ソレゾレ
錬金釜からアルメーリア全ての場所が記されている地図を広げ眺めるユウト。
「ここから始まりの遺跡までは…南東に5350キロ位ですかね。」
ため息をつきながら
「そうか…遠いな。」メルは答えた。
「なぁ、なぁ、メルさんよ。」
「あんた、夢ってあるかい?」
最初に会った時とは感じが違うロウガ。
「俺にはあるぜ!アルメーリア最強の戦士になる事だ。」
まだ野望を叶えてもいないのに
どこか誇らしげに胸を叩くロウガ。
「あぁ~あ、また…言ってる。」
カヨウは銅の錫杖を
しゃきしゃきと鳴らし呆れ顔をしていた。
(夢か…。なんだろう。)
右手にはめている変化の手袋を
眺め想いをふけるメル。
脳裏にカフエリとフエンの笑顔が浮かぶ。
「俺の夢は、あの子達を幸せにする事だな…。」
空を見上げ口角が上がるメル。
「良いお父さんですね、メルさん。」
赤茶色の長い髪が砂漠の風で
揺れ、砂がカヨウの汗に張り付く。
ユウトは夢の事を考えていると
何故かミレイの怒る顔がふと
浮かび首を横に降っている。
その様子を不思議そうに見ていたメルは
「大丈夫か、ユウト?」とユウトの肩を叩く。
何故か顔を赤らめたユウトは
早歩きになる。
「なっ、何でも無いです!早く、マケアンディの絶壁を越えないの行けませんね!」
砂漠は猛暑なので季節感を忘れるが。
もうアルメーリアの他の場所では、木枯らしが吹き高い山の頂には少し白雪が積もる。
アルメーリアは秋が終わり
凍てつく冬が迫って来ていた。
そしてマケアンディの絶壁。
標高3600メートルの岩山。
冬場では常に天候が荒れ猛吹雪となる。
地元の民ならばまず近寄らない。
何故ならば冬の時だけに現れる魔物『アイスメリア』の恐ろしさを知っているからである。
幾多の冒険者達が、冬場のマケアンディに挑みものを言わぬ骸となった。
「『アイスメリア』が来たら
危ないですからね…。」
ぶつぶつと独り言の様に語る
ユウト。
ロウガは、「来たら俺がぶっ潰す!」と
いきまいていた。
メルとカヨウは黙々と歩いていた。
そして100年後の同じ時に
始まりの遺跡コアへと向かう
メルフォード。
同じく地図を眺めながら道筋を考えていた。
◆◆
メルフォードはアユムに言われ世界が消滅するのを止める為。
始まりの遺跡コアに向かうのだが…。
メルフォードは砂漠を歩き
周囲の異変に驚きを感じ
そして、少し疲れていた。
何故ならば、砂漠に色が無く
照りつける日差しの暑さも
無く、視界を遮る砂風も無い。
さらに…。
メルフォードの動きを一つ一つを確める様に睨み付けるカフエリとフエン。
後ろを振り向きつい本音が
口からこぼれるメルフォード。
「何で付いて来るのですか!」
「僕なら、逃げませんよ!」
眉を潜め睨み返すメルフォード。
鼻で軽く笑うカフエリとフエン。
「逃げる…?違うわよ、あなたが弱すぎるから、守ってあげるの。」
「えぇ…。メルフォードは、暝砡の血を継ぐ、最後の生き残りだから…。死なれたら困る。」
カフエリとフエンは淡々と答える。
そして二人揃って必ず
メルフォードに返す言葉。
「力になってやれと、メルが…言ったから。」
(また…。それか…。)
深く深呼吸をするとメルフォードは、マケアンディの絶壁へと向かうのであった。
メルフォードから感じる魔力と紅き瞳のせいでメルと重ねてしまう。
その事に苛立ちを感じる、カフエリとフエン。
漂う空気が、とても重苦しい。




