18.不本意な選択(笑)
遅くなりました!すみません!
「もうお昼すぎかぁ」
あの戦闘より4時間が経過した。
あのあと気を失った海龍を砂浜まで運び、僕は人化して海龍の目覚めを待っていた。
そして昼に何も食べていないことを思いだし、急に空腹をおぼえたのだ。
お昼を食べるには少し遅いが、母上が作ってくれた弁当を開ける。
良い臭いが鼻を突き抜ける。
そして気を失っていた海龍も良い香りに誘われたのか目を覚ました。
「おはよう。気分はどうだい?」
僕が言うと海龍は、
「爽快だな。やはり強者との戦闘は素晴らしい!それよりそれはなんだ?」
僕の弁当を凝視してる。
「これか?そんなに珍しいか?」
海龍は答えた。
「すごくうまそうな匂いだ!」(ゴクリ)
「人化できるかな?そしたらあげるよ」
「妾を誰だと思っておるのだ!」
海龍はすぐに人化した。
黒に近い青のツインテールに、小柄だが出るところは出てて引き締まった体をもつ美少女がいた。
身長は160cmほど。
顔には悪戯が好きそうな小悪魔みたいな笑みを浮かべ、こちらに挑戦的な視線を送ってくる。
えっ?誰って?もちろん戦闘狂の海龍さんですとも。
こんな可愛い子がなんで戦闘狂なんだよ!?
それくらいの変わりようだった。
僕は約束通り一口だけあげると
「うまい!なんだこれは!?うますぎる!」
どうやら母上の作った料理を気に入ったらしい。
当然だ。母上はそこらの料理人よりずっと料理がうまいのだから。
「決めたぞ!!」
こちらを真剣な眼で見つめられながら
「妾は貴公に婚約を申し込む!」
と言われた。
はい???
「なんで!?」
「決まっている!惚れた!ただそれだけのこと!」
海龍さんったらどんだけ男前!?
僕は眉間を揉みほぐしながら告げた。
「どこに惚れたのか知らないけどとりあえず落ち着いて考え直そうか……。
ていうかほら!まだ僕10歳だしさ、そういうことは時期尚早かと思うんだ!」
そこで海龍は
「妾には魅力を感じぬというのか……」
そんな涙目+上目遣いなんて最強コンビをっっっ!!!
ギャップがヤバイ!危うく頷きそうになった。
おのれ海龍!恐ろしいやつだ!
「これでも耳朶の触り心地には自信があったのだがな!」
何それ?どういうこと?なんで突然耳朶?
「いやなんで!?なんでそこで耳朶??どんだけ僕はアブノーマルにみえてたの!?」
「耳朶が好きそうな顔をしているではないか?」
「どんな顔!?ねぇそれってどんな顔!?」
「自己紹介がまだだったな!妾は海龍のクレアという。よろしく頼む!」
「マイペースすぎない!?」
「妾が名乗ったのだから貴公も名乗るのが礼儀だろう?」
「うん、こいつ全く人の話し聞く気ないね」
「こいつではない!クレアだ!」
「あぁ。突っ込むところそこなんだ……。
はぁ、気にしたら敗けだな。僕はレイだよ。レイ・ヴァン・アイブリンガー」
僕は諦めながら名乗った。
「そうか!レイ殿とお呼びしてもよいか?」
「好きに呼びなよ」
「そうか!ならば婿殿とお呼びしても……」
「いやそれはやめて!てか婿じゃないから!」
「妾の耳朶では不満なのか?」
「だからなんで耳朶なんだよぉおおおおお!!」
この日僕は日が暮れる直前まで馬鹿と話し合った。
なんとか、まだ10歳で婚約は早いと説得することができた。
……まぁこの中世ヨーロッパみたいな世界では珍しくないのだが
僕からしたらせっかく転生したのだし、10代くらいは自由に生きたいのだ。
あっ。でもよく考えたら僕の寿命って50万年じゃん。
人間での10代って竜でいうとどれくらいなのだろう?
今は考えなくてもいっか!
最後に僕はクレアに別れを告げ、その場をあとにした。
余談だが、別れを惜しむクレアはとても可愛かった。
ごちそうさまです!
冒険者ギルドに赴いて依頼の報告をし、帰路についた。
家に帰るとお姉ちゃんは僕に飛びつきながら「レイ君おかえり!」と言われた。
お姉ちゃんはここ最近、大きな依頼を受けて王都に出向いていたのだが今日帰ってきたみたいだ。
「お姉ちゃんこそおかえりなさい」
「うん!ただいま!今日は一緒に寝ましょう!久々にレイ君パワーを補充しないと!」
何?レイ君パワーって?
「くんかくんか。はぁ~レイ君の匂いは癒される~♪」
……なんかだんだんお姉ちゃんが変態になってきてる気がする。
そしてお姉ちゃんは尚も僕の匂いを嗅いでくる。
「くんかくんか。あれ?気のせいかな?雌龍の臭いがするような……?」
ヤバイ!お姉ちゃんが怖くなってきた。
「今日海に行ったら会ったんだ。すんごく強かったよ!」
うん。今思い出しても肌が粟立つ感じがする。
ってあれ?なんかお姉ちゃんから黒いオーラが……
「……レイ君。そいつは何処にいるの?私の可愛い可愛いレイ君に手をあげるなんて……今すぐ八つ裂きにしないといけないわ!」
なんかえらい物騒なこと呟いてた!?
あわてて止める。
「お、落ち着いてお姉ちゃん。確かに戦いを挑んできたのはクレアからだったけど、
それを了承したのは僕だから!」
さらに黒いオーラが増した。
なんで!?
「そう。やっぱりあっちから挑んできたのね?」
こうなったら話を逸らすしかない!!
「お姉ちゃん!一緒にお風呂入ろう!」
ピタリと黒いオーラが止んだ。
お姉ちゃんは僕とお風呂に入るのが大好きなのだ。
しかし最近は父上に止められているのだ。
曰く、年頃の男女が家族とはいえ一緒にお風呂などと……ということらしい。
僕まだ10歳だけどね?
本音は父上の嫉妬だろう……。
お姉ちゃんは父上とはお風呂に入らないからなぁ。
憐れ父上。
だけど今日は用事で父上は居ないのだ。
母上はあんまりそういうの気にしない、というかたまに一緒に入るし。
父上は母上に逆らえないからそれはあまり言ってこない。
なので僕とお姉ちゃんを除いて母上のみが家にいる今なら入れるのだ。
「いいわね!入りましょう!お母さーん!レイとお風呂入ってくるー!」
すると母上が台所から出てきて、
「あらあらいいわね~。なら私も一緒に入っていいかしら?」
「うん!なら3人で入りましょうレイ君!」
ここが天国か!
美少女と美女との混浴なんて夢のようだ。
例えそれが家族だったとしても!
強いて言うなら僕が10歳なのが悔やまれる……。
別にやましいことは考えてないよ?ホントだよ?
その日、すっかりのぼせたレイは姉に手厚い看護を受けたのだった。
次の日、僕は冒険者ギルドに向かった。
今日は依頼のためではなく、何だかんだでレベルが凄いことになってるからサブ職業を決めに来たのだ。
ギルドに入るといつもの視線の歓迎を受けた。
もう慣れたのでそのまま受付へ突き進む。
今日はセリナのようだ。
「おはようセリナさん!」
「あらあら~。レイの坊やじゃな~い。今日も~依頼?」
癒される~。
「いえ、今日はサブ職業を決めに来ました!」
「あらそうなの~?なら案内するわね~。おいで~」
僕は再び選択の間に来た。
「やり方はメイン職業を決めた時と同じよ~。終わったら呼んでね」
僕はアルにどことなく似た水晶に手を触れた。
そして前と同じようにに閃光が走った。
「おかしいなぁ?誰かが職業決める度に時間が止まってるのかな?」
そう。また周りの時間が止まっていた。
「誰か、じゃないわよ?あなたの時だけよ」
後ろを振り向くとアルがいた。
吐息がかかりそうなぐらい近くきって、ええっ!?
「うわぁ!」
僕はびっくりして危うくひっくり返りそうになった。
が、アルが腕を引っ張って僕を抱き止めてくれた。
結構な力で引っ張られたからかなり顔が埋まった。
何にかって?
僕はこう答えるね。
何とは言わないただ察して欲しい。
まぁ、それはおいといて。
「どうしたの今日は?」
アルが来たということはきっとそれなりの理由が……
「特に伝えるべきことは無いわよ?ただ会いに来ただけよ」
……これっぽっちも無かった。
いやいいんだけどね。
でもさ、
「神様も意外と暇なんだ?」
「し、失礼ね!それが、わ、わざわざ友達に会うために時間をあけた人に言う言葉かしら!」
顔を真っ赤に染めながらの一言。
ごちそうさまです!
「でもそんなに忙しくないのは事実だわ」
「事実なんだ!?」
「ええ。というかぶっちゃけ暇ね」
「僕の感動を返してっっ!」
上げて落とすというのはこのことだろう。
「さて、本題にはいるわよ?」
「……さっき伝えるべきことは無いとか言ってなかった?」
「当然よ!今思い出したんだもの!」
「何自信まんまんに言い切ってんのぉおおお!!?」
ダメでしょこの女神様!?
「あなたの称号に『殲滅者』ってあるでしょ?」
「えっ?あっ、うん!」
「それを職業にしといたからサブ職業の1つに入れときなさい」
「どうして?」
「近々あなたがアルティメット・オーガを倒した森から魔物の大行進があるの」
「数はどのくらい?」
「ざっと5万ね」
「5万!?」
僕は驚いてしまった。
この間1000体倒したばかりなのにさらに大きな群れがくるのだ。
しかもアルの話しによれば街に向けて殺到してくるという。
もっとも、一体一体は弱いらしいが、群れのボスはその限りではない。
アルは言った。
「あなたにその殲滅を頼みたいのよ」
「もちろんやるけどさ。なんで『殲滅者』をサブにするといいの?」
「『殲滅者』の効果は魔物に対して全てのステータスが3倍になるのよ」
ああなるほど。
「それってもろチートじゃない?」
「あくまで魔物に対してだけだけど、それでも強いのは確かね」
「わかった。頑張ってみるよ!」
「お願いね」
アルは最後に頭を一撫でして、
「後のサブは好きにしていいわ。
あなたの思うがままに生きなさい。
それじゃあ、またね!」
そう言って女神は姿を消した。
本当に
「格好いいなぁ」
僕は水晶に手を触れ、時間を再び回した。
水晶を見ると、
サブ職業: 殲滅者、魔法剣士、大魔法使い、竜使い、聖竜騎士、暗黒竜騎士、氷竜王、究極殺し、男の娘
……最後のなんだぁああああああ!!?
なんで男の娘が出てくんだよ!?おかしいよ!?てか(?)消えてんじゃん!!
しかも職業じゃないしね!?
もういいや!説明行こう!
といってもあまり前と変わらないな。
究極殺し:アルティメット・オーガを殺した者。鬼化することができる。鬼化時、魔力と瞳が紅くなる。STR、VIT が大幅に上昇する。
男の娘:女性に磨きがかかる。女性成長補正上昇。どんなに頑張っても男には変わりない。
ふざけてるよね?最後。何?女性成長補正上昇って!?
絶対選択しない。
……変なフラグたった気がするけど、よし!選ぼうか!
まず最初に殲滅者を取得。
次は聖竜騎士をタッチ。
かっこいいじゃん!
次は究極殺しをタッチしようとする。
(次は何にしようかな~)
僕は考えながらタッチした。
男の娘を。
「えっ?あぁっ!嘘だろ!取り消しできないし!」
マジかよ!?まさかの男の娘!?すげぇ嫌なんだけど!!
はぁ。もう仕方ないか。
僕は今度こそ究極殺しをタッチして選択の間をあとにする。
家に帰ってお姉ちゃんに抱きつかれる。
僕はその日の夜、お姉ちゃんの胸で泣きながら寝た。
恥ずか死にそうだよ!!
レイ・ヴァン・アイブリンガー(佐藤 黎) 半竜人
Lv. 127 男 10歳
ボーナスポイント:40365
称号:元天才軽業師 月の女神の友 竜王の孫 転生者 剣聖の息子
男の娘 超越者 殲滅者 海龍を制した
職業:魔剣聖Lv. MAX 殲滅者Lv. 1 聖竜騎士Lv. 1 男の娘Lv. 1 究極殺しLv. 1
HP: 112600/112600 MP:500000/500000
STR:11145(+50)
DEF:11136(+50)
VIT:11021(+50)
INT:10154
DEX:11131(+50)
AGI:11214(+50)
スキル:
軽業Lv. 5
殺陣Lv. 5
片手剣術Lv. 5 (剣聖技、魔剣聖技)
両手剣術Lv.5
棒術Lv. 1
拳闘Lv. 4
竜の息吹きLv.5
気配察知Lv. 5
隠密Lv. 5
魔力操作Lv. 5
偽装Lv. 5
水魔法Lv. 5
氷魔法Lv. 4
風魔法Lv. 4
空間魔法Lv. 4
生活魔法Lv. 5
バッシブスキル:
異世界言語
異世界文字
竜の成長補正
女性成長補正
身体強化Lv.5
成長限界突破
超再生
ユニークスキル:
魔剣創成
水氷魔法
竜化
鬼化
竜語魔術
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