表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/50

20.ドラゴンジャー!!!

風邪引いて更新も感想も返せませんでした!すみません!


感想は次回からまた返させていただきます。


ではお楽しみ下さい!



全ての準備は整った!

シャルロットに依頼をしてから一週間が経ったので、僕は鍛冶屋に赴いた。

シャルロットの仕事は完璧だった。

防具はまるでもともと体の一部だったかのようなフィット感である。

……そういえば僕の鱗だった。

まぁそれでも全く違和感が無いのはシャルロットの技量が素晴らしいからだろう。

そしてあれ(・・)も完成していた。

期日までに全ての仕事を終えてくれたので、報酬に色をつけておいた。

これからもシャルに頼もう!


さて、今の僕だけど教会の孤児院に子供達を集めている。

いよいよあれ(・・)を実行にうつすのだ。

もういい加減言えって?

そろそろ良いかな。


「じゃじゃーん!」


僕は鏡の前でポーズをきった。

その姿は戦隊もののヒーローであった。

ただしオリジナルの。


「名付けて、『半竜戦隊ドラゴンジャー』さ!」

「そのネーミングはどうかと思うよ?」

「まぁまぁミリア。レイ君も頑張ってるのよ!」


着付けを手伝ってもらったミリアとレイシス(お姉ちゃん)が一言。

お姉ちゃん。そのフォローは微妙に傷つくよ?

とか思いつつ予め用意していた魔剣を取り出す。


レイが取り出したのは振り方やスイッチによってSEやBGMが流れるという便利な剣だ。

これを初めて見たミリアは思った。


(無駄にハイスペックだよね……)


その剣の装飾は少し空魔双頭剣に似ているが、一番の違いは刃が斬れないことだろう。

そしてその剣の柄と刃の間にポッかりと穴が空いている。

ミリアは気になったので聞いてみた。


「レイ。その穴は何のためにあるの?」

「よく聞いてくれたね!これはね~」


そう言いながらレイは小さな黄色の魔石を丸くしたものを取り出した。

魔石は魔核の欠片だ。主に魔力を貯めておくことができる。

他にも用途はある。

レイは黄色の魔石をその穴に嵌めた。

すると、


ピカーン!

シュインシュインシュイン!!


なんと剣がSE とともに光だした。

まるで周りから光を集めるかのようなSE とともに徐々に強くなっていく光。

それとともにレイはゆっくりと剣を構え、


「『ライトスラッシュ!』」


剣を振り抜いた。

光が弧を描き、あたかも三日月のような形で直進する。

光が壁にぶつかった瞬間、光は霧散し……


チュドーン!!!


「きゃっ!」


ミリアがびっくりして悲鳴をあげる。

レイはそれを満足したかのように、


「よし!」

「「よし!」じゃないわよ!びっくりしたじゃない!」

「あっ!ごめんごめん!音量調節が必要かな?」

「その前にレイ君それは何?」


お姉ちゃんが聞いてきたので、僕は笑顔で答える。


「必殺技だよ!ここぞってときに使うとヒーローがさらにかっこよく見えるんだ!

やっぱ『ドラゴンスラッシャー』作って正解だったよ!」


やっぱり戦隊はいいものだ。

さてと、


「そろそろ始めよっか。あんまり待たせると子供達が飽きちゃうからね!」

「レイもまだ子供じゃない……」


ミリアに言われてしまった。

でも今の僕は見た目だけ『偽装』によって大きくさせている。

やっぱ戦隊って大きくなくちゃだよね!


「それじゃあ行ってくるね!」

「「行ってらっしゃい!」」


僕は二人に見送られながら簡易ステージへと向かった。


ステージの幕内で僕はひっそりと子供達の様子を窺う。


(みんな待たせちゃったから飽きてきたみたいだね)


子供達を待たせた時間は5分。

なにもしないでずっと待つというのは確かに苦痛な時間だろう。


(今からこの雰囲気がどう変化するか、楽しみだ!)


内心でワクワクする僕。

思えばまともに殺陣たてをするのは前世以来だ。

元本職だからこそ楽しみになるのは仕方ないことだろう。


僕は最後にお姉ちゃんとミリアが座るのを確認して、


『お待たせいたしました!まもなく半竜戦隊ドラゴンジャーが参ります!

良い子の皆はステージ上には上がらないようお願い致します!

それでは、半竜戦隊ドラゴンジャーショー、開演です!』


予め『ドラゴンスラッシャー』に仕組んでおいた僕の声を出力する。

そしてボタンをポチっとな!


かっこいいBGMが流れ出す。

曲調はサビになると一気にテンポアップするものを作った。


(本当は宮野真○さんの曲がよかったんだけどね)


人によって好みがはっきりする方だと思う。

ちなみに僕は好きだ。


(さて、そろそろ前奏が終わる。3……2……1……Go!!!)


僕は剣を一振りして舞台に出た。





Side~ミリア~



私は今、子供達の中にいた。

というのも、今日はとっても楽しいことをやるから子供達を集めて欲しいとレイに頼まれたからだ。


(あんなヘンテコな服と仮面で何が出来るのかな?)


そう今でも思っていた。


始まるまでは。


突如音楽が流れ出した。

その曲は不思議な響きを持っていて、初めて聴く曲だった。

レイの作った曲は娯楽が少ないこの世界で異常なほどにクオリティーが高すぎたのだ。


私はレイがしたかったことはこの曲を聴かせることなのでは?と一瞬考えがよぎったが、それではあのヘンテコな服の説明がつかない。

前奏が終わると同時に、ヘンテコな服を纏ったレイが出てきた。

レイの声が聞こえる。


「待たせたなみんな!俺が半竜戦隊ドラゴンジャーのドラゴンレッドだ!さて、今日は皆に……」


キェー!キェー!


突如どこからともなく下っ端が現れる。

名前はエネミーだ。

そして、


「現れたなドラゴンジャー!この会場の子供達は我らがさらっていく!覚悟することだ!ゆけ!エネミー!」


ボスがエネミーに指示を出す。


キェー!キェー!



エネミーは返事を返し、ボスが幕内にはける。

実はこのボスや下っ端はレイの水氷魔術により動いている。

レイが音に合わせて操っているのだ。


「レイ君の自作自演ねぇ~。可愛いわ!」


……隣のブラコンはいつものことなので無視しよう。

もう慣れたミリアは舞台に集中することにした。


「そうはさせるか!」


とレイが迫真の演技を見せる。


「レイはいったい何処であんなことをおもいついたのかな?」


ふと不思議に思ったミリアだったが、舞台に動きがあったため思考を中断せざるおえなかった。

舞台の上でレイはやられる振りをしている。

演技がうますぎて、本当にピンチに見えてくる。

最初はヘンテコな服に興味津々な様子だった子供達も、今は必死に応援している。

そしてついにレイはエネミーに吹き飛ばされた。

膝をつくレイ、するとボスが登場し、


「ぬぅっはっはっはー!ここまでのようだなドラゴンジャー!今日こそ八つ裂きにしてくれるわ!」


脅しにかかる。

しかし、


「みんな!お願いがある!俺に力をかしてくれ!みんなの応援が俺の力になる!今こそみんなの力を1つにするんだ!せ~のっ!」


『『『がんばれぇえええーー!!!』』』


会場の子供達の意志が1つになる。

子供達から赤い光がレイに、いや、ドラゴンレッドに集まっていく。


「きれい……」


私は思わず声を洩らしていた。

それほどまでに綺麗な光景であった。


「うぉおおお!みなぎってきたぜぇええ!!」


そして太陽の如く光を纏ったレッドがゆっくりと立ち上がった。

子供達がはしゃぐ。


「なんだ!?なんなのだその光は!?」


ボスが狼狽える。


「この会場の子供達が俺に力を分けてくれたのさ!みんなありがとう!

さぁて、改めて名乗らせてもらうぜ!」


レッドはセーターに来て、


「その身に宿すは灼熱の業火、ドラゴンレッド!」


ピシッ!


「正義の竜が世界を守る!半竜戦隊……」


ボゥ!

赤い光が翼を象る。


「ドラゴンジャー!!!!!」


カキーン!!


SEと完璧にマッチしたキレのある名乗りだった。


「ええい、構うものか!ゆけ!お前達!」


キェー!キェー!


「燃え尽きろ!灰となるまでな!」


決め台詞とともに曲が最後のサビに突入する。

そして、圧倒的な剣舞が始まった。

流れるように斬りかかるとともにまずは一体がやられ、

その振り抜いた隙を突くようにエネミーが一斉に飛びかかる。

だが、


「しゃらくせぇっ!」


レッドは振り抜いた勢いを利用して飛び上がり、空中でもう一回転剣を薙いだ。

続々と出現しては消されていくエネミー。

レッドは時折動きに緩急をつけ、華麗に敵を倒していく。

その姿は凄まじく、ある種の神々しさすら放っている。

レイは元天才軽業師というだけでなく、殺陣(たて)スキルも軽業スキルも最上級のレベルだ。

そのレイがヒーローを演じればもはやただのヒーローではなく、本物の英雄(ヒーロー)といって良いくらいだ。

レイはその事に気づかずにいるが、全力で取り組んでいるその姿は鬼気迫るものがある。

それすらも演技の現実性リアリティーを高めているため、地球のそれよりもずっと迫力が増している。寸止めなしということも入れても上回っているのだ。

そんな舞台を初めて見た子供達は心の中で誰もが思った。


あれこそ英雄(ヒーロー)だと。


それまで聴いてきたり読んできたりした英雄の話なんかよりずっと痺れて憧れた。


将来はあんな風になりたい!


それが今の子供達の想いであった。


やがて、永遠に続くかと思われた剣舞も止んだ。

そして、


「これでとどめだ!」


レッドが剣に魔石を嵌める。

魔石の色と同じ白い光がレッドの剣に集まっていく。


「覚悟しろ!」

「おのれぇええ!!」


ボスが最後まで足掻こうとレッドに殴りかかるが、


「『ドラゴンスラッシュ!!!』」


光の斬撃が飛び、ボスに直撃する。


ドカーン!!


「ぐぅぅぁあああああ!!!」


曲が終わった。

光が弾けると、そこには何も居なかった。

光の粒子が舞う幻想的な光景に子供達が口をあんぐり開けていると、


「ありがとう!みんなのおかげでエネミー達を倒すことが出来た!

俺はそろそろ行かなきゃならねーけど、これだけは忘れないでくれ!

諦めなければ道は開ける!今俺が勝ったようにな!

今度はみんながみんなの大切な人を守るんだ!じゃあな!またいつか会おう!」


そして打合せ通りに私はいった。


「みんな!最後にドラゴンレッドへ大きな拍手を送ろう!」


パチパチパチパチパチパチ


手を振り、別れを告げてくるレッドに子供達も手を振り返す。


シャキーン!


最後にレッドはポーズをきって幕内にはけていった。


私は笑顔で裏方に向かった。

……ちなみにだけど、隣のレイシスお姉ちゃんは泣いていた。

弟の成長が嬉しいようだ。

だけど場所は考えて欲しかったな。

周りの、主に男の子の視線が集中したからね。



でもレイかっこよかったなぁ~。




Side~シャルロット~




私はレイに誘われたので教会に来た。

そして私は魅了された。


あの迫真の演技に?


いや、それじゃない。

たしかにすごかったが、それは理由の一部だ。


ではあの殺陣に?


それも理由の一部だ。


ではなにか?


それは物の使い方だった。

今まで私は武器や防具をたくさん、たくさん作ってきた。


武器とは、

使い方は生き物を殺すことと、せいぜい鑑賞用くらいのものだ。

斬れない剣に意味はない。


防具とは、

死から使用者を守るために作られるもの。

防御力のない防具に意味はない。


そう思っていた。

けれどそれは少し違った。

その概念を覆されたのだ。

斬れない剣も操る人によって聖剣にだって見える。

脆い防具も見せ方でこんなに人を笑顔にできる。

つまり、道具の存在意味を決めるのは使用者なのだ。

レイはそれを教えてくれた。


(私の作った防具をこんなに面白いことに使ってくれる人がいる!)


そう思うとこれからが楽しみになってくる。

私は見つけた。

運命の人を。


「レイ……逃がさない」


そう言ってシャルロットは妖しい笑みを浮かべた。



感想、評価お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ