友人
冬が近ずいてきた。
コートを持つ手は震え 足取りは重い
相変わらず僕のキャンパスライフは冴えないままだった
どんよりとした雰囲気のママ 僕は新宿を乗り換え総武線に乗る
電車の窓から見える風景は相変わらず
「また大学か」
行きたかった大学は通り過ぎる
やがて僕は駅に降りて沈んだ気持ちが盛り上がらないまま
大学の授業が始まる
「相変わらず冴えないなお前は」
篠崎が言った。
「ああ久しぶり」
「大学の授業ではなかなか会えないからなあ」
「お前とは学科がちがうからな」
篠崎とは大学のゼミで一緒だった。
僕と違って明朗な方だが友人もそれほど多くないみたいだった。
僕らはあまり友人が居ないグループに属していた
というか僕は篠崎以外に友達が居なかった
篠崎は内部進学で僕と違って学園生活に不満はないようだった。
「そんな学歴コンプレックスもってどうするんだよ」
呆れたように彼は言った。
「お前の好きなミステリ作家は誰だ」
初めて会った時に言われた言葉がこれだった
僕はヴァンダインと答え 彼は ディクスン・カーと答えた。
僕らはアメリカの推理作家が好きで
イギリスの推理作家はそれほどでもなかったがそれほど違いが有る訳ではない
彼は本好きな事も有って本屋でアルバイトをしていた
篠崎は彼女を捜していたがなかなか見つからなかった。
「そんなにかお悪くないのにな」
僕はいつも彼を慰めた。 笑いながら
そうやって篠崎は立ち直りまた相手を捜すのだった。
「それじゃまた昼休みにな」
「ああ」
昼休みぼくらは食事をした
「最近はどうよ」
「あまり変わらないよ」
「そういえば最近女の子紹介して暮れって言わなくなったな」
僕は思い出したように言った
「お前に何を期待するんだよ」
「それもそうだな」
昼休みは中華丼だった この食堂の中華丼はおいしいのだ
「そういえばお前聞いた?」
「何が」
「今度京葉大学と合同の研究会をするらしいよ」
「え」
「いや教授がね 出版物を出すらしくて それで 合同研究の形を出すらしいよ」
篠崎は言った。
「それでさあ 今度の土曜日に京葉大学に行く事になったから
お前も付いてこない?」
「嗚呼そういやお前ゼミ長だったな」
5人しか居ないのだ 我が大井ゼミは
「付いてくる?」
「いいよ」
家に帰ると叔父が居た 警官をしている
「大久しぶりだな 最近大学はどうだ」
「なんとかやってます」
「卒業後はどうするんだ」
「いやまだ もちろんは警官はなりませsんよ」
「それはよかった 」
叔父はまだ夏に起こった 遠藤良子さんの事件について怒ったままだ。
良子さんはまだ目を覚まさない 多分ずっと
「キャンパスライフってのは一度きりだからな 楽しんでおけ
俺は大学行けなかったし お前がうらやましいよ」
「そうですね」
「篠崎君と君が秋山教授のところに行ってくれるのかね」
大井教授は言った。
「篠崎君頼んだよ」