坂葵を意図的にさけていた おそらく別れ話を切り出された早坂は

かっとなって襲ったんだろう 不倫の末男は家族を取り

女は騙されていた事が許せず  よくある話だ」

叔父は言った


「しかし彼女僕らを教授のもとに僕らを案内したんですよ

死体の有る教授室に そんな事しますか普通」


僕は反論した


「まあ殺人犯の考えてる事はわからんさ」


叔父は言った


「全ての事実が早坂の犯行を示している」


早坂さんは相変わらず黙秘を続けていた


警察は彼女を逮捕し起訴するようだった。


叔父は簡単な調書を作るともう帰ってよいというようなジェッシャーをした


警察署の外には小柄な婦人が立っていた。


「あの」


「もしかして秋山教授の関係者の方ですか」


僕は声を掛けられた


「早坂葵の母です」


「え」


僕は事情を話した


「葵がこんな事になって」 早坂さんの母親は新潟から来ていた


彼女は新潟出身らしかった


「早坂さんは連日事情聴取を受けている状態です 勾留はされてないのですが」


「そうですか 私も警察の方に事情を聞かれました」



早坂さんの母親は相当心労がたたっているようだった


「これから娘のところに行きます」


早坂さんのアパートは西荻窪に有った

僕は駅の前まで彼女の母親を見送った。

何度もお辞儀をしながら早坂さんの母親はタクシーに乗り込んでいった。

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