9.テンプレver.2
少し長くしました(^^)
感想書いて下さった方、問題点を指摘して下さった方ありがとうございます♪
僕が冒険者ギルドに入ると冒険者達から視線の集中砲火という歓迎を受けた。
うーん、そういうの求めてなかったかな~?
僕がたじたじになってると、ミリアが入ってきた。
瞬間、皆一様に目を丸くした。
えっ?何この反応?
そして次にレイシスが入ってくると、更に目を丸くした。ていうか目をこれでもかというほどに見開いている。
中には若干血走っているような奴までいる始末。
そしてその視線は再度僕に回ってきた。怖っ!!?
てか殺気!?殺気出てるよ!?隠そうともしてないよねこれ!!?
レイは知らない。この二人がどんな人物なのかを・・・
かたや1年でCランクまでのぼりつめた魔法の天才ルーキー美少女のミリア。
そしてそれ以上にすごいのがレイの9つ離れた姉ことレイシスだった。
その実力はギルドに登録して早々に、A級指定モンスターである『オークキング』を、C級指定モンスターの『オークの群れ』もろとも僅か1日で討伐してみせたのだ。
その輝くような美貌と確かな実力でついたあだ名が《灼熱の竜姫》。彼女が現れて3年が経つが、いまだに彼女を勧誘するパーティーは少なくないそうだ。最も、レイシスはそのことごとくを一刀両断しているらしい。ちなみにレイシスのランクはAだ。
そんな彼女達を伴って入ればどうなるか・・・まあ答えはレイが身の危険を感じるほどの殺気だ。
閑話休題
僕は気を取り直して登録に向かおうとすると1人の屈強な男が道をふさいだ。
「よぉ嬢ちゃん!こんなところに何の用だ?
ガキが遊びに来る所じゃねえんだぞ?
分かったらとっとと帰りな!!」
・・・えっ?何?僕に話しかけてたの?
はぁまた勘違いね。もういい加減馴れたさ。
てか用を聞いてきといて答える前に喋り出すとか、
はなっから話し聞く気ないよねこの人?
あぁ。後ろの二人が今にも飛び出して行きそうだ。
「僕は男ですが?」
「はぁ?んなことどうでもいいんだよ!
とっとと帰れ!」
もうやだこいつ!
「そうですか、どうしても退く気はないと?」
「はん!退いてほしけりゃ退かしてみせな!
まぁ絶対に無理だと思う・・が・・・な?」
「すみません。登録お願いします」
僕は既に受付の前にいた。
Side~レイに絡んだ冒険者
男はむしゃくしゃしていた。
男はそこそ名の知れたCランクパーティーのリーダーをしていた。
男のランクはBランク。なかなか実力の上がらない仲間に苛々していつも強く仲間にあたっていた。
仲間はそんな俺に愛想を尽かし、他のパーティーへ行ってしまった。
それが昨日の出来事だった。
今日は1人で依頼を受けようと思い、依頼が貼ってある掲示板の前にいた。
去っていった仲間のことを考えながら。
(俺は悪くねぇっ!ついてこれねぇ、ふがいねぇあいつらが悪いんだ!)
と責任転嫁しながら。すると、1人の少女が入ってきた。
(憂さ晴らしに脅かしてやろうじゃねぇか!)
そして少女に話しかけた。
(ちっ!男かよ!しかも生意気に女なんか連れやがって!)
どうやら少年だったようだ。
もはや完璧に八つ当たりだった。
そして連れが女、しかもとびきりの美人だったので、
悪意が嫉妬に変わった。
(一発ぶん殴って女だけ取ってやるよ!)
と思い、瞬きして目を開けると眼前の少年は消えていた。
(なっ!?どこに行きやがった!?)
そして、
「すみません。登録お願いします♪」
先ほどの少年の透き通るような美声が後方の受付より聞こえてきた。
「い、いつの間に!?」
受付嬢は気を取り直したように
「あっ、え、えっと失礼ですがおいくつですか?」
「10歳です。ついでに職業を決めたいのですが大丈夫ですか?」
「はい。了解しました。それではこちらに記入お願いします。」
「無視してんじゃねぇぞこらぁっっ!!」
「無視とは?僕があなたの言葉を聞いてないことでしょうか?
それともあなたの存在を路上の石ころのごとく
眼もくれず素通りしたことについてでしょうか?」
そこらじゅうからドッと笑いが起こった。
男は怒りのあまり顔を真っ赤にして背丈ほどもある背負った剣に手を伸ばし、
「覚悟は出来てんだろうな?」
「何のでしょう?むしろあなたこそ笑われる覚悟はおありですか?」
「っざっけんなあああっっっ!!!」
男は叫ぶと、剣を振りかぶりながらこちらに向かってきた。
それに対しレイは・・・
(なかなか速いな。そこそこの実力者だったのかな?)
と暢気に考えながら男の後ろにいる二人を手で制していた。
「死ねやぁぁっっ!」
男はレイが間に入ると同時に渾身の一撃を放った。
「獲った!!」
「残念でしたっ!」
男の剣は振り抜かれた。だが、
「手応えが・・無い?」
「当たり前でしょ?」
レイが当然の如く言った。
「だって君の剣先、」
男の後方に突如ゴトンっという音が鳴った。
「あそこに落ちてるよ?」
レイが剣を肩にとんとんやりながら答えた。
そして、
「おやすみ~♪」
その一言を最後に男は意識を失った。
ふぅ。面倒事終了。
いや~今回もまたベタな奴がいたもんだねぇ。
楽しいからいいけどね!!!
そんなことより書類書類。
空間魔法で銅の剣をしまいながら
僕は受付に戻って書類を書き始めた。
ふむふむ名前と性別に種族ね。
次が最後で職業か。ここは空欄でいいのかな?
それにしてもいやに静かになったなぁ~?
・・・屈強な男を男の娘が倒したのだから無理もない
「こんな感じでいいですか?」
「あっ、はい!大丈夫でございます!」
受付嬢は書類に不備がないか確認すると、
「ってえぇっ!アイブリンガー!?半竜人!?」
と叫んだ。
僕はその言葉に少し眉をひそめて
「一応個人情報なんですが?」
と注意した。
「ももももも申しわけごさいましぇん!」
あっ!噛んじゃった。涙目だし。舌痛そ~。
まあ美人だから許そう!
どこまでもマイペースなレイだった。
先ほどの受付嬢の言葉により周囲の冒険者がざわめきだした。
「おいアイブリンガーってまさか!?」
「嘘だろ半竜人とか!」
「《灼熱の竜姫》の弟かよ!?」
「てかアイツあんななりしてマジで男かよ?」
・・・etc.
居心地悪いなぁ。早いとこ出よ!
気を取り直して、
「お姉さん!書類大丈夫だったら職業選択したいんだけど?」
「しし失礼いたしました!ご案内させていただきます!」
と言って奥へ案内される。
「お姉ちゃん達はここで待ってて!行ってきま~す」
僕の言葉に二人は「いってらっしゃいレイ君!」「いってらっしゃ~い!」
と元気に答えてくれた。
さぁて何にしようかな~?
一度やってみたかった、
剣先消失事件(笑)