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23.戦闘狂な狼魔王

お久しぶりです。

用事は終わったのでこれからまたマイペースで投稿させていただきます。

半竜化とは、人間の外見のまま肉体を竜に近づけるというものだ。

これには様々なメリットがある。

まず、機動力が竜化の時より格段に上がる。

体が小さいのでバランスもとりやすく、小回りが利くのだ。

それに、筋力も上がるのでその分速度も増す。

瞬発力だけを見たら竜化よりも半竜化の方が勝っているというわけだ。


(分かりやすく言えば竜化は民間飛行機で半竜化は戦闘用飛行機だね!)


……レイの考えはさておき、次は竜語魔術ドラゴ・ロアが使えるという点だ。

声帯を竜のそれに変えることで、人間の時には使えなかった竜語魔術ドラゴ・ロアを使うことができるのだ。

竜化の時よりは効果が落ちるものの微々たるものでほとんど遜色ないレベルだ。

これは戦闘に大きなメリットがある。


竜語魔術ドラゴ・ロアとは、言わば竜の強大な魔力に物を言わせた想像魔術なのだ。

もちろん詠唱は必要だが、竜語は圧縮言語であるためあってないようなものだ。

よってほぼ無詠唱で使える万能魔術なのである。

使い方は現象を想像し、竜の声帯に現象に必要な魔力を込め、言葉を発せば現象が起きるというなんとも大雑把な魔術だ。

だがありえないくらい強い。

それは当然だろう。

人間が竜語魔術の一番簡単なものを使おうとしても、並の魔法師100人くらいの魔力が必要なのだから。

それくらい燃費の悪い魔術なのだ。

まさしく竜のための魔術であろう。


最後は肉体に対する魔力の伝導率が竜と同じ位良くなる。

竜の肉体は僅かな血肉と魔力によって形成されているため、魔力との相性がとても良いのだ。

竜が本来、食事を必要としないのは魔力で補えてしまえるからだ。

しかし味覚はある……というかとても優れているので、趣味で食事をする竜は多いのだ。


話しが逸れたがつまりは魔力が肉体に通りやすくなり、肉体強化が人間の時の比ではなくなったということだ。


すなわち、レイは今、小さな竜と言っても過言ではないのだ。


「ふむ。なかなか良き鱗ではないか。竜王を彷彿ほうふつとさせる」


黒炎と魔力を爪の一振りで霧散させながら言ってくる。


(爪に魔力を込めたのか。それより……)


どうやらお祖父ちゃんに会ったことがあるようだ。

ちなみに僕は会ったことがない。


「竜王は僕の祖父です」

「なんと!?貴様竜王の孫であったか!俄然やる気がでてきおったわ!」

「僕はやる気がダダ下がりだけどね……」


竜王の孫と聞いて目を爛々に光らせるのはやめて欲しい。


「強者と出会い高揚するのもまた強者のことわりなり!」

「っ!戦闘狂め!」


悪態をつきながらも、突っ込んできたライガに対応するレイ。

翼をはためかせ空へと舞い上がる。

かなりの速度で突っ込んできたライガはレイによけられたと知るやいなやそのまま地面と垂直に飛び上がり、レイに追従してきた。


「ふっ!」


レイはそれを予想していたかのように左手を向け、

瞬時に作り出された氷の槍がライガへと殺到する。


「ぬるいわ!」


ライガはそれを爪の一振りで粉々に砕く。


「まだまだ!せやっ!」


レーヴァテインを振り、黒炎が迫る。


「ぬるいと言うに!」


これもライガの爪の一振りによって霧散させられる。

しかし、


「む!目くらましか?」


黒炎の熱により、砕かれた氷槍や大気中の水分が蒸発し、水蒸気によって霧が発生する。


「侮られたものよ。我は魔王ぞ!」


僅かな苛立ちを滲ませながら霧を息で吹き飛ばす。

と、そこにはレイがいた。


……黒炎を纏わせた巨大な氷槍を持って。


「穿て!『氷天黒大槍』!」


それをレイはライガ目掛けて投げ下ろした。


(さて、どう防ぐ?)


それは紛れもなくレイの本気の一撃であった。

レイはあの槍に自分の全魔力の2割をあてた。

当然それはいくら魔王といえど、対処が難しいはずであった。

が、


「見事な魔力だ。だが甘い!」


突如レイは天に魔力の集まりを感じた。

そして同時に背筋に悪寒がはしった。


「っ!?」


直感に任せて、瞬時に竜語魔術(ドラゴ・ロア)による防御結界を頭上に5枚ほど重ねた。

ライガが咆える。


「ウォオオオオオオン!!」


天から黒雷が降りそそいだ。

まずは槍に直撃し、砕いた。

そしてレイの頭上にも黒雷は落ちた。


バリーン!!!


「なっ!?がぁっ!!」


驚愕は全ての結界が破壊されたことに対して。

悲鳴は結界を壊してきたにもかかわらず、ほとんど勢いを殺さずにきた黒雷の直撃を受けたからだ。


「クソッ!」


なんとか墜落せずに体制を立て直したレイ。


「遅いぞ強者よ」


目の前には既に黒雷を纏った狼魔王の爪が迫っていた。


「ちっ!」

「ぬん!」


レイは咄嗟にレーヴァテインを掲げ、なんとか直撃を免れた。

しかし、ウェイトの差は一目瞭然であり、レイは地面へと叩き落とされた。


「がはっ!」


レイを中心に大きなクレーターが形成された。


(レーヴァの治癒が間に合わない!)


ライガは黒雷を纏った状態でゆっくりと降りてくる。


「どうやらここまでのようだな。貴様を糧に我は更に強くなろうぞ!」


魔王の爪が振り上げられる。


(くそっ!速く治れ!)


まだ傷は治らない。

どうやら黒雷には傷の治りを遅くする何らかの効果があるようだ。

でなければこんなに黒炎の治癒が遅くなる筈がない。


(仕方が無い!)


レイの口元に魔力が急速に集まっていく。


「ぬ!?」


ライガは異変にきづいたようだ。

咄嗟に距離を取ろうとする。


「がぁああああ!!」


レイの叫びとともに竜の息吹がライガを襲った。

ライガはそれを黒雷の宿る前足で防ぐ。


「ぬぅぉおおお!」


ライガが雄叫びをあげる。

しかしレイとライガの距離は5mほど。

この距離で撃てばレイにもダメージがいくのは当然と言えた。

爆風が問答無用でレイを吹き飛ばした。

レイはなんとか翼により体制を整え、派手な摩擦音をだしなからも足から着地することに成功する。


フラつきながらもレーヴァテインを支えに立ち上がる。


「はあはあ……」


もはや満身創痍である。

着ていた衣装も破れ、メットに至っては黒雷の熱によって溶けていた。


「見事!その生への執着には恐れ入る」


と、無傷・・のライガが一言。


「どんだけ……はあ……硬いんだよ!」


黒い炎に全身を包まれているレイの返答には余裕が無かった。

相変わらず傷の治りは遅い。


「だがどうやら策は尽きたようだな?ならばその力を頂こう!」


(いったいどうすれば!?)


レイが焦り、ライガが足を踏み出した瞬間、


私の弟(レイ君)に……」


天より莫大な魔力の接近を感じ取ったライガは視線を上に向け、警戒する。

するとそこには、



「触るなぁあああ!!!」



紅き流星となったレイシスがライガに向けて一直線に突っ込んできていた。













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