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タビダチノヒ



「じゃね!」と手を降るアユム。


カフエリとフエンへ深々と頭を下げて立ち去るミレイとユウト。


グランがクリエラに耳打ちをしていた。


何故か頬をあげ喜ぶクリエラ。


「メル。すまないが今日は、

クリエラもそちらで休ませて貰えないか?」


グランからの申し出にメルは「構わない。」と一言伝える。


カフエリの頭を優しく撫でながらメルは笑う。


「今日は家族の傍にいなさい

カフエリ。」


悪気のないメルの一言がカフエリの心を締め付けた。


「…。私は…。私達は、家族じゃないの!」


「あっ…。」メルの言葉も聞かずにクリエラの手を引っ張り、一緒に部屋へと入る。


フエンも少し不機嫌そうに頬を膨らます。


「フエンも…。カフエリも

みんなメルの家族じゃないの?」


潤んだ瞳の奥でフエンは怯えていた。


また。一人になる。フエンには生きている肉親等もういない。


クリエラの様な姉もいない。


小さな心が何処か痛い。


何度も、何度も、何度も、何度も…。


大人の非道な狂気により心を

抉られ引き裂かれた。


いつしかそこには膿が溜まる。


フエンは、強くメルの手を握り締めた。


「フエン、俺が悪かった…。」


「俺は、家族を知らない。」


「どうすれば、家族なのかも

わからない。」


「だが一つだけは、分かる。」


「フエン。カフエリ。俺には必要だ。だから、死んでも守る。」


屈みフエンを抱き締めるメル。


手が身体が少し震えていたメルをフエンが優しく包みこむ。


メルも家族を知らない。


それ故に愛しき者が現れると

同時にいつしかいなくなるという想いが

無意識にメルの心を縛っていた。


「メル…。約束しよう。」


「ずっとずっと、一緒に…傍にいて…。」


小さな小指をメルに出すフエン。


何処か儚く小さな想いにメルは小指を絡ませる。


「あぁ…。ずっと一緒だ。」


「えへへ…。今日は、フエンがメルを独り占めできるね。」


メルの腕に飛び付き胸へと顔を埋める。


パタパタと飛ぶフグエルレン。


その二人を優しく見守ると

重そうな身体で、必死にメル達を追いかけた。


そのやり取りを見ていたグランとアユム。


彼らは何を想い、何を感じていたのであろうか。


暑い砂漠も夜は冷える。


冷たい砂嵐が時折吹き付ける。


部屋へと帰る、メルとフエンと

フグエルレン。


部屋に付いた明かりが暖かい。


◆◆


蒸し風呂の様に熱気がこもる。


メルの肉体が悲鳴をあげ目が覚める。


疲れきり三人は部屋の其々のベッドに入るとそのまま寝てしまう。


だが…何故か右腕にへばりつきすやすやと

寝息をたてているフエン。


そして左腕も痺れて動けない。


ふと目線を送るとカフエリが

張り付いて寝ている。


子供の体温は種族問わず高い。


メルは動いたら起こしてしまうと、熱さで

意識が朦朧としながら耐える。


だが…いくらカフエリとフエンが傍にいるからとはいえ炎の中で寝ているかの様に熱い。


(まさか…まだ魅惑の雫が?)


その様な事を考えていると大きな綠炎色の鱗がメル達を覆う。


そして熱風の様な鼻息が

メルの髪を揺らす。


何とか顔だけを動かすとベッドを潰しメル達の部屋に目一杯に丸まる飛龍が寝ている。



ギリギリギリ!ガッガー!!


地鳴りの様な歯ぎしりといびき。


部屋がカタカタと揺れる。


その様な音の中でもカフエリとフエンは

すやすやと寝息をたてていた。


(だれか…。水を…。)


そのまま意識を失ったメル。


(……!メ…。メル…。)


身体を揺さぶられ意識を取り戻すメル。


「メル!フグエルレン様が大きくなった!!」


ベッドを跳び跳ねて喜ぶフエン。


額に冷たい物がある。


メルがそれを掴むとカフエリが怒る。


「メル!熱中症になってたよ。」


「ちゃんと、自己管理してよね。」


水差しをメルの口に運ぶカフエリ。


怒っているが何故か楽しそうに映る。


大きな目玉がメルを覗き込む。


「メル!わし、ワシじゃ!」


「やっと清龍に成長したわ!」


激しい鼻息が部屋の家具を揺らす。


「フグエルレンまた…太ったのか?」


その一言で少し不機嫌になったフグエルレン。


大きな綠炎の鱗に覆われた巨大な尾をメルの腹部に叩きつける。


ウッッ…!ズドン!!


カフエリとフエンを庇い尾を

片手で抑えた。


「おい…。少しは手加減しろ。」


フグエルレンに怒るメル。


その気迫に少し反省するフグエルレンで

あった。


しかし…日差しが熱い。


すみわたる空から灼熱の太陽が

こちらを睨み付けつける。


(うん?空?)


メルは起き上がり眼を擦る。


大きくなったフグエルレンが

仮住まいをぶち抜いたせいで天井が無い。


外には陽炎の町の住民達が

アレはなんだ?と群がり列を

成す。


ユウトとアユムは町民達から

見物料を取っていた。


ミレイとミサキが二人を怒り

町民達も飽きたと散って行く。


◆◆


始まりの遺跡コアに向かう為


陽炎の町で必要な物を買い集めるメルとユウト。


今回の旅ではユウトと一緒に

コアへと向かう。


フエンとカフエリは危険な旅という理由もあるが、この世界の知識も覚えて欲しい。


そう考えたメルがミサキの勤めるガッコウへと預ける事にした。


ちなみにフグエルレンはかなり目立つので

留守番することになった。


「メル!行くぞ。」


銀色の尾を持つ獣人の戦士ロウガ。


「では行きましょう。」


まだ見習いだが治癒と神聖魔法を使う

カヨウ。


彼らも共に旅をするとのこと。


主な役目は、ゴレフォンを使用しアユムとの定期連絡とカフエリ達の様子をメルに伝えること。


それと給料袋から定期的に旅の資金が振り込まれる。


その生活管理も行う使命を担う。


ふてくされるカフエリとフエン。


強く二人を、抱き締めメル達は

陽炎の町を後にする。


そして偶然なのか…。


この時代から100年後。


同じ時間と同じ日付に


始まりの遺跡へと向かう暝砡の血を継ぐ者。


メルフォードも新たな力を求め向かうのであった。











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