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佐峨村  作者: peng
4/7

いざ…飯田挟

いざ…


side.狭








「なぁ、どこ行くんだよ?」


授業も終わり放課後、雅と竜也が明らかに慌ただしく教室を出て行った。


何事かと思ったけど呼び止める間もなかった。




で、とりあえずやる事もなかったから「いつもの場所」へ向かった。


そしたら雅と竜也が居た。


二人してなんか本っぽいものを見てたから、声かけたらいきなり「お前も来いよ!」って言われて何も考えず頷いた。

どこに?て聞いたが二人は答えず、「あぁもう遠足行くからコンビニでも行って準備してから来い」って。


遠足?…え、なんで遠足?大学生にもなって。

今からだと、泊まり?明日は学校休みだから良いけど。


問い返そうと思ったけど二人の雰囲気にとても聞き返せなかった。冗談…には思えない。



駅前に夜八時に集合。







で、現在夜八時過ぎ。



集まったのは俺と、雅、竜也、それに雅の彼女の太田。…と太田の親友の…岩瀬。の計五人。


なんだこのメンバー。


集合したら行き先も分からないまま電車に乗って、どこかへ向かう。



降りたのは五駅程隣の田舎町。



おいおい、こんな場所じゃ宿ねぇぞ?

二人はまだ何も言わない。そのまま地図のようなものを見つめて二人は家の立ち並ぶ反対の、奥へと進んで行く。


三人とも黙って後をついていくが、明らかにこんな夜中にこんな場所になんておかしい。

隣りを見たら岩瀬が太田の手を握ってついていってる。



「なぁ、いい加減教えろって」



キレかけで言えば漸く竜也が振り返った。



「今日…、剛が来なかっただろ?」

「あ、…そういやそうだったな」

「あいつ、絶対莉央ちゃん探しに行ったんだ」

「…莉央ちゃん、て土屋か?確か剛の彼女の」


それとこれがどういう関係があるんだ。


土屋…休みだったな。昨日も今日も、二日続けての休みは始めてだよな。喋りながらも歩みは止まらない。雅が先頭でどんどん奥深くへ進んでいく。

人の通る道じゃないよな、これ。

実は肝試し~てオチとか?


「それが何なのよ?」


俺が問いかけるよりも先に岩瀬が聞いた。


「健一の奴が莉央ちゃん連れてあの村に行ったんだよ」


そう言って雅が懐中電灯の光を目の前の暗闇に向けた。






「っ……!」



思わず息を飲んだ。


懐中電灯の光が写し出した風景は、廃屋の立ち並ぶ町並みだった。


もう使われてない村。


やっぱり、肝試しってオチ?


「ちょ、何よここ!雅ぁ!あんた何危なそうな場所に連れてくんの」

「ちょっと落ち着いて、彩子」


岩瀬の奴怖ぇぇ。


「…その二人を追って剛はここに来たんだ」


岩瀬の話しを聞かず雅はこの村を見つめながら呟いた。


ちょっと待て!

なんも分かんないんだけど。何が何だが意味が分からん。


つまり…

健一が土屋を連れてこの村に来た。

その土屋を追って剛もこの村に行った。


だからって直ぐにほいそれと信じられるか!


「じゃぁその三人はここに居るってのか?」

「あぁ」

「あぁってなんだよ!確信は?」

「無い…けど」


「ばかばかしい話ね、どうせ私達を騙してんでしょ?三人共家に居て…」


「いや、三人共今行方不明なんだ」


雅が岩瀬の言葉を遮った。

行方不明?


「なんだよ…それマジ?」

「マジ」

「……」

「……」


雅も竜也も真剣な表情で、とても冗談を言ってるようには見えない。

わざわざこんな場所に連れてきて、冗談でした~じゃ酷すぎるしな。

…マジなのか?やっぱり。


「確かに、昨日辺りから莉央と連絡つかなくて…」

「美幸、それほんと?」

「うん」


それを更に確信するように太田が言う。


「だったら警察に…」

「無駄だった。何の根拠も確信もないって」

「…で、その三人を俺達で探しに来たって…なんでこんな夜中に!?」


つまり探しに来た、てことだろ。でもだから、てだからってなぁ!


「早く探さないといけないだろ。もう居なくなって三日はたつんだぞ」


さらっと雅が言って、少しいらっときた。でもまぁ確かにそうだけど。


「あたし達は帰るから!いくら何でもこんな夜中にこんな場所…」

「帰り道分かんのか?」

「……」


太田の手をひいて岩瀬が怒鳴るように言えば、雅が冷たく言い放った。

そんな雅を見ながら太田は岩瀬の手を引き返す。


「ごめんね彩子。私は残る…雅が心配だから」

「…美幸」


「で、どうする?」

「…美幸一人にしたら危ないにきまってるでしょ」


残る、とははっきり言わない所が岩瀬らしい。



「……」


「……」


家の形を残した建物の建ち並ぶ道を無言で歩く。

足音と、風で木々の揺れる音が響いている。

一応、皆懐中電灯はもっている。駅前の店で竜也が買ってきたのを渡されたから。


歩く順番は前から雅が先頭でその後を竜也、岩瀬、太田…で最後尾が俺。


「ねぇ、ほんとにこんな所にいんの?」


次にその沈黙を破ったのは岩瀬だ。


「だって健一がそう言ってたから」

「何よそれ」


そういや健一健一って、健一の奴土屋連れてってなにしてんだよ。剛の彼女だろ。


「……」

「……」

「ちょっと狭!あんた美幸に近付きすぎ!」

「ぇえ!?あぁ…ごめん」


突然振り返った岩瀬の怒鳴り声に驚きを隠せない。ちょ、びびらせんなって!いきなり大声をだすな。

岩瀬に言われて目の前の太田に急接近していた自分に気付いて、慌てて足のスピードを緩める。


あぁ、俺無意識に太田に近寄ってたんだ。

太田は雅の彼女なのに。


「まぁ、あんたの事だから下心じゃないと思うけど」

「はは、同感」


呆れ口調で言われた言葉に、竜也も笑い混じりに乗っかってきた。


なら、下心じゃなかったらなんだ。












「ぅわああああぁぁぁ!!!!!!」











突然、雅が大声で叫んだ。





「な、なんだよ!?」



皆驚いて雅を見れば、雅は遠くを見ながら固まって震えていた。


尋常じゃない驚き方に、竜也が問いかけるが何も言わずただ懐中電灯の先の、その方向を見つめるのみ。


嫌な予感しかしない…。

見ない方が良いと思いながらも、視線はその光の筋を追ってしまう。











「ひぃっ……!!!!」








また言葉が詰まった。



雅みたいに大声が出せたらまだマシなのかもしれない。










光に照らし出された先では、健一が血だらけで倒れていた。










横向きに倒れた健一の腹部には、よく分からないが何かが刺さっている。そこから血液が流れているのが分かった。



死んで…る?





「…っう!」



込み上げる嘔吐感にだろう太田が口を抑えた。

そんな太田を抱きしめるように岩瀬が肩に手をまわして二人してその場に跪く。



「健一…だよな、あれ」

「死んでるのか?」

「……」



正気に戻った雅と竜也が、一歩ずつ健一へと近付いていく。


俺も気になったけど二人を残して行くのも気がひけて、とりあえず二人の傍に移動した。



「まだ温けぇぞ」



健一の傍に跪いて触ったのだろう雅が呟いた。


温かい?


つまり…ならまだ、


「意識失ってるだけかもしれない、早く病院に…!」


「っ…携帯、圏外だ」


雅の言葉を聞いていち早く竜也が携帯を開いた。けど、やっぱり予想通りの答え。


「脈は?」

「…うん、今調べてみ…!!」

「どうした!?」


健一の腕を掴んだ雅は脈を調べようとして、突然動きが止まった。

竜也も俺もそんな雅の動作に気付いて動揺隠せずに聞く。





「なんか…音、しない?」




小声で呟れたその言葉は十分離れた位置にいる俺達にも聞こえた。

鳥肌なんてもんじゃない。


皆無言になり音を探した。








―ッ…―



―ザザ――



―――ザザ…





……!!!!


叫びそうになるのを必死で堪える。





何かを引きずりながら歩く音が聞こえた。





長い服でも着ているのか地面と布が擦れる音と、それに混じって……微かに足音が聞こえる。




剛か土屋だろうか。




「こ…この音、徐々に近付いてきてねぇ?」



竜也の言葉により更に音が大きくなった気がした。

確かに気にしてはいたが、気にしていない。気のせいであって欲しかったから。


「剛…か、土屋…じゃないか?」


「そうよ。こんな場所に人がいる訳が…」


「だとして、何で健一が刺されて倒れてんだよ…。…誰が刺したんだ?」


「つまり…連続殺人犯でもいたり?……とりあえず隠れた方が良いな」


「……」



皆無言で頷くと、近くの廃屋の影に急いで隠れた。






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