ばらばらに…飯田挟
皆どこ行ったんだよ!!
俺を一人にすんなって!
まじ怖ぇぇー…。
雅とか竜也はこういう時進んで先導してくれんだけど、俺はこういうの無理…。
ゆっくりと物陰に隠れながら歩を進める。
一応、懐中電灯の光りは消して。
大声も下手にだせないし、どうしよう。
てか、ここ何処だよ…!
どんどん奥に進んでいってる気がする。
このままじゃ合流しても村の入口にさえ戻れない気がしてきた。
「……?」
なんか、物置…したよな今。
ふと目の前に小さな扉がみえた。腰ていどのその小さな扉は所謂裏口?のような場所だろうか。
その扉の奥から何か音が聞こえた。
微かだけど、家の木の床を踏んだ時に時折でる大きな音が。木の壁越しだから微かにだけど聞こえた。
「だ…誰か、いんのか?」
まさか、あいつ…だったりしないよな。
…太田達が逃げてきたんだよな。
それとも俺の聞き間違い?
ゆっくりと扉に手をついたらゆっくりと扉を開いていく。
―キ、…―ギィ―…
独特の音と共に扉は開いた。
腰を屈めて中を伺う。
「ぅわ、でっかい家」
扉の先は大きな家が建っていた。木や草が伸びきって家の裏側、であることに気付くのが遅れた。
一応、扉を閉めると家に身体をひっつけながら先を進む。
月の明かりに照らされていて、全く見えないという訳ではない。直ぐに逃げれるように物陰から出てこられても、すぐ気付けるように。
家の壁を伝っていけば、縁側にでてきた。
縁側の扉は開け放たれ中の部屋も見える。薄汚く物が散らかった部屋だ。
「っ…眩し!」
部屋にあがろうと縁側に足をかけた瞬間、光りが顔をあたった。
眩しくて顔を背けながら手で遮る。
眩しいっつの!…て、懐中電灯っていったらもしかして…。
「狭!!」
「…竜也?」
懐中電灯をもって俺を照らしていたのは竜也だった。
良かった!無事だった!!
「竜也!無事だったんだな」
「おう、お前も無事で良かった」
「まじ良かったぁ!」
「あれ…、雅達は一緒じゃないのか?」
竜也は俺の周辺を見渡しながら不思議そうに言う。そりゃ…そうだよな。
「途中ではぐれたんだ…」
「何!?本当かそれ?」
「うん…ごめん」
「あ、あー…そうか」
竜也は俯くとその場に座りこんだ。
「…お前懐中電灯くらいつけろよ」
「え、だって…ほら」
「暗闇で動いてるからあいつかと思ったぜ」
竜也はそれ以上俺を問い詰めずに、座って壁に凭れかかった。
俺もその隣りに腰をおろし胡座をかいた。
「……」
「……」
これから先喋りたいことは沢山ある。けど上手く喋れない、喋ったところで更に不安にさせるだけだ。
「雅は…ともかく、美幸ちゃん達が心配だな」
「岩瀬がたぶん一緒にいるから大丈夫だとは思うけど」
「はは、そりゃそうだな」
面白いことでも言って気を紛らわせてみようとしたが、所詮表面上だけでの話し。
考えずにはいられない。健一のこと。
あの殺人鬼のこと。
岩瀬達のこと。
「朝…」
また静かになりかけた時に突然竜也が呟いた。
「ん、朝…?」
「明日の早朝。日が出てから探すぞ」
「え、明日!?」
「あぁ、こんな暗闇の中動いたんじゃ更に危険だ。地図もないし、明るい時の方がまだ…」
「でも、もし岩瀬達が朝までに…」
「……」
「…ごめん」
竜也の気迫に半ば押し切られ、頷いてしまった。
朝までここで居る、てことだよな?つまり。それまで俺達も安全かどうかなんて分からない。
…勿論あいつらも。
でも確かに岩瀬も太田も雅も俺より頭が良い。
上手く隠れているかもしれない。
それに殺人鬼ももうこの村を出ていってるかもしれない。
竜也のどこか切羽詰まった様子は、珍しかった。
「じゃとりあえず、交代で見張るか」
「そ、そうだな」
「…て言ってもこの状況で寝れる訳ねぇだろ、て話しだな」
「…同意」
結局、寝ることはできずお互い閉じきった部屋の端と端で腰を落ち着かせた。
喋らず、時間だけが過ぎていく。
足音も、布を引きずる音も聞こえないし、懐中電灯の光も見えない。
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