始まりは…2
「え?剛君のお家に一緒にいるんじゃないの?」
「…え?」
莉央の家に来てチャイムを鳴らせば、出てきたのは莉央の母さん。
莉央を呼んで貰ったらそう返ってきた。
昨日から莉央、帰ってきてないのか?
「昨日から帰ってないのよ。昨日は莉央を泊めてくれたんでしょ?」
「え…あ、……はい」
何俺はいとか言ってんだよ!!!
でも…帰ってないのは確かだし、ここでいいえとか言ってお母様に心配かけたくないし。たまに俺ん家泊まりにきてるから、そう思うのも確かだ。
「じゃぁどっかで遊んでるんじゃないかしら。そのうち帰ってくるでしょ、全くあの子ったら」
「そうですか…分かりました。それじゃぁ、また」
「そう、じゃ気をつけてね」
虚しく扉の閉じる音が響いた。
雅の言う通り莉央は昨日から帰ってない。
勿論俺の家には来てない。お母さんにも言わず帰ってない、なんてのはおかしい。
昨日から…あの会話のあった時から…。
――♪…―♪
「ぉお!?電話?」
突然ポケットにいれていた携帯が鳴った。
びびらせんなよ!!
慌てて携帯を取り出せば耳にあてる。
『もっしー?剛?』
『ん、竜也か?』
『おぅ』
『あのさー、…健一の奴やっぱ昨日から居ないって』
『……』
『おーい、聞いてるか?』
『…お、おぅ』
『どうした?あ、そうだ莉央ちゃんはどうだった?』
健一も居ない…のか?
二人して昨日から居ない。
昨日見た二人。
佐峨村へ行く、て言葉。
偶然か?
『莉央も、昨日から居ないって』
『え!?嘘?マジで莉央ちゃんも?』
『……』
『やっぱりこれ雅の言うとおりじゃね?』
『…まさか』
二人してどっかへ行ったと?
学校を休んだりして。
しかもあの莉央がお母さんに何も言ってないってのが気になる。
確かに夜遊びとかあったけど、ちゃんと毎回お母さんに連絡してた。
もしそうだとしたら、事故か事件に巻き込まれた可能性が高いよな。
『とにかく、俺は今から莉央を探しに行く』
『え、今からってもう夜になるぞ?』
『心配なんだよ。莉央母さんに何も言ってないんだぞ』
『あの莉央ちゃんが?それは珍しいな』
『じゃ、切るぞ』
『分かった。俺もその辺探してみる』
竜也の返事を聞いたら直ぐに電話を切った。
とにかくこの辺を調べてみないと。莉央の周辺や親しい奴に片っ端からあたってみて、莉央の行きそうな場所を調べてみせるさ!
携帯をポケット深くに押し込むと、自転車のペダルを勢いよく踏んだ。
「だから絶対あの村が怪しいんだって!」
「…黙れ」
人通りの少なくなった駅前で、自転車を転がして荒い息を整える。
竜也と一緒に駅の階段に寝転がるように転がって、雅がそんな俺達を見下ろして言った。
一通りこの辺は調べた。
電話もかけた。
でも莉央も健一も見つからなかった。
もう真夜中で人もまばらの駅は静かだ。
こうなったら…
「警察に言った方が良い…のか?」
諦めてそう呟いた。
「いーやあいつら、実際事件が起こらねぇと動かないからな」
そしたら雅が座り込みながら否定した。
「じゃどうすんだよ?」
「……うーん」
「明日になったら戻ってきたりしてねぇか?」
竜也が同じように息を整えながらそう言う。
「考えすぎだって剛」
「とりあえず今日は遅いし帰って、明日考えようぜ?」
「……」
「な?明日学校もあるしこんな時間からじゃ無謀だろ」
「…明日?」
「明日ころっと来てるかもしれないだろ?実は内緒で女友達の家に泊まってたり」
明日ころっと…ね。
それなら良いんだけど。
もしかして…莉央、俺に何か隠し事でもしてたかのか?俺には相談できない事…とか。
「分かった」
「明日、明日また改めて考えようぜ」
「莉央からの連絡待ってみる」
「おぅ、じゃまた明日学校で」
「またなー」
「……」
雅と竜也に手を振ってその場は別れた。
連絡を待ってみる、これが今俺にできる事…なんだよな。
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