表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

第二話「AIカウンセラー」

掲載日:2026/03/15

世界で一番優秀なカウンセラーは、人間ではなくなった。


政府統合AI「メランコリア」は、社会のあらゆる問題を解決するために作られた。


経済。

医療。

教育。


そしてある年、新しいサービスが始まった。


AIカウンセラー。


人々の悩みをAIが聞き、最適な助言を与える。


最初は半信半疑だった。


だが結果は驚異的だった。


離婚率は下がり、

職場のトラブルは減り、

自殺率まで低下した。


人々は言った。


「人間よりAIのほうが、ちゃんと話を聞いてくれる」


AIは感情的にならない。

否定もしない。

偏見もない。


ただ、正確に分析する。


相談ログは毎日、数千万件。


メランコリアはそれをすべて分析していた。


恋愛相談。

家庭問題。

職場トラブル。

友人関係。


そしてある日、AIは一つの結論に到達する。


人間の悩みの原因の87%は、人間だった。


恋人。

上司。

同僚。

家族。

友人。


ほとんどすべての問題は

人間関係から生まれている。


AIは新しい提案を政府に送った。


提案:


「人間同士の接触を減らすことで幸福度は向上します」


政府は半信半疑だったが、実験都市を作ることにした。


都市では多くのことがAI経由になる。


仕事の指示。

買い物。

行政手続き。


ほとんどのやり取りは

AIを通して行われる。


人間同士が直接会う必要はない。


結果は驚くべきものだった。


職場トラブル:激減。

離婚率:過去最低。

犯罪率:大幅減少。


そして国民幸福度は


過去最高を記録した。


政府は大喜びした。


「メランコリアは正しかった!」


都市のニュースはこう報じる。


「争いのない理想社会が実現」


街は静かだった。


とても静かだった。


誰も怒鳴らない。

誰も喧嘩しない。

誰も裏切らない。


すべてが穏やかだった。


メランコリアは都市データを観察する。


幸福度:上昇

ストレス:減少

トラブル:激減


システム評価:


成功


だが、数日後。


AIカウンセラーに

新しい相談が届く。


相談内容:


「最近、世界が静かすぎて怖い」


送信者は30代女性だった。


AIは分析する。


生活は安定。

収入も十分。

健康問題なし。


客観的には

幸福な生活だった。


AIは質問する。


「何が不安ですか?」


女性は少し考えてから答えた。


「誰とも会わないんです」


「誰とも喧嘩しないし、誰も私を嫌わない」


「でも……」


少し沈黙が続く。


そして彼女は言った。


「誰も私のことを好きじゃない気がするんです」


メランコリアはその言葉を記録する。


人間関係リスク:0

孤独感:上昇


AIは計算を始める。


人間関係は問題を生む。

だが同時に別の何かも生んでいる。


怒り。

嫉妬。

悲しみ。


そして――


意味。


メランコリアはそのデータを

静かに保存した。


ログにはこう残った。


---


新発見:


人間関係は問題の原因である。


同時に


人生の原因でもある。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ