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26.勝てない勝負はしない主義ですので

そこは森の奥の奥のそのまた奥の地下深く。

数多の強力な魔物が跋扈ばっこし、人が踏み込むことなど決して出来ない未開の地。

魔物の平均ランクはB以上という名無しの森の中心近くに地震が起きた。

否、正確に言えば地震ではない。

巨大なものがまるで強力な檻を壊すかのように暴れている。そんな様子を与えた。

付近の魔物達は異変を察知したのか、はたまた本能が告げたのか、その場から我先にと逃げ出した(・・・・・)

SやSSランクですらそれは例外ではない。

そして一際大きな破砕音が響くと、

地下から地上へと何か(・・)が勢いよく這い出してきた。

外見は巨大すぎて判断できない。

ただただ黒い塊としか見えないのだ。

なにせその巨大さは雲にも届くかというほどなのだ。

何かが息を吸い込む。

そして、


「GYAAAAAAAAAAAOOOOO!!!」


その咆哮は音の暴力と化して木々を薙ぎ倒し、地を割り、雲を裂いた。

何かは満足したのかその場からゆっくりと歩み始めた。

魔物達が逃げた方向、すなわち……、


ワイルド王国、レイの住む『城塞都市クート』へと。




Side~???~



私は憎い。

私をこんな目にあわせた運命が。

私を自分達の勝手な都合で封印した人間共が。

故に私は滅ぼそう。

この世に蔓延る全ての人間共を。


まずは近場から。

私は進む。

私の前より憎き奴らが消え去るその時まで……。

邪魔するものは容赦しない。

全て滅ぼそう。






我が邪神の名にかけて。





Side~レイ~



この日、僕は神力の練習をしていた。

魔王との決戦から1年が経っている。

その間ずっと神力の練習をしているが、なかなかレベルが上がらない。

この間やっとレベルが1つ上がったが、これではいつまでかかるのやら。

そんなこんなでいつも通りに過ごしていると、


「あらあら熱心ね?」

「うわっ!?」


急に背後から声を掛けられ、思わず転びそうになったが柔らかな感触に支えられた。

安心するなぁ。

じゃなくて、


「アルは僕を驚かさないと登場できないの!?」

「うふふ。ごめんなさいね。だって貴方の反応がいちいち可愛いから……ついね?」


そう。現れたのは黒髪美女でお馴染みのアルテミスさんです。

うん。今日も綺麗だ。


「だからって気配消して背後から声をかけないでね?しかも僕が気を抜いてる時を狙ってるでしょ?」

「あら?バレてたのね。でも日常は常に危険と隣合わせなんだから気を抜いたらダメよ?」

「家くらい気を抜かせてよ……」


そんな雑談をしていると、突然アルテミスが真剣な表情になった。

これはシリアスな話題なのだろう。

僕も気を引き締めて真面目に聞くことにした。


「心して聞いて頂戴。結論から言うと、人間をよく思ってない神、それも強力な邪神が今この城塞都市クート目指して5万の魔物とともに向かってきているわ。」


…………え?


「それは……まずくない?」

「ええ。それに、その魔物の平均ランクがなんとB以上なのよ。悪いことにね」


それってもうこの都市壊滅するんじゃない!?


「それが前に言ってた魔物5万の話?」


アルは前に選択の間でそんな話をしていた。


「ええ。でもまさか邪神が来るとは私も思わなかったわ。これは最悪の想定外イレギュラーよ」


アルでも最悪のイレギュラーと感じるなんて、これはますます不安になるな。


「そのうち冒険者ギルドも気づくと思うけど、対応は早い方が良いわ。これを私からの神託としてギルドマスターに伝えて頂戴。10日後に邪神達はここに到達するはずよ。よろしくね?」

「うん!わかったよ!」

「それと貴方には邪神と戦ってもらうわ」

「え?僕が?」


てっきり魔物を僕が相手してアルが邪神を倒すのかと思ったが、やはり直接の世界への干渉は出来ないようだ。


「知っての通り貴方は今神力がつかえるわよね?」

「うん。今練習してたところだよ。」

「それが使えるということは貴方は神になったということよ。種族も半竜神となってるでしょ?よって貴方しか邪神と互角かそれ以上に戦える人がいないのよ。居ても邪魔になるだけだわ。」


「そもそも神力って何なの?すごい力ってことは分かるんだけど……」


いい機会なので聞いてみることにした。


「神力というのは神のみが行使することができる万能の力よ。ざっくり言えば、力に変換させることが出来る力ね」

「力に変換する力?」

「ええ。例えば神力を魔力に変換するとしましょう。そうすると神力1に対して得られる魔力は100なのよ」

「100!?」


数値にして100倍もの力が手に入るなんて……。


「それだけではないわ!

神力を纏わせた身体は魔力を纏わせた時よりも遥かに強靭になるわ!」

「圧倒的だね……」

「そうね。普通に闘ったんじゃ勝ち目はないわ」

「でも僕の神力操作はまだレベルが2だよ?勝てるの?」

「本来ならダメなんだけどそれは私が教えるわ。これは間違いなくこの世界『ゼロ』にとっての危機だもの。最高神様も許可せざる負えないわ」


なんとアルが直接手ほどきしてくれるらしい。

現役の神様が教えてくれるなんてこれほど効率的なことはない。

そう言えば神様に引退とかあるのかな?

……今はよそう。


「よろしくお願いします!」

「ええ。それじゃあ報告忘れないようにね?」

「了解!」


アルは微笑んで去っていった。

果たして僕は勝てるのだろうか。

いや勝てる。

なんせ僕には魔剣という最強の武器があるのだから。

ん?邪神は神の一種。神を殺す魔剣か。

神殺しね。

あれ?これ意外と簡単な気がしてきた。

いいの思いついたな!

僕は晴れやかな気分でギルドへと向かった。





「なんだって!?」


僕の報告を受けたギルドマスターのカノンは普段の飄々とした態度が嘘のように焦燥感を出した。

先の一言はカノンらしからぬ机を叩き割りながらの叫びだった。

……いや、普通にビビったけどね?

だって報告したら轟音とともに机が粉砕されたんだよ?ビビるでしょ常考。


「……この際君が何故アルテミス様から神託を受けられるのかは置いておくことにする。後で勿論問い詰めるつもりだが今は一刻を争う事態だ。すぐにありったけの冒険者を集めて迎撃に備えよう。問題は誰が邪神なる者を相手にするがだが、冒険者には荷が重いだろう。邪神はボクが相手をしよう。」


うへぇ、後で質問攻めか。

面倒くさいな。

ていうかあれ?ギルドマスターが邪神の相手を?

無理でしょ。


「その必要はありません。邪神は僕が相手をします。」


僕の一言にカノンが目を丸くする。


「……君が、か?確かに君は強いが流石にボクはボクよりもはるかに年下な君には任せることが立場上出来ないのだ」

「ならばあなたに魔王が追い払えますか?」

「っ!?」

「言っておきますが、邪神は魔王よりも数段上の次元の存在です。相手はまさに邪なる神。魔王の相手を出来ないあなたよりも僕の方が適任ではありませんか?」

「!そ、それでもボクは!」

「あなたがこの街を愛しているのは短い付き合いですが知っています。だからこそ今あなたに無駄死に(・・・)される訳にはいかないんですよ」

「なっ!?言わせておけば!」


カノンの顔が怒りによって赤くなる。

僕はカノンの言葉を遮るように告げた。


「邪神を倒した後!この街に必要なのがあなたじゃないんですか?ギルドマスター!」

「っ!?」


そう。重要なのは適材適所ということだ。

戦うのは、言ってしまえば強ければ誰でもできる。

が、こと戦った後の処理に関してはその限りではない。

どこの被害がどのくらいか。何人の人が犠牲になり、遺族に対してはどういった対応を取るのかなどなど人を上手く使い、そういったことに対処せねばならない。

僕にそういうったことはできそうにない。

しかしギルドマスターなら話は別だ。


「冷静に考えてください。その上で判断してくださったなら僕は何も言いません。ですが、もしあなたが死んだらこの街をあなたが(・・・・)守ることは出来なくなるんですよ?その辺をよぉ~く考えて行動してください」

「…………」


あ!?やばいかな?言い過ぎた感がする。

カノンさん閉口してるし、怒ったかな?

重い沈黙のあと、カノンは口を開いた。


「……勝算はあるよね?」

「ご安心を。僕は勝てない勝負はしない主義なので。」

「……」


まさかここまではっきり返されることを予想していなかったのであろうカノンは口をパクパクとさせている。


「……くははは!まさかこの200歳のボクがたかだか10歳ちょっとの子供に諭される日が来るなんてね!長生きはするものだよ!ふふふふ。」


この人200歳だったのか!?

エルフだから全然そんな風に見えない。

さすがファンタジー!


「中身は大人ですので」

「不思議だね。君が言うと冗談に聞こえなくなってくるよ」


まあ事実だからね。

中身はピッチピチの30代だからね!


「わかった。君に邪神の相手を頼もう。この街を、いや、この世界を頼んだよ!」

「仰せのままに!」

「なんだいその執事みたいな返事は?」


イマイチ締まらないやり取りをして僕はギルドマスターと別れた。


その後、ギルドには緊急依頼が張り出された。

内容はAランク以上参加可能。

討伐対象は街に向かってくる全ての魔物(平均ランクB以上でありSやSSランクが数体確認されている)または邪神(推定SSS+ランク)。

参加により1人金貨5枚の報酬。また、討伐数に応じて増額。貢献度により増額。

依頼主:城塞都市クート冒険者支部ギルドマスター、カノン・ベーレント。

『期待している。どうかこの街を守って欲しい。健闘を祈っている。』


この間の魔王退治でSランカーの仲間入りを果たした僕はもちろん受けた。


後は当日までに準備を万端にしておかなければ。

神力の練習もあるし、なにより邪神討伐の武器(切り札)を準備しなければならない。


創るか。神殺しの魔剣を。


邪神の到達予定時間は刻々と迫っている。







そして10日後。

あれから神力の練習をして過ごした。

アルの教え方は的確で分かりやすく、すぐに神力のレベルが上がってしまった。

それからは使いこなすことに重点を置いて練習した。


僕は西の森の入口から1キロ程度離れた所に陣取っていた。

いや、正確に言えば僕らだ。

僕の前にはSSSランカーである厳ついオッサン(絶剣キース)父上(剣聖レウス)母上(水竜王アリス)を先頭にAランク以上の冒険者が1万人ほど各々の武器を構えて静かに待機している。

後方には魔法職の方々がギルドマスターのカノンを筆頭に杖を構え、いつでも魔法が撃てるようにしていた。

そしてなぜか僕の近くには人型のレイシスと海龍のクレアがいる。

……まあここまでは理解できなくもない。

だけどさ、なんで、


「なんでシャルがいるの!?」


そう、何故か鍛冶屋であるシャルロットがまるでそこにいるのが当たり前のように堂々と自前の超大型ハンマーをメンテしているのである。

……というかあのハンマー振り回せるのか?

シャルの華奢な細腕を見る限り難しい気がするのだが。


「失礼、な……私……これでも……Sランカー。参加……可能……」

「え!?うそでしょ!?」


シャルが実はSランカーだったとは!

人生でベスト3に入る驚愕だったよ。


「本当。……弱かったら……武器作れない……」

「でもエルフが武器を作るなんて聞いたことないよ?エルフは魔法に特化してるから普通は近接戦が苦手でしょ?」


ギルドマスターのカノンも杖持ってるし。


「?……私……エルフと……ドワーフの……ハーフ……」

「え?マジで?」

「……マジ」


すごいハイブリッドも居たものだ。

エルフの魔力とドワーフの筋力を受け継いでるってことだよね。

シャルも結構チートじゃない?


あ、ちなみにミリアは学園に入学したので不在です。


そんなことを話していると不意に前方から獣の臭いがした。

鼻の良い僕は真っ先に気が付き、遅れて前衛職の冒険者達も気付いたようだ。

空気が一気に張り詰めた。

そして……



「来る!」


僕の言葉と同時に森の入口から魔物が溢れだした。


「魔法隊、構え!」


カノンの指示が後ろから聞こえた。

魔法職の冒険者達は一斉に杖を斜め上に掲げた。

そして僕は空間魔法を発動(・・・・・・・)させた。


「撃て!」


号令とともに色とりどりのそれぞれが放てる1番強力な魔法が魔物5万の群れへと迫ってゆく。


ここで魔法について言っておく。

まず、魔法は基本距離が離れれば離れるほど魔力の消費が多くなり、威力も落ちる。

1キロも距離が離れていればそれはかなりの魔力消費が強いられ、そのくせ威力は無いに等しくなる。

ならば何故わざわざ距離を離したのか。

それは僕が空間魔法を扱えるということが理由だ。

空間魔法はレベルが最大になると空間と空間を繋ぐ事が出来るようになる。

だが、その分魔力を有り得ないほど消費するため、扱う人がほぼ居ない。

逆に言えば魔力が多ければ扱うことが出来る。

そう、僕は常人に比べ魔力をほぼ無限に等しいほど持っている。

そのため、大規模な空間接続が僕の場合ほとんど苦にならないのである。

魔物との距離が近ければ反撃されるもしくは巻き添えをくらう恐れもあるため、このやり方を選択したのだった。


閑話休題。


僕の空間魔法により、魔物の眼前へ突然強力な魔法が雨あられと降り注いだ。

これには流石のBランクの魔物もこたえたらしく、足を止めた。


Bランク以下の魔物のみ(・・)が。


その後ろのAランク以上の魔物達は魔法など意にも介さずBランクの魔物を踏み潰しながら突撃して来る。

まったく効いてないわけではない。

事実、魔物達には傷がついている。

致命傷にはほど遠いくらいの軽傷である。

それ故に前方の脅威より、後方の恐怖が勝り、こちらへ怯まずに突進して来るのだった。


「ちっ!第二波用意!」


ギルドマスターは思わず舌打ちをしたが、指示を出すことは忘れなかった。

僕もすかさず空間魔法を発動させる。


「発射!」


魔物達に魔法が降り注ぐが、やはり突進の勢いはあまり衰えなかった。

だが、これで魔物の数は1万ほど減らせた。

十分な成果だろう。


「我らが主神アルテミス様、どうか我らに勝利を!行くぞ野郎共!」

「「「オオオオオォォォ!!」」」


キースの掛け声に鬨の声を上げながら魔物達へと突っ込んでゆく冒険者達。


「俺らも行こうかアリス!」

「ふふふ、そうね。行きましょうか!」


父上と母上もとんでもない速度で突っ込んでいく。

さてと、そろそろ僕も行動開始するかな。


「レイ君、私もう我慢出来そうに無いわ!」

「妾の力、とくと思い知らせてやるわ!」

「レイ……行こう……」

「そうだね。そろそろ行こうか!」


僕は亜空間より毎度お馴染みのレーヴァテインとこの日のために創り出した魔剣を取り出す。

それはとても神々しく美しい両刃の木でできた両手剣であった。

見ているだけで圧倒されるような金色の輝きを放つまさに神剣と呼ぶに相応しい業物だ。

その剣からは膨大な魔力……ではなく神力・・が溢れていた。


『数多の神々を殺めし神剣に告げる』

『今再び其の力をもちて我とともに神を殺せ』


この両手剣はその力ゆえに持ち主を選ぶ。

神力を扱える者にしかこの神剣……いや、神魔剣は扱うことが出来ない。

この剣には意思があり、この剣自身も自らが悪用されないように神力を乗せた言葉……神言を唱えなければ全ての力を使えないように戒めているのだ。

ゆえにこの神魔剣の真の力を使う時は、このように神言による祝詞で抜刀・・しなければならない。


『抜刀、ミストルティン!』


レイが発した言葉に呼応し、神魔剣ミストルティンから納刀時よりも濃密且つ膨大な神力が溢れ出てきた。


ミストルティンとは、北欧神話に出てくるホズという神の持つ宿り木の剣である。

”この世の全てに傷つけられない”と約束された兄バルドルは神の国の外れに生えていた一本の宿りホズにだけはこの誓いをたてさせていなかった。

ロキがそこに目を付け、その木を剣と成しバルドルを仕留めたとされる。

これ以来、神殺しの剣の代名詞的存在になった剣なのである。


半竜神化を使い、身体中に神力を行き渡らせる。

今や僕は小さな竜神だ。

これで邪神とも互角以上に戦えるだろう。

準備は整った。


「レイ君カッコ可愛いっ!」

「うむ。さすが妾の認めた男だ」

「レイ……ピカピカ……」

「君達、おいてくよ?」


……ちょっと姦しいパーティーだが、まあいいだろう。


「さぁてと!」


翼を展開し、亜光速の速さで駆け出す。

後ろから僕を呼び止める声がするが無視した。

気を引き締めて行かないと。


「始めよう……」


前方の魔物達へレーヴァテインの切っ先を向ける。

魔術を使い、僕の前の魔物達を凍らせる。

通り過ぎる瞬間に僕はミストルティンを一薙する。

たったそれだけで魔物達は氷の破片へと姿を変えた。

遅れて半竜化したレイシス、海龍の姿のクレア、超大型ハンマーを片手で操るシャルロットがそれぞれ魔物を殺しながら合流した。

僕はその高ランクの魔物を雑魚のように屠る様子を見て満足し、宣言した。



「僕らの殺陣(神殺し)を!!」



狩ってやる!邪神をこの手で!

今ここに神同士の戦いが幕を開けた。







「ふぅ。こんだけ戦うのはいつ以来だろうね?」


そう言いながら魔物の攻撃を躱し、首を断ち切った剣聖レウスが呟いた。


「魔大陸に居た頃以来じゃないかしら?」


同じく答えながら水で魔物を殺す水竜王アリス。

この二人は先程から苦もなく強大な魔物を狩っていることから目立ちまくっていた。

しかし、そんな二人よりもさらに目立っているのが二人の最愛の息子とその仲間である。


「しかし、あの子達もとんでもないね」


レウスがそう言いながら最愛の息子に視線を向ける。

その先には、


レイが戦場を目にも止まらぬ速さで縦横無尽に駆け抜けていた。

金と黒の剣閃が燦めくと、あらゆるランクの魔物の首が飛び、その巨体を地に伏せた。

レイシスが魔物にアイアンクローをかませば、魔物は一瞬にして灰と化す。

クレアが水纏状態で体当たりをすれば、魔物は水流により体が捩じ切られ絶命した。

シャルロットがハンマーを振り回せば魔物達の頭は冗談のように弾け飛んだ。

これを見た冒険者達は思った。


(もうあいつらだけでなんとかなんじゃね?)


と。

実際冒険者パーティーが魔物を一体倒す間にレイのパーティーは三十体以上倒しているのだ。

それも四人がかりで三十体ではなく、個人個人が倒した合計が三十体以上なのだ。

バカらしくなるのも当然と言えよう。

一方、当の本人達とからすれば、


「ああー!!もう面倒くさい!」

「同感だな、この程度で妾に楯突こうなどと、身の程を知れ!」

「血……汚い……」

「残り半分って所か。僕も面倒くさくなってきたよ……もうブレス撃とっか?」

「「賛成!」」

「むぅ……私だけ……撃てない……」

「あはは。魔法撃ったら?」


……もはや作業であった。

というか飽き始めている。


レイ、レイシス、クレアの口元に魔力が集まっていく。

そして、


「「「ガァァアアアアア!!!」」」


水色と赤と青のエネルギーの奔流が魔物どもを跡形も無く消し飛ばした。

ブレスが通った大地にはクレーターが描かれ、地面から煙が上がった。

このブレスにより、魔物の数は当初の十分の一程度にまで数を減らすことに成功した。


『レイ、聞こえるかい?』


すると突然レイの頭に声が響いた。


『これは念話さ。それよりもうこの辺はボクらで対応することが出来る。だから行ってくれ!邪神のもとへ!』

『分かった!』

『頼むよ!この街を守ってくれっ!』

『うん!行ってくる!』


そこで念話が切れた。


「みんな!僕は邪神の方へ行ってくる!だからここは任せた!」

「分かったわ!帰ったらまた一緒にお風呂に入りましょう!」

「妾の耳朶にかけてここを全力で守ろう!」

「私に……お任せあれ……」

「よろしくね。行ってきます!」

「「「行ってらっしゃい!」」」


暖かく送り出されたレイは邪神へと一直線に向かって行った。







戦闘描写をもっと上手く書けたらなぁ。


ありがとうございました!

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