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アイスメリア



「あぁ…そうか、うん…ほう。」


目の下に隈を作り頷くメル。


天候が荒れ猛吹雪のせいで山小屋へと

閉じ籠りもう一週間程経つ。



まだ天候が安定せず、とても外には出れない。


無理に進めば、間違いなく凍死するのである。


今、ユウトはイライラしていた。


いち早くメルを始まりの遺跡へと連れて

行きノボルとの戦いに備えたい。


ノボルが動く前に…。


ユウトはとにかく焦っていた。


そしてもうひとつ。


カフエリとフエンの為に定時連絡用の

ゴレフォンがメルに独占されている事。


山小屋にたどり着き少し休んでいたら真夜中にアユムから連絡を受けた。


(あぁ…。夜中にごめん。)


(メルの子供達がさ…泣いてんのよ。)


(悪いけど…ゴレフォン、メルに渡してくんない。)


寝惚け眼で目を擦るユウト。


向こう側から聴こえるアユムの声も何処か重い。


ユウトはゴレフォンをメルに渡すと

そのまま寝るのだが。


一時間毎にカフエリ達から連絡が来る。


正直、耳障りに感じるユウト。


そして…。


「すまないユウト。ゴレフォンが動かない。」


ため息をつきながら、錬金釜を

開けて、ゴレフォンのエネルギーを充電する。


そうゴレフォンのエネルギー消費量が

凄まじい事である。


カヨウに愚痴を溢せば、


「良いではないですか。お子さんの、不安も取り除く事は父親の務めです。」


訳のわからない理屈を並べられ


ロウガに話せば


「する事ねぇし、現に進展ねぇから話す事も無いだろ。」


正論でユウトを叩き潰す。


フッと考えるユウト。


(アレ…そうだよな…。何故イライラするんだろう?)


首を傾げている。


充電を終えたゴレフォンをメルに渡す。


ゴレゴレゴレ、ゴレゴレゴレ。


また向こうからかかって来た。


慌てて出るメル。


「あぁすまない。充電してた。」


「大丈夫こっちは何も無いから。」


また同じ様に頷き答えているメル。


カヨウやロウガが

対して追い詰められていない

理由がよりこの状態を受け止める結果と

なる。


それは、食料が常に陽炎の町から補給されることである。


そうアユムはユウトの錬金釜を

作り替えて直接繋がる様にしてしまった。


望めばいくらでも錬金釜から

食料もエネルギーも手に入る。


故に誰も困惑せず山小屋にいられるのである。


でもそれと同時にユウトはストレスを抱えていた。


それは以前に惚れ薬を作った事。


その事でミレイが錬金術で製作可能な物の

制限をアユムに求めた。


そのせいで錬金釜を使用する時

アユムの許可を得なければ錬金術を使えなくなってしまう。


(ほんとは…。まだ試したい物があるのに…。)


それが一番のストレスなのかもしれない。


トントン…トン。誰か…。


山小屋の扉を叩く音と共に弱々しい女性の声が聴こえる。


カヨウ、ユウト、ロウガは構える。


それはそうだろう。


外は猛吹雪。しかも冬場のマケンディアなんぞ来る者はいない。


つまり外にいるものは魔物


『アイスメリア』の可能性が高い。


ロウガが扉の前に立つ。


カヨウとユウトに視線を送る。


勢いよく扉を開けると、ロウガは外に飛び出した。


だが…外には誰もいない。


そして振り向くとメルの姿も無い。


ゴレフォンだけが床に転がり


その向こうでカフエリとフエンが何かを叫んでいた。


ユウトはゴレフォンを掴む。


(誰か!メルが、メルが!)


カフエリとフエンが騒ぐ。


「どうした、何があったの?」


冷静に穏やかに、カフエリから聞き出す。


メルはどうやらアイスメリアに付いて行ったらしい。


その理由がマケンディアの魔力を吸い取り

吹き付ける吹雪を狭間の闇が起こしているという事。


そしてアイスメリアはマケンディアから力を吸い取り生きる魔物。


狭間の闇がそれをし続ければ自分は

死んでしまうと話す。


もし助けてくれればもう

人を襲うことはしないと約束して

アイスメリアに付いて行ったらしい。


魔物の戯言を信じるメルに呆れるロウガ達。


メルの気配を探りながら吹雪の中を歩く羽目になる。






【外伝】[ユウトの錬金術]


猛吹雪により足止めをくらうユウト達。


時間が勿体ないと感じたユウトは、メルの記憶を取り戻す、実験を試みる。


「よし!でーきた。」


羊皮紙に複雑な公式を書き綴り終えたユウト。


メルとロウガは何が書かれているの全く理解

出来ない。


「これなら…多分いける。」


ユウトは『リバース』の能力で破壊を修復に

反転させる玉を"四つ"生み出す。


カヨウが「数に意味があるのですか?」と

不思議そうに見ていた。


待ってましたの如く話し始めるユウト。


羊皮紙の書き綴る公式の説明をし始めた。


「実はね…。反転の玉数を多くすると逆に記憶が消え爆死する。」


「そして、少ないと今度は、記憶の修復を失敗して肉体が腐る。」


「錬金釜の調節は難しくてね…。成功率37%かな。」


瞳を輝かせ実験ができると笑うユウト。

溢れる探究心が止まらない。


手足から汗が滲むメル、何処までユウトを信用できるか試されていた。


「さぁ、ホラホラ、メ~ルさん入って入って。」


錬金釜の蓋を開けて不敵な笑みを浮かべる。


足が進まないメル、初めてジェネラルゴブリンに挑んだ時よりも震えていた。


ユウトは、メルに眠り薬を嗅がせて、錬金釜に放り込む。


その非道な行為にロウガとカヨウはユウトに

対して狂気的なものを感じていた。


鼻歌まじりで反転の玉を錬金釜へと放り込み

グツグツと煮始める。


(いいよ…煮えろ、ニエロ。)


最早その姿は、悪い魔法使いが呪いの薬を

作っているかのようだった。


15分位経つと錬金釜から香る臭い、山小屋の中が甘く酸い匂いで充満する。


少し吐き気をもよおす、ロウガは窓を開けた。


窓から冷たく激しい風が吹き込む。


そのせいでユウトが予備として作っていた

何も指示をしていない反転の玉が錬金釜へ

と二つ入る。


「あっ……。」言葉が出てこないユウト。

しかし錬金術を途中で止める訳にはいかない。


実は錬金釜にはとある機能が存在する。


それはやり直し機能である。


もしも失敗しても一回だけはやり直せる。


その時使用した素材も元の姿に戻せるのだ。


今回の素材は『メル』だが錬金術のやり直しは可能なのであった。


ピーーーー!錬金釜から耳鳴りの様な音がする。


煮詰めた事により蓋の穴から蒸気が漏れる。


(よし…もうそろそろかな…。)


錬金釜をひっくり返し中身を取り出す。


どしゃ…。粘着性のある緑色の液体に包まれるメル。


(やっぱり…おおかったかな…。)


緑色の液体を何でも取れるクロスで拭き取る。


一吹きで、あら綺麗。そんな事を口ずさみ


揺さぶりメルを起こす。


「メルさん!起きて。」


目覚めるメル。


「OH MY GOD!Hey!!!、No moreYOUorKILL。」


なに言ってるかわからない。


(はぁ失敗か…。)錬金釜へメルを放り込み蓋に

付いているボッチを押す。


しかし激しく怒り狂うメルの猛攻により錬金術のやり直しがエラーとなる。


錬金釜から勢いよく飛び出るメル。


物凄く慌てるユウトが叫ぶ。


「マズイ、マズイ、マズイよ!メルさん、出ちゃ駄目!!」


だが、メルは落ち着いている。


「ユウト…。心配するな記憶は、戻った。」


ユウトの方へ振り向き笑うメル。


試しで質問をするユウト。


「問題。暝砡の力とは何?」


チッチッチッと口を鳴らし時間制限をあおる。


すると…メルは自信満々に一言話す。


「暝砡の力とは…。俺の力だ!」


正解なのか、不正解なのか、微妙な空気が流れる。


「まっ良いか…。成功、成功。」


何事もなかったかの様に寝転がり新たな錬金術の公式を、考えていた。


ロウガとカヨウ、実は一番恐ろしいのユウトなのかも知れないと少し想う。











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