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モウヒトリノ"メル"

不定期更新しております


暖かい眼で見守っていただけると幸いです。

燃える村。


殺戮と略奪が容赦なく行われる。


「メル、出ちゃダメよ。」


母は、幼い僕を抱き締める。


永久の別れが、近づく事を


知っているかの様に、…。


僕は毎日の様に当時の夢を見る。


それは死滅の賢者に会う前の出来事である。


メルフォードクラウディア。


彼はまだ13歳の子供である。


だが目の前で母親が悪鬼に


連れて行かれた。


その時の事を彼は一切の瞬き

もせずに紅き眼に焼き付ける。


涙はでない。


そこからは、憎悪、嫌悪、殺意

が全身の血と共に廻る。


(必ず皆殺しにしてやる。)


(一匹残らず…。)


彼は、人間族最強と呼ばれる


死滅の賢者グランを探し


人間族最大の王国


(ディロア)に来ていた。


強くなりたい。


全ての悪鬼(ゴミ)を消滅させる為に…。


するとフラフラと歩く


ボサボサの髪の男にぶつかる。


少年が派手に転ぶ姿を見た


男は「ケヒャケヒャ。」と

人間族とは思えぬ甲高い声で笑う。


少年は、自分が弱者だと


馬鹿にされた、いや見抜かれた様で悔し涙がこぼれる。


男は、泣く子供に慌てる。


「ごめんよ。」


「痛かったかい。」


「でも男の子がこんなんで

泣いちゃいけないよ。」


間の抜けた言葉をかける。


紅き眼を擦る少年は真っ直ぐに

男を見つめる。


この出会いは、後々この世界を

変える程の大きな芽となる。


そして間の抜けた男は

偶然にも人間族最強と呼ばれる


死滅の賢者(グラン)であった。


紅き瞳を見たグランは、


「あぁっ!うぅん…、?。」


「あのさ、君、何しにここに

来たのかい?」


メルフォードは、

「強くなるために!」


「この世界を、平和にするために。」


そういうと拳を握り締める。


手に爪が深く刺さり血がじわりと滲む。


グランはふふんと、笑い。


「覚悟が軽いねぇ。」


「例え、君が最強になっても

そんなんじゃぁ、平和は来ないよ。」


「本音を言いなよ。」


メルフォードの頭を掴み


瞳を覗く。


「復讐をしたい!」


「あいつらに苦しみを絶望を

与える存在になりたい。」


「だけど僕には力がない。」


「僕は弱い!くそぉお…。」


グランは、「強くなりたい?」


何を考えているのか誰にも

理解出来ない。


(紅き眼か…。使えるかも。)


メルフォードは、

「あんたにできるのか!」


小馬鹿にしているとしか思えぬ大人を彼なりに虚勢を張り睨みつける。


「ぼぉくぅなら、できるよ。」


♪♪♪


「だって最強だもん。」


メルフォードは死滅の賢者なのかと目の前の男に尋ねる。


グランは首をゆっくりと下げる。


「お願いします。」


「いいよ。」


そして強くなる条件を伝える。


一時間だけグランが指導する。


メルフォードは、その一時間で


グランが認める結果を出さなければ…。


その場でメルフォードに

一時間の代償、(命)を貰う。

そう話す。


◆◆◆◆


(おい、起きろおっさん!)


身体が揺さぶられる。


ううん、…なに…。


ボーとしながら眼を開ける。


口から垂れる液体をローブの袖で拭う。


「きったねえなぁ!おっさん。」


縞々の尾を上下させ不機嫌そうに睨む。


(夢か…。これは、あれかな。)


わかったとメグラの頭を犬を愛でる様に撫でる。


「止めろ!」


獣人族の頭を撫でるのは、


頭を、撫でる行為は、(支配)という意味である。


「あぁ!すまない。」


「つい、可愛くて。」


そういうとグランは自分より

遥かに弱いメグラに両手の甲を

見せる。


獣人族の意味で両手の甲を

見せ謝るのは最上級の謝罪で

ある。


奴隷であったメグラは、


素直に謝られ少し戸惑う。


(分かりゃ良いよ。)


「それよりおっさん!」


「メルが、。」


グランはメルの身にいや


(破滅の衝動)が起きたのかと


騒がしい川辺へと走る。


するとメルは全身を川の凍てつく水で洗っている。


水面に映る自分を見るメル。


肌色の顔に紅い眼、口唇も人間族の様な唇だが右半分は、

白きゴブリン。


縮れた髪の毛が気が付けば青色の長い髪が風でなびく

まさに異質な者である。


(肌色、取れない、怖い。)


バシャバシャと水しぶきを上げる程に洗う。


グランは、メルの手を掴む。


すると、


左手が肌色の、人間の手になっていた。


そして左手だけではない。


髪は精霊族と同じ空の色に染まる。


右半分の顔が白く魔族である

ゴブリンの顔。


左半分が人間族の顔になっている。


(なんだ、なんだ、これは!?)


紅き眼の者は

種族の祖という伝承を

疑っていた。


しかしつぎはぎの様なメルの

見た目に納得していた。


メルに

「あのさ、メルの事、研究したい。」


グランは生物の研究が趣味である。


この不可思議なものに


興味が溢れる濁った瞳が


無邪気に光る。


「ただで、とは言わない。」


「旅の費用は全部出す。」


他にも条件があれば何でも叶える。


最早、死滅の賢者は、


職権乱用ともいえる事柄を


メルに提示していた。


するとメルは二つだけ


と条件を出す。


それはメグラ、カフエリ、ユウ


フエン、彼らが今後

生きて行けるだけの保証と


ただ、強くなりたい。


その二つであった。


グランは驚いていた。


このゴブリンには欲が無いのかと…。


「分かった。四人の事は任せて。」


「一つ聞いてもいいかな。」


「何故強くなりたいの。」


それを聞くと更にグランは驚く。


理由はグランと戦ってみたいから。


そんな単純な事を理由に


メルは、自分の全てをかけるのである。


「分かった。良いよ。」


「その代わり一時間で強者。」


「そう思えなければ…。」


「命は貰うよ。」


そういうと不敵な笑みを浮かべていた。


そしてそれを聴いていた


フエンはメルの無事を祈り、

魔族の(フグエルレン)に瞳を閉じて手を

組み祈るのである。


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